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GLP-1とその分解産物は糖尿病モデルマウスの尿細管間質傷害を改善する。

GLP-1、GLP-1 (9-37)、GLP-1 (28-37)は、db/db マウスの尿細管間質傷害を改善する。これらはマウス腎臓でT細胞とマクロファージ集積を抑制している。分解産物の作用はGLP-1受容体を介さない。この論文の筆者らは、ヒトGLP-1分解産物には臓器保護作用があるため、臨床研究でヒトGLP-1を基礎としたGLP-1受容体作動薬がextendin-4を基本とした製剤よりも臓器保護効果を示しているとしています。

まとめ
アデノ随伴ウイルスでdb/db マウスにDPP4に耐性なGLP-1 (7-37Mut8)、GLP-1 (9-37)、GLP-1 (28-37)を発現させた。

・GLP-1 (7-37Mut8)は血糖値を改善する。
・GLP-1 (7-37Mut8)、GLP-1 (9-37)、GLP-1 (28-37)の発現で、尿細管間質傷害 (tubulointerstitial injury) が改善する。尿アルブミンは減少せず、糸球体ダメージ、足細胞の傷害は改善しない。腎臓でT細胞、マクロファージの集積が抑制される。LacZに比べマウスの寿命が延長する。マウスの心機能は改善しなかった。
・ヒトとマウスの尿細管細胞株で、GLP-1、GLP-1 (9-36)、GLP-1 (28-36)は、CCL5 (RANTES)依存性T細胞の遊走能を阻害した。
・腎虚血灌流傷害モデル (acute renal ischemia/reperfusion injury model) でも、全身の免疫調節効果 (systemic immunomodulatory effect) が認められる。

Moellmann J et al. Glucagon-Like Peptide 1 and Its Cleavage Products Are Renoprotective in Murine Diabetic Nephropathy. Diabetes. 2018 Nov;67(11):2410-2419.

DECLARE-TIMI 58

DECLARE-TIMI 58 で、Dapagliflozin は心不全による入院を低下させた。心血管死単独では有意差なし。

まとめ
心血管イベントリスクのある2型糖尿病で、Dapagliflozin とプラセボの比較、フォローアップ4.2年、プライマリーアウトカムは、Major adverse cardiovascular events (MACE)、心血管死と心不全による入院

・MACEは有意差なし
・心血管死と心不全による入院を低下させた。(ハザード比0.83 p=0.05)
これは心不全による入院を低下させたためで、心血管死亡単独では両群で有意差なし

Renal composite (eGFR 69未満で40%以上減少、new end-stage renal disease、腎臓あるいは心血管疾患による死亡)のハザード比 0.76

糖尿病性ケトアシドーシスはDapagliflozin の方が多い。
膀胱がんはDapagliflozin の方が少ない。

EMPA-REGとの比較
・eGFR <60 を除外していない。
・このスタディのプラセボの死亡率が少なく、population の違いがある。
・confidence interval が広いので、心血管死亡のベネフィットが認められなかったのは偶然 by chance である可能性もある。

Dapagliflozin and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes

BMIと死亡率

イギリスで Never-smokerの解析、BMIは死亡率に対してJ-shaped association となる。

BMI25が一番低く、BMIが低い側は5kg/m2ごとに0.81上昇、高い側は1.21上昇する。
BMIは、交通事故以外の死亡率と関連するが死亡率カーブは疾患により異なる。
ガンや心血管病、呼吸器疾患ではBMI 21-25 kg/m2での死亡率が一番低い。 
Smokers を含めた解析では、低いBMI が死亡率と関連し、喫煙が交絡因子であることを示唆する。
 

グルカゴンはGLP-1受容体の weak agonistである。

膵灌流実験でグルカゴンは、低グルコース濃度 (63mg/dl) でインスリン分泌を刺激しないが、高グルコース濃度 (216 mg/dl) でインスリン分泌を促進する。
グルカゴンはGLP-1受容体のweak agonist である。GLP-1はグルカゴン受容体を活性化しない。

まとめ
膵灌流実験でグルカゴンは、低グルコース濃度 (63mg/dl) でインスリン分泌を刺激しないが、高グルコース濃度 (216 mg/dl) でインスリン分泌を促進する。

グルカゴンはGLP-1受容体の weak agonistである。グルカゴンはグルカゴン受容体とGLP-1受容体の両者を介してインスリン分泌を刺激する。
GLP-1受容体拮抗薬GLP-1(9-39)は、GLP-1およびグルカゴンによるGLP-1受容体を経由したcAMP上昇を阻害する。 GLP-1(9-39)はグルカゴンによるグルカゴン受容体を経由したcAMP上昇は阻害しない。

コントロールマウスの膵灌流で、GLP-1(9-39)の使用によりグルカゴンによるインスリン分泌のベースラインは低下すインスリン分泌反応は保たれる。

ジフテリア毒によりアルファ細胞を減少させたマウスでグルカゴン分泌は認められなくなりグルコース刺激によるインスリン分泌が低下する。

β細胞のグルカゴン受容体の機能喪失で、グルカゴンによるインスリン分泌反応はコントロールと同様である。グルカゴンのGLP-1受容体経由によるインスリン分泌刺激が残存するためと考えられる。

全身のグルカゴン受容体機能喪失マウスで、膵島特にα細胞の肥大と血中グルカゴン濃度上昇がしめされている。このマウス膵灌流実験では、膵島から活性型GLP-1が分泌されている。全身のグルカゴン受容体機能喪失マウスの膵灌流でインスリン分泌量が多く低濃度グルカゴンではインスリン分泌に影響しない。このマウスでGLP-1(9-39)は、膵灌流によるグルカゴンのインスリン分泌反応を消失させる。
コントロールマウスの膵灌流で活性化GLP-1非常に低く、多くは検出感度以下である。

Svendsen B, et al. Insulin Secretion Depends on Intra-islet Glucagon Signaling. Cell Rep. 2018 Oct 30;25(5):1127-1134.e2.
 

腸内細菌と脂肪肝

肥満女性で、脂肪肝と腸内細菌が産生する分枝鎖アミノ酸、芳香族アミノ酸との関連が示唆された。脂肪肝グレード3の肥満女性の便をマウスに移植し脂肪肝が誘発された。

まとめ
脂肪肝グレード3 の肥満女性で
血中分枝鎖アミノ酸 (BCC)、芳香族アミノ酸 (AAA) の代謝産物であるフェニール酢酸 (PAA) の濃度および尿中BCC濃度が高い。
PAAは、おもに腸内細菌Bacteroides spp.によりフエニールアラニンから産生される。

脂肪肝グレード3 の肥満女性の便を抗生物質で処置したマウスに移植した結果、脂肪肝グレード0の肥満女性の便に比べマウスの肝臓で中性脂肪が増加する。
PAAは、ヒト培養肝細胞で中性脂肪量を増加させる。
PAAを含んだ食事はマウスで肝脂肪量を増加させる。

分枝鎖アミノ酸は
内皮の脂肪輸送を促進しインスリン抵抗性を惹起することが報告されている。3, 4)

1. Hoyles L et al. Molecular phenomics and metagenomicsof hepatic steatosis in non-diabetic obese women. Nat Med. 2018 Oct;24(10):1628. doi: 10.1038/s41591-018-0169-5.

2. Delzenne NM, Bindels LB. Microbiome metabolomics reveals new drivers of human liver steatosis Nat Med. 2018 Jul;24(7):906-907. doi: 10.1038/s41591-018-0126-3.

3. Newgard CB et al. A branched-chain amino acid-related metabolic signature that differentiates obese and lean humans and contributes to insulin resistance. Cell Metab. 2009 Apr;9(4):311-26.
高脂肪食に分枝鎖アミノ酸を加えた食餌 (HF/BCAA) で飼育したラットは通常食 (SC) と同等の摂餌量と体重であるが、高脂肪食 (HF) のラットと同等のインスリン抵抗性をしめす。
HF/BCAA によるインスリン抵抗性は、筋肉のmTOR、JNK、IRS-1ser307の慢性的リン酸化をともなっており、mTOR inhibitorによりリバースされる。

4. Jang C et al. A branched-chain amino acid metabolite drives vascular fatty acid transport and causes insulin resistance. Nat Med. 2016 Apr;22(4):421-6. doi: 10.1038/nm.4057. Epub 2016 Mar 7.
分枝鎖アミノ酸バリンの中間代謝産物である3-hydroxyisobutyrate (3-HIB)は筋肉から分泌され、内皮細胞の脂肪酸輸送を促進する。

Branched-chain amino acid: valine, leucine, isoleucine
Aromatic amino acid: phenylalanine, tyrosine, tryptophan

クローズドループはsensor-augmented pump therapy (640G)に比べ平均血糖値、血糖変動が少ない。

クローズドループと640Gの比較、12週後クローズドループでA1Cが0.36%低く、ターゲットレンジに入る時間が長い。

まとめ
1型糖尿病86人、MiniMed 640Gを使用し、hybrid closed-loop insulin pomp (クローズドループ) とsensor-augmented pump therapy (コントロール)を12週間で比較した。
ターゲットレンジ(70–180 mg/dL)に入る時間が10.8%クローズドループで長く(クローズドループ65%、コントロール54%)、A1Cが0.36%低い (secondary endpoint)。
クローズドループで、平均血糖値、血糖変動 (glucose variability) が低い。特に夜間に有用である。

総インスリン量、体重変化は有意差なし。
クローズドループでは基礎インスリンが多くボーラスインスリンが少ない。クローズドループで血糖値が良いので補正インスリンが少ないため。
両グループとも重症低血糖は認めない。
クローズドループで、Infusion set failure による糖尿病性ケトアシドーシスを発症した。
640Gには低血糖時注入停止機能 (threshold suspend)があるが、アルゴリズムの有無で比較するため今回はこの機能を使用しなかった。
Free-living settings であり、remote monitoring は行われなかった。

Tauschmann M eat al. Closed-loop insulin delivery in suboptimally controlled type 1 diabetes: a multicentre, 12-week randomised trial Lancet. 2018 Oct 13;392(10155):1321-1329.

SGLT2阻害薬は高血糖による心筋機能障害を改善する

ヒトiPSC由来心筋細胞では、インスリンフリー高グルコース培養によりSGLT1、SGLT2の発現が増加する。brain-type natriuretic peptide (BNP)をコードするNPPBの発現も増加し心筋細胞の収縮力は低下する。エンパグリフロジンはこれらの変化を改善する。

SGLTによるナトリウムの細胞内流入により、sodium-calcium exchanger (NCX)を介して細胞内カルシウム濃度が上昇する。細胞内カルシウム負荷は電気的興奮と収縮、弛緩メカニズムが障害され、電気的不安定性 (electrical instability)となり、カルシウム感受性肥大シグナリング経路が活性化される。

Ng KM et al. Empagliflozin Ammeliorates High Glucose Induced-Cardiac Dysfuntion in Human iPSC-Derived Cardiomyocytes. Sci Rep. 2018 Oct 5;8(1):14872.
わかりやすい図が論文中にあります。

GLP-1受容体とGIP受容体の dual agonistは、dulaglutideよりA1Cと体重を低下させる。(LY3298176 Phase 2 study)

GLP-1受容体とGIP受容体のdual agonist (LY3298176) とdulaglutide で26週間の比較試験、LY3298176でA1C (primary outcome)と体重 (secondary outcome) がより低下する。

LY329817でdulaglutide に比べ体重が減る理由として、GIP-responsive appetite-regulatory neurons や GLP-1受容体作動薬単独では活性化されないニューロンの関与が考えられる。

LY329817はインスリン分泌能の指標であるHOMA-2Bをdulaglutide よりも改善した。
HOMA-2Bの改善には、GLP-1とGIPのsynergistic effect や血糖値の改善によるβ細胞のGIPに対する感度の改善が関与している可能性がある

Efficacy and safety of LY3298176, a novel dual GIP and GLP-1 receptor agonist, in patients with type 2 diabetes: a randomised, placebo-controlled and active comparator-controlled phase 2 trial

Twice the benefits with twincretins?
 

GLP-1作動薬 albiglutideが心血管アウトカムを改善する。(Harmony Outcomes)

週1回注射のGLP-1受容体作動薬Albiglutideで、1.6年のフォローアップ、プライマリーアウトカム (心血管関連死亡、心筋梗塞の発症、脳卒中発症) の有意な低下を認めた(ハザード比0.78)。

心血管関連死亡単独では有意差を認めなかった。心血管関連死が有意な低下を認めたLEADER試験ではフォローアップは3.8年であり、このスタディのフォローアップ期間が短いため心血管関連死亡単独では有意差がつかなかったと考えられる。

GLP-1受容体作動薬の心血管保護作用のメカニズムは不明な点が多い。
2017年、Albiglutideは商業的理由から発売されないことが決定されている。

Hernandez AF et al. Albiglutide and cardiovascular outcomes in patients with type 2 diabetes and cardiovascular disease (Harmony Outcomes): a double-blind, randomised placebo-controlled trial. Lancet. 2018 Oct 1. pii: S0140-6736(18)32261-X. doi: 10.1016/S0140-6736(18)32261-X. [Epub ahead of print]

AMPKはfructose-1,6-bisphosphate (FBP)の減少により活性化される。

グルコース代謝の低下は、ATP:ADP、ATP:AMP を減少させ、AMP-activated protein kinase (AMPK)-Thr172 のリン酸化を促進することが知られている。 

さらにAMPKは、AMP/ADP非依存性経路として、細胞外グルコースと細胞内 fructose-1,6-bisphosphate (FBP) の減少により活性化される。FBPはアルドラーゼにより可逆的にglyceraldehyde-3-phosphate へ変換される。

FBPと結合していないアルドラーゼは、ライソゾーム上で、v-ATPase、regulator、axin、liver kinase B1 (LKB1)、AMP-activated protein kinase (AMPK)複合体形成を促進する。この複合体はAMPKの活性化に必要である。

Zhang CS et al. Fructose-1,6-bisphosphate and aldolase mediate glucose sensing by AMPK. Nature. 2017 Aug 3;548(7665):112-116.

メトフォルミンはミトコンドリアグリセロール3リン酸 デヒドロゲナーゼ(glycerol- 3-phosphate dehydrogenase (GPD2) の機能を抑制し、乳酸とグリセロールからの糖新生を抑制する。

メトフォルミンは、ミトコンドリアComplex I を阻害し、ATP:ADP、ATP:AMP を減少させ、AMP kinase (AMPK)-Thr172 のリン酸化を促進する。AMPKは糖新生を担う酵素の転写を抑制する。

AMPKは、acetyl-CoA carboxylase 1 (ACC1) Ser79 、ACC2 Ser212をリン酸化し、ACC1およびACC2を抑制する。ACC1はacetyl–CoA から脂肪酸合成の前駆物質である malonyl–CoA への変換をおこなう。ACC2はミトコンドリアに存在し、脂肪酸のミトコンドリアへ輸送を阻害する。ミトコンドリアでは脂肪酸のβ酸化がおこる。AMPKの活性化は、ACC1、ACC2の抑制を介して、Malonyl-CoA からの脂肪合成を抑制し、ミトコンドリアでのβ酸化が亢進する。

<メトフォルミンはミトコンドリアのグリセロール3リン酸 デヒドロゲナーゼを抑制し、肝臓の糖新生を低下させる。>
臨床で使われるメトフォルミンの薬剤濃度では、energy charge および AMP濃度の変動がみとめられないとされている。

Madirajuらは、メトフォルミンがミトコンドリアのグリセロール3リン酸 デヒドロゲナーゼ(glycerol- 3-phosphate dehydrogenase (GPD2) ) の機能を抑制することを明らかにした。この酵素は、細胞質とミトコンドリアの間のシャトルのうちのひとつ、α-グリセロールリン酸シャトルで重要な役割を果たしている。α-グリセロールリン酸シャトルとマレイン酸アスパラギン酸シャトルは、還元当量を細胞質からミトコンドリアに転移させ、細胞質の酸化還元バランス(redox balance) を変化させる。

メトフォルミンは、乳酸とグリセロールからの糖新生を抑制するが、ピルビン酸やアラニンの糖産生は抑制しない。ACC1とACC2のノックインマウスの結果から、臨床で使われる濃度で、メトフォルミンによる肝糖産生抑制は、ACCに依存したものではなく、肝臓の糖産生にかかわる酵素活性の減弱によるものでもない。

Madiraju AK et al. Metformin inhibits gluconeogenesis via a redox-dependent mechanism in vivo. Nat Med. 2018 Jul 23. doi: 10.1038/s41591-018-0125-4. [Epub ahead of print]

Madiraju AK et al. Metformin suppresses gluconeogenesis by inhibiting mitochondrial glycerophosphate dehydrogenase. Nature. 2014 Jun 26;510(7506):542-6.

Baur JA, Birnbaum MJ. Control of gluconeogenesis by metformin: does redox trump energy charge? Cell Metab. 2014 Aug 5;20(2):197-9.

Fullerton MD et al. Single phosphorylation sites in Acc1 and Acc2 regulate lipid homeostasis and the insulin-sensitizing effects of metformin Nat Med. 2013 Dec;19(12):1649-54.

Shaw RJ. Metformin trims fats to restore insulin sensitivity Nat Med. 2013 Dec 5;19(12):1570-2.

メトフォルミンは脂質を減らしインスリン感受性を回復させる

メトフォルミンはmGPDを抑制し糖新生低下させる

メトフォルミンはフルクトースビスフォスファターゼ 1 (FBP1)を阻害し糖新生を抑制する。

フルクトースビスフォスファターゼ 1 (FBP1)は、フルクトース-1, 6-ビスリン酸をフルクトース一リン酸とリン酸に可逆的に加水分解する。
            fructose-1,6-bisphosphatase-1 (FBP1)
fructose-1,6-bisphosphate (F-1,6-P2) ←→fructose- 6-phosphate (F6P) + inorganic phosphate (Pi)

FBP1は、AMPが結合するアロステリックサイトをもち、AMPはFBP1を阻害する。
FBP1は糖新生の律速段階となる酵素で、FBP1欠損患者では、糖新生が障害され低血糖と代謝性アシドーシスを呈する。

AMPが結合しないFBP1を発現するマウスでは、AMP 類似物質によるFBP1抑制が認められず、AMP kinase activator である 5-aminoimidazole-4-carboxamide-1-β-D-ribofuranoside (AICAR)やメトフォルミンによる血糖降下作用に耐性となる。

Hunter RW et al. Metformin reduces liver glucose production by inhibition of fructose-1-6-bisphosphatase. Nat Med. 2018 Aug 27.

メトフォルミンはprediabetes でインスリン感受性を改善するが食事不可前後のグルカゴン値を増加させる。

メトフォルミンはprediabetesで、インスリン感受性を改善する。
メトフォルミンにより、食事負荷前後のグルカゴン値は増加する。平均の内因性糖産生(EGP)はグルカゴン値と相関し個人差が大きくメトフォルミンとプラセボで有意差なし。
メトフォルミンは、グルカゴンによるタンパク質異化作用には拮抗している。

まとめ
Prediabetes 9人、メトフォルミン500mg twice daily を7日間服用後、1000mg twice daily で7日間服用する。
メトフォルミン服用により
・HOMA-IR上昇、インスリン:グルカゴンが低下、グルコースクランプSi値は上昇する。
・食事負荷時、ベースラインを基準とした面積 (area above baseline, AAB)は、血糖値とインスリンでプラセボに比べ低下する。食事負荷前と負荷後のグルカゴン値はプラセボに比べ上昇している。AABはプラセボに比べ有意差がない。
・平均の内因性糖産生endogenous glucose production (EGP)は変化しない。EGPはグルカゴン値に相関し個人差が大きい。

グルカゴン注入によるEGPがプラセボに比べメトフォルミンで上昇している。メトフォルミンによりグルカゴン刺激によるEGP上昇の感受性が上昇している。
空腹時血糖値の低下に反応した結果、グルカゴンが上昇しEGPが増加している可能性がある。

内因性タンパク質異化の指標であるleucine carbon flux などはプラセボとメトフォルミンで有意差なし。
メトフォルミンは、グルカゴンによるタンパク異化作用に拮抗している。
高グルカゴン血症がある場合、メトフォルミンによるEGP抑制効果は減弱する。

Konopka, A. R. et al. Hyperglucagonemia mitigates the effect of metformin on glucose production in prediabetes. Cell Rep. 15, 1394–1400 (2016).

炭水化物摂取比率60%以上の食事では死亡率が上昇する。

ARICスタディはアメリカのコミュニティでの結果、PUREスタディはアジアを含む18ヶ国の結果で、アジアでは炭水化物比率が高いため、52%の国で炭水化物比率60%以上となっていた。AIRCスタディの方がフォローアップ期は長い。(ARIC25年、PURE 7.4年)
ARICスタディで、死亡率は炭水化物エネルギー比率に対してU字カープを描く。炭水化物でエネルギーの50-55%を摂取する場合が死亡率が低い。1)
PUREスタディでは、炭水化物約60%以上の食事は総死亡率が高く、脂肪比率が高いほど総死亡率が低い。2)

炭水化物比率増加では、高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症、apolipoprotein B (ApoB)-to- apolipoprotein A1 (ApoA1) の上昇、small dense LDL上昇が認められる。2)

AIRCスタディで炭水化物比率の低い場合でも死亡率の上昇が認められる。
低炭水化物食では、野菜、フルーツ、grains が不足する傾向があり、タンパク質を動物性由来の食品から摂取する傾向がある。
低炭水化物食とバランスの良い食事では、bioactive dietary components (分枝鎖アミノ酸、脂肪酸、食物線維、phytochemicals、haem iron、ビタミン、ミネラルなどの比率が異なる。
長期の低炭水化物食では、植物由来タンパク質が低く動物由来タンパク質、脂肪摂取量が増えるため、炎症経路、生物学的加齢、酸化ストレスを刺激すると想定されている。1)

日本では、総エネルギーに対して炭水化物60%、タンパク質15%、脂肪20%で摂取している。
NIPPON DATA80では、moderate diet で炭水化物が低くタンパク質と脂肪が多い食事は、女性で心血管死亡率、全死亡率と逆相関する。3)

1 Seidelmann SB et al. Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis
Lancet Public Health. 2018 Sep;3(9):e419-e428. doi: 10.1016/S2468-2667(18)30135-X. Epub 2018 Aug 17.
四つのアメリカ合衆国のコミュニティ、45-64歳、15428人、男性で、<600 kcal/day、>4200kcal/day、女性 <600 kcal/day、>3500kcal/dayは除外、25年のフォローアップの結果、炭水化物でエネルギーの50-55%を摂取する場合が死亡率が低い。炭水化物40%未満、70%を超える場合、moderate intake に比べ死亡率が増加する。

2 Dehghan M et al. Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study. Lancet. 2017 Nov 4;390(10107):2050-2062
18カ国、135335人、7.4年のフォローアップ、アジアの国も含まれる。
半分以上の国が総エネルギーに対する炭水化物比率60%以上、1/4の国で70%以上を炭水化物から摂取していた。
炭水化物摂取比率が高い五分の1分画で、一番低い分画より総死亡率が高い。心血管疾患リスク、心血管疾患による死亡には関連しない。
エネルギー摂取に対する脂肪比率が高いほど死亡率が低い。
総脂肪、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸比率は、一番低い5分の1分画に比べ一番高い分画で死亡率が低い。
総脂肪比率、脂肪の種類は、心血管疾患、心筋梗塞、心血管死には関連しない。
飽和脂肪酸摂取量が多いほど脳卒中リスクと逆相関する。

3 Nakamura Y et al. Low-carbohydrate diets and cardiovascular and total mortality in Japanese: a 29-year follow-up of NIPPON DATA80. Br J Nutr. 2014 Sep 28;112(6):916-24
9200人、1980年をベースラインとして29年のフォローアップをおこなった日本のスタディ。

冠動脈CTをstandard care に追加した方が5年後の冠動脈疾患、心筋梗塞での死亡率が低下する。

安定狭心症の診断時に、ストレステストなどのスタンダードケアに加えて冠動脈脈CT検査を行った方が、5年後の冠動脈疾患による死亡、非致死性心筋梗塞の発症率が低い。
5年間の冠動脈造影検査、冠動脈再灌流療法を受ける割合は、両群で同等であった。

通常行われるストレステストの感度は 70-80%とされている。
このスタディでは、stress ECG が主に行なわれ、stress imaging は約10%におこなわれた。

冠動脈脈CT検査群で、スタチン、抗血小板療法、経口亜硝酸薬などの治療が始まる比率が高いため、冠動脈CT群で、冠動脈疾患によると死亡率、非致死性心筋梗塞発症が低いと考えられる。

Coronary CT Angiography and 5-Year Risk of Myocardial Infarction N Engl J Med. 2018 Sep 6;379(10):924-933


Hoffmann U, Udelson JE. Imaging Coronary Anatomy and Reducing Myocardial Infarction N Engl J Med. 2018 Sep 6;379(10):977-978.

ナトリウム摂取量と高血圧、心血管イベント

ナトリウム5g (塩分12.6g) 以上を摂取するコミュニティでは、1日のナトリウム摂取量と収縮期血圧および心血管イベントが関連する。

まとめ
95767人、8.1年のフォローアップしたスタディ、早朝尿サンプルからKawasaki formula により24時間のナトリウムとカリウムの摂取量を推定する。
参加国のうち中国で1日ナトリウム摂取量が5g(塩分12.6g)を超え、それ以外の国で1日ナトリウム摂取量が3-5g(塩分7.6-12.6g)であった。

ナトリウム摂取量が多い三分の一群で、収縮期血圧は、ナトリウム1gあたり2.86 mmHg増加する。
主要心血管イベントと1日ナトリウム摂取量は、ナトリウム摂取が一番多い群(>5.08 g /日) では正の相関となるが有意ではない。ナトリウム摂取が少ない三分の一群(<4.43g/日)で有意な逆相関となり、ナトリウム摂取中間群(4.43-5.08 g/日)で相関がない.

ナトリウム摂取量5g/日を超える中国では、他の国に比べ、ナトリウム摂取量と心血管イベントのより強い相関を認めた。
脳卒中とナトリウム摂取量は、中国では関連するが他の国では関連しない。
心筋梗塞とナトリウム摂取量は、中国で関連しないが他の国では関連する。

カリウム摂取量が多いほど心血管アウトカムは減少する。
カリウム摂取が多いことは、野菜や果物が摂取されて健康的な食事摂取を反映しているかもしれない。

Mente A et al. Urinary sodium excretion, blood pressure, cardiovascular disease, and mortality: a community-level prospective epidemiological cohort study. Lancet. 2018 Aug 11;392(10146):496-506.

Messerli FH, Hofstetter L, Bangalore S. Salt and heart disease: a second round of “bad science"? Lancet. 2018 Aug 11;392(10146):456-458.

禁煙と2型糖尿病発症リスク

三つの医療従事者のコホートを解析した結果、禁煙後、2型糖尿病発症リスクがやや増加し(ハザード比1.22)、禁煙後5-7年ピークとなる。
禁煙後の体重増加が禁煙6年後にピークとなることが糖尿病リスク増加をある程度説明しうる。

体重増加がなければ糖尿病発症リスクは増加しない。
体重増加の有無にかかわらず、禁煙後の心血管死、全死亡は、喫煙者より低くなる

Hu Y et al. Smoking Cessation, Weight Change, Type 2 Diabetes, and Mortality. N Engl J Med. 2018 Aug 16;379(7):623-632.

2型糖尿病と死亡率

 2型糖尿病で、血糖値、血圧、LDLコレステロールのコントロール、禁煙、正常アルブミン尿が達成されれば死亡率増加はない。心不全のリスクは続く。

まとめ
スウェーデンのスタディ、271,174人、5.7年のフォローアップ、5個のリスクファクター(グリコヘモグロビン、LDLコレステロール、尿アルブミン、喫煙、血圧)がターゲットレンジに入っていれば、全死亡、急性心筋梗塞、脳卒中のコントロールに比べリスク増加は認められない。心不全はリスクが増加している。喫煙は死亡について最大のリスク因子である。

ハザード比
全死亡 1.06
心筋梗塞 0.84
脳卒中 0.95
心不全で入院 1.45

ターゲットレンジ
A1C <7.0%
LDL <97mg/dl
血圧 <140/80
正常アルブミン尿
登録時に喫煙していない

Rawshani A et al. Risk Factors, Mortality, and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2018 Aug 16;379(7):633-644.

SGLT2阻害薬はタンパク尿性腎臓病マウスで腎保護作用を示す。

牛血清アルブミンbovine serum albumin (BSA) を23日間注射し、糖尿病のないタンパク尿性腎臓病マウスを作成した。SGLT2阻害薬dapagliflozinは、このマウスのタンパク尿を減少させる。病理所見では、メサンギウム領域の拡大、糸球体毛細血管の拡張、マクロファージの浸潤が改善され、足細胞の傷害や損失の回復が認められる。これらの効果はリシノプリルと同等であった。

足細胞ではSGLT2が発現し、アルブミン負荷で発現が増強される。アルブミン負荷によるSGLT2発現増加は、NF-κBが関与する。SGLT2のプロモーター領域には、NFκ-B のputative consensus region が存在する。

dapagliflozin は、アルブミン負荷により変化した足細胞の細胞骨格、細胞接着因子を再構築する。

Cassis P et al. SGLT2 inhibitor dapagliflozin limits podocyte damage in proteinuric nondiabetic nephropathy. JCI Insight. 2018 Aug 9;3(15). pii: 98720. doi: 10.1172/jci.insight.98720. [Epub ahead of print]
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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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