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GLP-1受容体とGIP受容体の dual agonistは、dulaglutideよりA1Cと体重を低下させる。(LY3298176 Phase 2 study)

GLP-1受容体とGIP受容体のdual agonist (LY3298176) とdulaglutide で26週間の比較試験、LY3298176でA1C (primary outcome)と体重 (secondary outcome) がより低下する。

LY329817でdulaglutide に比べ体重が減る理由として、GIP-responsive appetite-regulatory neurons や GLP-1受容体作動薬単独では活性化されないニューロンの関与が考えられる。

LY329817はインスリン分泌能の指標であるHOMA-2Bをdulaglutide よりも改善した。
HOMA-2Bの改善には、GLP-1とGIPのsynergistic effect や血糖値の改善によるβ細胞のGIPに対する感度の改善が関与している可能性がある

Efficacy and safety of LY3298176, a novel dual GIP and GLP-1 receptor agonist, in patients with type 2 diabetes: a randomised, placebo-controlled and active comparator-controlled phase 2 trial

Twice the benefits with twincretins?
 

GLP-1作動薬 albiglutideが心血管アウトカムを改善する。(Harmony Outcomes)

週1回注射のGLP-1受容体作動薬Albiglutideで、1.6年のフォローアップ、プライマリーアウトカム (心血管関連死亡、心筋梗塞の発症、脳卒中発症) の有意な低下を認めた(ハザード比0.78)。

心血管関連死亡単独では有意差を認めなかった。心血管関連死が有意な低下を認めたLEADER試験ではフォローアップは3.8年であり、このスタディのフォローアップ期間が短いため心血管関連死亡単独では有意差がつかなかったと考えられる。

GLP-1受容体作動薬の心血管保護作用のメカニズムは不明な点が多い。
2017年、Albiglutideは商業的理由から発売されないことが決定されている。

Hernandez AF et al. Albiglutide and cardiovascular outcomes in patients with type 2 diabetes and cardiovascular disease (Harmony Outcomes): a double-blind, randomised placebo-controlled trial. Lancet. 2018 Oct 1. pii: S0140-6736(18)32261-X. doi: 10.1016/S0140-6736(18)32261-X. [Epub ahead of print]

メトフォルミンはフルクトースビスフォスファターゼ 1 (FBP1)を阻害し糖新生を抑制する。

フルクトースビスフォスファターゼ 1 (FBP1)は、フルクトース-1, 6-ビスリン酸をフルクトース一リン酸とリン酸に可逆的に加水分解する。
            fructose-1,6-bisphosphatase-1 (FBP1)
fructose-1,6-bisphosphate (F-1,6-P2) ←→fructose- 6-phosphate (F6P) + inorganic phosphate (Pi)

FBP1は、AMPが結合するアロステリックサイトをもち、AMPはFBP1を阻害する。
FBP1は糖新生の律速段階となる酵素で、FBP1欠損患者では、糖新生が障害され低血糖と代謝性アシドーシスを呈する。

AMPが結合しないFBP1を発現するマウスでは、AMP 類似物質によるFBP1抑制が認められず、AMP kinase activator である 5-aminoimidazole-4-carboxamide-1-β-D-ribofuranoside (AICAR)やメトフォルミンによる血糖降下作用に耐性となる。

Hunter RW et al. Metformin reduces liver glucose production by inhibition of fructose-1-6-bisphosphatase. Nat Med. 2018 Aug 27.

メトフォルミンはprediabetes でインスリン感受性を改善するが食事不可前後のグルカゴン値を増加させる。

メトフォルミンはprediabetesで、インスリン感受性を改善する。
メトフォルミンにより、食事負荷前後のグルカゴン値は増加する。平均の内因性糖産生(EGP)はグルカゴン値と相関し個人差が大きくメトフォルミンとプラセボで有意差なし。
メトフォルミンは、グルカゴンによるタンパク質異化作用には拮抗している。

まとめ
Prediabetes 9人、メトフォルミン500mg twice daily を7日間服用後、1000mg twice daily で7日間服用する。
メトフォルミン服用により
・HOMA-IR上昇、インスリン:グルカゴンが低下、グルコースクランプSi値は上昇する。
・食事負荷時、ベースラインを基準とした面積 (area above baseline, AAB)は、血糖値とインスリンでプラセボに比べ低下する。食事負荷前と負荷後のグルカゴン値はプラセボに比べ上昇している。AABはプラセボに比べ有意差がない。
・平均の内因性糖産生endogenous glucose production (EGP)は変化しない。EGPはグルカゴン値に相関し個人差が大きい。

グルカゴン注入によるEGPがプラセボに比べメトフォルミンで上昇している。メトフォルミンによりグルカゴン刺激によるEGP上昇の感受性が上昇している。
空腹時血糖値の低下に反応した結果、グルカゴンが上昇しEGPが増加している可能性がある。

内因性タンパク質異化の指標であるleucine carbon flux などはプラセボとメトフォルミンで有意差なし。
メトフォルミンは、グルカゴンによるタンパク異化作用に拮抗している。
高グルカゴン血症がある場合、メトフォルミンによるEGP抑制効果は減弱する。

Konopka, A. R. et al. Hyperglucagonemia mitigates the effect of metformin on glucose production in prediabetes. Cell Rep. 15, 1394–1400 (2016).

炭水化物摂取比率60%以上の食事では死亡率が上昇する。

ARICスタディはアメリカのコミュニティでの結果、PUREスタディはアジアを含む18ヶ国の結果で、アジアでは炭水化物比率が高いため、52%の国で炭水化物比率60%以上となっていた。AIRCスタディの方がフォローアップ期は長い。(ARIC25年、PURE 7.4年)
ARICスタディで、死亡率は炭水化物エネルギー比率に対してU字カープを描く。炭水化物でエネルギーの50-55%を摂取する場合が死亡率が低い。1)
PUREスタディでは、炭水化物約60%以上の食事は総死亡率が高く、脂肪比率が高いほど総死亡率が低い。2)

炭水化物比率増加では、高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症、apolipoprotein B (ApoB)-to- apolipoprotein A1 (ApoA1) の上昇、small dense LDL上昇が認められる。2)

AIRCスタディで炭水化物比率の低い場合でも死亡率の上昇が認められる。
低炭水化物食では、野菜、フルーツ、grains が不足する傾向があり、タンパク質を動物性由来の食品から摂取する傾向がある。
低炭水化物食とバランスの良い食事では、bioactive dietary components (分枝鎖アミノ酸、脂肪酸、食物線維、phytochemicals、haem iron、ビタミン、ミネラルなどの比率が異なる。
長期の低炭水化物食では、植物由来タンパク質が低く動物由来タンパク質、脂肪摂取量が増えるため、炎症経路、生物学的加齢、酸化ストレスを刺激すると想定されている。1)

日本では、総エネルギーに対して炭水化物60%、タンパク質15%、脂肪20%で摂取している。
NIPPON DATA80では、moderate diet で炭水化物が低くタンパク質と脂肪が多い食事は、女性で心血管死亡率、全死亡率と逆相関する。3)

1 Seidelmann SB et al. Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis
Lancet Public Health. 2018 Sep;3(9):e419-e428. doi: 10.1016/S2468-2667(18)30135-X. Epub 2018 Aug 17.
四つのアメリカ合衆国のコミュニティ、45-64歳、15428人、男性で、<600 kcal/day、>4200kcal/day、女性 <600 kcal/day、>3500kcal/dayは除外、25年のフォローアップの結果、炭水化物でエネルギーの50-55%を摂取する場合が死亡率が低い。炭水化物40%未満、70%を超える場合、moderate intake に比べ死亡率が増加する。

2 Dehghan M et al. Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study. Lancet. 2017 Nov 4;390(10107):2050-2062
18カ国、135335人、7.4年のフォローアップ、アジアの国も含まれる。
半分以上の国が総エネルギーに対する炭水化物比率60%以上、1/4の国で70%以上を炭水化物から摂取していた。
炭水化物摂取比率が高い五分の1分画で、一番低い分画より総死亡率が高い。心血管疾患リスク、心血管疾患による死亡には関連しない。
エネルギー摂取に対する脂肪比率が高いほど死亡率が低い。
総脂肪、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸比率は、一番低い5分の1分画に比べ一番高い分画で死亡率が低い。
総脂肪比率、脂肪の種類は、心血管疾患、心筋梗塞、心血管死には関連しない。
飽和脂肪酸摂取量が多いほど脳卒中リスクと逆相関する。

3 Nakamura Y et al. Low-carbohydrate diets and cardiovascular and total mortality in Japanese: a 29-year follow-up of NIPPON DATA80. Br J Nutr. 2014 Sep 28;112(6):916-24
9200人、1980年をベースラインとして29年のフォローアップをおこなった日本のスタディ。

冠動脈CTをstandard care に追加した方が5年後の冠動脈疾患、心筋梗塞での死亡率が低下する。

安定狭心症の診断時に、ストレステストなどのスタンダードケアに加えて冠動脈脈CT検査を行った方が、5年後の冠動脈疾患による死亡、非致死性心筋梗塞の発症率が低い。
5年間の冠動脈造影検査、冠動脈再灌流療法を受ける割合は、両群で同等であった。

通常行われるストレステストの感度は 70-80%とされている。
このスタディでは、stress ECG が主に行なわれ、stress imaging は約10%におこなわれた。

冠動脈脈CT検査群で、スタチン、抗血小板療法、経口亜硝酸薬などの治療が始まる比率が高いため、冠動脈CT群で、冠動脈疾患によると死亡率、非致死性心筋梗塞発症が低いと考えられる。

Coronary CT Angiography and 5-Year Risk of Myocardial Infarction N Engl J Med. 2018 Sep 6;379(10):924-933


Hoffmann U, Udelson JE. Imaging Coronary Anatomy and Reducing Myocardial Infarction N Engl J Med. 2018 Sep 6;379(10):977-978.

ナトリウム摂取量と高血圧、心血管イベント

ナトリウム5g (塩分12.6g) 以上を摂取するコミュニティでは、1日のナトリウム摂取量と収縮期血圧および心血管イベントが関連する。

まとめ
95767人、8.1年のフォローアップしたスタディ、早朝尿サンプルからKawasaki formula により24時間のナトリウムとカリウムの摂取量を推定する。
参加国のうち中国で1日ナトリウム摂取量が5g(塩分12.6g)を超え、それ以外の国で1日ナトリウム摂取量が3-5g(塩分7.6-12.6g)であった。

ナトリウム摂取量が多い三分の一群で、収縮期血圧は、ナトリウム1gあたり2.86 mmHg増加する。
主要心血管イベントと1日ナトリウム摂取量は、ナトリウム摂取が一番多い群(>5.08 g /日) では正の相関となるが有意ではない。ナトリウム摂取が少ない三分の一群(<4.43g/日)で有意な逆相関となり、ナトリウム摂取中間群(4.43-5.08 g/日)で相関がない.

ナトリウム摂取量5g/日を超える中国では、他の国に比べ、ナトリウム摂取量と心血管イベントのより強い相関を認めた。
脳卒中とナトリウム摂取量は、中国では関連するが他の国では関連しない。
心筋梗塞とナトリウム摂取量は、中国で関連しないが他の国では関連する。

カリウム摂取量が多いほど心血管アウトカムは減少する。
カリウム摂取が多いことは、野菜や果物が摂取されて健康的な食事摂取を反映しているかもしれない。

Mente A et al. Urinary sodium excretion, blood pressure, cardiovascular disease, and mortality: a community-level prospective epidemiological cohort study. Lancet. 2018 Aug 11;392(10146):496-506.

Messerli FH, Hofstetter L, Bangalore S. Salt and heart disease: a second round of “bad science"? Lancet. 2018 Aug 11;392(10146):456-458.

禁煙と2型糖尿病発症リスク

三つの医療従事者のコホートを解析した結果、禁煙後、2型糖尿病発症リスクがやや増加し(ハザード比1.22)、禁煙後5-7年ピークとなる。
禁煙後の体重増加が禁煙6年後にピークとなることが糖尿病リスク増加をある程度説明しうる。

体重増加がなければ糖尿病発症リスクは増加しない。
体重増加の有無にかかわらず、禁煙後の心血管死、全死亡は、喫煙者より低くなる

Hu Y et al. Smoking Cessation, Weight Change, Type 2 Diabetes, and Mortality. N Engl J Med. 2018 Aug 16;379(7):623-632.

2型糖尿病と死亡率

 2型糖尿病で、血糖値、血圧、LDLコレステロールのコントロール、禁煙、正常アルブミン尿が達成されれば死亡率増加はない。心不全のリスクは続く。

まとめ
スウェーデンのスタディ、271,174人、5.7年のフォローアップ、5個のリスクファクター(グリコヘモグロビン、LDLコレステロール、尿アルブミン、喫煙、血圧)がターゲットレンジに入っていれば、全死亡、急性心筋梗塞、脳卒中のコントロールに比べリスク増加は認められない。心不全はリスクが増加している。喫煙は死亡について最大のリスク因子である。

ハザード比
全死亡 1.06
心筋梗塞 0.84
脳卒中 0.95
心不全で入院 1.45

ターゲットレンジ
A1C <7.0%
LDL <97mg/dl
血圧 <140/80
正常アルブミン尿
登録時に喫煙していない

Rawshani A et al. Risk Factors, Mortality, and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2018 Aug 16;379(7):633-644.

SGLT2阻害薬はタンパク尿性腎臓病マウスで腎保護作用を示す。

牛血清アルブミンbovine serum albumin (BSA) を23日間注射し、糖尿病のないタンパク尿性腎臓病マウスを作成した。SGLT2阻害薬dapagliflozinは、このマウスのタンパク尿を減少させる。病理所見では、メサンギウム領域の拡大、糸球体毛細血管の拡張、マクロファージの浸潤が改善され、足細胞の傷害や損失の回復が認められる。これらの効果はリシノプリルと同等であった。

足細胞ではSGLT2が発現し、アルブミン負荷で発現が増強される。アルブミン負荷によるSGLT2発現増加は、NF-κBが関与する。SGLT2のプロモーター領域には、NFκ-B のputative consensus region が存在する。

dapagliflozin は、アルブミン負荷により変化した足細胞の細胞骨格、細胞接着因子を再構築する。

Cassis P et al. SGLT2 inhibitor dapagliflozin limits podocyte damage in proteinuric nondiabetic nephropathy. JCI Insight. 2018 Aug 9;3(15). pii: 98720. doi: 10.1172/jci.insight.98720. [Epub ahead of print]

2型糖尿病と心不全による入院リスク

スウェーデンのスタディ、55歳未満の2型糖尿病患者の心不全による入院リスクはコントロールに比べ男性でハザード比2.07、女性は4.59、性別によるリスクの差は年齢とともに減少する。
55歳未満で、血糖値が良い場合、心不全による入院リスクはコントロールに比べ2倍程度、血糖コントロール不良の場合、血糖コントロールが良い場合の4-6倍になる。
 
75歳以上で、血糖コントロールが良い (A1C<6.9) あるいは正常アルブミン尿、他にリスクがない2型糖尿病患者で、心不全による入院リスクはコントロールと同等である。

Rosengren A et al. Excess risk of hospitalisation for heart failure among people with type 2 diabetes. Diabetologia. 2018 Aug 9. doi: 10.1007/s00125-018-4700-5. [Epub ahead of print]

SGLT2阻害薬は肝臓のトランスアミナーゼ値を改善する。

・EMPA-REG OUTCOME trialの解析結果で、 EmpagliflozinによりALT優位のトランスアミナーゼの改善が認められる。
ALT値で三分割した最も高い群 (Tertile 3)では、他の群に比べALT値がより低下する。1)

・omega-3 (n-3) carboxylic acids (OM- 3CA)、dapagliflozin、OM-3CAとdapagliflozin 、プラセボの12週間の比較試験で、OM-3CAとdapagliflozin併用により、MRIで測定した肝脂肪量がベースラインに比べ減少した。dapagliflozin 単独では、ALT、AST、γGTP、などhepatocyte injury biomarker とFGF21が低下した。メタアナリシスでOM-3CAは体重減少がなくともNAFLDの肝臓の脂肪量を減少させると報告されている。FGF21高値は、NASHやミトコンドリア機能不全と関連する。2)

1 Sattar N et al. Empagliflozin is associated with improvements in liver enzymes potentially consistent with reductions in liver fat: results from randomised trials including the EMPA-REG OUTCOME® trial. Diabetologia. 2018 Jul 31. doi: 10.1007/s00125-018-4702-3. [Epub ahead of print]

2 Eriksson JW et al. Effects of dapagliflozin and n-3 carboxylic acids on non-alcoholic fatty liver disease in people with type 2 diabetes: a double-blind randomised placebo-controlled study. Diabetologia. 2018 Sep;61(9):1923-1934. doi: 10.1007/s00125-018-4675-2. Epub 2018 Jul 3.

妊娠糖尿病は夏に診断されやすい。

妊娠中の糖負荷試験で、負荷1時間後、2時間後の血糖値が夏期に高い傾向が認められる。
気温に伴い深部体温が高くなるため静脈血の動脈血化がすすみ、静脈血サンプルの血糖値が高くなるためとされている。
妊娠中、皮下脂肪が増加しており、’hyperdynamic circulation’ であることも妊婦が温度変化の影響をうけ易い原因かもしれない。

Moses RG et al. Seasonal Changes in the Prevalence of Gestational Diabetes Mellitus. Diabetes Care. 2016 Jul;39(7):1218-21

Retnakaran R et al. Impact of daily incremental change in environmental temperature on beta cell function and the risk of gestational diabetes in pregnant women. Diabetologia. 2018 Aug 15. doi: 10.1007/s00125-018-4710-3. [Epub ahead of print]
トロントでのスタディ、2月から7月の期間、糖負荷試験から3〜4週間前の気温の変化が妊娠糖尿病リスクと関連する。

インスリンペプチドは膵外のリンパ組織でもCD4+ T cell に認識されている。

NODマウスの antigen presenting cell (APC) では、MHC class II molecule であるI-Ag7が、インスリン B鎖12-20アミノ酸のペプチド (B:12-20) をCD4+ T cell に提示する。その結果、CD4+ T cell が活性化される。これらの細胞により、ほかのβ細胞のペプチドを認識するCD8+ T cell の活性化が開始される。活性化CD8+ T cell は、β細胞を傷害する。MHC class II molecule-DQ8は1型糖尿病リスクと関連し、I-Ag7と同様の結合特異性をもつ。
live imaging により、CD4+ T cellが (B:12-20)を、膵臓のリンパ組織だけでなく全身のリンパ組織でも認識していることが示された。

分泌されなかったインスリン顆粒はLysosome に取り込まれる。インスリン顆粒と融合したLysosome をcrinosome と呼び、crinosomeの中でインスリンはペプチドに分解される。Wanらは、インスリン顆粒でなくcrinosome の中に1型糖尿病の原因となるインスリンペプチドが十分な量で存在することをあきらかにした。

インスリンペプチドの静脈内投与は、APCを速やかにリンパ節へ移動させる。
糖負荷試験により、インスリンの fragment はβ細胞から体循環に放出される。その結果、全身のリンパ組織でCD4+ T cell が活性化される。

Peptide secretion triggers diabetes
https://www.nature.com/articles/d41586-018-05710-z?utm_source=twt_na&utm_medium=social&utm_campaign=NNPnature

Wan X et al. Pancreatic islets communicate with lymphoid tissues via exocytosis of insulin peptides. Nature. 2018 Jul 18. doi: 10.1038/s41586-018-0341-6. [Epub ahead of print]

Creusot RJ, Postigo-Fernandez J, Teteloshvili N. Altered Function of Antigen-Presenting Cells in Type 1 Diabetes: A Challenge for Antigen-Specific Immunotherapy? Diabetes. 2018 Aug;67(8):1481-1494. doi: 10.2337/db17-1564.
Antigen presenting cells (APC)は、Dendritic cell subsets、Macrophages、B cells、Lymph node stromal cells、Liver sinusoidal cells などから生じる。

DiMeglio LA et al. Type 1 diabetes. Lancet 2018; 391: 2449–62

長時間作用型GLP-1受容体作動薬はドーパミン作動性ニューロンの脱落を抑制する

長時間作用型GLP-1受容体作動薬は、パーキンソン病モデル動物でドーパミン作動性ニューロンの脱落を抑制しパーキンソン病の症状を改善した。

PT302
長時間作用型Exendin-4であるPT302をパーキンソン病モデルラットに2週間1回投与し47日後、血中Exendin-4濃度と、tyrosine hydroxylase immunoreactivity (TH-IR)を定量した。
血中Exendin-4 濃度依存性に、黒質 (substantia nigra) と線条体 (striatum)で、TH-IRが増加した。PTP302により、パーキンソン病の症状を評価するmethamphetamine–induced rotation を改善した。

神経系のGLP-1受容体の活性化により、細胞内cAMPが増加し、protein kinase A、PI3Kが活性化され、その下流であるMAPK/ERK pathway、 PI3K-Akt pathwayが活性化される。これの経路はcell survival を増強し、カルシウムチャネルの刺激、蛋白合成、細胞増殖、ミトコンドリア生合成の増強、アポトーシス抑制などにより神経保護作用を示す。1)

NLY01
ペグ化された長時間作用型GLP-1受容体作動薬 NLY01は、線条体にα-synuclein (α-syn) fibrils を投与したマウスで 5カ月間、週2回注射により、ドーパミン作動性ニューロンの脱落とbehavioral deficit を改善した。NLY01は、α-synuclein の病態モデルマウスで、寿命を延長し、α-synの蓄積を抑制した。

NLY01は、α-syn fibrils 存在下の microgliaで、NFκBの活性化を抑制し、IL-1α、TNF-α、C1qの放出を低下させる。その結果、astrocyteからNeurotoxicity を示すA1 astrocyteへの転換が抑制される。A1 astrocyte への転換抑制は、ドーパミン作動性ニューロンでα-synの蓄積を軽減しニューロンを生存させる。

培養細胞の結果では、NLY01によるドーパミン作動性ニューロンへの直接作用は認められない。NLY01は、ニューロンへの作用とは独立して、microgliaへ作用している。
GLP-1受容体はmicroglia に豊富に発現するが、ニューロンやastrocyte での発現は少ない。2, 3)

PT302で、Exendin-4の髄液濃度は血中濃度の1%であった。
Byduryon を投与されたパーキンソン病患者では、血中濃度の2%髄液濃度であった。4)
Exendin-4の半減期は2.4hrで充分な髄液中濃度が得られない。PT302、NLY01のような長時間作用型製剤が、神経変性疾患の治療に望ましい効果を発揮する。1)

1) Chen S et al. Post-treatment with PT302, a long-acting Exendin-4 sustained release formulation, reduces dopaminergic neurodegeneration in a 6-Hydroxydopamine rat model of Parkinson’s disease. Sci Rep. 2018 Jul 16;8(1):10722.

2) Yun SP et al. Block of A1 astrocyte conversion by microglia is neuroprotective in models of Parkinson’s disease. Nat Med. 2018 Jul;24(7):931-938. doi: 10.1038/s41591-018-0051-5. Epub 2018 Jun 11.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29892066
https://www.nature.com/articles/s41591-018-0051-5

3) Brundin L, Bergkvist L, Brundin P. Fire prevention in the Parkinson’s disease brain .Nat Med. 2018 Jul;24(7):900-902. doi: 10.1038/s41591-018-0109-4.


4) Athauda D et al. Exenatide once weekly versus placebo in Parkinson's disease: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet. 2017 Aug 3. pii: S0140-6736(17)31585-4.

カルシウム拮抗薬が発症初期の1型糖尿病のβ細胞を保護する。

カルシウム拮抗薬は、β細胞のアポトーシスの原因となるthioredoxin-interacting protein (TXNIP)の発現を抑制する。
発症3ヶ月以内の1型糖尿病患者で1年間のverapamil服用はプラセボに比へインスリン分泌低下を抑制した。

まとめ
高血糖下のβ細胞ではthioredoxin-interacting protein (TXNIP)が増加する。
TXNIPは、thioredoxinと結合し、細胞内の酸化ストレスを促進する。
TXNIPの過剰発現は、β細胞のアポトーシスを誘導する。
カルシウム拮抗薬(verapamil、diltiazem)が心筋細胞、膵β細胞株、膵島でTXNIPの発現とアポトーシスを抑制する。

発症3カ月以内の1型糖尿病、18-44歳、食事負荷テストで、C-peptide >_0.2 ng/L、少なくとも一つ以上1型糖尿病関連自己抗体陽性、徐放型Verapamil 1日1回あるいはプラセボを1年間投与した。(11人verapamil、13人プラセボ)
verapamil群で、3ヶ月、12ヶ月で食事負荷後の C-peptide area under curveが広く、インスリン必要量と低血糖頻度が少ない。

Ovalle F et al. Verapamil and beta cell function in adults with recent-onset type 1 diabetes Nat Med. 2018 Jul 9. doi: 10.1038/s41591-018-0089-4. [Epub ahead of print]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29988125/
https://www.nature.com/articles/s41591-018-0089-4

Chen J, Saxena G, Mungrue IN, Lusis AJ, Shalev A. Thioredoxin-interacting protein: a critical link between glucose toxicity and beta-cell apoptosis. Diabetes 2008;57:938–944

Xu G, Chen J, Jing G, Shalev A. Preventing beta-cell loss and diabetes with calcium channel blockers. Diabetes. 2012 Apr;61(4):848-56. doi: 10.2337/db11-0955.

Zhou R, Tardivel A, Thorens B, Choi I, Tschopp J. Thioredoxin-interacting protein links oxidative stress to inflammasome activation. Nat Immunol 2010;11:136–140
 

選択性が低いDPP4阻害薬は、尋常性天疱瘡 Bullous Pemphigoid の発症リスクが上昇する。

 日本のデータベース解析で、Vildagliptin、teneligliptin、linagliptin は、他のDPP4阻害薬に比べ尋常性天疱瘡のハザード比が高かった。この3剤はDPP4を基質とする選択性がやや低い。

DPP-8、DPP-9の阻害は皮膚で免疫反応を生じる可能性がある。
選択性が低いDPP4阻害薬は、尋常性天疱瘡 Bullous Pemphigoid の発症リスクか高くなる。

Arai M et al. Bullous Pemphigoid and Dipeptidyl Peptidase 4 Inhibitors: A Disproportionality Analysis Based on the Japanese Adverse Drug Event Report Database Diabetes Care. 2018 Jul 12. pii: dc180210. doi: 10.2337/dc18-0210. [Epub ahead of print]

リラグルチドはSGLT2阻害薬の内因性糖産生EGPに影響しない。

カナグリフロジンとリラグルチドとの併用は、カナグリフロジン単独に比べグルカゴン上昇を阻害するが内因性糖産生EGPは維持された。膵ホルモン以外のファクターが、SGLT2阻害薬による尿糖増加に反応した内因性糖産生上昇を調節している。Martinez らは、Renal-hepatic axis として’neurologic pathway’ あるいは ’circulating hormonal factor’ をあげている。

まとめ
2型糖尿病患者(ドラックナイーブ、メトフォルミン、メトフォルミンとスルフォニルウレア服用)で、カナグリフロジン(CANA)、リラグルチド(LIRA)、カナグリフロジンとリラグルチド(CANA/LIRA) を投与後、6時間にわたり内因性糖産生EGPを測定した。

EGPは薬剤なし(コントロール)で徐々に低下する。
CANA とCANA/LIRAで、EGPの低下がコントロールに比べ少ない。
LIRAでは、コントロールと同様にEGPが低下する。

グルカゴン値は、コントロールでは6時間で変化しないが、CANAで増加、LIRAで低下、CANA/LIRAでは変化しない。
インスリン値はCANAで低下、LIRA、CANA/LIRAでは変化しない。

LIRAはCANA服用によるインスリン値の低下を抑制し、グルカゴンの増加を阻害するがEGPの増加に影響しなかった。

尿糖増加に反応した急性期の内因性糖産生上昇は、インスリン、グルカゴン以外のneuro-hormonal mechanismの関与が推測される。

Martinez R et al. Endogenous Glucose Production and Hormonal Changes in Response to Canagliflozin and Liraglutide Combination Therapy. Diabetes. 2018 Jun;67(6):1182-1189.

2型糖尿病に対するclosed-loop

入院中の2型糖尿病患者で、closed-loopとインスリン皮下注射をランダム化し15日までの結果で比較、closed-loopでは、インスリン使用量は有意差ないが、血糖値100から180 mg/dl の target range に入る時間が長い。(65.8±16.8% vs. 41.5±16.9%)
平均血糖値は、closed-loop 154 mg/dl、コントロール 188 mg/dlとなった。

両グループとも、持続血糖値モニター (CGM) を装着し、CGMの低血糖アラームは63mg/dlに設定した。コントロールで、患者やスタッフにCGMデーターは隠されている。

closed-loop では、コントロールアルゴリズムを搭載したタブレットが、USBケーブルでCGMレシーバと結ばれている。
タブレットとインスリンポンプは Bluetooth で交信する。
食事に対するボーラスインスリンはおこなわず、インスリン注入は完全に自動化 (fully automated)されている。

Bally L et al. Closed-Loop Insulin Delivery for Glycemic Control in Noncritical Care. N Engl J Med. 2018 Jun 25. doi: 10.1056/NEJMoa1805233. [Epub ahead of print]

Thabit H et al. Closed-loop insulin delivery in inpatients with type 2 diabetes: a randomised, parallel-group trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 Feb;5(2):117-124.
ポンプとタブレットの交信不良(disconnection) による高ケトン血症を予防するため、このステディの closed-loop では、それまで使用していたグラルギンの20%量を併用している。
血糖値100から180 mg/dl の target range に入る時間は closed-loopの方が長い。
(59·8% (SD 18·7) vs. コントロール 38·1% (16·7))

DPP4阻害薬は腸管の自然免疫 (innate immunity)と腸内細菌を調整する。

DPP4阻害薬は腸管でインクレチンを回復させるだけでなく、自然免疫の調節 (innate immunity)や腸内細菌の変化を起こしている。

可溶性 DPP-4 が、Toll-like receptors (TLRs)の発現を増加させ、 NFκB シグナリングを活性化する。
ビルダグリプチンは、マクロファージで、可溶性DPP-4やLipopolysaccharide によるサイトカイン産生、TLR-2とTRL-4の発現増加を減少させる。

ビルダグリプチンをwestern diet のマウスへ投与した結果、腸管、門脈、便中のDPP-4活性が低下した。便の重量は増加、便中のTLR-2とTRL-4のリガンドが低下した。回腸のcrypt depth と antimicrobial peptides (AMPs) が増加した。
腸内細菌では、Oscillibacter spp. が減少 Lactobacillus spp. が増加、便中のプロピオン酸 propionate が増加した。
肝臓では、proinflammatory cytokine の遺伝子発現を低下した。

DPP-4阻害によりGLP-2の分解が抑制される。Olivaresらは、crypt cell の増殖やAMPの回復にGLP-2が関与する可能性を指摘している。

Olivares M et al. The DPP-4 inhibitor vildagliptin impacts the gut microbiota and prevents disruption of intestinal homeostasis induced by a Western diet in mice. Diabetologia. 2018 May 25. doi: 10.1007/s00125-018-4647-6. [Epub ahead of print]
プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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