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インスリンペプチドは膵外のリンパ組織でもCD4+ T cell に認識されている。

NODマウスの antigen presenting cell (APC) では、MHC class II molecule であるI-Ag7が、インスリン B鎖12-20アミノ酸のペプチド (B:12-20) をCD4+ T cell に提示する。その結果、CD4+ T cell が活性化される。これらの細胞により、ほかのβ細胞のペプチドを認識するCD8+ T cell の活性化が開始される。活性化CD8+ T cell は、β細胞を傷害する。MHC class II molecule-DQ8は1型糖尿病リスクと関連し、I-Ag7と同様の結合特異性をもつ。
live imaging により、CD4+ T cellが (B:12-20)を、膵臓のリンパ組織だけでなく全身のリンパ組織でも認識していることが示された。

分泌されなかったインスリン顆粒はLysosome に取り込まれる。インスリン顆粒と融合したLysosome をcrinosome と呼び、crinosomeの中でインスリンはペプチドに分解される。Wanらは、インスリン顆粒でなくcrinosome の中に1型糖尿病の原因となるインスリンペプチドが十分な量で存在することをあきらかにした。

インスリンペプチドの静脈内投与は、APCを速やかにリンパ節へ移動させる。
糖負荷試験により、インスリンの fragment はβ細胞から体循環に放出される。その結果、全身のリンパ組織でCD4+ T cell が活性化される。

Peptide secretion triggers diabetes
https://www.nature.com/articles/d41586-018-05710-z?utm_source=twt_na&utm_medium=social&utm_campaign=NNPnature

Wan X et al. Pancreatic islets communicate with lymphoid tissues via exocytosis of insulin peptides. Nature. 2018 Jul 18. doi: 10.1038/s41586-018-0341-6. [Epub ahead of print]

Creusot RJ, Postigo-Fernandez J, Teteloshvili N. Altered Function of Antigen-Presenting Cells in Type 1 Diabetes: A Challenge for Antigen-Specific Immunotherapy? Diabetes. 2018 Aug;67(8):1481-1494. doi: 10.2337/db17-1564.
Antigen presenting cells (APC)は、Dendritic cell subsets、Macrophages、B cells、Lymph node stromal cells、Liver sinusoidal cells などから生じる。

DiMeglio LA et al. Type 1 diabetes. Lancet 2018; 391: 2449–62

長時間作用型GLP-1受容体作動薬はドーパミン作動性ニューロンの脱落を抑制する

長時間作用型GLP-1受容体作動薬は、パーキンソン病モデル動物でドーパミン作動性ニューロンの脱落を抑制しパーキンソン病の症状を改善した。

PT302
長時間作用型Exendin-4であるPT302をパーキンソン病モデルラットに2週間1回投与し47日後、血中Exendin-4濃度と、tyrosine hydroxylase immunoreactivity (TH-IR)を定量した。
血中Exendin-4 濃度依存性に、黒質 (substantia nigra) と線条体 (striatum)で、TH-IRが増加した。PTP302により、パーキンソン病の症状を評価するmethamphetamine–induced rotation を改善した。

神経系のGLP-1受容体の活性化により、細胞内cAMPが増加し、protein kinase A、PI3Kが活性化され、その下流であるMAPK/ERK pathway、 PI3K-Akt pathwayが活性化される。これの経路はcell survival を増強し、カルシウムチャネルの刺激、蛋白合成、細胞増殖、ミトコンドリア生合成の増強、アポトーシス抑制などにより神経保護作用を示す。1)

NLY01
ペグ化された長時間作用型GLP-1受容体作動薬 NLY01は、線条体にα-synuclein (α-syn) fibrils を投与したマウスで 5カ月間、週2回注射により、ドーパミン作動性ニューロンの脱落とbehavioral deficit を改善した。NLY01は、α-synuclein の病態モデルマウスで、寿命を延長し、α-synの蓄積を抑制した。

NLY01は、α-syn fibrils 存在下の microgliaで、NFκBの活性化を抑制し、IL-1α、TNF-α、C1qの放出を低下させる。その結果、astrocyteからNeurotoxicity を示すA1 astrocyteへの転換が抑制される。A1 astrocyte への転換抑制は、ドーパミン作動性ニューロンでα-synの蓄積を軽減しニューロンを生存させる。

培養細胞の結果では、NLY01によるドーパミン作動性ニューロンへの直接作用は認められない。NLY01は、ニューロンへの作用とは独立して、microgliaへ作用している。
GLP-1受容体はmicroglia に豊富に発現するが、ニューロンやastrocyte での発現は少ない。2, 3)

PT302で、Exendin-4の髄液濃度は血中濃度の1%であった。
Byduryon を投与されたパーキンソン病患者では、血中濃度の2%髄液濃度であった。4)
Exendin-4の半減期は2.4hrで充分な髄液中濃度が得られない。PT302、NLY01のような長時間作用型製剤が、神経変性疾患の治療に望ましい効果を発揮する。1)

1) Chen S et al. Post-treatment with PT302, a long-acting Exendin-4 sustained release formulation, reduces dopaminergic neurodegeneration in a 6-Hydroxydopamine rat model of Parkinson’s disease. Sci Rep. 2018 Jul 16;8(1):10722.

2) Yun SP et al. Block of A1 astrocyte conversion by microglia is neuroprotective in models of Parkinson’s disease. Nat Med. 2018 Jul;24(7):931-938. doi: 10.1038/s41591-018-0051-5. Epub 2018 Jun 11.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29892066
https://www.nature.com/articles/s41591-018-0051-5

3) Brundin L, Bergkvist L, Brundin P. Fire prevention in the Parkinson’s disease brain .Nat Med. 2018 Jul;24(7):900-902. doi: 10.1038/s41591-018-0109-4.


4) Athauda D et al. Exenatide once weekly versus placebo in Parkinson's disease: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet. 2017 Aug 3. pii: S0140-6736(17)31585-4.

カルシウム拮抗薬が発症初期の1型糖尿病のβ細胞を保護する。

カルシウム拮抗薬は、β細胞のアポトーシスの原因となるthioredoxin-interacting protein (TXNIP)の発現を抑制する。
発症3ヶ月以内の1型糖尿病患者で1年間のverapamil服用はプラセボに比へインスリン分泌低下を抑制した。

まとめ
高血糖下のβ細胞ではthioredoxin-interacting protein (TXNIP)が増加する。
TXNIPは、thioredoxinと結合し、細胞内の酸化ストレスを促進する。
TXNIPの過剰発現は、β細胞のアポトーシスを誘導する。
カルシウム拮抗薬(verapamil、diltiazem)が心筋細胞、膵β細胞株、膵島でTXNIPの発現とアポトーシスを抑制する。

発症3カ月以内の1型糖尿病、18-44歳、食事負荷テストで、C-peptide >_0.2 ng/L、少なくとも一つ以上1型糖尿病関連自己抗体陽性、徐放型Verapamil 1日1回あるいはプラセボを1年間投与した。(11人verapamil、13人プラセボ)
verapamil群で、3ヶ月、12ヶ月で食事負荷後の C-peptide area under curveが広く、インスリン必要量と低血糖頻度が少ない。

Ovalle F et al. Verapamil and beta cell function in adults with recent-onset type 1 diabetes Nat Med. 2018 Jul 9. doi: 10.1038/s41591-018-0089-4. [Epub ahead of print]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29988125/
https://www.nature.com/articles/s41591-018-0089-4

Chen J, Saxena G, Mungrue IN, Lusis AJ, Shalev A. Thioredoxin-interacting protein: a critical link between glucose toxicity and beta-cell apoptosis. Diabetes 2008;57:938–944

Xu G, Chen J, Jing G, Shalev A. Preventing beta-cell loss and diabetes with calcium channel blockers. Diabetes. 2012 Apr;61(4):848-56. doi: 10.2337/db11-0955.

Zhou R, Tardivel A, Thorens B, Choi I, Tschopp J. Thioredoxin-interacting protein links oxidative stress to inflammasome activation. Nat Immunol 2010;11:136–140
 

選択性が低いDPP4阻害薬は、尋常性天疱瘡 Bullous Pemphigoid の発症リスクが上昇する。

 日本のデータベース解析で、Vildagliptin、teneligliptin、linagliptin は、他のDPP4阻害薬に比べ尋常性天疱瘡のハザード比が高かった。この3剤はDPP4を基質とする選択性がやや低い。

DPP-8、DPP-9の阻害は皮膚で免疫反応を生じる可能性がある。
選択性が低いDPP4阻害薬は、尋常性天疱瘡 Bullous Pemphigoid の発症リスクか高くなる。

Arai M et al. Bullous Pemphigoid and Dipeptidyl Peptidase 4 Inhibitors: A Disproportionality Analysis Based on the Japanese Adverse Drug Event Report Database Diabetes Care. 2018 Jul 12. pii: dc180210. doi: 10.2337/dc18-0210. [Epub ahead of print]

リラグルチドはSGLT2阻害薬の内因性糖産生EGPに影響しない。

カナグリフロジンとリラグルチドとの併用は、カナグリフロジン単独に比べグルカゴン上昇を阻害するが内因性糖産生EGPは維持された。膵ホルモン以外のファクターが、SGLT2阻害薬による尿糖増加に反応した内因性糖産生上昇を調節している。Martinez らは、Renal-hepatic axis として’neurologic pathway’ あるいは ’circulating hormonal factor’ をあげている。

まとめ
2型糖尿病患者(ドラックナイーブ、メトフォルミン、メトフォルミンとスルフォニルウレア服用)で、カナグリフロジン(CANA)、リラグルチド(LIRA)、カナグリフロジンとリラグルチド(CANA/LIRA) を投与後、6時間にわたり内因性糖産生EGPを測定した。

EGPは薬剤なし(コントロール)で徐々に低下する。
CANA とCANA/LIRAで、EGPの低下がコントロールに比べ少ない。
LIRAでは、コントロールと同様にEGPが低下する。

グルカゴン値は、コントロールでは6時間で変化しないが、CANAで増加、LIRAで低下、CANA/LIRAでは変化しない。
インスリン値はCANAで低下、LIRA、CANA/LIRAでは変化しない。

LIRAはCANA服用によるインスリン値の低下を抑制し、グルカゴンの増加を阻害するがEGPの増加に影響しなかった。

尿糖増加に反応した急性期の内因性糖産生上昇は、インスリン、グルカゴン以外のneuro-hormonal mechanismの関与が推測される。

Martinez R et al. Endogenous Glucose Production and Hormonal Changes in Response to Canagliflozin and Liraglutide Combination Therapy. Diabetes. 2018 Jun;67(6):1182-1189.

2型糖尿病に対するclosed-loop

入院中の2型糖尿病患者で、closed-loopとインスリン皮下注射をランダム化し15日までの結果で比較、closed-loopでは、インスリン使用量は有意差ないが、血糖値100から180 mg/dl の target range に入る時間が長い。(65.8±16.8% vs. 41.5±16.9%)
平均血糖値は、closed-loop 154 mg/dl、コントロール 188 mg/dlとなった。

両グループとも、持続血糖値モニター (CGM) を装着し、CGMの低血糖アラームは63mg/dlに設定した。コントロールで、患者やスタッフにCGMデーターは隠されている。

closed-loop では、コントロールアルゴリズムを搭載したタブレットが、USBケーブルでCGMレシーバと結ばれている。
タブレットとインスリンポンプは Bluetooth で交信する。
食事に対するボーラスインスリンはおこなわず、インスリン注入は完全に自動化 (fully automated)されている。

Bally L et al. Closed-Loop Insulin Delivery for Glycemic Control in Noncritical Care. N Engl J Med. 2018 Jun 25. doi: 10.1056/NEJMoa1805233. [Epub ahead of print]

Thabit H et al. Closed-loop insulin delivery in inpatients with type 2 diabetes: a randomised, parallel-group trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 Feb;5(2):117-124.
ポンプとタブレットの交信不良(disconnection) による高ケトン血症を予防するため、このステディの closed-loop では、それまで使用していたグラルギンの20%量を併用している。
血糖値100から180 mg/dl の target range に入る時間は closed-loopの方が長い。
(59·8% (SD 18·7) vs. コントロール 38·1% (16·7))

DPP4阻害薬は腸管の自然免疫 (innate immunity)と腸内細菌を調整する。

DPP4阻害薬は腸管でインクレチンを回復させるだけでなく、自然免疫の調節 (innate immunity)や腸内細菌の変化を起こしている。

可溶性 DPP-4 が、Toll-like receptors (TLRs)の発現を増加させ、 NFκB シグナリングを活性化する。
ビルダグリプチンは、マクロファージで、可溶性DPP-4やLipopolysaccharide によるサイトカイン産生、TLR-2とTRL-4の発現増加を減少させる。

ビルダグリプチンをwestern diet のマウスへ投与した結果、腸管、門脈、便中のDPP-4活性が低下した。便の重量は増加、便中のTLR-2とTRL-4のリガンドが低下した。回腸のcrypt depth と antimicrobial peptides (AMPs) が増加した。
腸内細菌では、Oscillibacter spp. が減少 Lactobacillus spp. が増加、便中のプロピオン酸 propionate が増加した。
肝臓では、proinflammatory cytokine の遺伝子発現を低下した。

DPP-4阻害によりGLP-2の分解が抑制される。Olivaresらは、crypt cell の増殖やAMPの回復にGLP-2が関与する可能性を指摘している。

Olivares M et al. The DPP-4 inhibitor vildagliptin impacts the gut microbiota and prevents disruption of intestinal homeostasis induced by a Western diet in mice. Diabetologia. 2018 May 25. doi: 10.1007/s00125-018-4647-6. [Epub ahead of print]

小児糖尿病性ケトアシドーシスの治療

小児の糖尿病性ケトアシドーシスで、0.9% あるいは0.45%生理食塩水のどちらを使っても、2種類の輸液速度 (fast あるいはslow)に関わらず意識レベルの低下や、ケトアシドーシス治療中の脳損傷や短期記憶障害、ケトアシドーシスから回復後の記憶、IQに影響しなかった。

脳浮腫は、浸透圧より低酸素やperfusionとreperfusion により生じる血管内皮細胞の浸出液による。
脳機能の障害はアシドーシスやPCO2の低下と関連している。

Kuppermann N et al. Clinical Trial of Fluid Infusion Rates for Pediatric Diabetic Ketoacidosis. N Engl J Med. 2018 Jun 14;378(24):2275-2287

GLP-1作動薬の腎保護作用 AWARD7

糖尿病腎症ステージ3から4の患者で、デュラグルチドDulaglutide (1.5 mg/week、0.75 mg /week) とインスリングラルギン52週の比較試験の結果、デュラグルチド群では、インスリングラルギンに比べeGFRの低下が抑制される。

デュラグルチドは、顕性アルブミン尿(尿アルブミンクレアチニン比 >300 mg/g )の患者でインスリングラルギンに比べ、eGFRの低下を抑制する。
顕性アルブミン尿がない患者では、eGFRの低下は少なく、デュラグルチドとインスリングラルギンで eGFRは有意差なし。

デュラグルチドは 顕性アルブミン尿を改善し、その効果はデュラグルチド0.75mg に比べデュラグルチド1.5 mgでさらに強い。

SGLT2阻害薬の腎保護作用は糸球体過剰濾過の減少と尿細管糸球体フィードバックの回復による。
GLP-1受容体作動薬による腎保護のメカニズムは明らかでない点が多い。
糸球体、尿細管、腎血管内皮細胞にGLP-1受容体が発現している
抗炎症作用、酸化ストレスの改善、血管内皮保護によりGLP-1受容体作動薬による腎保護を示すと考えられている。

SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬は共に近位尿細管のNa+/H+ exchanger isoform 3の活性化を低下させ、NaHCO3の輸送を抑制する。

Dulaglutide versus insulin glargine in patients with type 2 diabetes and moderate-to-severe chronic kidney disease (AWARD-7): a multicentre, open-label, randomised trial

Farah LX, Valentini V, Pessoa TD, Malnic G, McDonough AA, Girardi ACC. The physiological role of glucagon-like peptide-1 in the regulation of renal function. Am J Physiol Renal Physiol 2016; 310: F123–27.
近位尿細管のNa+/H+ exchanger isotope 3 (NHE3)はNaHCO3の輸送を担う。PKAは、NHE3 serine 552をリン酸化し、NaHCO3の輸送を抑制する。ラットでGLP-1受容体拮抗薬 exendin-9 の投与は、尿中cAMPの減少、腎皮質のPKA活性が低下し、糸球体濾過率やナトリウム排泄が減少する
GLP-1は、PKAを介してNHE3を抑制しナトリウム利尿を促進する。

Pessoa TD, Campos LC, Carraro-Lacroix L, Girardi AC, Malnic G. Functional role of glucose metabolism, osmotic stress, and sodium- glucose cotransporter isoform-mediated transport on Na+/H+ exchanger isoform 3 activity in the renal proximal tubule. Am Soc Nephrol. 2014 Sep;25(9):2028-39.

G-protein coupling receptor のシグナリングを抑制するβ-arrestin は、ERK1/2をリン酸化する。

GLP-1受容体の活性化により、cAMP形成、カルシウム動員、β-arrestin のリクルートメントがみとめられる。
β-arrestinはGLP-1受容体を不活化する (desensitization) だけでなく、extracellular-signal regulated kinases 1/2 (ERK1/2) のリン酸化を促進する。

oxyntomodulinはGLP-1受容体に結合するが、cAMP形成、カルシウム動員よりもERK1/2への作用が強い。

Drucker DJ. Mechanisms of Action and Therapeutic Application of Glucagon-like Peptide-1. Cell Metab. 2018 Apr 3;27(4):740-756.

Wootten D et al. The Extracellular Surface of the GLP-1 Receptor Is a Molecular Trigger for Biased Agonism. Cell. 2016 Jun 16;165(7):1632-1643.
G proteinと
ERK1/2経路の図があります。

Shenoy SK et al. beta-arrestin-dependent, G protein-independent ERK1/2 activation by the beta2 adrenergic receptor. J Biol Chem. 2006 Jan 13;281(2):1261-73.
siRNAによるβ-arrestinの抑制は、ERK1/2のリン酸化を低下させる。

 

1型糖尿病のneoepitope とautoreactive T cell

学術講演会の1型糖尿病のシンポジウムでは、Roep先生が、neoepitope の講演をされていた。neoepitopeはタンパク質翻訳後、スプライシングの異常やタンパク質の修飾により生じる

まとめ
1型糖尿病の自己抗原 1)
<膵島に存在する分子 naive autoantigen>
・insulin (NOD マウスでは B:9-23)
・proinsulin
・islet-specific glucose-6-phosphatase catalytic subunit–related protein (IGRP)
・Zinc transporter 8 (ZnT8)
・islet-amyloid polypeptide (IAPP)
・GAD65
・tyrosine phosphatase–like insulinoma- associated antigen 2 (IA-2)

<Neoepitope (アミノ酸への翻訳以後の修飾 post translational modification) 1)
・insulin A chain epitope
・defective ribosomal insulin gene product (DRiP) 
インスリンの翻訳開始部位の変異により生じる。thapsigarginは、ER内部のカルシウムを低下させERストレスを誘発する。DRiPは、thapsigargin による実験的なER ストレスで増加する。古典的なER stress では、misfolded proteins が増加する。
2)
・Tissue transglutaminase (tTG) substrate 
グルテンを脱アミド化した生成物が1型糖尿病感受性 HLA-DQ8cis/trans molecule と結合してautoantigen となる。
4)
・InsB30-C13
脱アミド化されたInsB30-C13はHLA-DQ2cis、HLA-DQ2trans、HLA-DQ8trans、HLADQ8cis全てと結合能を示す。
4)

1型糖尿病患者では制御性T細胞(Treg) の機能異常やエフェクターT細胞(Teff)の抵抗性があり、末梢での寛容(peripheral tolerance)に障害が認められる。1)

1型糖尿病患者のautoreactive T cells はproinflammatory cytokine profilesを示し、健常者では regulatory profilesを示す
InsB30-C13 対するautoreactive T cell は、1型糖尿病患者、健常者ともに存在する。
autoreactive T cellの反応は、1型糖尿病ではIFN-γを、健常者ではIL10を分泌する。4)

1型糖尿病のリスク遺伝子は免疫制御に関連する。
PTPN22 (encoding protein tyrosine phosphatase, non-receptor type 22) TCR signaling コントロール
CTLA4 (encoding cytotoxic T lymphocyte–associated protein 4) T 細胞の反応抑制
IL2RA (encoding the IL-2 receptor α-chain, IL-2Rα) Treg の反応と機能のコントロール

1. Pugliese A. Autoreactive T cells in type 1 diabetes. J Clin Invest. 2017 Aug 1;127(8):2881-2891.

2. Kracht MJ et al. Autoimmunity against a defective ribosomal insulin gene product in type 1 diabetes. Nat Med. 2017 Apr;23(4):501-507.

3. Wei J, Yewdell JW. Autoimmune T cell recognition of alternative-reading-frame-encoded peptides Nat Med. 2017 Apr 7;23(4):409-410.

4. van Lummel M, Duinkerken G, van Veelen PA, de Ru A, Cordfunke R, Zaldumbide A, Gomez-Touriño I, Arif S, Peakman M, Drijfhout JW, Roep BO. Posttranslational modification of HLA-DQ binding islet autoantigens in type 1 diabetes. Diabetes. 2014;63(1):237–247.

5. James EA, Pietropaolo M, Mamula MJ. Immune Recognition of β-Cells: Neoepitopes as Key Players in the Loss of Tolerance. Diabetes. 2018 Jun;67(6):1035-1042.
Neoepitopeの総説(Diabetes)

6. Strollo R, Vinci C, Napoli N, Pozzilli P, Ludvigsson J, Nissim A. Antibodies to post- translationally modified insulin as a novel biomarker for prediction of type 1 diabetes in children. Diabetologia 2017;60:1467–1474
Posttranslational modification により酸化インスリンに対する抗体が1型糖尿病発症前から認められる。


リラグルチドの食欲抑制作用には glutamatergic neuronのGLP-1受容体を必要とする。

リラグルチドは glutamatergic neuron、GABAergic neuron の両方を活性化する。
リラグルチドの食欲抑制、体重減少作用に、glutamatergic neuron のGLP-1受容体が必須である。
area postrema AP、lateral parabrachial nucleus IPBNのGLP-1受容体はリラグルチドで直接活性化されている。

まとめ
皮下注射したリラグルチドは glutamatergic neuron、GABAergic neuron の両方を活性化する。
リラグルチドliraglutide が活性化する5つの部位
・central amygdala CeA
・lateral parabrachial nucleus IPBN
・bed nucleus of the stria terminalis BNST
・caudal nucleus of the solitary tract cNTS
・area postrema AP
IPBNでは glutamatergic neuronが、CeA、BNST ではGABAergic neuronが占めている。cNTSとAPでは両者が混在している。

リラグルチドは、lateral septum、paraventricular thalamus、paraventricular hypothalamus、arcuate hypothalamus、ventromedial hypothalamus、lateral dorsal tegmental nucleus、rostral NTS でニューロンの活性化に影響しない。

GLP-1 受容体が glutamatergic neuron に発現しないマウスで、リラグルチドの体重減少、食欲抑制作用が認められない。GABAergic neuron に発現しないマウスでは、リラグルチドの効果は保たれる。
リラグルチドの作用にはglutamatergic neuronの発現するGLP-1受容体が必須である。

GLP-1受容体とGFPを発現するマウスの検討で、リラグルチドによるFos+ニューロンの割合はIPBN、APで高くCeA、BNST、cNTSで低い。
IPBN、APのGLP-1受容体発現ニューロンはリラグルチドで直接活性化されている。

Liraglutide Modulates Appetite and Body Weight Via GLP-1R-Expressing Glutamatergic Neurons
http://diabetes.diabetesjournals.org/content/early/2018/05/04/db17-1385

SGLT2阻害薬のβ細胞保護作用

ルセオグリフロジンを4週間投与したdb/dbマウスでは、10週令(6週例から4週間投与)、14週令、18週、28週令でβ cell mass がコントロールに比べ増加している。

BrdUで評価したβ細胞の増殖は、10週令マウス(6週例から4週間投与)のみルセオグリフロジン群でコントロールに比べ増加している。BrdUとインスリンの共陽性細胞数は週令と共に減少する。TUNEL 法で検討した apoptosis は、10週令マウスでルセオグリフロジン群でコントロールより少なく、28週令で有意差はない。

MafA とインスリン共陽性細胞も週令と共に減少するが、ルセオグリフロジンではコントロールに比べ週令にかかわらず増加している。MafAの発現がβ細胞の機能と量に関係しているかもしれない。

Takahashi K et al. Effect of the sodium–glucose cotransporter 2 inhibitor luseogliflozin on pancreatic beta cell mass in db/db mice of different ages Sci Rep. 2018 May 1;8(1):6864.
https://www.nature.com/articles/s41598-018-25126-z

運動時のdual-hormone closed loop

dual-hormone closed loop は、single-hormone closed loopに比べ45分間の運動で低血糖が少ない。
血糖値70–180 mg/Lに入る時間はsingle-hormone closed loop、dual-hormone closed loop で有意差なし。
Closed-loop では心拍センサーと加速度センサーが搭載され運動時に適したアルゴリズムが使われている。

まとめ
大人の1型糖尿病20人、
・dual-hormone closed loop
・single-hormone closed loop
・predictive low glucose suspend (Medtronic 640G)
・continuation of current care
の4つのアームで運動時の血糖コントロールを比較した

午後2時から60% VO2max のトレッドミル45分間運動を4日間続ける。
Wearable Sensorsを使用する。CGMデータは参加者にはblind で、安全のためremote monitor される。
Current care では、運動前にインスリン量の自己調節が許可されている。

dual-hormone closed loop、single-hormone closed loop では、ZephyrLife BioPatch の心拍モニターと加速度センサーを取り入れ、運動に適したアルゴリズムを使用する。運動が開始されたのち、インスリンは30分中止、その後60分は通常インスリン注入の50%がおこなわれる。

dual-hormone closed loop は、single-hormone closed loopに比べ45分間の運動での低血糖と4日間の低血糖頻度が少ない。

血糖値70–180 mg/Lに入る時間は single-hormone closed loopで一番長いが、dual-hormone closed loop と有意差なし。predictive low glucose suspend、continuation of current care が続く。

current care は、dual-hormone closed loop と同等に低血糖が少ない。
運動前のインスリン自己調整が、Current care のみ許可されていたためで、患者教育の重要性を示している。

single-hormone closed loop も血糖値70–180 mg/Lに入る時間が長く良い結果を示している。
グルカゴンは毎日溶解して作成する必要があり、吐き気の副作用についても考慮しなければならない。

Castle JR et al. Randomized Outpatient Trial of Single- and Dual-Hormone Closed-Loop Systems That Adapt to Exercise Using Wearable Sensors. Diabetes Care. 2018 May 11. pii: dc180228. doi: 10.2337/dc18-0228. [Epub ahead of print]
 

Masked hypertension と死亡リスク

Ambulatory blood presser は、clinic blood pressure より心血管死、全死亡の強力な予測因子である。

Masked-hypertension、Sustained hypertension、White-coat hypertension は心血管死、全死亡と関連する。
Masked-hypertension との関連がもっとも強い。

全死亡 all-cause mortality との関連は、ハザード比で
Masked hypertension 2.83
Sustained hypertension 1.8
White-coat hypertension 1.79

Banegas JR et al. Relationship between Clinic and Ambulatory Blood-Pressure Measurements and Mortality. N Engl J Med. 2018 Apr 19;378(16):1509-1520. doi: 10.1056/NEJMoa1712231.

IL-6は胃排出能を抑制する。

IL-6は胃排出能を抑制する。胃排出能抑制により食後血糖が低下しインスリンの Area under the curve (AUC) が低下する。

まとめ
健常者で、食事負荷前のIL-6 の注入は、胃排出能抑制が認められ食後血糖値が低下する。
IL-6の注入によりインスリン分泌のAUCは低下、グルカゴンは生理食塩水注入と同様のピークをとる。
心拍数の増加が認められるため、IL-6が交感神経を刺激しているかもしれない。
十二指腸に直接食事を注入した場合、IL-6による食後血糖値抑制効果は認められない。

GLP-1受容体阻害薬 exendin 9-39 (ex-9-39) とIL-6の併用は、ex-9-36単独より胃排出能を低下させる。IL-6はGLP-1分泌を促進するが、GLP-1の作用とは独立して胃排出能を抑制している。

食事負荷前のトレッドミル60分の運動は血中IL-6を5倍に増加させる。その後の食事負荷で、胃排出能が低下する。
Tocilizumabは、IL-6の胃排出能低下作用を抑制する。

血糖コントロールの良い2型糖尿病で、IL-6は、食事負荷後血糖値を変化させないが、胃排出能を低下させるためインスリンAUCが低下する。

Lang Lehrskov L et al. Interleukin-6 Delays Gastric Emptying in Humans with Direct Effects on Glycemic Control. Cell Metab. 2018 Apr 28. pii: S1550-4131(18)30251-1.

1型糖尿病に対する dapagliflozin DIRECT-1

1型糖尿病に対するdapagliflozin 24週間投与で、A1Cは約0.4%低下、体重と総インスリン量が減少する。

まとめ
1型糖尿病に対するdapagliflozin 24週間投与、833人の登録、n=778
dapagliflozin 10 mg、5 mg、プラセボへ1:1:1で割り付け

dapagliflozin 10 mg では
ベースラインA1C 8.53%から0.45%低下
体重82.4kgから3.1kg 低下
総インスリン量59.4 IUから5.5 IU減量
Dapagliflozin 10 mgは、5 mgよりインスリンの減量率、体重減少率が大きい。

糖尿病性ケトアシドーシスの発症は、dapagliflozin 5 mg 4人(1%)、dapagliflozin 10 mg 5人(2%)、プラセボ 3人(1%) 
参加者は家庭用ケトン測定器を配布され、血糖値1日4回測定で血糖が持続高値の時はケトン体測定を指示されていた。
2週間に1回来院してケトアシドーシスをチェックした。総インスリン量の減量は20%までとするよう推奨されていた。
これらがケトアシドーシスの発症を抑制したと考えられる。2)

1. Dandona Pet al. Efficacy and safety of dapagliflozin in patients with inadequately controlled type 1 diabetes (DEPICT-1): 24 week results from a multicentre, double-blind, phase 3, randomised controlled trial Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 Nov;5(11):864-876

2. Petrie JR. SGLT2 inhibitors in type 1 diabetes: knocked down, but up again? Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 Nov;5(11):841-843.

肥満手術後、α細胞でのGLP-1発現上昇には、β細胞のGLP-1受容体を必要とする。

肥満手術 (Vertical Sleeve Gastrectomy) をおこなったマウスでは、α細胞のGLP-1とPC1/3の発現が増加する。
空腹時グルカン値は上昇、膵島でα細胞面積が増加、膵島の中心部にα細胞がみとめられるようになる。
β細胞にGLP-1受容体のないマウスではこの現象が認められない。
α細胞でのGLP-1の増加は、β細胞のグルコース刺激下のインスリン分泌に対してpositive feedback をかける。

Garibay Det al. β Cell GLP-1R Signaling Alters α Cell Proglucagon Processing after Vertical Sleeve Gastrectomy in Mice. Cell Rep. 2018 Apr 24;23(4):967-973.

中枢性プログルカゴンの活性化は食餌量、肝糖放出を低下させる。

中枢ではプログルカゴンを発現する細胞がGLP-1を産生している。プレプログルカゴンを発現するニューロンの刺激により摂餌量が減少、肝糖放出が低下するが、インスリン分泌は促進しない。視床下部ー下垂体ー副腎軸も変化しなかった。1)

まとめ
プレグルカゴン遺伝子から、prohormone convertase 1/3 により、GLP-1、GLP-2、oxyntomodulin、 intervening peptide 1、glicentinが産生される。GLP-1の免疫組織染色で検出されるプレグルカゴンニューロンは、孤束核 nucleus of the solitary tract、延髄腹外側核 ventrolateral medulla (VLM) に強く発現が認められる。
GLP-1受容体の発現は、視床室傍核 paraventricular hypothalamic nucleus、弓状核 arcuate nucleus、最後野 area postrema, 孤束核 nucleus of the solitary tract、迷走神経背側運動核 dorsal motor nucleus of the vagus など食事を制御する視床 hypothalamus 、脳幹 brainstem に認められる。

DREADD technology を用いて、プレプログルカゴンを発現するニューロンを刺激した結果、摂餌量が減少、肝糖放出が低下する。インスリン分泌は促進しない。

GLP-1は中枢でストレスに対する二つの軸、視床下部ー下垂体ー副腎軸 (hypothalamic-pituitary-adrenal (HPA) axis)および交感神経を刺激する。したがって GLP-1により血中コルチコステロン、エピネフェリンが上昇する。
GLP-1は、paraventricular nucleus に作用し、ストレスで活性化されるホルモン、ACTHの分泌を促進し、コルチコステロン値が上昇する。ストレスによる食欲低下には、GLP-1シグナリングが関与している。

プログルカンニューロンの活性化は、コルチコステロン値、anxiety-related behavior に影響せず、HPA axis を変化させない。

薬剤性の nausea を評価する検査である conditioned taste aversion (saccharin preference で評価)は変化せず、プログルカンニューロンの活性化は、nausea を生じていないと考えられる。

1 Gaykema RP et al. Activation of murine pre-proglucagon-producing neurons reduces food intake and body weight. J Clin Invest. 2017 Mar 1;127(3):1031-1045.

2 Campbell JE, D'Alessio DA. DREADDing proglucagon neurons: a fresh look at metabolic regulation by the brain. J Clin Invest. 2017 Mar 1;127(3):793-795.

3 Gil-Lozano M et al. GLP-1(7-36)-amide and Exendin-4 stimulate the HPA axis in rodents and humans. Endocrinology. 2010 Jun;151(6):2629-40.
GLP-1(7-36)-amide とExendin-4は血中ACTH、コルチゾール値を上昇させる。

4 Kinzig KP, et al. CNS glucagon-like peptide-1 receptors mediate endocrine and anxiety responses to interoceptive and psychogenic stressors. J Neurosci. 2003;23(15):6163–6170

5 Cork SC et al. Distribution and characterisation of Glucagon-like peptide-1 receptor expressing cells in the mouse brain. Mol Metab. 2015 Aug 5;4(10):718-31.

6 Heppner KM et al. Expression and distribution of glucagon-like peptide-1 receptor mRNA, protein and binding in the male nonhuman primate (Macaca mulatta) brain. Endocrinology. 2015 Jan;156(1):255-67.


グルタミンはL細胞でGLP-1分泌を誘発する

グルコース刺激による膵β細胞のインスリン分泌と腸管L細胞のGLP-1分泌では、共にグルコース刺激下で、細胞内ミトコンドリアの代謝産物が増加している。

アミノ酸によるインスリン分泌は、生理学的にはロイシンのみで認められる。
β細胞株INS-1でグルタミンは、glutamine dehydrogenase (GDH) activator であるロイシンの存在下でインスリン分泌を誘発する。GDH活性が低いことが正常なβ細胞機能には必須である。

L細胞株GLUTagで、グルタミンはロイシンがなくともGLP-1分泌を誘発する。
L細胞株GLUTagでは、INS-1に比べ細胞内ロイシン濃度が高く、GDHが活性化されている。
Sodium glucose transporter を介さない膜透過性グルタミンアナログdimethylglutamateもGLP-1分泌を誘発する。

Andersson LE et al. Glutamine-Elicited Secretion of Glucagon-Like Peptide 1 Is Governed by an Activated Glutamate Dehydrogenase. Diabetes. 2018 Mar;67(3):372-384.

Haigis MC, Mostoslavsky R, Haigis KM, et al. SIRT4 inhibits glutamate de- hydrogenase and opposes the effects of calorie restriction in pancreatic beta cells. Cell 2006;126:941–954
SIRT4はGDHを抑制する。

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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