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センサーのコラーゲンカプセル化は電極の反応時間を遅延させる

CGMの電極の構造
CGM電極にグルコースオキシダーゼglucose oxidase (GOx) の薄い層が埋め込まれている。GOx は、グルコースを酸化しグルコノラクトンへ変換する。この時H2O2が生じて電極表面に電気的変化が認められる。この電気シグナルをCGMが記録しグルコース濃度へ変換して表示する。1)

電極のシグナルノイズ
皮下留置24から72時間後はCGMセンサー電極のノイズが多い。そのメカニズムはまだ明らかではない。1)

血糖値と組織間液のタイムログ
血糖値とCGMが測定する組織間液の時間差は5-10分程度とされている。1)
蛍光グルコースアナログ(2-NBDG) をもちいたマウスでの解析では、2-NBDG 1g/kg静注後、脂肪組織内の蛍光は6分で最大となる。2)

センサーのコラーゲンカプセル化は電極の反応時間を遅延させる2)
マウスの背部皮下にカテーテル手術でDeacon G4センサーを留置し13日後、1g/kg デキストロース dextrose を外頸静脈から注入する。
デキストロースの静脈注射後、血糖値は約2±1分で最大になるが、CGMセンサーのmaximum current が最大値となるまで24±7分かかる。
蛍光グルコースアナログ(2-NBDG) をもちいた解析では、2-NBDG 静注後、脂肪組織内の蛍光は6±6分で最大となるが、CGMセンサーのmaximum current が最大値となるまで21±7分かかる
センサー周辺のコラーゲン量がセンサーの反応時間と関係している。
コラーゲンカプセル化に強いCGMがリアルタイムの血糖変動をより反映する。

センサーをコートするポリマーの開発1)
炎症プロファイルを使ったスクリーニングにより異物反応の少ない双生イオン性ポリマー zwitterionic polymer を見出した。
異物反応が少ないポリマーでコートされた電極ではノイズが減少する。

1. Xie X et al. Reduction of measurement noise in a continuous glucose monitor by coating the sensor with a zwitterionic polymer. Nat Biomed Eng. 2018 Dec;2(12):894-906.

2. McClatchey PM et al. Fibrotic Encapsulation Is the Dominant Source of Continuous Glucose Monitor Delays. Diabetes. 2019 Oct;68(10):1892-1901. doi: 10.2337/db19-0229. Epub 2019 Aug 9.

リナグリプチンの心血管イベントリスクはグリメピリドと同等 (CAROLINA)

心血管血管リスクが高くない2型糖尿病患者で、インスリン治療、DPP4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、チアゾリジン誘導体の治療歴がない人を登録し、リナグリプチン 5mg とグリメピリド1mgあるいは4mgを比較した。
プライマリーアウトカムは心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中 (3-point major cardiovascular event (3P-MACE))
治療介入時は必要に応じてメトフォルミン、αグルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン誘導体、インスリンを使用した。

6.3 年のフォローアップ、プライマリーアウトカムに有意差なし。
1回以上の低血糖は、リナグリプチンで10.6%、グリメピリド で37.7%に認められた。

Rosenstock J et al. Effect of Linagliptin vs Glimepiride on Major Adverse Cardiovascular Outcomes in Patients With Type 2 Diabetes: The CAROLINA Randomized Clinical Trial. JAMA. 2019 Sep 19. doi: 10.1001/jama.2019.13772. [Epub ahead of print]

ダパグリフロジンは心不全の悪化と心血管死を抑制する。DAPA-HF

NYHA IIからIVの心不全があり駆出率40%以下の患者で、プラセボかダパグリフロジンを投与した。
フライマリーアウトカムは心不全の悪化あるいは心血管死
18.2ヶ月のフォローアップ

心不全悪化のハザード比0.74
心血管死のハザード比 0.82

2型糖尿病のない55%の参加者にも2型糖尿病のある参加者と同様に心血管保護効果を認めた。
このスタディの集団は、これまでのSGLT2 阻害薬剤のスタディに比べ心不全の入院や心血管死のリスクが高い。

ダパグリフロジンは2型糖尿病の有無にかかわらず心不全があり駆出率の低下した患者で心不全の悪化と心血管死のリスクを低下させる。

Dapagliflozin in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction. N Engl J Med. 2019 Sep 19. doi: 10.1056/NEJMoa1911303. [Epub ahead of print]

膵内胚葉細胞をデバイスなしで皮下移植する新しい方法、移植後517日までグルコース応答性インスリン分泌が保たれる

ヒトES細胞から膵内分泌細胞を分化させ、分化誘導12日後に得られるstage 4の膵内胚葉細胞 pancreatic endoderm cells (PEC)を凍結する。

血管カテーテルをマウスの皮下に留置することにより異物反応のため血管を伴うコラーゲンの足場が形成される。この部位を移植の”device-less”(DL) siteとして用いる。

移植1週間前にストレプトゾトシンで免疫不全マウスに糖尿病を誘導する。解凍したPEC 5,000,000個を20μlに浮遊させ血管カテーテルからマウスの皮下に注入し同時にカテーテルを引き抜く。PECの移植により血糖値は正常化し移植517日後、移植片切除後まで維持される。

移植後~200日から移植片にのう胞が認められる。のう胞は膵管上皮によってかこまれた単相性神経内分泌性増殖 monomorphic neuroendocrine proliferation で内容物を吸引しても2週間で再形成される。
切除した移植片のKi67陽性率は<3%と低く奇形種teratomaは認められない。

ViaCyte社の移植用デバイスVC-02は、全身的な免疫抑制剤を必要としており、デバイスを使わない皮下移植方法の開発が必要である。

Pepper AR et al. Posttransplant Characterization of Long-term Functional hESC-Derived Pancreatic Endoderm Grafts. Diabetes. 2019 May;68(5):953-962.

Rickels MR. Stem Cell–Derived Islets: Next Steps for Histologic and Functional Assessment During Development as a Cellular Therapy for the Treatment of Diabetes. Diabetes. 2019 May;68(5):901-903.

Pepper AR et al.Transplantation of Human Pancreatic Endoderm Cells Reverses Diabetes Post Transplantation in a Prevascularized Subcutaneous Site.Stem Cell Reports. 2017 Jun 6;8(6):1689-1700.
デバイスを使わず膵内胚葉細胞を移植する新しい方法

膵島内グルカゴンはβ細胞のGLP-1受容体を介してインスリン分泌を促進する。

グルカゴンはβ細胞のグルカゴン受容体、GLP-1受容体の両方を介してインスリン分泌を刺激するが、GLP-1受容体がより重要である。

まとめ
低分子化合物clozapine N-oxide (CNO) により活性化され、抑制性Gタンパク共役受容体 (inhibitory G protein-coupled receptor (Gi) と対になる受容体(GiD)を設計する。GiD をα細胞に発現するマウス(α-GiD マウス)では、薬剤によりGi が活性化され、グルカゴン分泌はコントロールの10%程度に遮断される。
CNO投与後の経腹膜糖負荷試験 IPGTTでは、コントロールに比べα-GiD マウスで血糖値が上昇、グルカゴン分泌とインスリン分泌は低下している。
高グルコース濃度 (12mM)、アミノ酸刺激で膵島のインスリン分泌は、GLP-1受容体拮抗薬 exendin(9–39)で低下するが、グルカゴン受容体拮抗薬 adomeglivantでは影響を認めない。グルカゴンによるインスリン分泌促進では、β細胞のグルカゴン受容体の寄与は低くGLP-1受容体がその役割を担っている。1)

グルタミンやアルギニン刺激によりα細胞のグルカゴンとGLP-1が分泌される。分泌量はGLP-1の方が少ないが、インスリン分泌刺激物質としてGLP-1はグルカゴンに比べ300倍のポテンシャルがある。
GLP-1受容体拮抗薬exendin 9–39 はグルカゴン刺激によるインスリン分泌をワイルドタイプの膵島で65%、β細胞にグルカゴン受容体を発現しないマウスの膵島で約80%低下させる。
β細胞にGLP-1受容体を発現しないマウスではグルカゴンによるインスリン分泌は85%に低下する。グルカゴンはβ細胞のグルカゴン受容体、GLP-1受容体の両方をしてインスリン分泌を刺激するがGLP-1受容体がより重要である。
グルカゴン、GLP-1のシグナル低下はβ細胞のcAMP濃度を低下させる。
GLP-1受容体拮抗薬/グルカゴン受容体拮抗薬を使っても、GIP刺激によるインスリン分泌は保たれる。2)

1. Zhu L et al. Intra-islet glucagon signaling is critical for maintaining glucose homeostasis. JCI Insight. 2019 Apr 23;5. pii: 127994.

2. Capozzi ME, et al. β Cell tone is defined by proglucagon peptides through cAMP signaling. JCI Insight. 2019;4(5): pii: 126742.

3. Svendsen B, et al. Insulin Secretion Depends on Intra-islet Glucagon Signaling. Cell Rep. 2018;25(5):1127–1134.e2.

4. グルカゴンはβ細胞でGLP-1受容体の weak agonistである。

FGF1の脳室内投与により肝臓のグルコキナーゼ発現が増加する。

肥満糖尿病モデルラットZucker diabetic fatty fa/fa rat で、FGF1 の脳室内1回注入により血糖値が約30日間正常化し、高血糖となるまでの期間が3から4週間遅延した。
FGF1 の脳室内1回注入は肝臓のグルコキナーゼ発現を増加させ、肝臓の糖取り込みを上昇させる。
その結果、インスリン非依存性糖取り込みが増加し、β細胞機能低下の発症が遅延される。
脳室内投与3週間後、一時的にβ細胞量が増加するが4週後にはコントロールと同等となる。

交感神経や迷走神経のfiring activity の測定はおこわれていないが、FGF1脳室内注入による交感神経の活性化のため肝臓のグルコキナーゼ活性が増加すると想定される。

Scarlett JM et al. Peripheral Mechanisms Mediating the Sustained Antidiabetic Action of FGF1 in the Brain. Diabetes. 2019 Mar;68(3):654-664.

Thorens B. Targeting the Brain to Cure Type 2 Diabetes. Diabetes. 2019 Mar;68(3):476-478.

δ細胞は糸状突起 Filopodiaによりβ細胞やα細胞に到達している。

δ細胞は糸状突起 Filopodiaをもち、Filopodiaは、β細胞やα細胞に到達している。
Filopodiaはδ細胞の伸展elongationに役立っている。
インスリンはソマトスタチンによりグルカゴン分泌抑制作用 (glucagonostatic effect)を示す。

Arrojo E Drigo R et al. Structural basis for delta cell paracrine regulation in pancreatic islets. Nat Commun. 2019 Aug 16;10(1):3700

microRNA がβ細胞のアポトーシスを誘導する

NODマウスの膵島で、糖尿病の発症とともに増加するmicroRNAが存在する。リンパ球が放出するエクソソームにはmicroRNAが含まれる。エクソソームはβ細胞に取り込まれ、microRNAによりβ細胞内でケモカインCcl2、Ccl7、Cxcl10が増加、β細胞のアポトーシスが誘導される。

まとめ
SCID-NOD mouseの膵島、β細胞で、4週令に比べ8週令で、microRNA (miR)-142-3p、miR-142-5p、miR-155が増加している。
T細胞の培養液でエクソソームの放出が電子顕微鏡で確認され、エクソソームには miR-142-3p、miR-142-5p、miR-155が含まれている。

エクソソームはβ細胞にとりこまれ、エクソソーム中のmiR-142-3p、miR-142-5p、miR-155により、ケモカインCcl2, Ccl7、Cxcl10が増加する。その結果、NF-κBの核内転移が増加しアポトーシスが誘導される。miRNAの抑制によりT細胞によるβ細胞内核凝集が減少し細胞死が抑制されている。
miR-142-3p/-5p, miR-150、miR- 155の結合部位のコンストラクトを含んだAAV (miRNA sponge)でmiRNAの結合を阻害したNODマウスでは、膵島のインスリン陽性面積が保たれ、インスリン陽性細胞でコントロールに比べCxcl10の発現が抑制され、糖尿病発症率が減少する。

miRNAは、α細胞とβ細胞の両方に取り込まれているが、α細胞に比べ、β細胞では、Ccl2およびCxcl10が有意に増加、Ccl7でもその傾向が認められる。α細胞は代謝や免疫のストレスに強いと報告されている。

Guay C et al. Lymphocyte-Derived Exosomal MicroRNAs Promote Pancreatic β Cell Death and May Contribute to Type 1 Diabetes Development. Cell Metab. 2019 Feb 5;29(2):348-361.e6.

Guay C, Menoud V, Rome S, Regazzi R. Horizontal transfer of exosomal microRNAs transduce apoptotic signals between pancreatic beta-cells. Cell Commun Signal. 2015 Mar 19;13:17. doi: 10.1186/s12964-015-0097-7.
サイトカインに暴露されたMIN6 から放出されたエクソソーム内のmicroRNAが近傍のMIN6のapoptosis を誘導する

GLP-1は低血糖でグルカゴン分泌を促進している。

低血糖でのグルカゴン分泌に対するGLP-1の役割は充分解明されていなかった。
GLP-1およびGLP-1受容体は低血糖でグルカゴン分泌を促進する。

まとめ
α細胞のGLP-1受容体の発現をAnti-GLP-1R antibody (OriGene cat #TA326758)で確認した。
α細胞特異的にGLP-1受容体を欠失させたマウス(αGLP-1R-/-) では、低血糖時のグルカゴン分泌促進および高血糖時のグルカゴン分泌抑制が不十分となる。

αGLP-1R-/-マウスでは、
・Non-fasting glucagon が上昇している。
・経腹膜糖負荷試験 (ipGTT)の負荷後30分までの血糖値とインスリン値が高い。血糖値がより上昇するためインスリン値が高くなると考えられる。
・ipGTTの負荷後15分グルカゴンが上昇している。ワイルドタイプでは負荷前と負荷後15分のグルカゴン値に差はない。
αGLP-1R-/-マウスの30分までの血糖値上昇はグルカゴン分泌の変化で説明しうる。

経口糖負荷試験で、αGLP-1R-/-マウスは耐糖能異常を認めない。
GLP-1は分解が早いため、膵β細胞に直接影響するのは膵島内で産生されるGLP-1 (intraislet GLP-1)であり、腸管由来のGLP-1ではないと考えられている。

Zhang Y et al. GLP-1 Receptor in Pancreatic α-Cells Regulates Glucagon Secretion in a Glucose-Dependent Bidirectional Manner. Diabetes 2019 Jan; 68(1): 34-44.

グルカゴン分泌抑制におけるソマトスタチンの役割

α細胞のグルカゴン分泌は、グルコース1mmol/LでソマトスタチンやKATP channel に依存せず抑制される。
KATP channel blocker スルフォニルウレアは、α細胞でグルカゴン分泌を促進し、δ細胞でソマトスタチン分泌を促進する。

まとめ
単離膵島あるいは膵灌流実験で、グルコースはグルカゴン分泌を抑制する。
・グルコース1mmol/L に比べグルコース濃度7 mmol/Lでは、コントロールマウス、Sst-/-、pertussis toxin treatment、Kir6.2-/-マウスでグルカゴン分泌は抑制される。低グルコース濃度(0-7 mmol/L)で、グルコースはソマトスタチン、KATP channel 非依存性にグルカゴン分泌を抑制している。
・高グルコース濃度で、グルコースはソマトスタチン分泌を促進する。ソマトスタチンはα細胞のソマトスタチン受容体(SSTR2、SSTR3)に結合し、グルカゴン分泌を抑制する。

KATP channel blocker スルフォニルウレア は二つのメカニズムでグルカゴン分泌をコントロールしている。
低グルコース濃度での単離膵島あるいは灌流膵臓実験で
・パラクラインの影響がない場合(pertussis toxin treatment、Sst-/-マウス)、スルフォニルウレアはα細胞のKATP channel を抑制しグルカゴン分泌を促進する。
・スルフォニルウレアはδ細胞のKATP channel を抑制しソマトスタチン分泌を促進する。その結果グルカゴン分泌は抑制される。
グルカゴン分泌量は直接的は分泌促進作用と間接的な抑制作用のバランスで決定される。
スルフォニルウレアによるグルカゴン分泌抑制にはソマトスタチンが必須である。

Lai BK et al. Somatostatin Is Only Partly Required for the Glucagonostatic Effect of Glucose but Is Necessary for the Glucagonostatic Effect of KATP Channel Blockers. Diabetes. 2018 Nov;67(11):2239-2253.

1型糖尿病でフラッシュモニタリングによりベースラインのA1Cが高いほどA1C が減少する

1型糖尿病900人、前向き観察研究、1日6回はフラッシュモニタリングをおこない、フラッシュモニタリングの教育セッションに参加するなどの条件を満たす人、フォローアップ248日、フラッシュモニタリングの使用では、ベースラインのA1Cが高いほどA1Cの減少が大きい。

Tyndall V et al. Marked improvement in HbA1c following commencement of flash glucose monitoring in people with type 1 diabetes. Diabetologia. 2019 Aug;62(8):1349-1356.

罹病歴の長い1型糖尿病患者におけるインスリン陽性細胞

罹病歴の長い1型糖尿病患者の膵臓には、β細胞が残存している。ジョスリンメダリストでは、剖検された68例全てにインスリン陽性のβ細胞が認められている。β細胞細胞の残存のメカニズムが考えられている。1)

残存するβ細胞のソースは以下の3つのメカニズムが考えられる。2)
・自己免疫システムの視点から
1型糖尿病ではエフェクターT細胞の増強 (expanded effector T cells)と制御性T細胞(Treg)の機能異常が認められる。エフェクターT細胞と制御性T細胞のバランスが変化している。

・β細胞の生存
β細胞のあるサブセットは、”sleeping” あるいは”dedifferentiated” なβ細胞となり自己免疫の攻撃をのがれている。3)

・β細胞の生成
-β細胞のreplication
-膵管/腺房細胞、他の膵内分泌細胞からのtransdifferentiation
-前駆細胞からのneogenesis

1型糖尿病患者で、Cペプチドが感度以下であってもproinsulinが分泌されている。残存したβ細胞ではホルモン産生は開始されるが成熟したインスリン、Cペプチドを分泌できないのかもしれない。4)

β細胞は不均一heterogeneous である。5)

1.Yu MG et al. Residual β cell function and monogenic variants in long-duration type 1 diabetes patients J Clin Invest. 2019 Jul 2;130.

2.Oram RA, et al. Beta cells in type 1 diabetes: mass and function; sleeping or dead? Diabetologia. 2019.

3.Rui J et al. β Cells that Resist Immunological Attack Develop during Progression of Autoimmune Diabetes in NOD Mice. Cell Metab. 2017 Mar 7;25(3):727-738.

4.Sims EK et al. Proinsulin Secretion Is a Persistent Feature of Type 1 Diabetes. Diabetes Care. 2019 Feb;42(2):258-264.

5.Dorrell C et al. Human islets contain four distinct subtypes of β cells. Nat Commun. 2016 Jul 11;7:11756.
β細胞は表面抗原CD9とST8SIA1によりβ1から4の4種類に分類され、β1(CD9-ST8SIA1-)で最もグルコース応答性インスリン分泌が良好であった。

β細胞は特有の分子の遺伝子発現を低下させ免疫的攻撃から逃れている

ジョスリンメダリストのインスリン分泌、遺伝子検索

50年以上インスリン注射をおこなった1型糖尿病のJoslin medalist 1019人の解析結果、膵島関連自己抗体の陽性率は、抗GAD抗体28.1%、抗IA2 抗体22%、抗GAD抗体あるいは抗IA2 抗体43.6%、検出可能なCペプチドレベル(0.05 ng/ml以上)を認めたののは32.4%で、その平均値0.21 ng/mlであった。

食事負荷テストでは、5.8% (30/516)で、Cペプチドがベースラインの2倍以上となり反応を認めた。レスポンダーはノンレスポンダー比べ、年齢および診断年齢が高く、ベースラインCペプチド値が高い。また膵島関連自己抗体陽性率と中性脂肪値が低い。

アルギニンArginine は膜の脱分極 membrane depolarization でインスリンを分泌する。血糖値を300mg/dlにクランプし、45分以内にアルギニン5g注入をおこなった。食事負荷でインスリンは分泌されないが、アルギニン刺激で分泌されるメダリストも認められる。HLAリスクアリルおよび膵島関連自己抗体を持つ場合(HLA+/AAb+)、アルギニン刺激によるインスリン分泌を認めない割合が高い。

Monogenic diabetes variant が 280人 (27.5%)に認められる。病因となるvariantを持つのは 80 人(7.9%) であった。(MODY 1, 3, 4, 8, 10, 11, 14, GLUT2 defect, Wolfram syndromeなど)

死亡後に膵臓の解剖をおこなった68人のメダリスト全員にインスリン陽性細胞を認めた。

Yu MG et al. Residual β cell function and monogenic variants in long-duration type 1 diabetes patients J Clin Invest. 2019 Jul 2;130.

DECLARE-TIMI 58 腎アウトカム

DECLARE-TIMI 58は、ダパグリフロジン10 mgとプラセボの比較、心血管疾患の既往あるいは複数のリスクファクターを持ちクレアチニンクリアランス60ml/min以上の2型糖尿病患者17160人、4.2年のフォローアップ

心腎複合アウトカムは、eGFR60 ml/min/1.73m2未満でeGFR40%低下、end-stage renal disease (90日以上の透析、腎移植、eGFR <15 ml/min/1.73 m2)、心血管あるいは腎疾患による死亡、腎アウトカムは、心腎複合アウトカムから心血管疾患による死亡を除く。

腎アウトカムのハザード比は0.53、
eGFR60 ml/min/1.73m2未満でeGFR40%低下 0.54
end-stage renal diseaseと腎疾患による死亡 0.41

最初の6ヶ月、ダパグリフロジンでeGFR低下が大きいが、2年までにプラセボと同等になり3年から4年はダパグリフロジンの方がeGFRの低下が少ない。eGFRのサブグループにかかわらず同様の傾向を認めた。

参加者の平均eGFR は、85.2 ml/min/1.73m2で、eGFR 60ml/min/1.73 m2未満のサブグループは、1265人(7.4%) で平均eGFR 51.4 ml/min/1.73m2であった。

eGFR60 ml/min/1.73m2未満で40%のeGFRの低下のアウトカムでは、eGFR60 ml/min/1.73m2のサブグループでプラセボとダパグリフロジンの有意差はつかないが、small group であるためかもしれない。

SGLT2阻害薬は輸入細動脈を収縮させ、ACE阻害薬、ARBは輸出細動脈を拡張させるので、SGLT2阻害薬とACE阻害薬、ARBの併用は腎の血行動態に有用である。

Mosenzon O et al. Effects of dapagliflozin on development and progression of kidney disease in patients with type 2 diabetes: an analysis from the DECLARE-TIMI 58 randomised trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2019.

ロタウイルスワクチンの完全摂取は1型糖尿病の発症率を低下させる。

2001から2007年、登録時1歳未満、1,474,535人、ロタウイルスワクチン接種と1型糖尿病の関連を検討した。

2006年に導入されたpentavalent RotaTeqは、2、4、6ヶ月時の3回接種
2008年に導入されたmonovalent Rotarix は、2、4ヶ月の2回接種

ワクチン接種を完全におこなった場合、未接種に比べ1型糖尿病の発症リスクは31%低下する。
pentavalent RotaTeq の完全接種では、発症リスクは37%低下する。
ワクチン接種が完全でない場合partial vaccination は1型糖尿病発症に影響しない。

アメリカでは2006年から2017年の期間、0から4歳の1型糖尿病の1年あたりの発症率は3.4%減少した。これは2006年から導入されたロタウイルスワクチンの影響と考えられる。


Rogers MAM et al. Lower Incidence Rate of Type 1 Diabetes after Receipt of the Rotavirus Vaccine in the United States, 2001-2017. Sci Rep. 2019 Jun 13;9(1):7727. doi: 10.1038/s41598-019-44193-4

抗CD3モノクローナル抗体 teplizumab は1型糖尿病の発症を遅延させる。

二つ以上の膵島自己抗体陽性で耐糖能異常のある1型糖尿病患者の血縁者に対して抗CD3モノクローナル抗体teplizumab の14日間の投与と行なった。teplizumab は、1型糖尿病の発症を遅延させた。teplizumab は、T細胞のサブセットを変化させT細胞の反応を抑制する。

対象
8歳以上、1型糖尿病の血縁者、
・二つ以上の膵島関連自己抗体を有している。
・空腹時血糖値110から125 mg/dl 糖負荷試験2時間血糖値144から200 mg/dl 未満あるいは30、60、90分で200 mg/dl以上

18歳以下、糖負荷試験1ポイント以上の異常を対象にした場合、糖負荷試験結果の有無では、1型糖尿病発症に差がなかったため、2014年にプロトコールが変更された。
teplizumabあるいはプラセボを14日間外来で投与後、6ヶ月ごとに糖負荷試験をおこなう。

42人が1型糖尿病を発症、teplizumab 19/44 43%、プラセボ23/32 72% 、1型糖尿病発症まで、teplizumabは48.8ヶ月、プラセボは24.4ヶ月であった。

ZnT8抗体陰性、HLA-DR3をもたずHLA-DR4を有している人、糖負荷試験のCPRが平均より低い人に1型糖尿病発症遅延効果を示した。

teplizumab 投与後、T-cell unresponsiveness に関与する CD+8 T cell subset (TIGIT+KLRG1+EOMES+ CD8+ T cells) が増加する。

teplizumabによるリンパ球減少は第45日目までに改善する。

抗CD3モノクローナル抗体 は、Epstein–Barr virus (EBV) の再活性化をおこすことが知られている。EBV抗体陽性は30人(teplizumab 16人、プラセボ14人)、EBV DNAは、teplizumab群の8例で陽性となった。そのうち1例はDay38に咽頭炎と鼻汁があり、Day43から134の間にEBV DNAは測定感度以下になった。
サイトメガロウイルス抗体は、エントリ時に、teplizumab10人、プラセボ7人で陽性、teplizumab 投与後、1例でサイトメガロウイルス DNAがDay22で測定可能になりDay42で感度以下となった。

Herold KC et al. An Anti-CD3 Antibody, Teplizumab, in Relatives at Risk for Type 1 Diabetes. N Engl J Med. 2019 Jun 9. doi: 10.1056/NEJMoa1902226. [Epub ahead of print]

Steno-2 Study 21年後 脳卒中のリスクは低下している

Steno-2 Studyはミクロアルブミン尿のある2型糖尿病患者を強化療法80人、従来療法80人に分け治療を開始した。
1992から1993年にランダマイズド開始、治療期間7.8年、13.4年のフォローアップ、治療開始から合計21年後
プライマリーエンドポイントは 脳卒中の発症で、強化療法群のハザード比 0.31
ミクロアルブミン尿のある2型糖尿病患者に対する強化療法は脳卒中のリスクを低下させる。

Gæde P et al. Beneficial impact of intensified multifactorial intervention on risk of stroke: outcome of 21 years of follow-up in the randomised Steno-2 Study. Diabetologia. 2019 Jun 1. doi: 10.1007/s00125-019-4920-3. [Epub ahead of print]

Gaede P et al. Multifactorial intervention and cardiovascular disease in patients with type 2 diabetes. N Engl J Med. 2003 Jan 30;348(5):383-93.

経口セマグルチド週1回と心血管イベントリスク PIONEER 6

PIONEER 6試験は経口セマグルチド週1回服用とプラセボの比較試験、経口セマグルチド週1回がプラセボに比べ心血管リスクを増加させることがないかを検証するためにデザインされた。

2型糖尿病、50歳以上で心血管疾患あるいは慢性腎臓病患者、60歳以上で心血管疾患のリスクファクターのみを持つ3183人、プライマリーアウトカムは主要心血管イベント(心血管死、非致死性心血管梗塞、非致死性脳卒中)、期間の中央値15.9ヶ月

HR
主要心血管イベント 0.79
心血管死 0.49
非致死性心筋梗塞. 1.19
非致死性脳卒中 0.74

全死亡 0.51

ベースラインからの変化
プラセボvs. 経口セマグルチド
A1C -1.0 vs. -3.0 %
体重. -0.8 vs. -4.2 kg

プラセボに比べ経口セマグルチドでは消化器症状による薬の中止が多かった。
消化器症状による中止
経口セマグルチド 6.8%
プラセボ 1.6%

Husain M et al.Oral Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2019 Jun 11. doi: 10.1056/NEJMoa1901118. [Epub ahead of print]

dulaglutideは尿アルブミンを低下させる REWIND

REWIND は、dulaglutide (1·5 mg) とプラセボの比較、フォローアップ5.4年、主要心血管アウトカムはdulaglutide HR 0.88 p=0.026 有意に低下した。セカンダリーアウトカムは微小血管症で、そのうち腎症の複合アウトカムは、マクロアルブミン尿の出現(UACR >300 mg/gCre)、ベースラインからeGFR 30% 以上低下、腎代替療法とされた。dulaglutide は、腎複合アウトカムを有意に低下させた。HR 0·85, p=0·0004

マクロアルブミン尿の出現 HR 0.77 p<0.0001
ベースラインからeGFR 30%以上低下 HR 0.89 p=0.67
腎代替療法 chronic renal replacement therapy 0.75 p=0.39

dulaglutideは、eGFR 30%以上低下の有意な抑制を示せなかった。eGFR 40%以上低下 HR 0.70 p=0.0004、eGFR 50%以上低下 HR 0.56 p=0.0002という結果があり、dulaglutide が腎機能の維持に働いている可能性はある。

腎保護作用は血糖値改善、血圧低下だけではなく、炎症の改善、酸化ストレスの軽減、血管内皮機能の維持による。アルブミン尿の減少は、腎臓の血管内皮細胞への直接作用を反映しているかもしれない。

Gerstein HC et al. Dulaglutide and renal outcomes in type 2 diabetes: an exploratory analysis of the REWIND randomised, placebo-controlled trial. Lancet. 2019 Jun 7.

Verma S, Mazer CD, Perkovic V. Is it time to REWIND the cardiorenal clock in diabetes? Lancet. 2019 Jun 7.


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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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