メトフォルミンは胆汁酸の再吸収抑制を介してGLP-1分泌を促進する

胆汁酸は、L細胞に発現するTgr5を介してGLP-1分泌を促進する。1)
メトフォルミンは、Farnesoid X receptor を介して、AMPK-mediated mechanismで、胆汁酸再吸収を抑制し、GLP-1分泌を促進する。2)

1. van Nierop FS et al. Clinical relevance of the bile acid receptor TGR5 in metabolism. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 Mar;5(3):224-233. doi: 10.1016/S2213-8587(16)30155-3. Epub 2016 Sep 14.
“Stimulation of Tgf5 on the basolateral side of L cells has been suggested as an important mediator of bile acid-induced GLP-1 secretion.”

2. McCreight LJ, Bailey CJ, Pearson ER. Metformin and the gastrointestinal tract. Diabetologia First online: 16 January 2016

低カロリー食と通常食のサイクルが膵島細胞をリブログラミンクし、β細胞を増殖させる。

糖尿病モデルマウスで、低カロリー食4日間と通常食を繰り返した結果、インスリン分泌が回復し約60日後に血糖値が正常値に近づいた。PCNA陽性のβ細胞が認められ、β細胞数は増加した。

糖尿病のないマウスで、低カロリー食の期間にβ細胞数が減少するが、PCNA陽性β細胞は増加し、通常食で通常レベルにもどる。α細胞数は変化しない。低カロリー食、通常食の期間中、PDX-1とグルカゴンが共染色される non-α/β cell が増加する。

低カロリー食と通常食のサイクルにより、PDX-1、Ngn3、MafA、Foxo1など膵島分化に重要な遺伝子の発現が促進される。発現が誘導された Ngn3遺伝子陽性細胞からインスリン陽性細胞へ分化することが lineage tracing により確かめられた。
低カロリー食と通常食のサイクルが膵島細胞のリブログラミングを誘導する。

低カロリー食では、血中IGF-1値が低下する。
腸管や血球系細胞のself-renewalでは、低カロリー食による IGF-1 の低下、その結果として adenyl cyclase を介した PKAおよびmTORの抑制が重要であると報告されている。

1型糖尿病患者5人で、低カロリー食5日後に血中IGF-1値はベースラインに比べ抑制された。
健常者および1型糖尿病患者の膵島を低カロリー食を模した培養液で36時間培養した結果、通常培養液に比べ、インスリン、Ngn3発現は増加、PKA、mTOR活性は抑制される。

低カロリー食と通常食のサイクルによる膵島細胞のリブログラミンクとβ細胞増加は、IGF-1抑制とPKA、mTOR活性の低下を介している可能性がある。

Cheng CW et al. Fasting-Mimicking Diet Promotes Ngn3-Driven β-Cell Regeneration to Reverse Diabetes.Cell.  2017 Feb 23;168(5):775-788.e12. doi: 10.1016/j.cell.2017.01.040.

Cheng CW et al. Prolonged fasting reduces IGF-1/PKA to promote hematopoietic-stem-cell-based regeneration and reverse immunosuppression. Cell Stem Cell. 2014 Jun 5;14(6):810-23. doi: 10.1016/j.stem.2014.04.014.

Yilmaz ÖH ER al. mTORC1 in the Paneth cell niche couples intestinal stem-cell function to calorie intake. Nature. 2012 Jun 28;486(7404):490-5. doi: 10.1038/nature11163.

グルカゴンとアミノ酸代謝

グルカゴン過剰分泌ではアミノ酸が低下する
グルカゴノーマではアミノ酸の代謝および尿素合成が亢進している。
血中アミノ酸低下が皮膚所見の原因となる。アミノ酸投与により皮膚所見が改善する。

グルカゴンシグナリング異常では血中アミノ酸が上昇する
グルカゴン受容体の不活化では血中アミノ酸が上昇し、その結果としてα細胞過形成とグルカゴンの過分泌が認められる。

長時間の飢餓では、血中グルカゴンが上昇、筋肉からアラニン alanine が放出される。
アラニンは、肝臓でalanine transferase によりピルビン酸に変換されグルコースとなる。(glucose-alanine cycle)
グルカゴンは alanine transferase を制御している。

Holst JJ et al. Glucagon and Amino Acids Are Linked in a Mutual Feedback Cycle: The Liver-α-Cell Axis. Diabetes. 2017 Feb;66(2):235-240. doi: 10.2337/db16-0994.

1型糖尿病モデルマウスのDKAとnon-DKAで、レプチン leptinの作用機序は異なる。

1型糖尿病モデルマウスの糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)とnon-DKAで、レプチンの作用機序は異なっている。
DKAでのレプチン注入は、脂肪融解、肝糖産生亢進、肝臓でのケトン体合成を抑制しDKAを改善する。
これらの作用はコルチコステロン注入により阻害される。
レプチンは、コルチゾール抑制を介してDKAを改善する。

Non-DKAでは、摂餌量の低下、グルカゴン、コルチゾールの血中濃度抑制、筋肉と肝臓の脂肪含量減少により、血糖値を改善させる。

1型糖尿病患者にMetreleptinを投与したパイロットスタディでは、体重が減少しインスリン使用量が低下するがA1Cは変わらない。

Perry RJ, Peng L, Abulizi A, Kennedy L, Cline GW, Shulman GI. Mechanism for leptin's acute insulin-independent effect to reverse diabeticketoacidosis. J Clin Invest. 2017 Jan 23. pii: 88477. doi: 10.1172/JCI88477. [Epub ahead of print]

Vasandani C et al. Efficacy and Safety of Metreleptin Therapy in Patients With Type 1 Diabetes: A Pilot Study Diabetes Care. 2017 Feb 21. pii: dc161553. doi: 10.2337/dc16-1553. [Epub ahead of print]

肝臓のグリコーゲンの蓄積は、低血糖に対するエピネフェリン、グルカゴンの反応を増強する。

犬での実験、門脈にフルクトースとインスリン、ブドウ糖を持続注入し肝臓のグリコーゲン含量を増加させた後、低血糖を誘導する。
肝臓のグリコーゲンが増加する処置の後で、低血糖誘発時のエピネフェリン、グルカゴン反応が増強され肝糖放出は増加する。
肝臓の神経切除後では、低血糖時のエピネフェリン、グルカゴンの反応増加は認められない。

肝細胞のグリコーゲン蓄積は、Liver-brain counterregulatory axis を制御しているが、そのメカニズムは明らかになっていない。
視床下部のAMP-activated protein kinase (AMPK) 活性化が、急性低血糖時のエピネフェリン、グルカゴンの反応を増強する。
肝グリコーゲン蓄積がAMPK The172 のリン酸化を活性化することが報告されている。肝AMPKが低血糖時のグルカゴン、エピネフリン分泌に関与しているかもしれない。

Winnick JJ et al. Hepatic glycogen can regulate hypoglycemic counterregulation via a liver-brain axis J Clin Invest. 2016 ‪Jun 1‬; 126(6): ‪2236–2248‬.‬

McCrimmon RJ et al. Key role for AMP-activated protein kinase in the ventromedial hypothalamus in regulating counterregulatory hormone responses to acute hypoglycemia Diabetes. 2008 Feb;57(2):444-50. Epub 2007 ‪Oct 31.‬ ‬
視床下部のAMP-activated protein kinase (AMPK) 活性化が、急性低血糖時のエピネフェリン、グルカゴンの反応を増強する。視床下部のAMPK 活性化はコルチゾール corticosterone の反応に影響しない。


 
プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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