インスリン分泌における視床の役割

食事開始10分後からインスリン分泌が始まるが、自立神経を介したcephalic phase とされる。一方、視床にはglucose-responsive neuron が存在するが、その役割は明らかになっていないことが多い。視床のglucose-responsive neuron について、 Diabetes 2月号に論文、3月号にレビューがでているのでまとめました。


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スタチンによるベネフィットと糖尿病発症リスク

スタチンが新規糖尿病発症リスクとなっている可能性も示されています。
NEJM誌のレビューでは、スラチンによる糖尿病発症リスクを研究することは重要なことだが、糖尿病でスタチンを使った脂質管理は、心血管イベント抑制のベネフィットがあり、スタチンを使っていくべきという内容です。
 
まとめ
スタチンは2400万人のアメリカ人に処方されている
LDLコレステロールを1mmol(39mg/dl)下げると、糖尿病患者で9%、非糖尿病患者で13%、心血管イベントを低下させる。

13のランダマイズドトライアル(参加者91140人)で糖尿病の新規発症のオッズ比は1.09
LDLコレステロールの変化と糖尿病発症リスクは関係しない。
新規糖尿病発症例は年齢が高く、空腹時血糖も高め、metabolic syndrome のfeatureをもっている。

細胞レベルでスタチンがインスリン分泌を抑制し、インスリン抵抗性を悪化させる可能性も示唆されている。しかしeuglycemic hyperinsulinemic clamp では、スタチンがインスリン感受性を変化させるというデータはない。
何らかのoff-target effect も関与しているのかもしれない。

糖尿病発症リスクをみたクリニカルトライアルの期間は比較的短いのに比べ、実際のスタチン使用は何年にも及ぶ。
糖尿病は重大な健康上の問題だが、スタチンによる脂質管理は心血管イベントを減らし、生存率を上げる。
現在のデータは糖尿病と診断された際に、スタチン治療を中止することを示唆するものではない。
 
Statins: Is It Really Time to Reassess Benefits and Risks? Allison B. Goldfine, M.D.
N Engl J Med 2012; 366:1752-1755
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp1203020

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1型糖尿病で、インスリンdegludec はglargine に対して非劣性を示す。

1型糖尿病、食前アスパルトとの併用で、インスリンdegludec とglargine を1日1回注射のレジメで比較、degludec はglargine に対して非劣性を示し、confirmed hypoglycemic episodes は同じだが、degludec で夜間低血糖は25%少ないという結果です。1)

・treat-to-target approach で朝食前血糖値は70-90mg/dl を目指したため、低血糖症状があった人は両群とも80%以上と高い。
15%の参加者がスタディを完遂できず。

・degludec は、夕食時に注射するプロトコールに対して、glargine では、インスリン注射のタイミングは決まっていない。(once daily at anytime but at same time everyday throughout the study)   

・オープンラベルのトライアルである。
などの点もcomment 2)で指摘されています。
 
インスリンdegludec
すでに発売されているインスリンデテミルは、ヒトインスリンのB鎖30位のトレオニン残基が欠損し、B29位のリジン残基がミリスチン酸(直鎖脂肪酸)によってアシル化された構造。

degludecは、デテミルとほぼ似た構造で、リジン残基にグルタミン基のリンクをつけ、直鎖脂肪酸をつないでいる。

皮下注射で、soluble multihexamerの depot となる。
terminal half-life は25時間でインスリングラルギンの2倍、duration of action は40時間
 
"Degludec is almost identical to human insulin, but with the last aminoacid deleted from the B-chain and addition of a glutamyl link from LysB29 to a hexadecandioic fatty acid. This feature extends the premise used previously in development of the longacting fatty acid-linked insulin detemir. The extra duration of action of degludec (terminal half-life >25 h and activity >40 h) derives from the formation of multihexamer chains of insulin in subcutaneous depots."2)
 
degludec は最初の12時間と、次の12時間で均等に効果を示すが、glargineは最初の12時間に60%の効果を示す。1)

"These results could be explained partly by differences in the pharmacokinetic profiles of the two insulins: insulin degludec has a longer half-life and exposure to this insulin is evenly distributed (about 50:50) in the first and second 12 h periods after once-daily dosing, whereas roughly 60% of exposure to insulin glargine occurs in the first 12 h after once-daily dosing."1)

1. Insulin degludec, an ultra-longacting basal insulin, versus insulin glargine in basal-bolus treatment with mealtime insulin aspart in type 1 diabetes (BEGIN Basal-Bolus Type 1): a phase 3, randomised, open-label, treat-to-target non-inferiority trial
The Lancet, Volume 379, Issue 9825, Pages 1489 - 1497, 21 April 201
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2960204-9/abstract
 
2. Insulin degludec: a new ultra-longacting insulin
The Lancet, Volume 379, Issue 9825, Pages 1465 - 1467, 21 April 2012

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iPhone が、自己血糖測定器になる。

サノフィ社は、アメリカでiPhone を利用した血糖自己測定器を発売した。
センサーを差し込むドック部分だけでも血糖値を表示し、データーを記録することができる。

正確さ、試験紙のコストなども重要な要素とは思いますが、アイデアはすばらしい。
"iBGStar"、ネーミングもいいですね。

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日本人の糖尿病で、微量アルブミン尿以上の腎症は約40%

3月に聞いた腎症の二つの講演会のまとめです。
 
最近の新規透析導入患者数は横ばいとなってきた。
DCCT、steno2 研究以後、レニンアンギオテンシン系阻害薬の使用、血圧管理、脂質管理が行われてきた結果と考えられる。

糖尿病腎症は患者の約40%にみられる。1)
JDCS study で、蛋白尿への年間以降率は、0.67%
low-microalbuminuria グループ (30-150 mg/gCre) で1.85%、正常アルブミン尿 (< 30 mg/gCre)グループでは0.23%  2)

1. Microalbuminuria Is Common in Japanese Type 2 Diabetic Patients A nationwide survey from the Japan Diabetes Clinical Data Management Study Group (JDDM 10)  Diabetes Care April 2007 vol. 30 no. 4 989-992 
http://care.diabetesjournals.org/content/30/4/989.full

2003年以前に糖尿病と診断され、2004年1月から2005年7月に外来を受診した8897人、cross sectional study
Microalbuminuria 31%
clinical nephropathy 10.5%
微量アルブミン尿以上の糖尿病性腎症は、日本人の糖尿病患者で42.5%に認められる。

2. Low transition rate from normo- and low microalbuminuria to proteinuria in Japanese type 2 diabetic individuals: the Japan Diabetes Complications Study (JDCS) Diabetologia. 2011 May; 54(5): 1025–1031.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3071947/
尿アルブミン150 mg/gCre (17 mg/mmolCre) 未満の糖尿病患者で、8年間フォローアップ
タンパク尿への年間移行率は0.67%、
low-microalbuminuria グループ (30-150 mg/gCre) で1.85%、正常アルブミン尿(< 30 mg/gCre)グループでは0.23%

5月17日から19日は糖尿病学会@横浜です。
リウマチ学会では学会抄録がiPad のアプリ化されたということで、糖尿病学会でもと期待しましたが、アプリ化は行われずでした。これを持って歩くことにします。

追記 5/13
抄録アプリの配布が5/10より始まっていました。詳しくは糖尿病学会ホームページへ
さっそくアップルストアーから落としてみました。

20120504.jpg

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NEJMの2型糖尿病、血糖管理のレビュー

4月号の2型糖尿病、血糖管理のレビューです。日本で使われていない、アミリンなどについて述べられています。

まとめ
日本で使われていない糖尿病薬の作用機序
・胆汁酸吸着剤は、Hepatic glucose productionを減らし、インクレチンレベルをあげるが機序は不明。
・ドーパミン作動薬、ブロモクリプチンは、D2 ドーパミン受容体を活性化し、unknown mechanismで、インスリン感受性をあげる。ブロモクリプチン のRapid-release form もFDAにより認可された。 
・Amylin mimetic(pramlinide)は、グルカゴン分泌を減らし、gastric emptyingを遅らせ、食欲低下させる。
 
薬剤選択のstrategy
メトフォルミンが好まれ、cost-effectiveness を示す。
Second line agent 選択に関して、evidence は、少ない。 
Well-validated は、Sulfonylurea, basal insulin.
Less-well-validated は、Pioglitazone, GLP-1 agonist. 
 
海外でもインスリン導入は遅れがち。
寝る前、long acting insulin を10単位程度から開始し、 コントロール不良の場合、big meal の食前に超速効型インスリンを追加する。混合製剤、basal-bolus therapyも検討する。
 
一般的な2型糖尿病に対するRecommendation
安全に血糖値を下げられるなら、A1C 6.0-6.5% 。
週150分の運動 
脂肪、炭水化物、塩分が少なく食物線維の多い食事 (grains and fiber) 
メトフオルミン2000mgまで使用する。(食事と運動ができていたとしても) 
 
感想
インスリン導入で、basal insulin で導入し、超速攻型を足していくやり方を説明していた。4月に公表されたADA、EASDのガイドラインも同様のアルゴリズムをくんでいます。2)
食前に超速攻型インスリンで開始して、時効型インスリンを追加するほうが自分としては、やり易い方法なので、basal insulin 1回うちが先というのは、少し違和感があります。
 
1. Glycemic Management of Type 2 Diabetes Mellitus Faramarz Ismail-Beigi, M.D., Ph.D. N Engl J Med 2012; 366:1319-1327April 5, 2012
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcp1013127
 
2. Management of hyperglycaemia in type 2 diabetes:a patient-centered approach. 
Position statement of the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD) Received: 24 February 2012 / Accepted: 24 February 2012
http://www.diabetologia-journal.org/files/Inzucchi_et_al.pdf

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糖尿病網膜症のレビュー2

糖尿病性網膜症が、Neurovascular unitのdamage という視点で書かれていて目新しかった。 VGEF がPKCを介して血管透過性をあげるため、網膜症の治療薬としてPKC阻害薬が第3相試験にはいっているということでした。

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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