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エンパグリフロジンはRASプロファイルを改善する。

エンパグリフロジンはAng I > Ang II で増加させ、Ang II の下流代謝産物に影響しない。

まとめ
1型糖尿病37人をエンパクリフロジンで8週間治療し、liquid chromatography– tandem mass spectrometry (LC-MS/MS)を用いて、レニンアンギオテンシン系 (RAS) プロファイルを解析した。

エンパクリフロジンでangiotensin (Ang) I は2倍、Ang II は1.5倍上昇する。
レニン活性をAng I + Ang II、ACE 活性をAng II/Ang I で示すと、エンパグリフロジンでレニン活性は上昇、ACE活性は低下する。

Ang IIの下流代謝産物、Ang III、Ang IVはエンパグリフロジンの影響を受けず、LC-MS/MS測定感度以下であった。Alternative RAS effector であるAng (1–7) 、Ang (1–5)は、測定感度に近いか感度以下で37例中、10例でAng (1–5)が上昇し、Ang (1–7) からAng (1–5)への変換が考えられた。

ACE阻害薬とSGLT2阻害薬の併用は相乗的にRAS プロファイルを改善する。

Kopecky C, et al. Molecular regulation of the renin–angiotensin system by sodium–glucose cotransporter 2 inhibition in type 1 diabetes mellitus. Diabetologia. 2019.

カナグリフロジンは炎症、線維化マーカーを減少させる。

2型糖尿病とカナグリフロジンとグリメピリド、2年間服用したスタディ(CANTATU-SU)の血液サンプルの解析で、カナグリフロジンではグリメピリドに比べ、血中TNF receptor 1 (TNFR1) 、IL-6、matrix metalloproteinase 7 (MMP7)、fibronectin 1 (FN1)が減少していた。

カナグリフロジン300mg、104週後では、尿アルブミンクレアチニン比が35.7%減少した。

TNF-αに関連した炎症と糖尿病性腎症の進行の関連が明らかになっている。PodocyteのTNFR1にTNFが結合し、サイトカインが産生される。
IL6は、高血糖が引き金となり、podocyte、mesangial cell、尿細管細胞から放出される。その結果、持続的な局所および全身のサブクリニカルな炎症がおこる。
MMPはコラーゲンの代謝と線維化に関与する。

Heerspink HJL et al. Canagliflozin reduces inflammation and fibrosis biomarkers: a potential mechanism of action for beneficial effects of SGLT2 inhibitors in diabetic kidney disease. Diabetologia. 2019 Apr 17. doi: 10.1007/s00125-019-4859-4. [Epub ahead of print]
 

GIPはGLP-1より食後血糖変動とインスリン分泌に関連している。

健常者で、GIP受容体阻害薬(GIP(3-30)NH2) は、GLP-1受容体阻害薬 (exenatide(9-39)NH2)に比べ糖負荷試験の血糖変動を上昇させる。GIPの方がGLP-1より食後血糖変動とインスリン分泌に関連している。

受容体阻害薬の結果から、糖負荷試験のインスリン分泌(AUC insulin secretion rate/ plasma glucose) の67%はGLP-1およびGIPが担い、(インクレチン効果)、33%はグルコース濃度上昇による。インクレチン効果の2/3はGIPの効果である。(GIP 44%、GLP-1 22%)

GLP-1には胃排出能遅延効果があるが、GIPにはこの効果はない。そのためGLP-1は、インスリン分泌を促進するよりもむしろ減弱させる。
インスリン分泌促進剤としてのGLP-1の役割は当初考えられていたより傑出したものではない。

Kopecky C, et al. Separate and Combined Glucometabolic Effects of Endogenous Glucose-Dependent Insulinotropic Polypeptide and Glucagon-like Peptide 1 in Healthy Individuals. Diabetologia. 2019.

Nauck MA, Meier JJ. GIP and GLP-1: Stepsiblings Rather Than Monozygotic Twins Within the Incretin Family Diabetes. 2019 May;68(5):897-900.

Canagliflozin はEnd-stage kidney disease を30%抑制 CREDENCE

2型糖尿病、eGFR 30から90 ml/min/1.73m2未満の患者で、カナグリフロジン canagliflozin は end-stage kidney disease (透析、腎移植、eGFR < 15)の発症を30%抑制した。CREDENCE

2型糖尿病 4401人、eGFR 30から90 ml/min/1.73m2未満、カナグリフロジンとプラセボの比較、すべての患者がランダム化の前にACEiあるいはARBを少なくとも4週間以上服用している。
フォローアップ median follow-up 2.62 年、カナグリフロジンでプライマリアウトカム End-stage kidney disease (透析、腎移植、eGFR < 15)発症が30%抑制され、ステディは早期中止となった。
心不全による入院 ハザード比 (HR) 0.61, p<0.001
心血管死 HR 0.78, p=0.05
収縮期血圧 -3.30 mm Hg;
拡張期血圧 -0.95 mm Hg
体重 -0.80 kg
Urinary albumin-to-creatinine ratio -31%
HbA1C 低下の差 -0.31%
estimated GFR slope はプラセボより低い。

腎保護のメカニズムは、糸球体内圧低下であると思われる。

Perkovic V et al. Canagliflozin and Renal Outcomes in Type 2 Diabetes and Nephropathy. N Engl J Med. 2019 Apr 14. doi: 10.1056/NEJMoa1811744. [Epub ahead of print]

SGLT2 阻害薬のα細胞に対する直接作用は認められない。

2015年Bonner らは、α細胞にSGLT2が発現し、SGLT2阻害薬がα細胞に直接作用しグルカゴン分泌を促進すると報告していた。今回、Holst らはラット膵灌流実験でSGLT2阻害薬のα細胞に対する直接作用を否定している。

まとめ
ラット膵灌流実験で、
グルコース10 mmol/lでのグルカゴン分泌は、グルコース 3.5 mmol/lに比べ 1/3から1/5に減少する。
Dapagliflozin、phloridzin、SGLT1/2の特異的基質である α-methylglucopyranoside は、グルコース3.5 mmol/l、10 mmol/lともグルカゴン分泌に影響せず、インスリン、ソマトスタチン分泌にも影響しなかった。

ヒト膵島では、GLUT1 >GLUT2>SGLT1の順で発現している。
ヒト2型糖尿病のα細胞ではコントロールに比べSGLT1の発現が増加している。

マウス、ラット、ヒトの膵島で、SGLT2の発現は、RT-PCR、ウエスタンブロッティング、免疫染色で検出感度以下である。

なぜ今回の報告は、Bonnerの報告と対立する結果となったのか。
Bonnerは、SGLT2阻害薬の効果を膵島のstatic incubaionで評価し、今回の膵灌流実験の方が生理的条件に近い。
膵島には、SGLT2 のputatively transcripts variant が7つありタンパク全長コードするのは一つのみである。
RT-PCRでは、プライマーの設定により non-protein-coding transcriptが増幅されている場合がある。
Bonner らの報告ではプライマーが公開されていない。SGLT2阻害薬服用者で認められる血中グルカゴン値の上昇は、薬剤の血糖降下作用によるのかもしれない。

Kuhre RE et al. No direct effect of SGLT2 activity on glucagon secretion Diabetologia. 2019 Mar 22. doi: 10.1007/s00125-019-4849-6. [Epub ahead of print]

Bonner C et al. Inhibition of the glucose transporter SGLT2 with dapagliflozin in pancreatic alpha cells triggers glucagon secretion. Nat Med 21(5):512–517.

ヒト膵島α細胞から誘導したインスリン産生細胞が糖尿病マウスの血糖値を正常化する。

FACSでソーティングしたヒト膵島α細胞に、PDX-1、MAFAを発現させインスリン産生細胞を誘導した。
α細胞の凝集によりβ細胞特有の遺伝子発現が増加し、タンパクレベルでも遺伝子産物の増加を認める。

形成されたpseudoislet を腎皮膜下に移植した糖尿病マウスでは、血糖値の正常化が6ヶ月間確認されている。
移植した pseudoislet は、In vivo の環境で成熟し、ほぼインスリンが単独産生となる。α細胞特有の転写因子である ARXは発現している。

pancreatic polypeptide を発現するγ細胞でも、PDX-1とMAFAの強発現によりインスリン分泌が認められた。

Furuyama K et al. Diabetes relief in mice by glucose-sensing insulin-secreting human α-cells. Nature. 2019 Mar;567(7746):43-48.

Nature ハイライト:ヒト膵α、γ細胞の可塑性の1型糖尿病治療法としての可能性 | Nature | Nature Research

Thorel F, Népote V, Avril I, Kohno K, Desgraz R, Chera S, Herrera PL. Conversion of adult pancreatic alpha-cells to beta-cells after extreme beta-cell loss Nature. 2010 Apr 22;464(7292):1149-54.


経口GLP-1受容体作動薬セマグルチドはシタグリプチンに比べA1Cを低下させる。

経口セマグルチド  (oral semaglutide) とシタグリプチン (sitagliptin) 100mgとの比較試験(PIONEER 3)、メトフォルミン服用 (with or without sulfonylurea) に上のせで、経口セマグルチド7 mg/day、14 mg/day はシタグリプチン100mg/dayに比べ52週後のA1Cを低下させる。経口セマグルチド3 mg/day はシタグリプチンに比べベネフィットはなかった。

52週間後、シタグリプチンに比較したA1C 変化率 7mg/day -0.3%、14 mg/day -0.5%
体重変化 7 mg/day -1.6 kg、14 mg/day -2.5 kg
中止率 経口セマグルチド 3 mg/day 16.7%、7 mg/day 15%、14 mg/day 19.1%、シタグリプチン 13.1%


Effect of Add-on Oral Semaglutide vs Sitagliptin on HbA1c in Type 2 Diabetes Uncontrolled With Metformin. JAMA. Published online March 23, 2019

The Future of the GLP-1 Receptor Agonists

チェックポイント阻害薬によるインスリン依存性糖尿病

チェックポイント阻害薬によるインスリン依存性糖尿病は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体投与で生じ、患者の76%にHLA-DR4が認められた。

T細胞のPD-1は腫瘍細胞のPD-L1と結合し、T細胞のCTLA-4は dendritic cell のB7.1 (CD80)、B 7.2 (CD86) と結合する。

自己免疫性糖尿病を発症し始めたNODマウスのβ細胞で、PD-L1の発現増加が認められるが、CD80、CD86の発現は増加していない。CD80、CD86は、抗CTLA-4抗体のライガンドであるため、抗CTLA-4抗体ではインスリン依存性糖尿病発症が起こりにくいのかもしれない。

Stamatouli AM et al. Collateral Damage: Insulin-Dependent Diabetes Induced With Checkpoint Inhibitors. Diabetes. 2018 Aug;67(8):1471-1480

1型糖尿病のinsulin low 細胞

1型糖尿病のあるドナー(55人)とコントロール(10人)の比較、1型糖尿病の膵島には、インスリン含量の低いβ細胞 (insulin low 細胞)が存在する。
インスリンは、免疫染色で20倍長時間露光、コントラストなしで検知できるレベルである。

insulin low 細胞には、β細胞のマーカー(Pdx1、Nkx6.1、GLUT1、PC1/3)だけでなく、α細胞のマーカー(グルカゴン、ARX、GLP-1)も発現している。Pancreatic polypeptide、ソマトスタチン、グレリンを発現する細胞も認められる。insulin low 細胞が他のタイプの糖尿病にも認められるか更に検索が必要である。

NODマウスで報告されたbottom cell (Btm細胞)は、insulin low 細胞とは異なっている。
Btm細胞は、β細胞特有の遺伝子発現を低下させ免疫的攻撃から逃れている。Btm細胞では、インスリンとグルカゴン、インスリンとソマトスタチンの二重陽性細胞は認められていない。

insulin low 細胞と血中Cペプチドとは相関がない。今回のスタディで、血中Cペプチドは0.05 mg/mlからしか測定できないためかもしれない。
insulin low 細胞は、1型糖尿病の内因性インスリン分泌を増加させる薬物治療のターゲットとなりうる。

Lam CJ, et al. Low-Level Insulin Content Within Abundant Non-b Islet Endocrine Cells in Long-standing Type 1 Diabetes. Diabetes. 2019 Mar;68(3):598-608.

Rui J et al. β Cells that Resist Immunological Attack Develop during Progression of Autoimmune Diabetes in NOD Mice. Cell Metab. 2017 Mar 7;25(3):727-738.

遺伝子リスクと1型糖尿病発症 (TEDDY study)

TEDDY study では、一親等に1型糖尿病の発端者がいる新生児 (first degree family history of type 1 diabetes, FDR) をリクルートし、HLA haplotype の検索、経時的な膵島自己抗体の検索、母乳の有無、出産様式、腸内細菌の解析などを行なっている。

膵島自己抗体複数陽性率、糖尿病発症率は、HLA haplotypenによる遺伝子リスクが一番高い群で収束 convergence が一番高く、コントロールでは遺伝子リスクの低下に従って収束が低下するが、FDRでは低下しない。

遺伝子リスクが一番高い群の膵島自己抗体複数陽性率、糖尿病発症率は、コントロールとFDRで差はない。

今回の結果では、糖尿病発症リスク低いHLA haplotype でも、1型糖尿病の家族歴がある場合、 1型糖尿病自己免疫と糖尿病発症リスクを増加させる付加的なファクターが存在すること示唆している。

Hippich M et al. Genetic Contribution to the Divergence in Type 1 Diabetes Risk Between Children From the General Population and Children From Affected Families. Diabetes. 2019 Jan 17. pii: db180882. doi: 10.2337/db18-0882. [Epub ahead of print]

Vatanen T et al. The Human Gut Microbiome in Early-Onset Type 1 Diabetes From the TEDDY Study. Nature (2018)
open articleでTEDDY study の概要を示すテーブルがあります。

TEDDY study のWeb site

日本人劇症1型糖尿病のGenome-Wide Association Study

日本人劇症1型糖尿病257人と健常ボランティア417人とのGenome-Wide Association Studyの結果、HLA region のsingle nucleotide polymorphisms (SNPs)以外では、Chromosome 12q13.13に存在する CSAD/lnc-ITGB7-1 rs3782151が有意に劇症1型糖尿病と関連する。

CSADは、タウリン合成のキーエンザイムである cysteine sulfinic acid decarboxylase をコードする。タウリンは、抗炎症作用、細胞保護作用が知られている。rs3782151は、CSADのイントロンに存在する。

Kawabata Y et al. Genome-Wide Association Study Confirming a Strong Effect of HLA and Identifying Variants in CSAD/lnc-ITGB7-1 on Chromosome 12q13.13 Associated With Susceptibility to Fulminant Type 1 Diabetes. Diabetes. 2019 Mar;68(3):665-675. doi: 10.2337/db18-0314. Epub 2018 Dec 14.

SGLT2阻害薬とeGFR

EMPA-REGで、心不全入院リスク低下、心血管疾患による死亡率低下、全死亡率低下が、eGFR <60 mL/min/1.73 m2 およびマクロアルブミン尿患者でも認められている。冠動脈バイパスグラフトをおこなったCKD患者でも腎アウトカムのリスク低下が認められる。

血糖低下効果はeGFRの低下とともに減少する。ダパグリフロジンでは40ml/min/1.73m2でA1Cの低下を認めない。高血糖作用はCKDの腎保護作用には関与していないと思われる。

体重減少作用は間接的に腎保護に働いている可能性がある。エンパグリフロジンやカナグリフロジンではeGFR 30ml/min/1.73 m2未満でも体重減少効果が認められた。

血圧に対する作用は、eGFRが低くてもみとめられる。エンパグリフロジンで、eGFR ≥90 、60–89 、30–59 、 <30 mL/min/1.73 m2 に分類される患者の収縮期血圧変化は、それぞれ -3 mmHg 、-4 mmHg、-6 mmHg、-7 mmHg であった。

現在のRecommendation では、eGFRのcriteriaによりSGLT2阻害薬の使用が制限されている。(eGFR < 45 ml/min/1.73 m2、あるいは60ml/min/1.73 m2での開始は推奨されず、eGFR 30 ml/min/1.73 m2 では禁忌)
CREDENCE study の結果によりRecommendation がかわる可能性がある。

Alicic RZ et al. Sodium-Glucose Cotransporter 2 Inhibition and Diabetic Kidney Disease. Diabetes 2019 Feb;68(2):248-257.

α細胞の酸性化により糖尿病のグルカゴン分泌異常が生じる

糖尿病のα細胞では、高血糖のため sodium-glucose transporter (SGLT) を介してナトリウムが流入、sodium-proton exchangers (NHEs) が抑制され細胞内pHが低下する。その結果、ATP産生が低下しグルカゴン分泌障害が認められる。

まとめ
マウスの膵島で、グルコース1mMに対してグルコース6mMではグルカゴン分泌が抑制される。糖尿病マウスではグルコース6mMでのグルカゴン分泌が抑制されない。
α細胞でグルカゴン分泌の抑制にはKATP channelの抑制(閉鎖)が必要だが、糖尿病マウスのα細胞では、ATP/ADPが低いため、KATP channelの活性が高くグルカゴン分泌が抑制されない。

なぜ糖尿病のα細胞でATP/ADPが低下するのか。ミトコンドリアのマトリックスはアルカリ性であり、Krebs cycle enzyme は、pHが高い時に最大の catalytic activityを発揮する。糖尿病モデルマウスでは、α細胞内のpHが低下が認められ、その結果 ATP/ADPが低下している。

細胞内のpHはNHEs により調整されている。NHEs の抑制は、細胞内pHを低下させる。SGLT は、グルコース依存性ナトリウム取り込みglucose-dependent Na+ uptake に重要な役割をはたしている。代謝されないSGLTの基質であるa-methyl-D- glucopyranoside 19 mMは、グルコース1mMの条件下のα細胞で細胞内ナトリウム濃度を上昇させ、その効果はフロリジン phlorizin により抑制される。

ワイルドタイプマウス膵島で、グルコース11-12mMあるいはグルコース20mM 48時間培養で、α細胞内のpHおよびグルコース20mM刺激によるATP/ADP上昇 [ATP/ADP]i を比較した。グルコース20mM、48時間培養した膵島では、α細胞内pHは低下し、グルコース20mM刺激による [ATP/ADP]i の上昇が少なく、グルカゴン分泌が抑制されない。フロリジンを添加したグルコース20mM培養で、α細胞のpH低下、グルコース刺激による[ATP/ADP]i は改善し、グルカゴン分泌抑制が認められる。

β細胞では高グルコース培養による細胞内pH低下は認められず、α細胞とβ細胞でpHコントロールのメカニズムは異なっている。

Knudsen JG at al. Dysregulation of Glucagon Secretion by Hyperglycemia-Induced Sodium-Dependent Reduction of ATP Production. Cell Metab. 2019 Feb 5;29(2):430-442

経口インスリンI338 は開発中止

1日1回服用の経口インスリンoral insulin 338 (I338)の第2相試験、I338とインスリングラルギンの比較、8週間後、I338はインスリングラルギンと同等の血糖コントロールをしめした。注射薬に比べ経口では高容量の服用が必要であるため、薬剤費と腸管粘膜への安全性の証明が問題となり、残念ながらI338の今後の開発は中止となった。

I338の特徴
・消化管でタンパク分解を受けないようにアミノ酸が置換されている。
・18-carbon fatty diacid をリンカーとして付け、アルブミンとリバーシブルに結合する。血中半減期は70時間
・吸収促進のためカプレン酸ナトリウムsodium caprate が使われている。中鎖飽和脂肪酸であるカプレン酸ナトリウムはFDAにより認可されており、タイトジャンクションを変化させapical membrane fluidity を増加させて吸収を促進する。

・食事や他の薬剤とは30分以上空けて服用が必要である。このスタディでは、I338を夜間8時間以上の絶食の後、100mlの水とともに服用、服用1時間前から水分摂取を控え、服用1時間後まで水分と食事の摂取を控えている。

・血中濃度を得るために高容量のインスリンを服用する必要がある。このスタディで、体重で補正した結果、I338 347 nmolがグラルギン1Uに相当した。インスリン1単位は6 nmolなので、 注射剤に比べ経口インスリンは約58倍のモル数が必要であった。

論文のdiscussion では、以下の点から腸間膜での高濃度による増殖能亢進への効果は低いとしています。
・服用した容量に比べ血中濃度が低いので、生物学的利用能 bioavailabilityは低い。
・インスリン受容体とIGF-1受容体は主に基底外側Basolateral side に存在する。I338 は、腸管のインスリン受容体、IGF-1受容体を活性化せず、腸管上皮細胞から血中に移行する。
・カプレン酸と結合しないI338は半減期が短く腸管内腔に長くは存在しない。

Editorial では、腸管細胞に対する安全性を明らかにする必要性と高容量のインスリン使用するため薬剤費が高くなることへの懸念を示しています。

Halberg IB et al. Efficacy and safety of oral basal insulin versus subcutaneous insulin glargine in type 2 diabetes: a randomised, double-blind, phase 2 trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2019 Jan 21. pii: S2213-8587(18)30372-3. doi: 10.1016/S2213-8587(18)30372-3. [Epub ahead of print]

Mathieu C et al. Oral insulin: time to rewrite the textbooks. Lancet Diabetes Endocrinol. 2019 Jan 21. pii: S2213-8587(19)30005-1. doi: 10.1016/S2213-8587(19)30005-1. [Epub ahead of print]

インスリンは、δ細胞のSGLT2を介してソマトスタチン分泌を促進しグルカゴン分泌を抑制する。

インスリンは、δ細胞のSGLT2を介してソマトスタチン分泌を促進しグルカゴン分泌を抑制する。SGLT2阻害薬はインスリンによるソマトスタチン分泌を抑制しグルカゴン分泌を増加させる。

まとめ
マウスの膵島でインスリン 100nMはグルコース4mMの条件下で、インスリンが無い場合にくらべソマトスタチンを増加させグルカゴンを減少させる。
ワイルドタイプのマウスで膵灌流モデル perfumed pancreas model で、外因性のインスリンはグルカゴン分泌に影響しない。
膵島内の内因性インスリンによりグルカゴン分泌は充分に抑制されている。灌流膵モデルでインスリン受容体拮抗薬S961によりグルカゴン分泌は増加する。
高血糖となる糖尿病マウスでは、膵灌流モデルでインスリン100nMにより、グルカゴン分泌は抑制される。ソマトスタチン受容体拮抗薬によりインスリンによるグルカゴン分泌は消失しグルカゴン値が増加する。

インスリンはδ細胞の細胞内カルシウム濃度[Ca2+]i を増加させる。インスリン添加により[Ca2+]i oscillation のfrequency とamplitude が増加した。
ナトリウム10 mMの条件下あるいはGLT2阻害薬 dapagliflozin 添加で、インスリンによるソマトスタチン分泌促進は認められず、グルカゴンは変化しない。
dapagliflozinは、インスリン 100 nM、グルコース 4 mMの条件下で、δ細胞のaction potential firing を抑制する。
代謝されないグルコースアナログ α-methyl-D-glucopyranoside (αMDG)19mMとグルコース1mM ではaction potential firing が起こらない。インスリン添加でaction potential firing が記録された。

マウスのインスリン負荷試験で、dapagliflozin 腹腔内注射群ではコントロールに比べ血糖値低下に有意差はないが、グルカゴン分泌量は多い。

δ細胞におけるSGLT2の発現は、免疫組織学的にマウスで58%ヒトで33%に認められた。

ソマトスタチンの分泌は、高カリウム刺激、トルブタミドにより増加する。インスリンはこれらの分泌刺激をさらに増強することはない。

δ細胞のグルコースセンシングとソマトスタチン分泌
<SGLUTを介したNa+流入と細胞膜の脱分極>
ソマトスタチン分泌は Ca2+-induced Ca2+ release (CICR) による。SGLT2を介してNa+依存性にグルコースが取り込まれ、わずかな脱分岐電流 small depolarizing current が生じる。カルシウムチャンネルから細胞内にカルシウムが流入し、小胞体のリアノジン受容体が活性化され、細胞内カルシウム濃度が増加(Ca2+-induced Ca2+ release, CICR)、ソマトスタチンが分泌される。

<グルコース代謝とKATPチャンネル閉鎖による脱分極>
δ細胞にSGLT2、GLUT1、GLUT3が発現しこれらの受容体がグルコース取り込みの99%を担っている。SGLT2受容体にくらべGLUT1、GLUT3の発現量は多い。いくつかの細胞では、充分なSGLT2受容体が発現している。グルコース代謝によりATP/ADP が上昇、 KATP チャネルが閉鎖、膜の脱分極が起こりカルシウムチャネルからカルシウムが流入、CICR によりソマトスタチンが分泌される。

Vergari E et al. Insulin inhibits glucagon release by SGLT2-induced stimulation of somatostatin. Nat Commun. 2019

メトフォルミンによる胆汁酸代謝の変化とFXR

メトフォルミンによる腸管細菌B.fragilis 減少を介した胆汁酸代謝の変化は、FXRシグナリングを抑制し耐糖能、インスリン感受性を改善する。

まとめ
新規に2型糖尿病と診断された患者にメトフォルミンを3日間服用後、便中の腸内細菌Bacteroides fragilisが減少する。

ヒトの一次次胆汁酸はコール酸 (cholic acid (CA))、ケノデオコシコール酸 chenodeoxycholic acid (CDCA) でそれぞれグルシン、タウリンに抱合され腸管に分泌される。腸管では腸内細菌のbile salt hydrase により脱抱合化 deconjugation が起こる。

メトフォルミン服用後、B. fragilisの低下により便中の胆汁酸 acid glycine-ursodeoxycholic acid (GUDCA)、tauroursodeoxycholic acid (TUDCA)、抱合二次胆汁酸が増加する。総ビリルビン値は変化しない。B. fragilis と血中、便中GUDCA、TUDCAは負の相関を示す。
メトフォルミンはマウスで糖負荷試験の血糖値低下、インスリン感受性亢進、空腹時血糖値低下作用があり、メトフォルミンとB.fragilisの便移植によりメトフォルミンによるこれらの作用は抑制される。

胆汁酸の核内受容体farnesoid X receptor (FXR)活性化により、ヒトでFGF19、マウスでFGF15の発現が増加し、胆汁酸生合成は抑制される、腸管FXRの抑制は、白色脂肪細胞を褐色脂肪化させ肥満関連代謝障害を改善する。メトフォルミン服用後、血中FGF19濃度は低下しており、FXR signaling は抑制されている。GUDCAとTUDCAは直接的にFXR拮抗剤としてはたらいている。

腸管にFXRを発現しないマウスでは、溶媒のみに比べメトフォルミン12週間投与後の耐糖能とインスリン感受性改善が認められない。

胃管によるメトフォルミン投与は腸管のAMP activated protein kinase (AMPK) を活性化する。腸管にAMPKαを発現しないマウスでもメトフォルミンはFXRシグナリングを抑制する。

メトフォルミンによる腸管細菌B.fragilis 減少を介した胆汁酸代謝の変化は、FXRシグナリングを抑制し耐糖能、インスリン感受性を改善する。

Sun L et al. Gut microbiota and intestinal FXR mediate the clinical benefits of metformin Nat Med. 2018 Dec;24(12):1919-1929

Guo GL, Xie W Metformin action through the microbiome and bile acids Nat Med. 2018 Dec;24(12):1789-1790.

Jiang, C. et al. Intestinal farnesoid X receptor signaling promotes nonalcoholic fatty liver disease. J. Clin. Invest. 125, 386–402 (2015).

胆汁酸分子種の多様性 構造・代謝と生理作用 石塚 敏

Icosapent ethyl と心血管イベント抑制

Icosapent ethylは高度に純化された安定型のeicosapentaenoic acid (EPA)で、1日4g(1回2g、1日2回)服用により心血管イベントリスク低下を認めた。NEJM誌に同時に掲載されたn-3脂肪酸と心血管イベントの一次予防のスタディでは、プラセボと有意差を認めなかった。
まとめ
スタチン服用中、LDLコレステロールはコントロールされ中性脂肪はやや高く(LDLコレステロール中央値75 mg/dl、中性脂肪中央値216 mg/dl)、心血管疾患や糖尿病のあるハイリスクな集団で、Icosapent ethyl 1日4g(1回2g、1日2回)、あるいはプラセボ(ミネラルオイル)との比較、フォローアップ4.7年で、プライマリーエンドポイント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、冠動脈再灌流、不安定狭心症)の25%のリスク低下を認めた。
Non-HDLコレステロールの低下は14 mg/dLで、この値から予想されるリスク低下は6-8%であるが、実際には25%のリスク低下を認めている。中性脂肪が正常でも心血管保護作用示しており、中性脂肪低下作用以外の代謝効果があることを説明する。
抗血栓作用が選択的血行再建術を減少させたとは考えにくく、膜安定化 (Membrane stabilizing effect)、冠動脈プラークの安定化と消退 (Stabilization and regression of coronary plaque) がイベントリスク低下に関与しているかもしれない。
JELISはオープンラベル試験で、pure EPA 1.8 g dailyとスタチンの併用とスタチンの比較、19%のリスク低下を示した。
Bhatt DL et al. Cardiovascular Risk Reduction with Icosapent Ethyl for Hypertriglyceridemia. N Engl J Med. 2019 Jan 3;380(1):11-22.


JE Manson et al. Supplementation with n-3 fatty acids did not result in a lower incidence of major cardiovascular events or cancer than placebo. N Engl J Med. 2019 Jan 3;380(1):23-32.
Yokoyama M et al. Effects of eicosapentaenoic acid on major coronary events in hypercholesterolaemic patients (JELIS): a randomised open-label, blinded endpoint analysis. Lancet. 2007 Mar 31;369(9567):1090-8.

1型糖尿病と運動マネージメント

1型糖尿病で無酸素運動、高強度インターバルトレーニングは、有酸素運動に比べ血糖値が低下しにくい。血糖値90~124mg/dlで、有酸素運動を開始する場合はグルコース10gの摂取が必要であるが、無酸素運動、高強度インターバルトレーニングでは開始可能となっている。

有酸素運動
有酸素運動中、インスリン分泌は低下し、グルカゴン分泌が増加、門脈に肝臓からグルコースが放出され運動中の筋肉のグルコース取り込みに対応する。
運動中、インスリン作用によらない筋肉によるグルコースの取り込みが50倍程度まで増加する。

運動強度がVO2max50-60%を超える場合、脂肪酸化は減少し、おもにグルコースによりエネルギーが供給される。有酸素運動運動中のグルコースはおもにグルカゴンの増加により供給される。グルコース放出や他のカウンターレギュラトリーホルモンの神経系のコントロールも補助的な役割を担っている。
長時間の有酸素運動(ウオーキング、ジョギング、サイクリング)で、もし血中インスリン濃度は下がらなければ、カウンターレギュラトリーホルモンによる肝臓からの糖放出はインスリン濃度が低下している時に比べて効果が不十分である。

大部分の1型糖尿病では、有酸素運動で血糖値が低下する。動作の開始時、インスリン血中濃度はすぐには低下せず、運動中、皮下脂肪の血流が増えるため循環血中のインスリン濃度は上昇するかもしれない。循環中のインスリン値が高い場合、肝糖放出に対するブドウ糖処理 (glucose disposal) が上昇、脂肪融解は遅延する可能性がある。

無酸素運動、高強度インターバルトレーニング
短期で強度の無酸素運動 (短距離走 (sprinting)、ウエイトリフティング、いくつかの競技スポーツ (some competitive sports)、高強度インターバルトレーニング (high intensity interval training) )では、血糖値が上昇する。
短距離走のような無酸素運動や高強度インターバルトレーニングでは、有酸素運動ほど血中インスリンは低下しない。動作の時間が短いことが理由の一部である。
高強度インターバルトレーニングの初期回復期 (early recovery) では、カウンターレギュラトリーホルモンや他の代謝産物により血糖値が上昇し、血中インスリン濃度はベースラインより上昇する。
レジスタンス運動では、カウンターレギュラトリーホルモンや ブドウ糖処理を抑制する代謝産物が増加する。

1型糖尿病では、レジスタンス運動の方が、中等度強度の有酸素運動より血糖値が安定している。レジスタンス運動で血糖値が上昇する人もいる。高強度インターバルトレーニングでは、有酸素運動にくらべ血糖値の低下が少ない。
有酸素運動運動の前にレジスタンス運動を取り入れた場合、カウンターレギユラトリーホルモン上昇、乳酸の増加により血糖値の低下を予防できる。

運動前の血糖値と血糖管理
開始前血糖値90mg/dl 未満
運動開始前に、グルコース10-20 gを摂取する。

90-124 mg/dl
有酸素運動前にはグルコース10gを摂取する。
無酸素運動、高強度インターバルトレーニングは開始可能。

126-180 mg/dl、
有酸素運動 開始可能である。
無酸素運動と高強度インターバルトレーニングは開始可能であるが血糖値が上昇する可能性がある。

182-270 mg/dl
有酸素運動 開始可能である。
無酸素運動では血糖値が上昇するかもしれない。

270 mg/dl
高血糖が説明できない場合、血中ケトンをチェックする。ケトンが軽度上昇 (<1.4 mmol/L)の場合、30分未満の軽い運動にとどめる。少量の補正インスリンが必要かもしれない。血中ケトンが1.5mmol/Lを超える場合、運動は禁忌、血糖コントロールを最優先する。
血中ケトン上昇 (> 1.5 mole/L)、尿中ケトン上昇 (>2+ あるいは > 4 mole/L)ではインスリン投与をおこなう。正常血糖値に近くでケトン症 (ketotic)である場合は炭水化物も摂取する。

運動が禁忌
・ケトン上昇
・24時間以内の重症低血糖(〜50 mg/dl)
・運動によると低血糖に対応する準備 (血糖モニターの準備、スナック、糖尿病IDカード)ができていない場合

有酸素運動時の炭水化物必要量
運動時間
30分未満 開始前血糖値90 mg/dl 未満では炭水化物10-20 gを摂取する。
30-60分の運動 低強度、中等度強度の有酸素運動では、運動中に血糖値と運動強度に応じて少量の炭水化物(10-15 g /h)を摂取する。
60-150分の運動  炭水化物30-60 g/hを摂取する。

インスリン量の調整
食後2-3時間後の運動で、あらかじめbolus insulin を減量する。
持効型インスリンを運動の少なくとも48時間前に減量を推奨する論文もあるが、血糖コントロールを危うくするため推奨しない。
運動後、インスリン感受性は上昇している。グルコースのカウンターレギュレーションも低下している可能性がある。有酸素運動、無酸素運動とも回復期に、遅発性低血糖 delayed-onset hypoglycemia がおこりうる。運動後24時間は低血糖のリスクが増加する。午後の運動は夜間低血糖リスクが高い。

Riddell MC et al. Exercise management in type 1 diabetes: a consensus statement Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 May;5(5):377-390.

Harmer AR et al. High-intensity training improves plasma glucose and acid-base regulation during intermittent maximal exercise in type 1 diabetes. Diabetes Care. 2007 May;30(5):1269-71.

1型糖尿病では高強度トレーニングでコントロールに比べ血糖値が上昇する。

高強度トレーニング(High intensity training) では、血糖値が上昇、生理的な高インスリン血症が認められる。1型糖尿病では、生理的な高インスリン血症が生じないためコントロールに比べ血糖値上昇が大きいのかもしれない。

まとめ
4分ごとに30秒の高強度トレーニング4セットで、正常コントロールでは、血糖値が上昇、生理的な高インスリン血症が認められる。乳酸は上昇する。1型糖尿病では、コントロールに比べ血糖値が上昇する。血中インスリン値は、コントロールで上昇するのに対し、1型糖尿病でやや低下する。

1型糖尿病では、生理的な高インスリン血症が生じないことや、乳酸値上昇のためインスリン抵抗性が生じるため、コントロールに比べ高強度トレーニング中の血糖値上昇が大きくなるのかもしれない。

高強度トレーニングを週3回、7週間行った結果、正常コントロール、ともに運動中の血糖値は改善、乳酸は低下、酸塩基バランスが改善する。1型糖尿病でA1Cの有意差はつかなかった。

Harmer AR et al. High-intensity training improves plasma glucose and acid-base regulation during intermittent maximal exercise in type 1 diabetes. Diabetes Care. 2007 May;30(5):1269-71.

メトフォルミンは直接L細胞に作用しGLP-1 分泌を刺激する。

メトフォルミンは胆汁酸再吸収抑制や腸管でセロトニン分泌促進する経路のほか、直接L細胞に作用しGLP-1分泌を刺激する。

腸管L細胞への直接作用
2型糖尿病患者12人で、メトフォルミン1500mg single dose は、食事負荷後のGLP-1分泌を促進する。GLP-1受容体拮抗薬Exenatide (9-39) を併用した結果、メトフォルミンによる食事負荷時の血糖降下作用の75%は、GLP-1分泌促進作用による。

ヒト腸管上皮細胞でメトフォルミンはGLP-1分泌を促進する。cAMP-activated protein kinase inhibitor である dorsomorphin は、メトフォルミンによるGLP-1分泌を抑制する。細胞内cAMP濃度を上昇させるIBMX、forskolinは、GLP-1分泌を促進する。

胆汁酸再吸収抑制
メトロフォルミンは、空腸のapical sodium-dependent bile acid transporter (ASBT) を阻害し、腸管内の胆汁酸濃度を上昇させる。胆汁酸は、核内受容体 farnesoid X receptor、Gタンパク共役受容体TGR5 を活性化し、グルコース代謝に関与している。ヒトと動物で胆汁酸の増加はGLP-1の血中濃度を上昇させる。

セロトニン分泌促進
腸クローム親和性細胞 (enterochromaffin cell)はセロトニンを分泌する。セロトニンは腸管L細胞でGLP-1分泌を促進する。
メトフォルミンは腸管でセロトニン分泌を刺激し、その結果、GLP-1分泌を促進する。
ヒト腸管上皮細胞で、serotonin transporter inhibitor は、メトフォルミンによるGLP-1分泌を抑制する。

Bahne E et al. Metformin-induced glucagon-like peptide-1 secretion contributes to the actions of metformin in type 2 diabetes. JCI Insight. 2018 Dec 6;3(23). pii: 93936. doi: 10.1172/jci.insight.93936. [Epub ahead of print]

Ripken D et al. Nutrient-induced Glucagon Like peptide-1 Release Is Modulated by Serotonin J Nutr Biochem (2016)

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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