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SGLT2阻害薬とeGFR

EMPA-REGで、心不全入院リスク低下、心血管疾患による死亡率低下、全死亡率低下が、eGFR <60 mL/min/1.73 m2 およびマクロアルブミン尿患者でも認められている。冠動脈バイパスグラフトをおこなったCKD患者でも腎アウトカムのリスク低下が認められる。

血糖低下効果はeGFRの低下とともに減少する。ダパグリフロジンでは40ml/min/1.73m2でA1Cの低下を認めない。高血糖作用はCKDの腎保護作用には関与していないと思われる。

体重減少作用は間接的に腎保護に働いている可能性がある。エンパグリフロジンやカナグリフロジンではeGFR 30ml/min/1.73 m2未満でも体重減少効果が認められた。

血圧に対する作用は、eGFRが低くてもみとめられる。エンパグリフロジンで、eGFR ≥90 、60–89 、30–59 、 <30 mL/min/1.73 m2 に分類される患者の収縮期血圧変化は、それぞれ -3 mmHg 、-4 mmHg、-6 mmHg、-7 mmHg であった。

現在のRecommendation では、eGFRのcriteriaによりSGLT2阻害薬の使用が制限されている。(eGFR < 45 ml/min/1.73 m2、あるいは60ml/min/1.73 m2での開始は推奨されず、eGFR 30 ml/min/1.73 m2 では禁忌)
CREDENCE study の結果によりRecommendation がかわる可能性がある。

Alicic RZ et al. Sodium-Glucose Cotransporter 2 Inhibition and Diabetic Kidney Disease. Diabetes 2019 Feb;68(2):248-257.

α細胞の酸性化により糖尿病のグルカゴン分泌異常が生じる

糖尿病のα細胞では、高血糖のため sodium-glucose transporter (SGLT) を介してナトリウムが流入、sodium-proton exchangers (NHEs) が抑制され細胞内pHが低下する。その結果、ATP産生が低下しグルカゴン分泌障害が認められる。

まとめ
マウスの膵島で、グルコース1mMに対してグルコース6mMではグルカゴン分泌が抑制される。糖尿病マウスではグルコース6mMでのグルカゴン分泌が抑制されない。
α細胞でグルカゴン分泌の抑制にはKATP channelの抑制(閉鎖)が必要だが、糖尿病マウスのα細胞では、ATP/ADPが低いため、KATP channelの活性が高くグルカゴン分泌が抑制されない。

なぜ糖尿病のα細胞でATP/ADPが低下するのか。ミトコンドリアのマトリックスはアルカリ性であり、Krebs cycle enzyme は、pHが高い時に最大の catalytic activityを発揮する。糖尿病モデルマウスでは、α細胞内のpHが低下が認められ、その結果 ATP/ADPが低下している。

細胞内のpHはNHEs により調整されている。NHEs の抑制は、細胞内pHを低下させる。SGLT は、グルコース依存性ナトリウム取り込みglucose-dependent Na+ uptake に重要な役割をはたしている。代謝されないSGLTの基質であるa-methyl-D- glucopyranoside 19 mMは、グルコース1mMの条件下のα細胞で細胞内ナトリウム濃度を上昇させ、その効果はフロリジン phlorizin により抑制される。

ワイルドタイプマウス膵島で、グルコース11-12mMあるいはグルコース20mM 48時間培養で、α細胞内のpHおよびグルコース20mM刺激によるATP/ADP上昇 [ATP/ADP]i を比較した。グルコース20mM、48時間培養した膵島では、α細胞内pHは低下し、グルコース20mM刺激による [ATP/ADP]i の上昇が少なく、グルカゴン分泌が抑制されない。フロリジンを添加したグルコース20mM培養で、α細胞のpH低下、グルコース刺激による[ATP/ADP]i は改善し、グルカゴン分泌抑制が認められる。

β細胞では高グルコース培養による細胞内pH低下は認められず、α細胞とβ細胞でpHコントロールのメカニズムは異なっている。

Knudsen JG at al. Dysregulation of Glucagon Secretion by Hyperglycemia-Induced Sodium-Dependent Reduction of ATP Production. Cell Metab. 2019 Feb 5;29(2):430-442

経口インスリンI338 は開発中止

1日1回服用の経口インスリンoral insulin 338 (I338)の第2相試験、I338とインスリングラルギンの比較、8週間後、I338はインスリングラルギンと同等の血糖コントロールをしめした。注射薬に比べ経口では高容量の服用が必要であるため、薬剤費と腸管粘膜への安全性の証明が問題となり、残念ながらI338の今後の開発は中止となった。

I338の特徴
・消化管でタンパク分解を受けないようにアミノ酸が置換されている。
・18-carbon fatty diacid をリンカーとして付け、アルブミンとリバーシブルに結合する。血中半減期は70時間
・吸収促進のためカプレン酸ナトリウムsodium caprate が使われている。中鎖飽和脂肪酸であるカプレン酸ナトリウムはFDAにより認可されており、タイトジャンクションを変化させapical membrane fluidity を増加させて吸収を促進する。

・食事や他の薬剤とは30分以上空けて服用が必要である。このスタディでは、I338を夜間8時間以上の絶食の後、100mlの水とともに服用、服用1時間前から水分摂取を控え、服用1時間後まで水分と食事の摂取を控えている。

・血中濃度を得るために高容量のインスリンを服用する必要がある。このスタディで、体重で補正した結果、I338 347 nmolがグラルギン1Uに相当した。インスリン1単位は6 nmolなので、 注射剤に比べ経口インスリンは約58倍のモル数が必要であった。

論文のdiscussion では、以下の点から腸間膜での高濃度による増殖能亢進への効果は低いとしています。
・服用した容量に比べ血中濃度が低いので、生物学的利用能 bioavailabilityは低い。
・インスリン受容体とIGF-1受容体は主に基底外側Basolateral side に存在する。I338 は、腸管のインスリン受容体、IGF-1受容体を活性化せず、腸管上皮細胞から血中に移行する。
・カプレン酸と結合しないI338は半減期が短く腸管内腔に長くは存在しない。

Editorial では、腸管細胞に対する安全性を明らかにする必要性と高容量のインスリン使用するため薬剤費が高くなることへの懸念を示しています。

Halberg IB et al. Efficacy and safety of oral basal insulin versus subcutaneous insulin glargine in type 2 diabetes: a randomised, double-blind, phase 2 trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2019 Jan 21. pii: S2213-8587(18)30372-3. doi: 10.1016/S2213-8587(18)30372-3. [Epub ahead of print]

Mathieu C et al. Oral insulin: time to rewrite the textbooks. Lancet Diabetes Endocrinol. 2019 Jan 21. pii: S2213-8587(19)30005-1. doi: 10.1016/S2213-8587(19)30005-1. [Epub ahead of print]

インスリンは、δ細胞のSGLT2を介してソマトスタチン分泌を促進しグルカゴン分泌を抑制する。

インスリンは、δ細胞のSGLT2を介してソマトスタチン分泌を促進しグルカゴン分泌を抑制する。SGLT2阻害薬はインスリンによるソマトスタチン分泌を抑制しグルカゴン分泌を増加させる。

まとめ
マウスの膵島でインスリン 100nMはグルコース4mMの条件下で、インスリンが無い場合にくらべソマトスタチンを増加させグルカゴンを減少させる。
ワイルドタイプのマウスで膵灌流モデル perfumed pancreas model で、外因性のインスリンはグルカゴン分泌に影響しない。
膵島内の内因性インスリンによりグルカゴン分泌は充分に抑制されている。灌流膵モデルでインスリン受容体拮抗薬S961によりグルカゴン分泌は増加する。
高血糖となる糖尿病マウスでは、膵灌流モデルでインスリン100nMにより、グルカゴン分泌は抑制される。ソマトスタチン受容体拮抗薬によりインスリンによるグルカゴン分泌は消失しグルカゴン値が増加する。

インスリンはδ細胞の細胞内カルシウム濃度[Ca2+]i を増加させる。インスリン添加により[Ca2+]i oscillation のfrequency とamplitude が増加した。
ナトリウム10 mMの条件下あるいはGLT2阻害薬 dapagliflozin 添加で、インスリンによるソマトスタチン分泌促進は認められず、グルカゴンは変化しない。
dapagliflozinは、インスリン 100 nM、グルコース 4 mMの条件下で、δ細胞のaction potential firing を抑制する。
代謝されないグルコースアナログ α-methyl-D-glucopyranoside (αMDG)19mMとグルコース1mM ではaction potential firing が起こらない。インスリン添加でaction potential firing が記録された。

マウスのインスリン負荷試験で、dapagliflozin 腹腔内注射群ではコントロールに比べ血糖値低下に有意差はないが、グルカゴン分泌量は多い。

δ細胞におけるSGLT2の発現は、免疫組織学的にマウスで58%ヒトで33%に認められた。

ソマトスタチンの分泌は、高カリウム刺激、トルブタミドにより増加する。インスリンはこれらの分泌刺激をさらに増強することはない。

δ細胞のグルコースセンシングとソマトスタチン分泌
<SGLUTを介したNa*流入と細胞膜の脱分極>
ソマトスタチン分泌は Ca2+-induced Ca2+ release (CICR) による。SGLT2を介してNa+依存性にグルコースが取り込まれ、わずかな脱分岐電流 small depolarizing current が生じる。カルシウムチャンネルから細胞内にカルシウムが流入し、小胞体のリアノジン受容体が活性化され、細胞内カルシウム濃度が増加(Ca2+-induced Ca2+ release, CICR)、ソマトスタチンが分泌される。

<グルコース代謝とKATPチャンネル閉鎖による脱分極>
δ細胞にSGLT2、GLUT1、GLUT3が発現しこれらの受容体がグルコース取り込みの99%を担っている。SGLT2受容体にくらべGLUT1、GLUT3の発現量は多い。いくつかの細胞では、充分なSGLT2受容体が発現している。グルコース代謝によりATP/ADP が上昇、 KATP チャネルが閉鎖、膜の脱分極が起こりカルシウムチャネルからカルシウムが流入、CICR によりソマトスタチンが分泌される。

Vergari E et al. Insulin inhibits glucagon release by SGLT2-induced stimulation of somatostatin. Nat Commun. 2019

メトフォルミンによる胆汁酸代謝の変化とFXR

メトフォルミンによる腸管細菌B.fragilis 減少を介した胆汁酸代謝の変化は、FXRシグナリングを抑制し耐糖能、インスリン感受性を改善する。

まとめ
新規に2型糖尿病と診断された患者にメトフォルミンを3日間服用後、便中の腸内細菌Bacteroides fragilisが減少する。

ヒトの一次次胆汁酸はコール酸 (cholic acid (CA))、ケノデオコシコール酸 chenodeoxycholic acid (CDCA) でそれぞれグルシン、タウリンに抱合され腸管に分泌される。腸管では腸内細菌のbile salt hydrase により脱抱合化 deconjugation が起こる。

メトフォルミン服用後、B. fragilisの低下により便中の胆汁酸 acid glycine-ursodeoxycholic acid (GUDCA)、tauroursodeoxycholic acid (TUDCA)、抱合二次胆汁酸が増加する。総ビリルビン値は変化しない。B. fragilis と血中、便中GUDCA、TUDCAは負の相関を示す。
メトフォルミンはマウスで糖負荷試験の血糖値低下、インスリン感受性亢進、空腹時血糖値低下作用があり、メトフォルミンとB.fragilisの便移植によりメトフォルミンによるこれらの作用は抑制される。

胆汁酸の核内受容体farnesoid X receptor (FXR)活性化により、ヒトでFGF19、マウスでFGF15の発現が増加し、胆汁酸生合成は抑制される、腸管FXRの抑制は、白色脂肪細胞を褐色脂肪化させ肥満関連代謝障害を改善する。メトフォルミン服用後、血中FGF19濃度は低下しており、FXR signaling は抑制されている。GUDCAとTUDCAは直接的にFXR拮抗剤としてはたらいている。

腸管にFXRを発現しないマウスでは、溶媒のみに比べメトフォルミン12週間投与後の耐糖能とインスリン感受性改善が認められない。

胃管によるメトフォルミン投与は腸管のAMP activated protein kinase (AMPK) を活性化する。腸管にAMPKαを発現しないマウスでもメトフォルミンはFXRシグナリングを抑制する。

メトフォルミンによる腸管細菌B.fragilis 減少を介した胆汁酸代謝の変化は、FXRシグナリングを抑制し耐糖能、インスリン感受性を改善する。

Sun L et al. Gut microbiota and intestinal FXR mediate the clinical benefits of metformin Nat Med. 2018 Dec;24(12):1919-1929

Guo GL, Xie W Metformin action through the microbiome and bile acids Nat Med. 2018 Dec;24(12):1789-1790.

Jiang, C. et al. Intestinal farnesoid X receptor signaling promotes nonalcoholic fatty liver disease. J. Clin. Invest. 125, 386–402 (2015).

胆汁酸分子種の多様性 構造・代謝と生理作用 石塚 敏

Icosapent ethyl と心血管イベント抑制

Icosapent ethylは高度に純化された安定型のeicosapentaenoic acid (EPA)で、1日4g(1回2g、1日2回)服用により心血管イベントリスク低下を認めた。NEJM誌に同時に掲載されたn-3脂肪酸と心血管イベントの一次予防のスタディでは、プラセボと有意差を認めなかった。
まとめ
スタチン服用中、LDLコレステロールはコントロールされ中性脂肪はやや高く(LDLコレステロール中央値75 mg/dl、中性脂肪中央値216 mg/dl)、心血管疾患や糖尿病のあるハイリスクな集団で、Icosapent ethyl 1日4g(1回2g、1日2回)、あるいはプラセボ(ミネラルオイル)との比較、フォローアップ4.7年で、プライマリーエンドポイント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、冠動脈再灌流、不安定狭心症)の25%のリスク低下を認めた。
Non-HDLコレステロールの低下は14 mg/dLで、この値から予想されるリスク低下は6-8%であるが、実際には25%のリスク低下を認めている。中性脂肪が正常でも心血管保護作用示しており、中性脂肪低下作用以外の代謝効果があることを説明する。
抗血栓作用が選択的血行再建術を減少させたとは考えにくく、膜安定化 (Membrane stabilizing effect)、冠動脈プラークの安定化と消退 (Stabilization and regression of coronary plaque) がイベントリスク低下に関与しているかもしれない。
JELISはオープンラベル試験で、pure EPA 1.8 g dailyとスタチンの併用とスタチンの比較、19%のリスク低下を示した。
Bhatt DL et al. Cardiovascular Risk Reduction with Icosapent Ethyl for Hypertriglyceridemia. N Engl J Med. 2019 Jan 3;380(1):11-22.


JE Manson et al. Supplementation with n-3 fatty acids did not result in a lower incidence of major cardiovascular events or cancer than placebo. N Engl J Med. 2019 Jan 3;380(1):23-32.
Yokoyama M et al. Effects of eicosapentaenoic acid on major coronary events in hypercholesterolaemic patients (JELIS): a randomised open-label, blinded endpoint analysis. Lancet. 2007 Mar 31;369(9567):1090-8.

1型糖尿病と運動マネージメント

1型糖尿病で無酸素運動、高強度インターバルトレーニングは、有酸素運動に比べ血糖値が低下しにくい。血糖値90~124mg/dlで、有酸素運動を開始する場合はグルコース10gの摂取が必要であるが、無酸素運動、高強度インターバルトレーニングでは開始可能となっている。

有酸素運動
有酸素運動中、インスリン分泌は低下し、グルカゴン分泌が増加、門脈に肝臓からグルコースが放出され運動中の筋肉のグルコース取り込みに対応する。
運動中、インスリン作用によらない筋肉によるグルコースの取り込みが50倍程度まで増加する。

運動強度がVO2max50-60%を超える場合、脂肪酸化は減少し、おもにグルコースによりエネルギーが供給される。有酸素運動運動中のグルコースはおもにグルカゴンの増加により供給される。グルコース放出や他のカウンターレギュラトリーホルモンの神経系のコントロールも補助的な役割を担っている。
長時間の有酸素運動(ウオーキング、ジョギング、サイクリング)で、もし血中インスリン濃度は下がらなければ、カウンターレギュラトリーホルモンによる肝臓からの糖放出はインスリン濃度が低下している時に比べて効果が不十分である。

大部分の1型糖尿病では、有酸素運動で血糖値が低下する。動作の開始時、インスリン血中濃度はすぐには低下せず、運動中、皮下脂肪の血流が増えるため循環血中のインスリン濃度は上昇するかもしれない。循環中のインスリン値が高い場合、肝糖放出に対するブドウ糖処理 (glucose disposal) が上昇、脂肪融解は遅延する可能性がある。

無酸素運動、高強度インターバルトレーニング
短期で強度の無酸素運動 (短距離走 (sprinting)、ウエイトリフティング、いくつかの競技スポーツ (some competitive sports)、高強度インターバルトレーニング (high intensity interval training) )では、血糖値が上昇する。
短距離走のような無酸素運動や高強度インターバルトレーニングでは、有酸素運動ほど血中インスリンは低下しない。動作の時間が短いことが理由の一部である。
高強度インターバルトレーニングの初期回復期 (early recovery) では、カウンターレギュラトリーホルモンや他の代謝産物により血糖値が上昇し、血中インスリン濃度はベースラインより上昇する。
レジスタンス運動では、カウンターレギュラトリーホルモンや ブドウ糖処理を抑制する代謝産物が増加する。

1型糖尿病では、レジスタンス運動の方が、中等度強度の有酸素運動より血糖値が安定している。レジスタンス運動で血糖値が上昇する人もいる。高強度インターバルトレーニングでは、有酸素運動にくらべ血糖値の低下が少ない。
有酸素運動運動の前にレジスタンス運動を取り入れた場合、カウンターレギユラトリーホルモン上昇、乳酸の増加により血糖値の低下を予防できる。

運動前の血糖値と血糖管理
開始前血糖値90mg/dl 未満
運動開始前に、グルコース10-20 gを摂取する。

90-124 mg/dl
有酸素運動前にはグルコース10gを摂取する。
無酸素運動、高強度インターバルトレーニングは開始可能。

126-180 mg/dl、
有酸素運動 開始可能である。
無酸素運動と高強度インターバルトレーニングは開始可能であるが血糖値が上昇する可能性がある。

182-270 mg/dl
有酸素運動 開始可能である。
無酸素運動では血糖値が上昇するかもしれない。

270 mg/dl
高血糖が説明できない場合、血中ケトンをチェックする。ケトンが軽度上昇 (<1.4 mmol/L)の場合、30分未満の軽い運動にとどめる。少量の補正インスリンが必要かもしれない。血中ケトンが1.5mmol/Lを超える場合、運動は禁忌、血糖コントロールを最優先する。
血中ケトン上昇 (> 1.5 mole/L)、尿中ケトン上昇 (>2+ あるいは > 4 mole/L)ではインスリン投与をおこなう。正常血糖値に近くでケトン症 (ketotic)である場合は炭水化物も摂取する。

運動が禁忌
・ケトン上昇
・24時間以内の重症低血糖(〜50 mg/dl)
・運動によると低血糖に対応する準備 (血糖モニターの準備、スナック、糖尿病IDカード)ができていない場合

有酸素運動時の炭水化物必要量
運動時間
30分未満 開始前血糖値90 mg/dl 未満では炭水化物10-20 gを摂取する。
30-60分の運動 低強度、中等度強度の有酸素運動では、運動中に血糖値と運動強度に応じて少量の炭水化物(10-15 g /h)を摂取する。
60-150分の運動  炭水化物30-60 g/hを摂取する。

インスリン量の調整
食後2-3時間後の運動で、あらかじめbolus insulin を減量する。
持効型インスリンを運動の少なくとも48時間前に減量を推奨する論文もあるが、血糖コントロールを危うくするため推奨しない。
運動後、インスリン感受性は上昇している。グルコースのカウンターレギュレーションも低下している可能性がある。有酸素運動、無酸素運動とも回復期に、遅発性低血糖 delayed-onset hypoglycemia がおこりうる。運動後24時間は低血糖のリスクが増加する。午後の運動は夜間低血糖リスクが高い。

Riddell MC et al. Exercise management in type 1 diabetes: a consensus statement Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 May;5(5):377-390.

Harmer AR et al. High-intensity training improves plasma glucose and acid-base regulation during intermittent maximal exercise in type 1 diabetes. Diabetes Care. 2007 May;30(5):1269-71.

1型糖尿病では高強度トレーニングでコントロールに比べ血糖値が上昇する。

高強度トレーニング(High intensity training) では、血糖値が上昇、生理的な高インスリン血症が認められる。1型糖尿病では、生理的な高インスリン血症が生じないためコントロールに比べ血糖値上昇が大きいのかもしれない。

まとめ
4分ごとに30秒の高強度トレーニング4セットで、正常コントロールでは、血糖値が上昇、生理的な高インスリン血症が認められる。乳酸は上昇する。1型糖尿病では、コントロールに比べ血糖値が上昇する。血中インスリン値は、コントロールで上昇するのに対し、1型糖尿病でやや低下する。

1型糖尿病では、生理的な高インスリン血症が生じないことや、乳酸値上昇のためインスリン抵抗性が生じるため、コントロールに比べ高強度トレーニング中の血糖値上昇が大きくなるのかもしれない。

高強度トレーニングを週3回、7週間行った結果、正常コントロール、ともに運動中の血糖値は改善、乳酸は低下、酸塩基バランスが改善する。1型糖尿病でA1Cの有意差はつかなかった。

Harmer AR et al. High-intensity training improves plasma glucose and acid-base regulation during intermittent maximal exercise in type 1 diabetes. Diabetes Care. 2007 May;30(5):1269-71.

メトフォルミンは直接L細胞に作用しGLP-1 分泌を刺激する。

メトフォルミンは胆汁酸再吸収抑制や腸管でセロトニン分泌促進する経路のほか、直接L細胞に作用しGLP-1分泌を刺激する。

腸管L細胞への直接作用
2型糖尿病患者12人で、メトフォルミン1500mg single dose は、食事負荷後のGLP-1分泌を促進する。GLP-1受容体拮抗薬Exenatide (9-39) を併用した結果、メトフォルミンによる食事負荷時の血糖降下作用の75%は、GLP-1分泌促進作用による。

ヒト腸管上皮細胞でメトフォルミンはGLP-1分泌を促進する。cAMP-activated protein kinase inhibitor である dorsomorphin は、メトフォルミンによるGLP-1分泌を抑制する。細胞内cAMP濃度を上昇させるIBMX、forskolinは、GLP-1分泌を促進する。

胆汁酸再吸収抑制
メトロフォルミンは、空腸のapical sodium-dependent bile acid transporter (ASBT) を阻害し、腸管内の胆汁酸濃度を上昇させる。胆汁酸は、核内受容体 farnesoid X receptor、Gタンパク共役受容体TGR5 を活性化し、グルコース代謝に関与している。ヒトと動物で胆汁酸の増加はGLP-1の血中濃度を上昇させる。

セロトニン分泌促進
腸クローム親和性細胞 (enterochromaffin cell)はセロトニンを分泌する。セロトニンは腸管L細胞でGLP-1分泌を促進する。
メトフォルミンは腸管でセロトニン分泌を刺激し、その結果、GLP-1分泌を促進する。
ヒト腸管上皮細胞で、serotonin transporter inhibitor は、メトフォルミンによるGLP-1分泌を抑制する。

Bahne E et al. Metformin-induced glucagon-like peptide-1 secretion contributes to the actions of metformin in type 2 diabetes. JCI Insight. 2018 Dec 6;3(23). pii: 93936. doi: 10.1172/jci.insight.93936. [Epub ahead of print]

Ripken D et al. Nutrient-induced Glucagon Like peptide-1 Release Is Modulated by Serotonin J Nutr Biochem (2016)

SGLT2阻害薬による心保護作用

Lancet Diabetes & Endocrinology誌で、SGLT2阻害薬による心保護作用について、1)NHE抑制による心筋細胞へのナトリウム蓄積抑制とその結果としてのカルシウム蓄積抑制、2)ROS産生抑制、3)SGLT1抑制、4)グルカゴン分泌促進、ケトン体利用、5)血圧改善、体重減少、利尿作用が挙げられている。

1)NHE抑制
エンパグリフロジンは臨床で使われる濃度でsodium–hydrogen exchanger (NHE)を抑制し心筋細胞でナトリウムの蓄積を防ぐ。その結果、細胞質でカルシウム蓄積が抑制され、ミトコンドリアのカルシウムが増加し心不全の予防には利点となる。
NHE抑制は、ischemia-reperfusion injury で心保護作用を示すことが知られている。ほかのSGLT2阻害薬もNHEを抑制するかまだ明らかではない。EMPA-REG OUTCOMEの患者は、虚血による傷害の前にエンパグリフロジンによるNHE 抑制を受けている。

2)ROS産生抑制
心臓では、sodium-glucose co-transporter-1 (SGLT1)/sodium-myoinositol co-transporter-1 (SMIT1) は、gp91phox NADPH oxidase activity とリンクしている。Reactive oxygen species (ROS) は正常な生理学的シグナリングと細胞ストレスへの適応の役割を担っている。過剰なROS産生は心不全のような病的状態や心不全、ischemia-reperfusion injury での虚血による細胞死を悪化させる。
エンパグリフロジンは、SGLT2に選択性が強いが、ほかの薬剤、たとえばカナグリフロジンは、SGLT1とSGLT2の両方を阻害する。SGLT1の阻害は、実験モデルの高グルコース環境で過度なROS産生を抑制する。
SGLT2阻害薬は、SGLT1とSGLT2の両方を直接的に阻害するか、あるいは血糖コントロールの改善によりSGLT1の発現を低下させた結果、過度なROS産生を抑制し、虚血組織の酸化ストレスが改善することにより傷害を軽減するかもしれない。

3)SGLT1阻害
細胞外のグルコース増加はグルコースとナトリウムの細胞内取り込みを促進する。
心筋梗塞や脳卒中で生じるischemia-reperfusion injuryで、細胞外グルコース濃度が高い場合、虚血後の傷害されやすい細胞に、SGLT1により細胞傷害性の高いナトリウム蓄積がおこり、カルシウム蓄積も生じて、mitochondrial permeability transition pore が開口し細胞死となる。
虚血後や心不全でSGLT1 が増加するため、SGLT1が細胞傷害に重要な役割を果たしているかもしれない。SGLT1およびSGLT2を阻害する薬剤は、急性傷害を受けた細胞のSGLT1を介する glucoses toxicicity を軽減するのに十分であると思われる。

4)グルカゴンとmetabolic substrate switching
SGLT2阻害薬は尿糖排泄を持続させ体重を減らし、軽度なケトン体産生をおこす。
SGLT2阻害薬により膵α細胞でグルカゴン分泌が促進される。
グルカゴンは筋収縮性効果 ionotropic effect があり、ケトン体の利用はグルコースに比べ酸素消費量を減らしつつATPを合成する。

5)直接的な細胞保護に加え、血圧改善、体重減少、多尿は心不全患者に利点がある。
心不全があり駆出率が低下した患者と保たれた患者でエンパグロフロジンのトライアルがおこなわれている。

Bell RM, Yellon DM. SGLT2 inhibitors: hypotheses on the mechanism of cardiovascular protection. Lancet Diabetes Endocrinol. 2018 Jun;6(6):435-437. doi: 10.1016/S2213-8587(17)30314-5.

グルカゴンと胆汁酸核内受容体FXR

グルカゴンは胆汁酸代謝を調節している。グルカゴン受容体作動薬では、胆汁酸血中濃度が上昇する。

グルカゴン受容体作動薬は、食事負荷肥満マウスで、体重を減少させエネルギー消費を増加させる。胆汁酸の核内受容体である farnesoid X receptor (FXR)を肝臓に発現しない食事負荷肥満マウスではグルカゴン受容体作動薬による体重減少効果が認められない。グルカゴン受容体作動薬による体重減少とエネルギー消費増加には肝臓のFXRが必須である。

グルカゴン受容体作動薬は、肥満マウスで、胆汁酸のうちコール酸(cholic acid) を増加させ、タウロデオキシコール酸(taurodeoxycholic acid) を減少させる。コール酸はFXRを活性化することが知られている。FXRとエネルギー消費増加の関連は充分に解明されていない。胆汁酸受容体GPBAR1/TGR5は、肥満者、肥満モデルげっ歯類でエネルギー増加に関与するとされる。

Kim T et al. Glucagon Receptor Signaling Regulates Energy Metabolism via Hepatic Farnesoid X Receptor and Fibroblast Growth Factor 21 Diabetes 2018 Sep; 67(9): 1773-1782.

グルカゴンとFGF21

グルカゴンとFGF21
グルカゴンは、脂肪融解、ケトン体産生、満腹感、熱産生、エネルギー消費増加、胆汁酸代謝などに関与する。FGF21はグルカゴン作動薬投与により肝臓から分泌される。
グルカゴン受容体作動薬でマウスの血糖値は上昇、体重、体脂肪とコレステロールは低下する。db/db マウスでは、体重が減少し、深部体温は上昇、インスリン負荷テストでインスリン感受性が改善する。肝臓ではFGF21の発現が増加し血中FGF濃度が上昇する。FGF21-/-マウスの結果から、グルカゴン受容体作動薬よる体重減少とエネルギー消費量の増加にはFGF21が必要である。糖代謝、脂質代謝への作用については、FGF21はその一部にかかわる。

FGF21の生理作用
FGF21の投与は甘いものとアルコールの摂取を減らす。
FGF21は、脳内のFGF受容体のco-receptorであるβ-Klotho を介してnucleus accumbens のドーパミン濃度を低下させる。

FGF21は、アルコール摂取、ケトジェニックダイエットでの水分摂取を刺激する。FGF21は脱水を起こすような栄養ストレスに反応した水バランスを制御する神経ホルモン(neurotropic hormone)である。

Fibroblast growth factor 21 mediates specific glucagon actions. Diabetes. 2013 May;62(5):1453-63. 

von Holstein-Rathlou S R.T. al. FGF21 Mediates Endocrine Control of Simple Sugar Intake and Sweet Taste Preference by the Liver. Cell Metab. 2016 Feb 9;23(2):335-43.

Song P et al. The Hormone FGF21 Stimulates Water Drinking in Response to Ketogenic Diet and Alcohol. Cell Metab. 2018 Jun 5;27(6):1338-1347.

 

GLP-1とその分解産物は糖尿病モデルマウスの尿細管間質傷害を改善する。

GLP-1、GLP-1 (9-37)、GLP-1 (28-37)は、db/db マウスの尿細管間質傷害を改善する。これらはマウス腎臓でT細胞とマクロファージ集積を抑制している。分解産物の作用はGLP-1受容体を介さない。この論文の筆者らは、ヒトGLP-1分解産物には臓器保護作用があるため、臨床研究でヒトGLP-1を基礎としたGLP-1受容体作動薬がextendin-4を基本とした製剤よりも臓器保護効果を示しているとしています。

まとめ
アデノ随伴ウイルスでdb/db マウスにDPP4に耐性なGLP-1 (7-37Mut8)、GLP-1 (9-37)、GLP-1 (28-37)を発現させた。

・GLP-1 (7-37Mut8)は血糖値を改善する。
・GLP-1 (7-37Mut8)、GLP-1 (9-37)、GLP-1 (28-37)の発現で、尿細管間質傷害 (tubulointerstitial injury) が改善する。尿アルブミンは減少せず、糸球体ダメージ、足細胞の傷害は改善しない。腎臓でT細胞、マクロファージの集積が抑制される。LacZに比べマウスの寿命が延長する。マウスの心機能は改善しなかった。
・ヒトとマウスの尿細管細胞株で、GLP-1、GLP-1 (9-36)、GLP-1 (28-36)は、CCL5 (RANTES)依存性T細胞の遊走能を阻害した。
・腎虚血灌流傷害モデル (acute renal ischemia/reperfusion injury model) でも、全身の免疫調節効果 (systemic immunomodulatory effect) が認められる。

Moellmann J et al. Glucagon-Like Peptide 1 and Its Cleavage Products Are Renoprotective in Murine Diabetic Nephropathy. Diabetes. 2018 Nov;67(11):2410-2419.

DECLARE-TIMI 58

DECLARE-TIMI 58 で、Dapagliflozin は心不全による入院を低下させた。心血管死単独では有意差なし。

まとめ
心血管イベントリスクのある2型糖尿病で、Dapagliflozin とプラセボの比較、フォローアップ4.2年、プライマリーアウトカムは、Major adverse cardiovascular events (MACE)、心血管死と心不全による入院

・MACEは有意差なし
・心血管死と心不全による入院を低下させた。(ハザード比0.83 p=0.05)
これは心不全による入院を低下させたためで、心血管死亡単独では両群で有意差なし

Renal composite (eGFR 69未満で40%以上減少、new end-stage renal disease、腎臓あるいは心血管疾患による死亡)のハザード比 0.76

糖尿病性ケトアシドーシスはDapagliflozin の方が多い。
膀胱がんはDapagliflozin の方が少ない。

EMPA-REGとの比較
・eGFR <60 を除外していない。
・このスタディのプラセボの死亡率が少なく、population の違いがある。
・confidence interval が広いので、心血管死亡のベネフィットが認められなかったのは偶然 by chance である可能性もある。

Dapagliflozin and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes

BMIと死亡率

イギリスで Never-smokerの解析、BMIは死亡率に対してJ-shaped association となる。

BMI25が一番低く、BMIが低い側は5kg/m2ごとに0.81上昇、高い側は1.21上昇する。
BMIは、交通事故以外の死亡率と関連するが死亡率カーブは疾患により異なる。
ガンや心血管病、呼吸器疾患ではBMI 21-25 kg/m2での死亡率が一番低い。 
Smokers を含めた解析では、低いBMI が死亡率と関連し、喫煙が交絡因子であることを示唆する。
 

グルカゴンはGLP-1受容体の weak agonistである。

膵灌流実験でグルカゴンは、低グルコース濃度 (63mg/dl) でインスリン分泌を刺激しないが、高グルコース濃度 (216 mg/dl) でインスリン分泌を促進する。
グルカゴンはGLP-1受容体のweak agonist である。GLP-1はグルカゴン受容体を活性化しない。

まとめ
膵灌流実験でグルカゴンは、低グルコース濃度 (63mg/dl) でインスリン分泌を刺激しないが、高グルコース濃度 (216 mg/dl) でインスリン分泌を促進する。

グルカゴンはGLP-1受容体の weak agonistである。グルカゴンはグルカゴン受容体とGLP-1受容体の両者を介してインスリン分泌を刺激する。
GLP-1受容体拮抗薬GLP-1(9-39)は、GLP-1およびグルカゴンによるGLP-1受容体を経由したcAMP上昇を阻害する。 GLP-1(9-39)はグルカゴンによるグルカゴン受容体を経由したcAMP上昇は阻害しない。

コントロールマウスの膵灌流で、GLP-1(9-39)の使用によりグルカゴンによるインスリン分泌のベースラインは低下すインスリン分泌反応は保たれる。

ジフテリア毒によりアルファ細胞を減少させたマウスでグルカゴン分泌は認められなくなりグルコース刺激によるインスリン分泌が低下する。

β細胞のグルカゴン受容体の機能喪失で、グルカゴンによるインスリン分泌反応はコントロールと同様である。グルカゴンのGLP-1受容体経由によるインスリン分泌刺激が残存するためと考えられる。

全身のグルカゴン受容体機能喪失マウスで、膵島特にα細胞の肥大と血中グルカゴン濃度上昇がしめされている。このマウス膵灌流実験では、膵島から活性型GLP-1が分泌されている。全身のグルカゴン受容体機能喪失マウスの膵灌流でインスリン分泌量が多く低濃度グルカゴンではインスリン分泌に影響しない。このマウスでGLP-1(9-39)は、膵灌流によるグルカゴンのインスリン分泌反応を消失させる。
コントロールマウスの膵灌流で活性化GLP-1非常に低く、多くは検出感度以下である。

Svendsen B, et al. Insulin Secretion Depends on Intra-islet Glucagon Signaling. Cell Rep. 2018 Oct 30;25(5):1127-1134.e2.
 

腸内細菌と脂肪肝

肥満女性で、脂肪肝と腸内細菌が産生する分枝鎖アミノ酸、芳香族アミノ酸との関連が示唆された。脂肪肝グレード3の肥満女性の便をマウスに移植し脂肪肝が誘発された。

まとめ
脂肪肝グレード3 の肥満女性で
血中分枝鎖アミノ酸 (BCC)、芳香族アミノ酸 (AAA) の代謝産物であるフェニール酢酸 (PAA) の濃度および尿中BCC濃度が高い。
PAAは、おもに腸内細菌Bacteroides spp.によりフエニールアラニンから産生される。

脂肪肝グレード3 の肥満女性の便を抗生物質で処置したマウスに移植した結果、脂肪肝グレード0の肥満女性の便に比べマウスの肝臓で中性脂肪が増加する。
PAAは、ヒト培養肝細胞で中性脂肪量を増加させる。
PAAを含んだ食事はマウスで肝脂肪量を増加させる。

分枝鎖アミノ酸は
内皮の脂肪輸送を促進しインスリン抵抗性を惹起することが報告されている。3, 4)

1. Hoyles L et al. Molecular phenomics and metagenomicsof hepatic steatosis in non-diabetic obese women. Nat Med. 2018 Oct;24(10):1628. doi: 10.1038/s41591-018-0169-5.

2. Delzenne NM, Bindels LB. Microbiome metabolomics reveals new drivers of human liver steatosis Nat Med. 2018 Jul;24(7):906-907. doi: 10.1038/s41591-018-0126-3.

3. Newgard CB et al. A branched-chain amino acid-related metabolic signature that differentiates obese and lean humans and contributes to insulin resistance. Cell Metab. 2009 Apr;9(4):311-26.
高脂肪食に分枝鎖アミノ酸を加えた食餌 (HF/BCAA) で飼育したラットは通常食 (SC) と同等の摂餌量と体重であるが、高脂肪食 (HF) のラットと同等のインスリン抵抗性をしめす。
HF/BCAA によるインスリン抵抗性は、筋肉のmTOR、JNK、IRS-1ser307の慢性的リン酸化をともなっており、mTOR inhibitorによりリバースされる。

4. Jang C et al. A branched-chain amino acid metabolite drives vascular fatty acid transport and causes insulin resistance. Nat Med. 2016 Apr;22(4):421-6. doi: 10.1038/nm.4057. Epub 2016 Mar 7.
分枝鎖アミノ酸バリンの中間代謝産物である3-hydroxyisobutyrate (3-HIB)は筋肉から分泌され、内皮細胞の脂肪酸輸送を促進する。

Branched-chain amino acid: valine, leucine, isoleucine
Aromatic amino acid: phenylalanine, tyrosine, tryptophan

クローズドループはsensor-augmented pump therapy (640G)に比べ平均血糖値、血糖変動が少ない。

クローズドループと640Gの比較、12週後クローズドループでA1Cが0.36%低く、ターゲットレンジに入る時間が長い。

まとめ
1型糖尿病86人、MiniMed 640Gを使用し、hybrid closed-loop insulin pomp (クローズドループ) とsensor-augmented pump therapy (コントロール)を12週間で比較した。
ターゲットレンジ(70–180 mg/dL)に入る時間が10.8%クローズドループで長く(クローズドループ65%、コントロール54%)、A1Cが0.36%低い (secondary endpoint)。
クローズドループで、平均血糖値、血糖変動 (glucose variability) が低い。特に夜間に有用である。

総インスリン量、体重変化は有意差なし。
クローズドループでは基礎インスリンが多くボーラスインスリンが少ない。クローズドループで血糖値が良いので補正インスリンが少ないため。
両グループとも重症低血糖は認めない。
クローズドループで、Infusion set failure による糖尿病性ケトアシドーシスを発症した。
640Gには低血糖時注入停止機能 (threshold suspend)があるが、アルゴリズムの有無で比較するため今回はこの機能を使用しなかった。
Free-living settings であり、remote monitoring は行われなかった。

Tauschmann M eat al. Closed-loop insulin delivery in suboptimally controlled type 1 diabetes: a multicentre, 12-week randomised trial Lancet. 2018 Oct 13;392(10155):1321-1329.

SGLT2阻害薬は高血糖による心筋機能障害を改善する

ヒトiPSC由来心筋細胞では、インスリンフリー高グルコース培養によりSGLT1、SGLT2の発現が増加する。brain-type natriuretic peptide (BNP)をコードするNPPBの発現も増加し心筋細胞の収縮力は低下する。エンパグリフロジンはこれらの変化を改善する。

SGLTによるナトリウムの細胞内流入により、sodium-calcium exchanger (NCX)を介して細胞内カルシウム濃度が上昇する。細胞内カルシウム負荷は電気的興奮と収縮、弛緩メカニズムが障害され、電気的不安定性 (electrical instability)となり、カルシウム感受性肥大シグナリング経路が活性化される。

Ng KM et al. Empagliflozin Ammeliorates High Glucose Induced-Cardiac Dysfuntion in Human iPSC-Derived Cardiomyocytes. Sci Rep. 2018 Oct 5;8(1):14872.
わかりやすい図が論文中にあります。
プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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