中枢性プログルカゴンの活性化は食餌量、肝糖放出を低下させる。

中枢ではプログルカゴンを発現する細胞がGLP-1を産生している。プレプログルカゴンを発現するニューロンの刺激により摂餌量が減少、肝糖放出が低下するが、インスリン分泌は促進しない。視床下部ー下垂体ー副腎軸も変化しなかった。1)

まとめ
プレグルカゴン遺伝子から、prohormone convertase 1/3 により、GLP-1、GLP-2、oxyntomodulin、 intervening peptide 1、glicentinが産生される。GLP-1の免疫組織染色で検出されるプレグルカゴンニューロンは、孤束核 nucleus of the solitary tract、延髄腹外側核 ventrolateral medulla (VLM) に強く発現が認められる。
GLP-1受容体の発現は、視床室傍核 paraventricular hypothalamic nucleus、弓状核 arcuate nucleus、最後野 area postrema, 孤束核 nucleus of the solitary tract、迷走神経背側運動核 dorsal motor nucleus of the vagus など食事を制御する視床 hypothalamus 、脳幹 brainstem に認められる。

DREADD technology を用いて、プレプログルカゴンを発現するニューロンを刺激した結果、摂餌量が減少、肝糖放出が低下する。インスリン分泌は促進しない。

GLP-1は中枢でストレスに対する二つの軸、視床下部ー下垂体ー副腎軸 (hypothalamic-pituitary-adrenal (HPA) axis)および交感神経を刺激する。したがって GLP-1により血中コルチコステロン、エピネフェリンが上昇する。
GLP-1は、paraventricular nucleus に作用し、ストレスで活性化されるホルモン、ACTHの分泌を促進し、コルチコステロン値が上昇する。ストレスによる食欲低下には、GLP-1シグナリングが関与している。

プログルカンニューロンの活性化は、コルチコステロン値、anxiety-related behavior に影響せず、HPA axis を変化させない。

薬剤性の nausea を評価する検査である conditioned taste aversion (saccharin preference で評価)は変化せず、プログルカンニューロンの活性化は、nausea を生じていないと考えられる。

1 Gaykema RP et al. Activation of murine pre-proglucagon-producing neurons reduces food intake and body weight. J Clin Invest. 2017 Mar 1;127(3):1031-1045.

2 Campbell JE, D'Alessio DA. DREADDing proglucagon neurons: a fresh look at metabolic regulation by the brain. J Clin Invest. 2017 Mar 1;127(3):793-795.

3 Gil-Lozano M et al. GLP-1(7-36)-amide and Exendin-4 stimulate the HPA axis in rodents and humans. Endocrinology. 2010 Jun;151(6):2629-40.
GLP-1(7-36)-amide とExendin-4は血中ACTH、コルチゾール値を上昇させる。

4 Kinzig KP, et al. CNS glucagon-like peptide-1 receptors mediate endocrine and anxiety responses to interoceptive and psychogenic stressors. J Neurosci. 2003;23(15):6163–6170

5 Cork SC et al. Distribution and characterisation of Glucagon-like peptide-1 receptor expressing cells in the mouse brain. Mol Metab. 2015 Aug 5;4(10):718-31.

6 Heppner KM et al. Expression and distribution of glucagon-like peptide-1 receptor mRNA, protein and binding in the male nonhuman primate (Macaca mulatta) brain. Endocrinology. 2015 Jan;156(1):255-67.


プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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