50歳から65歳までの高タンパク食は寿命が短い。65歳以上は高タンパク食がよい。

高タンパク質食が寿命を短くするという2報、高タンパク質食が
高タンパク食は寿命を短くするという2報、高タンパク食が、
① GHを介してIGF−1シグナルを活性化すること、
② 肝臓でのmTORを活性化するために寿命が短くなる。
 
食事と寿命
ヒトの食事解析1)
50歳以上のアメリカ人6381人、1日の食事を記録し、その後の寿命をみたもの。
平均的には、1823kcal、炭水化物51%、脂肪31%、タンパク質16%(アミノ酸11%)
 
高タンパク食 20%~、中等度タンパク食 10~19%、低タンパク食 10%未満で比較
50歳から65歳の高タンパク摂取では、死亡率が75%増加する。以後の18年でがんの死亡率が4倍高い。
50-65歳で、血中IGF-1値は、タンパク質摂取量と相関した。
IGF-1は、タンパク質摂取と寿命との関係にmodulatorとしてはたらいている。
 
動物性タンパク質摂取が、タンパク質摂取と全死亡率、がん死亡率と関連している。最近、赤身の肉の消費量と全死亡率、ガン関連死亡率との関連が報告されており、その結果を支持するものである。
 
65歳を超えると、逆に高タンパク食は、全死亡率、がん死亡率を減少させる。
IGF-1は高齢者にとっては重要なもの。
糖尿病では全年齢を通じて死亡率が5倍高い。
 
マウスの結果2)
マウス858匹で摂餌の組成、エネルギー量と寿命の関係を解析した。
タンパク質と炭水化物が低下すると、代償的に食事摂取が増える。
脂肪摂取が減少した際には代償的な食事増加の傾向は少ない。
タンパク質を炭水化物に置き換えて、代償的な食事摂取を制限したときに、寿命は適正化される。
 
分枝鎖アミノ酸 (BCCA) とインスリンは、mTOR活性化する。
血中BCCA/ 血糖値 比が低いとmTOR活性が低く、血中BCCA/血糖値 比が高いとmTOR活性が高い
 
寿命を延ばすのはカロリー制限でなはなく、タンパク摂取制限によるの
高タンパク食で、カロリー制限することは寿命には全く効果がない。
 
感想
サイエンス誌の解説では、「すべてのヒトに低タンパク食を推奨しているわけでない、例えば低糖質、高タンパク食で、代謝の指標が改善した報告もある」としている。3)
エネルギーの20%を超える極端な高タンパク食を長期に続けるのはよくないというデビデンスで
 
1. Low Protein Intake Is Associated with a Major Reduction in IGF-1, Cancer, and Overall Mortality in the 65 and Younger but Not Older Population

2. The Ratio of Macronutrients, Not Caloric Intake, Dictates Cardiometabolic Health, Aging, and Longevity in Ad Libitum-Fed Mice
http://www.cell.com/cell-metabolism/abstract/S1550-4131%2814%2900065-5
 
3. Diet Studies Challenge Thinking on Proteins Versus Carbs ScienceNow

 


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健康に年を取っていくための食事

2009年、アカゲザルで食事制限が糖尿病、心血管病、年齢関連死を減らすことが報告された。しかし2012年のNIA study では、年齢関連死は減少せず。実際、食事制限で寿命を延ばすことができるのか?という疑問に対するレビューです。(NEJM 12月27日)
NIA study では、コントロールで、自由に食事をとるのではなくある程度制限がかかっていたため、結果が再現できなかったのではという考察となっています。

まとめ
種を超えて食事を減らすと寿命がのびることが報告されている。
インスリン、IGF-1 (insulin-like growth factor) 、target of rapamaycin は栄養を感知するネットワークである。
 
WNPRC study
2009年アカゲザルを用いた20年間のスタディ結果が報告された。
自由に食事を取るコントロール群に比べ、コントロールの70%の食事をとるアカゲサルでは、年齢関連死亡が少なく、糖尿病、がん、心血管病、脳萎縮が少ない。
 
NIA study
2012年、NIA studyでは、糖尿病と癌は減少するが、心血管病、年齢関連死亡 は減少せず。
 
WNPRCでは、コントロールで自由に食事を取らせていたのに対し、NIA のコントロールは決まった食事にしており、自由に取らせるのに比べ量が制限されていた。NIA のコントロールは、WNPRより体重が少ない。
NIAでは、コントロールでWNPRCに比べ食事制限がかかっていたため、食事制限によるbenefit が示されなかった可能性がある。
 
また、二つのスタディで食事の組成が異なり、WNPRCでは蔗糖 (Sucrose) が30%, NIAでは4%で、WNPRCの方が糖尿病の発症率が高い。
 
疫学調査では、BMI、18歳からの体重増加と、心血管病、糖尿病、がんのリスク、死亡リスクが関連していることが示されている。
食事療法のbenefitは、現在のBMIによるかもしれない。カロリーだけでなく、食事の組成も重要。
 
感想
依然として食事のカロリーと内容を考えて食べることが健康で年をとっていくために重要ということでした。
Although the NIA study did not show the reduction of age-related death, caloric restriction is important for healthy aging. 

1. Diet and Healthy Aging Linda Partridge, Ph.D. N Engl J Med 2012; 367:2550-2551 December 27, 2012 DOI: 10.1056/NEJMcibr1210447
 
2. Caloric restriction delays disease onset and mortality in rhesus monkeys.Science. 2009 Jul 10;325(5937):201-4. doi: 10.1126/science.1173635.

3. Impact of caloric restriction on health and survival in rhesus monkeys from the NIA study.Nature. 2012 Sep 13;489(7415):318-21. doi: 10.1038/nature11432.PMID: 22932268 

4. With TOR, less is more: a key role for the conserved nutrient-sensing TOR pathway in aging. Cell Metab. 2010 Jun 9;11(6):453-65. doi: 10.1016/j.cmet.2010.05.001.


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プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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