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妊娠糖尿病は夏に診断されやすい。

妊娠中の糖負荷試験で、負荷1時間後、2時間後の血糖値が夏期に高い傾向が認められる。
気温に伴い深部体温が高くなるため静脈血の動脈血化がすすみ、静脈血サンプルの血糖値が高くなるためとされている。
妊娠中、皮下脂肪が増加しており、’hyperdynamic circulation’ であることも妊婦が温度変化の影響をうけ易い原因かもしれない。

Moses RG et al. Seasonal Changes in the Prevalence of Gestational Diabetes Mellitus. Diabetes Care. 2016 Jul;39(7):1218-21

Retnakaran R et al. Impact of daily incremental change in environmental temperature on beta cell function and the risk of gestational diabetes in pregnant women. Diabetologia. 2018 Aug 15. doi: 10.1007/s00125-018-4710-3. [Epub ahead of print]
トロントでのスタディ、2月から7月の期間、糖負荷試験から3〜4週間前の気温の変化が妊娠糖尿病リスクと関連する。

妊娠糖尿病における自己血糖測定

妊娠糖尿病の診断基準
75gOGTTで空腹時92mg/dl、‪1時‬間値180mg/dl、‪2時‬間値153 mg/dlのいずれか1点以上を満たした場合、妊娠糖尿病と診断する。

妊娠診断基準の2点以上を満たす場合および
1点以上かつBMI25以上ある場合は、2016年自己血糖測定の適応となっている。

血糖自己測定(SMBG)適応拡大について | 一般社団法人 日本糖尿病・妊娠学会

母体から胎児へのグルコースの移行は濃度勾配による

母体から胎児へのグルコースの移行は、胎盤を挟んだ濃度勾配に依存している。母親側の高血糖あるいは胎児側の低めの血糖は、濃度勾配が急になり、胎児へのグルコース流入が増強される。
胎児側では、グルコースからトリアシルグリセロール生成が刺激され、脂肪蓄積が起こる

胎生11週から胎児のインスリン分泌が始まる。
胎児の高インスリン血症を防ぐために、妊娠初期の母体の血糖コントロールが必要となる。
胎児の高インスリン血症により胎児が母体のグルコースを奪うため (fetal glucose steel) 、母親の糖負荷試験の血糖値が低めに出ることがある。

Desoye G, Nolan CJ. The fetal glucose steal: an underappreciated phenomenon in diabetic pregnancy. Diabetologia. 2016 Jun;59(6):1089-94.

Pedersen J, Osler M. Hyperglycemia as the cause of characteristic features of the fetus and newborn of diabetic mothers. Dan Med Bull. 1961 Jun;8:78-83.

レベミルは、妊娠中の使用に関してカテゴリーBとなる。

310人のレベミルと他のインスリン製剤との比較試験の結果、FDAは、Levemir を pregnancy category B とした。妊娠中に使用しても胎児には害のない薬剤という格付けです。

FDA OKs Levemir for pregnant women



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糖尿病合併妊娠と妊娠糖尿病の違い

3月4日金曜日に大森安恵先生のという御講演を聞いてきました。
「糖尿病合併妊娠と妊娠糖尿病の違い」とうタイトルです。
 新しい妊娠糖尿病の診断基準でhigh risk GDM という概念があり、これは日本独自のものだそうです。

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妊娠糖尿病の診断基準(佐中先生の御講演)

先日、女子医大佐中眞由美先生の「妊娠と糖尿病」の講演を聞いてきました。
妊娠糖尿病の新しい診断基準の値がどのように決まったかは、Diabetes Care 3月号に出ている事を知りました。
HAPOstudy の結果で、生下時体重、臍帯血Cペプチド、体脂肪の90パーセンタイルを越えるオッズ比が、1.75となる血糖値を閾値として、診断基準に取り込んだということでした。

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HAPO study 続報

HAPO study は、2008年、NEJM、2009年Diabetes に掲載された。
Diabetes に掲載された続報では、母の血糖値と児の脂肪蓄積を評価していて、Pedersenの仮説が、正常血糖値の範囲でも当てはまることが示されている。
 
HAPO study
23316人の妊婦で、
妊娠24から32週に(可能な限り28週)75OGTTを行い、児の身体計測と臍帯血Cペプチドを測定。新生児の身長、体重、脇腹の皮膚ひだ(flank skin fold)から体脂肪を計算した。
糖負荷試験の中央値(Mean) は、空腹時 81mg/dl (4.5 mmol/l)、1時間値 135mg/dl (7.5 mmol/l)、2時間値112mg/dl (6.2 mmol/l)であった。
 
新生児の脂肪量(adiposity)は、母親の血糖値、臍帯血Cペプチド値が高くなると、90パーセンタイルを超える割合が増加してくる。
母親の血糖の軽度な上昇でも、児のインスリン、脂肪蓄積(adiposity)に影響する。たとえば、母親のOGTT空腹時血糖値が、75.6-79.2 mg/dl (4.2-4.4 mmol/l)の場合は、新生児の皮膚ひだの90パーセンタイルを越える割合が75.6 mg/dl (4.3 mmol/l)未満に比べ、40%増加する。
母親のシングルポイントの血糖値がBirth outcome を予測する。
 
Pedersen は、1952年に母親の高血糖が、児のインスリン分泌を刺激して、児の脂肪蓄積を促進することを示した。50年以上経過して、Pedersenの仮説は、明らかな糖尿病だけでなく、母親の血糖値のすべてのレンジで当てはまる事示された。
 
Hyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcome (HAPO) Study: associations with neonatal anthropometrics. Diabetes 2009 Feb;58(2):453-9. Epub 2008 Nov 14.

 
Many HAPO returns: maternal glycemia and neonatal adiposity: new insights from the Hyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcomes (HAPO) study. Diabetes 2009 Feb;58(2):302-3.

 
Diabetes and pregnancy; blood sugar of newborn infants during fasting and glucose administration. PEDERSEN J. Ugeskr Laeger. 1952 May 22;114(21):685.


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妊娠糖尿病の診断基準

新しい妊娠糖尿病の診断基準を岡山の糖尿病学会で聞きました。

糖尿病診断基準発表の際にふれられていました。

糖尿病妊娠学会のホームページによると 産科産婦人科学会では、すでに了承されていて、糖尿病学会の了承待ちということです。

 

妊娠糖尿病の診断基準

75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。

 

空腹時血糖値 ≧ 92mg/dl (5.1mmol/l)

1時間値  ≧ 180mg/dl (10.0mmol/l)

2時間値 ≧ 153mg/dl 8.5mmol/l

あきらかな糖尿病 overt diabetesは、妊娠糖尿病に含まれない。

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Second meal effect―昼食後の血糖値は上がりにくい。

糖尿病学会関東地方会に行ってきました。久しぶりに行った大宮は新幹線も止まり、駅も広く、駅前もにぎやかでした。
 
インスリンアレルギーや妊娠糖尿病のセッションにいて、新しい知識を得て勉強になりました。妊娠糖尿病のADAのマニュアル Medical Management of Pregnancy では、食事指導に朝食を軽くすることが書いてあります。朝食後の血糖値が上がりやすいのでそうしているのだと理解していました。妊娠糖尿病の演題で引かれていた論文を読んでみました。

The Second-Meal Phenomenon in Type 2 Diabetes. Diabetes Care 2009; 32: 1199-1201
一般的に、朝食後に比べ、昼食後の血糖値が上がりにくい傾向があり、Second meal effect 呼ばれ、健常者で広く調べられてきた。 肥満のある糖尿病患者の食事負荷の検討でも、1)朝食あり 2)朝食なしで昼食をとったところ、1)に比べ、2)血糖上昇が著明。
遊離脂肪酸(FFA)が高いとインスリン感受性が低下する。
FFAは、朝食をとることにより昼食前は朝食前より低下していて、そのために昼食後の血糖値が上がりにくい。3)朝食なしでもアルギニンを静注し、FFAを抑えておくと、昼食後の血糖値上昇が抑えられた。
 

昼に比べ朝の血糖は上がりやすいので、食事療法で厳格な血糖コントロールを目指すためには、朝食を少なめにとることが必要で、妊娠糖尿病の食事指導の内容もそれに沿っていることが分かりました。
 
後は、インスリンアレルギーですが、インスリン抗体(IgE)ができた場合に、インスリンの減感作は再度のアナフィブラートなど難しい場合も多く、インスリン治療がどうしても必要か見極める必要があると感じた。
食事療法をきちんとすれば、食事療法と経口薬でコントロールできる症例も多いようでした。
インスリン製剤のゴム栓に対するアレルギーが報告されていて、つい製剤に注意が行きがちだけれどそれ以外にも注意が必要。
医師ブログ20100131

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妊娠糖尿病の食事療法

Lancetの妊娠糖尿病の総説から孫引きした論文。肥満の妊娠糖尿病の食事療法について興味がありまとめました。1)は、Diabetes Care なので、ADAの基本方針。
 
妊娠中の炭水化物摂取量は、175gを推奨。非妊娠時は130gで、胎児脳の発達に炭水化物が必要であるとのこと。血糖管理のため糖質制限する場合、極端に低くならないようにする目安となると思います。
 
妊娠中の付加エネルギーとしては、妊娠中期 340 kcal、妊娠後期 452 kcal
妊娠中食事量の正確な評価は難しいため、議論のあるところ (controversial)
1500から2800kcal の範囲で、安全な妊娠は可能ということです。
栄養指導の際に、固定した推奨カロリーを決めることにしていましたが、少し変えてみようと思う。
 
肥満女性の妊娠時の体重増加は 7kgにとどめる。(Institute of Medicine (IOM))の1990年の推奨。ADAの冊子2)にも同様に書いてありました。
IOM20095月改定版では、BMI30を超える場合、体重増加は5 kg-9kg 3)

妊娠中のケトンと児の発達については、1991年のNEJM2歳の時の発達スコアと妊娠3期の血漿beta-hydroxybutyrate および遊離脂肪酸が逆相関するという結果がある4)

1) Medical nutrition therapy and lifestyle interventions. Reader DM. Diabetes Care. 2007 Jul;30 Suppl 2:S188-93.http://care.diabetesjournals.org/content/30/Supplement_2/S188.full
2) Medical Management of Pregnancy Complicated by Diabetes. Third Edition. American Diabetes Association. 
3) 妊娠時の体重増加に関するIOM20095月改定版
http://www.iom.edu/Reports/2009/Weight-Gain-During-Pregnancy-Reexamining-the-Guidelines.aspx
4) Correlations between antepartum maternal metabolism and child intelligence.N Engl J Med 1991; 325: 911-916

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プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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