インクレチン関連薬の安全性 

FDA、EMA ともに、現時点では、”インクレチン関連薬治療と、膵がん、膵炎には因果関係がない。(no causal association) としている。最終的結論ではないという断りもあります。
 
① 18000匹の正常動物を用いたtoxic studyで、pancreatic toxic effect や、pancreatitisは見あたらない。
ラットとマウスで2年間、ヒトの臨床使用量を超えて治療しても薬剤由来の膵腫瘍はない。2年はそれらの動物の寿命に当たる。
 
② 化学物資誘導膵炎モデルマウス、Zucker diabetic fatty rat、高脂肪食で育てたC57BL/6マウスでエクゼナチド治療の結果、膵炎モデルマウス、糖尿病ラットではエクゼナチドによる膵障害は認められなかった。
高脂肪食マウス、エクゼナチド12週治療で、minimal-to-moderate background exacerbationが認められた。(病理所見は、Acinar cell hyperplasia, atrophy, periducal inflammation or fibrosis)これらの結果はさらに検討すべきである。
 
③シタグリプチンの 25の研究、14611人の解析で、膵炎、膵がんのリスク上昇はない。
SAVOR、EXAMINEにおける膵がん、膵炎の発症率は低く、ブラセボと同程度。
 
Pancreatic Safety of Incretin-Based Drugs — FDA and EMA Assessment N Engl J Med 2014; 370:794-797February 27, 2014DOI: 10.1056/NEJMp1314078



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欧州医薬品庁European Medicine Agency によるインクレチン治療に対する見解。

欧州医薬品庁European Medicine Agency によるプレスリリースです。
「インクレチン関連薬で、膵臓に対する副作用(pancreatic adverse events) のリスクが増加するという懸念は確証できない。」としています。
"The Committee concluded that presently available data do not confirm recent concerns over an increased risk of pancreatic adverse events with these medicines. "
クリニカルトライアルで少ないが膵炎が報告されているため、すべてのインクレチン関連薬に膵炎の警告を入れている。2014年に明らかになる大規模スタディにより、膵臓に対するリスクが明らかになる見込みです。

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インクレチン関連薬で、膵がん、膵炎リスクは増加しない。(NIDDK のミーティング)(改訂)

National Institute of Diabetes, Digestive and Kidney Diseases (NIDDK)のミーティングでは、インクレチン関連薬で膵がん、膵炎リスクが増加することはないという結果。インタビューをうけた二人の専門家が明らか にした。しかし最終的な結論にいたるには長期データが必要とのことです。(Medscape の記事より)

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インクレチン関連薬と膵炎、膵がんリスク(BMJ)

BMJは、インクレチン関連薬と膵炎、膵がんに関する2報を掲載、両者の直接の関連については否定している内容です。

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インクレチン治療とα細胞過形成、microadenoma

インクレチン治療歴のある脳死ドナー8例で、膵全体のmass が増加し、膵β細胞量は増加している。
α細胞の過形成も伴い、8例中1例にグルカゴンを産生するneuroendocrine adenoma が認められた。(Diabetes online first)

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リラグルチドと甲状腺がん、膵炎、心血管リスク

2010年1月にリラグルチドは日本、アメリカで認可された。リラグルチド治験中に、甲状腺髄様がん、膵炎の発症が指摘されていて、それらの現状について、FDAの見解が、NEJM online 版に掲載されています。Weighing Risks and Benefits of Liraglutide — The FDA’s Review of a New Antidiabetic Therapy

日本ではアメリカの半分の容量で認可され、吐き気などの副作用も少なかった模様。本文にもあるが、重症な吐き気が膵炎の症状であることも念頭に入れておかないといけないと思う。期待の高い薬剤ではあるが、インスリンに比べはるかに薬剤としての歴史は短いので、安全性について、長期データー蓄積が必要という印象を持ちました。

 

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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