糖尿病性腎症と酸化ストレス

腎症の講演会を聴いてきたまとめです。

高血糖下の酸化ストレスが腎障害を起こすメカニズム
ブドウ糖代謝の過程でDAGが産生され、PKCが活性化、NADPH oxidase によりROSが産生される。
 
Glucose→Glycerol-3-phosphate (G3P) →1-Acylglycerol 3-phosphate→1,2-Dyacylglycerol phosphate (phosphatidate) →1,2-Dyacylglycerol (DAG)→Triacylglycerol (TG)
 
DAG→protein kinase C (PKC)が活性化→NADPH oxidase活性化
 
NADPH oxidase は以下の反応でReactive Oxygen Spices (ROS) を賛成する。
2O2・+ NADPH→2O2- + NADP +H+
 
高尿酸血症では、Xythanthine oxidase (XO) により尿酸が産生される際に、H2O2が生じる。2)
                                    XO
Xanthine + H2O +O2  →  Uric Acid + H2O2
 
ビリルビンは抗酸化作用がある。3)
血液中のビリルビン値が高いほど、microalubuminuria からmacroalbuminuria へ移行するリスクが低下している。4)
 
スタチンは、NADPH 下流の Racを抑制し酸化ストレスを減弱する。5)
 
1. Inoguchi T et al.High glucose level and free fatty acid stimulate reactive oxygen species production through protein kinase C--dependent activation of NAD(P)H oxidase in cultured vascular cells. Diabetes. 2000 Nov;49(11):1939-45.

2. Harpers Illustrated Biochemistry

3. Inoguchi T, Sasaki S, Kobayashi K, Takayanagi R, Yamada T. Relationship between Gilbert syndrome and prevalence of vascular complications in patients with diabetes. JAMA. 2007 Sep 26;298(12):1398-400.

 4. Mashitani T, Hayashino Y, Okamura S, Tsujii S, Ishii H. Correlations between serum bilirubin levels and diabetic nephropathy progression among Japanese type 2 diabetic patients: a prospective cohort study (Diabetes Distress and Care Registry at Tenri [DDCRT 5]). Diabetes Care. 2014 Jan;37(1):252-8. doi: 10.2337/dc13-0407. Epub 2013 Sep 5.

5. Vecchione C, Gentile MT, Aretini A, Marino G, Poulet R, Maffei A, Passarelli F, Landolfi A, Vasta A, Lembo G. A novel mechanism of action for statins against diabetes-induced oxidative stress. 

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糖尿病性腎症に対するACE阻害薬とACE受容体阻害薬 (ARB) の併用

ロサルタンにリシノプリルを上乗せした試験、高カリウム血症と急性腎障害のリスクが上昇し早期中止。

血圧のさらなる低下は2 mmHg、eGFR の低下率は有意差なし。尿アルブミンクレアチニン比は併用療法で1年後に、併用療法の方がより低下する (p=0.001)。Renal outcome には影響しない。 
 

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日本人の糖尿病で、微量アルブミン尿以上の腎症は約40%

3月に聞いた腎症の二つの講演会のまとめです。
 
最近の新規透析導入患者数は横ばいとなってきた。
DCCT、steno2 研究以後、レニンアンギオテンシン系阻害薬の使用、血圧管理、脂質管理が行われてきた結果と考えられる。

糖尿病腎症は患者の約40%にみられる。1)
JDCS study で、蛋白尿への年間以降率は、0.67%
low-microalbuminuria グループ (30-150 mg/gCre) で1.85%、正常アルブミン尿 (< 30 mg/gCre)グループでは0.23%  2)

1. Microalbuminuria Is Common in Japanese Type 2 Diabetic Patients A nationwide survey from the Japan Diabetes Clinical Data Management Study Group (JDDM 10)  Diabetes Care April 2007 vol. 30 no. 4 989-992 
http://care.diabetesjournals.org/content/30/4/989.full

2003年以前に糖尿病と診断され、2004年1月から2005年7月に外来を受診した8897人、cross sectional study
Microalbuminuria 31%
clinical nephropathy 10.5%
微量アルブミン尿以上の糖尿病性腎症は、日本人の糖尿病患者で42.5%に認められる。

2. Low transition rate from normo- and low microalbuminuria to proteinuria in Japanese type 2 diabetic individuals: the Japan Diabetes Complications Study (JDCS) Diabetologia. 2011 May; 54(5): 1025–1031.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3071947/
尿アルブミン150 mg/gCre (17 mg/mmolCre) 未満の糖尿病患者で、8年間フォローアップ
タンパク尿への年間移行率は0.67%、
low-microalbuminuria グループ (30-150 mg/gCre) で1.85%、正常アルブミン尿(< 30 mg/gCre)グループでは0.23%

5月17日から19日は糖尿病学会@横浜です。
リウマチ学会では学会抄録がiPad のアプリ化されたということで、糖尿病学会でもと期待しましたが、アプリ化は行われずでした。これを持って歩くことにします。

追記 5/13
抄録アプリの配布が5/10より始まっていました。詳しくは糖尿病学会ホームページへ
さっそくアップルストアーから落としてみました。

20120504.jpg

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1型糖尿病で、強化療法による血糖コントロールは、impaired GFRを予防する。(DCCT/EDIC study)

DCCT/EDIC study の腎症解析結果で、DCCTの強化療法群は、従来療法に比べ、impaired GFR (< 60 ml/min/1.73m2) リスクが低い。
初期の1型糖尿病で、微小血管合併症がmild か、あるいは認められない症例を、22年もフォローアップして得られたデータは貴重であると思いました。(11月13日にアップした記事はわかりにくいので改定しました。)

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アリスキレン (ariskilen) のトライアル、ALTITUDE tudy は中止。

レニンブロッカー、アリスキレン (ariskilen) は、AVOID studyで血圧降下作用と独立したbenefit が認められていました。しかし、長期のトライアル、ALTITUDE studyでは、ACE阻害薬、ARBにアリスキレンを上乗せすると副作用が多く、スタディは中止となりました。

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ビタミンD受容体活性化は、アルブミン尿を減少させる。 (VITAL study)

VITAL study は、ビタミンD受容体活性化薬 paricalcitol 投与により尿アルブミンを減少させたという結果。この論文にビタミンD受容体活性化が腎臓病やvascular disease を改善させるメカニズムが書いてありました。

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Podocyte とアルブミン尿

NEJM11月18日号では、腎臓のインスリン抵抗性がアルブミン尿を生じさせるメカニズムを明らかにした論文をレビューしています。おおもとの論文はcell metabolismに掲載されていて、かなりストーリーが綺麗な論文だと思います。

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TREAT study エリスロポエチン製剤に対して、貧血が改善しない群は心血管イベントリスクが高い。

9/17に、この夏はじめて、インフルエンザ迅速キットでインフルエンザAを診断しました。季節型インフルエンザ(H3N2, H1N1)は夏には出なかったので、去年流行った新型インフルエンザH1N1の可能性が高い。今後発熱の若い人にはサーベイランスのためにインフルエンザ迅速キット検査を行っていこうと思います。

NEJM 誌に掲載されたTREAT (Trial to Reduce Cardiovascular Events with Aranesp Therapy) studyの続報を読んでみました。透析前にエリスロポエチン製剤を使う際、Hb13.5 mg/dl を越えると心血管イベントリスクが高くなるという報告があるけれど 3)、TRETstudy では、エリスロポエチン製剤に対する反応が悪いことが問題であるという結果です。

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慢性腎不全と高リン血症

高リン血症は慢性腎不全の二次性副甲状腺機能亢進症の原因となる。レビューを読んで勉強してみました。

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ACCOMPLISH-eGFRは、血行動態と関係する。

ACCOMPLISH study のCKDへの影響は、最近Lancetにpublishされた。エディトリアルまで読むと、この論文から、アムロジピンがハイドロクロロサイアザイド(HCT)より腎保護作用が優れているというメッセージは受け取れない。

CKDに関するエンドポイントは、血中クレアチニンが倍になるか、eGFR < 15 ml/min/1.73 m2、あるいは透析となっていた。CKDの中で、糖尿病の割合は、benazepril+アムロジピン 335/561、benazepril+HCT 309/532。


エディトリアルには、HCT併用で、最初の3カ月にeGFRが低下し、その後緩やかにeGFRが低下するグラフがでていて、3か月以降の傾きはアムロジピンとほぼ同じ。


エディトリアルの筆者は、「エンドポイントをeGFR 低下にしているため、アムロジピンがHCTより有効とされたが、eGFRの低下は血行動態によるものであり、腎への構造的な保護作用ではない。
としています。3か月以後のeGFRの傾きから、HCTとアムロジピンに腎保護作用の違いはないということです。
降圧効果も、65歳以上のCKD群では、アムロジピン併用で、血圧が低くコントロールできていた。

CKD進行予防には、RAS阻害薬を使いつつ、より血圧をコントロールするということになるのではないでしょうか。


1) Renal outcomes with different fixed-dose combination therapies in patients with hypertension at high risk for cardiovascular events (ACCOMPLISH): a prespecified secondary analysis of a randomised controlled trial

2) Effects of Blood Pressure Level on Progression of Diabetic Nephropathy: Results From the RENAAL Study Arch Intern Med. 2003;163:1555-1565.

3) Effect of Ramipril vs Amlodipine on Renal Outcomes in Hypertensive Nephrosclerosis: A Randomized Controlled Trial JAMA. 2001;285:2719-2728.

医師ブログ20100225キューピー減塩食
  友人に送るためレトルトの減塩食を初めて購入。塩分1.5g前後。

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プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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