FC2ブログ

メトフォルミンはミトコンドリアグリセロール3リン酸 デヒドロゲナーゼ(glycerol- 3-phosphate dehydrogenase (GPD2) の機能を抑制し、乳酸とグリセロールからの糖新生を抑制する。

メトフォルミンは、ミトコンドリアComplex I を阻害し、ATP:ADP、ATP:AMP を減少させ、AMP kinase (AMPK)-Thr172 のリン酸化を促進する。AMPKは糖新生を担う酵素の転写を抑制する。

AMPKは、acetyl-CoA carboxylase 1 (ACC1) Ser79 、ACC2 Ser212をリン酸化し、ACC1およびACC2を抑制する。ACC1はacetyl–CoA から脂肪酸合成の前駆物質である malonyl–CoA への変換をおこなう。ACC2はミトコンドリアに存在し、脂肪酸のミトコンドリアへ輸送を阻害する。ミトコンドリアでは脂肪酸のβ酸化がおこる。AMPKの活性化は、ACC1、ACC2の抑制を介して、Malonyl-CoA からの脂肪合成を抑制し、ミトコンドリアでのβ酸化が亢進する。

<メトフォルミンはミトコンドリアのグリセロール3リン酸 デヒドロゲナーゼを抑制し、肝臓の糖新生を低下させる。>
臨床で使われるメトフォルミンの薬剤濃度では、energy charge および AMP濃度の変動がみとめられないとされている。

Madirajuらは、メトフォルミンがミトコンドリアのグリセロール3リン酸 デヒドロゲナーゼ(glycerol- 3-phosphate dehydrogenase (GPD2) ) の機能を抑制することを明らかにした。この酵素は、細胞質とミトコンドリアの間のシャトルのうちのひとつ、α-グリセロールリン酸シャトルで重要な役割を果たしている。α-グリセロールリン酸シャトルとマレイン酸アスパラギン酸シャトルは、還元当量を細胞質からミトコンドリアに転移させ、細胞質の酸化還元バランス(redox balance) を変化させる。

メトフォルミンは、乳酸とグリセロールからの糖新生を抑制するが、ピルビン酸やアラニンの糖産生は抑制しない。ACC1とACC2のノックインマウスの結果から、臨床で使われる濃度で、メトフォルミンによる肝糖産生抑制は、ACCに依存したものではなく、肝臓の糖産生にかかわる酵素活性の減弱によるものでもない。

Madiraju AK et al. Metformin inhibits gluconeogenesis via a redox-dependent mechanism in vivo. Nat Med. 2018 Jul 23. doi: 10.1038/s41591-018-0125-4. [Epub ahead of print]

Madiraju AK et al. Metformin suppresses gluconeogenesis by inhibiting mitochondrial glycerophosphate dehydrogenase. Nature. 2014 Jun 26;510(7506):542-6.

Baur JA, Birnbaum MJ. Control of gluconeogenesis by metformin: does redox trump energy charge? Cell Metab. 2014 Aug 5;20(2):197-9.

Fullerton MD et al. Single phosphorylation sites in Acc1 and Acc2 regulate lipid homeostasis and the insulin-sensitizing effects of metformin Nat Med. 2013 Dec;19(12):1649-54.

Shaw RJ. Metformin trims fats to restore insulin sensitivity Nat Med. 2013 Dec 5;19(12):1570-2.

メトフォルミンは脂質を減らしインスリン感受性を回復させる

メトフォルミンはmGPDを抑制し糖新生低下させる

メトフォルミンが、mGPDを抑制し、糖新生低下させる。

メトフォルミンは、レドックスシャトルの酵素、mitochondrial glycerol-3-phosphate dehydrogenase (mGPD) を抑制、糖新生を低下させ血糖値を改善させると報告された。1)
 
Cell Metabolism では解説を掲載
① グリセロール3リン酸→DHAP→gluconeogenesis
② シャトルは、NADH→NADという反応を伴っており、mGPD 抑制により、NADHが蓄積、lactate dehydrogenase 上昇、ピルビン酸低下、乳酸上昇となり、ピルビン酸からの糖新生が抑制される。
 
この二つの経路で、メトフォルミンが糖新生抑制を介し、血糖値を下げるという考察でした。2) 
 
1. Madiraju AK et al. Nature. 2014 Jun 26;510(7506):542-6. Metformin suppresses gluconeogenesis by inhibiting mitochondrial glycerophosphate dehydrogenase.

2. Baur JA, Birnbaum MJ. Cell Metab. 2014 Aug 5;20(2):197-9. Control of gluconeogenesis by metformin: does redox trump energy charge?



プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

最新記事
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
178位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
自然科学
19位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム