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リノール酸のバイオマーカーは2型糖尿病リスクと逆相関する

10か国、20プロスペクテイブコホートスタディの結果で、総脂肪酸に対するリノール酸バイオマーカーの比率が高い群では2型糖尿病リスクが低い。
リノール酸はアラキドン酸に代謝される。アラキドン酸のバイオマーカーと糖尿病リスクは関連しない。

PUFAs は炭水化物や飽和脂肪酸に比べ血糖値を改善、インスリン分泌、インスリン抵抗性を改善する。
リノール酸がリン脂質への取り込まれることにより膜の流動性 fluidity が変化し、インスリン受容体を変化 させるかもしれない。
リノール酸はナッツ、ヒマワリ油やコーンオイルに含まれる

Wu JHY et al. Omega-6 fatty acid biomarkers and incident type 2 diabetes: pooled analysis of individual-level data for 39 740 adults from 20 prospective cohort studies Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 Dec;5(12):965-974

Kroger J, Jacobs S, Jansen EH, Fritsche A, Boeing H, Schulze MB. Erythrocyte membrane fatty acid fluidity and risk of type 2 diabetes in the EPIC-Potsdam study. Diabetologia 2015; 58: 282–89


リノール酸 linoleic acid 18:2(n-6)
α-リノレン酸 α-linoleic acid 18:3(n-3)


地中海食と心血管イベント抑制効果 (PREDIMED study)

心血管イベントの既往がなく糖尿病も含む集団7447人で、地中海食が低脂肪食に比べ心血管イベントを3 /1000 person per years 抑制する。(PREDIMED Study, NEJM online first)   低脂肪食では、すでに心血管イベント抑制が示されている魚の脂、オリーブオイル、ナッツを避ける設定で、低脂肪食には不利な条件でした。質の高い脂質を取るということが重要と思います。
まとめ
心血管イベントリスクが高いが既往がなく、2型糖尿病が46-50%含まれる7447人で、エネルギー制限のない地中海食にエクストラバージンオリーブオイルあるいはナッツの補充と低脂肪食の比較、4.8年のフォローアップ
 
288のプライマリーアウトカム (Major cardiovascular events) で、 
96 地中海食+エクストラバージンオリーブオイル、 93地中海食+ナッツ、109低脂肪食
地中海食は、Major cardiovascular events を 3 /1000 person per years 抑制する。
 
地中海食、オリーブオイル、くるみはそれぞれ心血管イベントリスクの減少効果が知られている。クルミは植物に含まれるオメガ3不飽和脂肪酸であるα-linoleic acid を含む。
 
<地中海食>
オリーブオイル >ティースプーン4杯/日
ナッツ         >3回/週
フルーツ       >3回/日
野菜          >2回日
Fatty fish 、シーフード、鳥肉をそれぞれ週3回は食べる
white meet をとる
食事時のワイン   >7杯/週
 
<低脂肪食>
低脂肪の食品をとる
パン、パスタ、米   >3回/日
フルーツ       >3回/日
野菜          >2回日
Lean fish とシーフード >3回/週
オリーブオイルなど食物油は取らない
Nutsは避ける
 
二つの食事で共通して避けるもの
炭酸飲料水 (soda drinks)
市販のお菓子、スイーツ、ペイストリー (commercial bakery goods, sweets, and pastries)
Spread fats
加工肉
-------------------------------------------------------------------------------------------
 
なぜオメガ3脂肪酸がよいのか
オメガ3脂肪酸は抗不整脈作用、血小板凝集抑制作用、血管拡張作用、抗増殖作用、プラーク安定化などが認められる。2)
"N-3 polyunsaturated fatty acids have antiarrhythmic effects and other beneficial effects,such as reduced platelet aggregation, vasodilation, antiproliferation, plaque-stabilisation,and a reduction in lipid action."  
 
オリーブオイルは一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)が主体、ポリフェノールを含む。4)

α-Linoleic acid は omega-3 fatty acids で、くるみや、 Canola 西洋アブラナ、Flaxseed  亜麻などの食物油に含まれる。5)
 
低脂肪食と地中海食の違いは、低脂肪食でオリーブオイルなど食物油、オメガ3脂肪酸を含むFatty fish、ナッツ類を取らないこと。これらはすでに心血管保護効果が示されているので、これらの制限が二つの食事で心血管イベントに差が付いた理由となっており、低脂肪食は不利な条件だったと思います。今後はオメガ3脂肪酸をさけるようなスタディは倫理的に困難という印象を受けました。
 
動脈硬化学会は、伝統的な日本食が動脈硬化性疾患を防ぐとして推奨している。6)
和食に、二つの食事で共通で避けている炭酸飲料、お菓子類、加工肉を避け、オメガ3多価脂肪酸を含む品目をとりいれるのが実践しやすいやり方かと思います。
 
1. Estruch R et al. Primary prevention of cardiovascular disease with a Mediterranean diet. N Engl J Med. 2013 Apr 4;368(14):1279-90. doi: 10.1056/NEJMoa1200303. Epub 2013 Feb 25.

2. Effects of eicosapentaenoic acid on major coronary events in hypercholesterolaemic patients (JELIS): a randomised open-label, blinded endpoint analysis Lancet 2007; 369: 1090–98

3. Fat and Lean Fish
http://www.fooduniversity.com/foodu/seafood_c/resources/composition/fat_lean.htm
Fatty fish (マグロ、サーモン、イワシ、ニシンなど)
Lean fish (ヒラメ、タラ、カレイ、スズキなど)

4. Olive oil
http://en.wikipedia.org/wiki/Olive_oil 
 
5.Omega-3 fatty acids, fish oil, alpha-linolenic acid 
http://www.mayoclinic.com/health/fish-oil/NS_patient-fishoil 
 
4. 日本動脈硬化学会(編): 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版. 日本動脈硬化学会, 20
http://www.j-athero.org/publications/guideline.html
動脈硬化学会は、伝統的な日本食を推奨。「伝統的な日本食では、主に飽和脂肪酸を肉類(獣鳥)、一価不飽和脂肪酸を肉類、魚類と食物油、n-6系多価不飽和脂肪酸を食物油と大豆製品、n-3系多価不飽和脂肪酸を海産物と食物から摂取している。ただし日本食の欠点は塩分摂取量が多くなることであり、減塩を心がける必要がある。」

追記 (2016/11/7)
PREDIMED スタディ、4.8年のフォローアップの結果、オリーブオイルの摂取群でコントロールに比べ体重が、-0.48kg ( p=0·044)、 ナッツ群は-0.08kg (p=0·73)、腹囲がオリーブオイルで -0·55 cm (p=0·048)、ナッツ群で-0·94 cm (p=0·006) となった。

Estruch R et al. Effect of a high-fat Mediterranean diet on bodyweight and waist circumference: a prespecified secondary outcomes analysis of the PREDIMED randomised controlled trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2016 Aug;4(8):666-76

 


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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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