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GDF15とメトフォルミン

GDFは食欲抑制を示し、メトフォルミン服用によりGDF血中濃度の増加が示されている。

まとめ
GDF15は25kDaの分泌タンパクで、血中GDF15の上昇は体重減少と関連している。ヒト以外霊長類のモデルで、GDF15の投与は食欲低下作用を示す。

GDF15の受容体、GDNF family receptor α-like (GFRAL)は、最後野 (the area postrema)、孤束核 (the nucleus of the solitary tract)に発現している。GDF15 の食欲低下作用は、GFRAL を介している。
GFRALのないマウスで、レプチンとGLP-1は食欲低下作用を示すため、GDF15-GFRAL system は、レプチンやGLP-1の経路とは独立している。

ORIGIN study でメトフォルミンとバイオマーカーを測定した結果、メトフォルミン服用により、血中GDF15レベルが増加する。メトフォルミンがGDF15の分泌を刺激するか、あるいは分泌抑制を解除すると考えられている。

Cimino I, Coll AP, Yeo GSH. GDF15 and energy balance: homing in on a mechanism. Nat Med. 2017 Oct 6;23(10):1119-1120

Gerstein HC et al. Growth Differentiation Factor 15 as a Novel Biomarker for Metformin. Diabetes Care. 2017 Feb;40(2):280-283. 

肥満手術により腸管の食欲制御が変化する

肥満手術後に体重と摂餌量が減少、脂肪食の嗜好は低下する。
この効果には、脂肪食に反応したオレオイルエタノールアミン産生の増加、腸管のPPARα、迷走神経、背側線条体ドーパミン1受容体シグナリングが関与する。

まとめ
オレオイルエタノールアミンoleoylethanolamine (OEA)は、脂肪食に反応し腸管で脂肪酸から産生される。
OAEは、fat satiety moleculeである。

OEAは、PPARαのligandの一つである。腸管のPPARαを活性化は迷走神経を介して脳内報酬系を担う背側線条体のドーパミン放出 (dorsal striatal dopamine release)を増強し脂肪に対する食欲を抑制する、
肥満者では、オレオイルエタノールアミンよる報酬系を介した食欲抑制作用が低下している。

肥満手術を受けたラットでは、高脂肪食摂取後のOAE産生が増加し、背側線条体のドーパミン放出が増加した。脂肪食30分でのエネルギー摂取はコントロールに比べ低下する。高脂肪食嗜好は抑制される。
迷走神経切断により、肥満手術による脂肪食摂取後の背側線条体ドーパミン放出の亢進と摂取エネルギーの抑制は消失する。
PET scan で、肥満手術により、線条体でドーパミン1受容体の活性化が示されている。
コントロールマウスで背側線条体ドーパミンの抑制では脂肪食に対する嗜好は変化しない。

Hankir MK et al. Gastric Bypass Surgery Recruits a Gut PPARa-Striatal D1R Pathway to Reduce Fat Appetite in Obese Rats Cell Metabolism 2017 Feb 7;25(2):335-344.

Caligiuri S Kenny PJ. Bariatric Surgery Restores Gut-Brain Signaling to Reduce Fat Intake Cell Metab. 2017 Feb 7;25(2):221-222

 

食欲制御

食欲は脳内では3つの部位で制御されている。

1)Homeostatic Center
弓状核 (arcuate nucleus) をはじめとする視床下部

2)”Pleasure” or “Reward” Center 報酬系 (reward system)を担う
大脳辺縁系 limbic system
黒質緻密部 substantia nigra pars compacta (A9)−背側線条体 (被殻 putamen と尾状核 caudate nucleus)
腹側被蓋野 ventrotegmental area (A10) −腹側線条体(側坐核)

3)Executive center
前頭前野 Prefrontal area
全帯状回 Anterior cingulate cortex

Bray GA. Is Sugar Addictive? Diabetes. 2016 Jul;65(7):1797-9.

Clemmensen C et al. Gut-Brain Cross-Talk in Metabolic Control. Cell. 2017 Feb 23;168(5):758-774.

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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