FC2ブログ

小児糖尿病性ケトアシドーシスの治療

小児の糖尿病性ケトアシドーシスで、0.9% あるいは0.45%生理食塩水のどちらを使っても、2種類の輸液速度 (fast あるいはslow)に関わらず意識レベルの低下や、ケトアシドーシス治療中の脳損傷や短期記憶障害、ケトアシドーシスから回復後の記憶、IQに影響しなかった。

脳浮腫は、浸透圧より低酸素やperfusionとreperfusion により生じる血管内皮細胞の浸出液による。
脳機能の障害はアシドーシスやPCO2の低下と関連している。

Kuppermann N et al. Clinical Trial of Fluid Infusion Rates for Pediatric Diabetic Ketoacidosis. N Engl J Med. 2018 Jun 14;378(24):2275-2287

糖尿病性ケトアシドーシスのレビュー2

アシドーシスに対する重炭酸bicarbonate の補充
Plasma pH 6.9 以下でなければ、sodium bicarbonate を投与すべきでないというコンセンサスがあるが、これは individualized されるべき。

ketoacids は主に脳と腎臓で消費される。
脳は、ketoacidsを800 mmol/日で消費、
腎臓は、250 mmol/日消費、 200 mmol/日排泄する。

eGFR 30 ml/min 未満では Sodium bicarbonate を 60 mmol per hour で投与を考慮する。
Clinical trial で、benefit は示されていない。

小児科の患者の他施設、ケースコントロール、レトロスペクティブスタディで、来院時PCO2が低く、BUNが高い場合、sodium bicarbonate の治療を受けとき、脳浮腫の発症リスクが有意に上昇した。sodium bicarbonate 投与が脳浮腫の原因なのか交絡因子であるかの解析はされていない

Kamel KS, Halperin ML. Acid-base problems in diabetic ketoacidosis. N Engl J Med. 2015 Feb 5;372(6):546-54. doi: 10.1056/NEJMra1207788.

糖尿病性ケトアシドーシスのレビュー1

コントロールされていない糖尿病では、sodium ketoacid saltsが上昇し、アルドステロンの作用によりカリウム排泄は増加、全身のカリウム量は低下している。

ナトリウム、カリウム
コントロールされていない糖尿病では、尿細管での高浸透圧によりナトリウムと水の再吸収が減少し、尿量が増加する。(浸透圧利尿)

浸透圧利尿により循環血液量が減少、レニン活性上昇とアルドステロン増加している。
アルドステロンは尿細管細胞膜で Na+-K+ exchanger の活性をあげる。4)
遠位尿細管では、sodium ketoacid salts (β-hydroxybutylate- とNa+) のためナトリウムの供給が増え、アルドステロンの作用によりカリウム排泄が上昇している。

糖尿病性ケトアシドーシスでは高カリウム血症が認められることがあるが、カリウム排泄は増加し、全身のカリウム量は減少している。

重炭酸 Bicarbonate
Extracellular fluid bicarbonate concentration [HCO3−] = extracellular fluid HCO3− content ÷ extracellular fluid volume.
脱水により[HCO3−] は見かけ上高値を示す。

肝臓でβ-hydroxybutyric acid が産生される。重炭酸(HCO3−) はβ-hydroxybutyric acidより生じる水素イオン (hydrogen ion) により消費される。
β-hydroxybutyric acid →β-hydroxybutylate anion ( β-HB-) + H+
NaHCO3 → Na+ + HCO3-
H+ + HCO3 → H2O +CO2  肺から放出
β-hydroxybutylate- とNa+ は尿から排泄される。

1 Palmer BF, Clegg DJ. Disorders of Fluids and Electrolytes: Electrolyte and Acid–Base Disturbances in Patients with Diabetes Mellitus N Engl J Med. 2015 Aug 6;373(6):548-59. doi: 10.1056/NEJMra1503102.

2 Kamel KS, Halperin ML. Acid-base problems in diabetic ketoacidosis. N Engl J Med. 2015 Feb 5;372(6):546-54. doi: 10.1056/NEJMra1207788.

3 浸透圧利尿 日本救急医学会のHPより

4 Ganong’s Review of Medical Physiology 24th Edition, LANGE Basic Science
 
プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

最新記事
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
108位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
自然科学
13位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム