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ロタウイルスワクチンの完全摂取は1型糖尿病の発症率を低下させる。

2001から2007年、登録時1歳未満、1,474,535人、ロタウイルスワクチン接種と1型糖尿病の関連を検討した。

2006年に導入されたpentavalent RotaTeqは、2、4、6ヶ月時の3回接種
2008年に導入されたmonovalent Rotarix は、2、4ヶ月の2回接種

ワクチン接種を完全におこなった場合、未接種に比べ1型糖尿病の発症リスクは31%低下する。
pentavalent RotaTeq の完全接種では、発症リスクは37%低下する。
ワクチン接種が完全でない場合partial vaccination は1型糖尿病発症に影響しない。

アメリカでは2006年から2017年の期間、0から4歳の1型糖尿病の1年あたりの発症率は3.4%減少した。これは2006年から導入されたロタウイルスワクチンの影響と考えられる。


Rogers MAM et al. Lower Incidence Rate of Type 1 Diabetes after Receipt of the Rotavirus Vaccine in the United States, 2001-2017. Sci Rep. 2019 Jun 13;9(1):7727. doi: 10.1038/s41598-019-44193-4

抗CD3モノクローナル抗体 teplizumab は1型糖尿病の発症を遅延させる。

二つ以上の膵島自己抗体陽性で耐糖能異常のある1型糖尿病患者の血縁者に対して抗CD3モノクローナル抗体teplizumab の14日間の投与と行なった。teplizumab は、1型糖尿病の発症を遅延させた。teplizumab は、T細胞のサブセットを変化させT細胞の反応を抑制する。

対象
8歳以上、1型糖尿病の血縁者、
・二つ以上の膵島関連自己抗体を有している。
・空腹時血糖値110から125 mg/dl 糖負荷試験2時間血糖値144から200 mg/dl 未満あるいは30、60、90分で200 mg/dl以上

18歳以下、糖負荷試験1ポイント以上の異常を対象にした場合、糖負荷試験結果の有無では、1型糖尿病発症に差がなかったため、2014年にプロトコールが変更された。
teplizumabあるいはプラセボを14日間外来で投与後、6ヶ月ごとに糖負荷試験をおこなう。

42人が1型糖尿病を発症、teplizumab 19/44 43%、プラセボ23/32 72% 、1型糖尿病発症まで、teplizumabは48.8ヶ月、プラセボは24.4ヶ月であった。

ZnT8抗体陰性、HLA-DR3をもたずHLA-DR4を有している人、糖負荷試験のCPRが平均より低い人に1型糖尿病発症遅延効果を示した。

teplizumab 投与後、T-cell unresponsiveness に関与する CD+8 T cell subset (TIGIT+KLRG1+EOMES+ CD8+ T cells) が増加する。

teplizumabによるリンパ球減少は第45日目までに改善する。

抗CD3モノクローナル抗体 は、Epstein–Barr virus (EBV) の再活性化をおこすことが知られている。EBV抗体陽性は30人(teplizumab 16人、プラセボ14人)、EBV DNAは、teplizumab群の8例で陽性となった。そのうち1例はDay38に咽頭炎と鼻汁があり、Day43から134の間にEBV DNAは測定感度以下になった。
サイトメガロウイルス抗体は、エントリ時に、teplizumab10人、プラセボ7人で陽性、teplizumab 投与後、1例でサイトメガロウイルス DNAがDay22で測定可能になりDay42で感度以下となった。

Herold KC et al. An Anti-CD3 Antibody, Teplizumab, in Relatives at Risk for Type 1 Diabetes. N Engl J Med. 2019 Jun 9. doi: 10.1056/NEJMoa1902226. [Epub ahead of print]

カルシウム拮抗薬が発症初期の1型糖尿病のβ細胞を保護する。

カルシウム拮抗薬は、β細胞のアポトーシスの原因となるthioredoxin-interacting protein (TXNIP)の発現を抑制する。
発症3ヶ月以内の1型糖尿病患者で1年間のverapamil服用はプラセボに比へインスリン分泌低下を抑制した。

まとめ
高血糖下のβ細胞ではthioredoxin-interacting protein (TXNIP)が増加する。
TXNIPは、thioredoxinと結合し、細胞内の酸化ストレスを促進する。
TXNIPの過剰発現は、β細胞のアポトーシスを誘導する。
カルシウム拮抗薬(verapamil、diltiazem)が心筋細胞、膵β細胞株、膵島でTXNIPの発現とアポトーシスを抑制する。

発症3カ月以内の1型糖尿病、18-44歳、食事負荷テストで、C-peptide >_0.2 ng/L、少なくとも一つ以上1型糖尿病関連自己抗体陽性、徐放型Verapamil 1日1回あるいはプラセボを1年間投与した。(11人verapamil、13人プラセボ)
verapamil群で、3ヶ月、12ヶ月で食事負荷後の C-peptide area under curveが広く、インスリン必要量と低血糖頻度が少ない。

Ovalle F et al. Verapamil and beta cell function in adults with recent-onset type 1 diabetes Nat Med. 2018 Jul 9. doi: 10.1038/s41591-018-0089-4. [Epub ahead of print]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29988125/
https://www.nature.com/articles/s41591-018-0089-4

Chen J, Saxena G, Mungrue IN, Lusis AJ, Shalev A. Thioredoxin-interacting protein: a critical link between glucose toxicity and beta-cell apoptosis. Diabetes 2008;57:938–944

Xu G, Chen J, Jing G, Shalev A. Preventing beta-cell loss and diabetes with calcium channel blockers. Diabetes. 2012 Apr;61(4):848-56. doi: 10.2337/db11-0955.

Zhou R, Tardivel A, Thorens B, Choi I, Tschopp J. Thioredoxin-interacting protein links oxidative stress to inflammasome activation. Nat Immunol 2010;11:136–140
 

乾癬治療薬 Alefaceptが、発症早期1型糖尿病でインスリン分泌低下抑制を示す。

乾癬の治療薬であるAlefacept が、発症100日以内の1型糖尿病で、52週後の内因性インスリン分泌の保持に効果を認めたという報告、Phase 2 studyです。(Lancet Diabetes and Endcrinology)

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1型糖尿病に対するGADワクチン療法2 (スウェーデンのグループ)

GDAワクチン療法はアメリカとスウェーデンのグループがトライアルを行っている。
アメリカのType1 Diabetes TrialNet GAD study group の結果は、Lancetに既に掲載。positive な結果を示せなかった。

一方、Sweden グループのPhase 2 の結果は、抗GADワクチン群で、Fasting C peptide level のdecline を防ぎ、Mixed meal test の2時間値が有意に高いという結果で、Promising efficacyを示していた。


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Abataceptによる1型糖尿病免疫介入

先週に引き続き、1型糖尿病進行予防の研究。
Cytotoxic T-lymphocyte antigen 4 (CTLA4)  immunoglobulin fusion proteinであるabataceptを発症直後の1型糖尿病患者に投与、食事負荷後のCPR AUC低下を遅らせたが、コントロールに比べ、CPR AUC 低下の傾きは同じという結果です。

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1型糖尿病に対するGADワクチン療法

Lancet 7月23日号には、1型糖尿病に対するGADワクチン療法について掲載。negative な結果でも、得られた情報は多い。

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カゼイン加水分解ミルクと膵島自己抗体

HLA genotype から1型糖尿病にかかりやすいとされる(susceptible) 新生児に、カゼイン加水分解ミルクを与えることで、膵島自己抗体の発現は抑制されたが、1型糖尿病の発症率は変わらず。
NEJM 2010年11月11日号にはフィンランドで行われたパイロットスタディの結果を掲載、より大規模のthe Trial to Reduce IDDM in the Genetically at Risk (TIGER) study が進行中でその結果を待つことになります。

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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