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SGLT2阻害薬は肝臓のトランスアミナーゼ値を改善する。

・EMPA-REG OUTCOME trialの解析結果で、 EmpagliflozinによりALT優位のトランスアミナーゼの改善が認められる。
ALT値で三分割した最も高い群 (Tertile 3)では、他の群に比べALT値がより低下する。1)

・omega-3 (n-3) carboxylic acids (OM- 3CA)、dapagliflozin、OM-3CAとdapagliflozin 、プラセボの12週間の比較試験で、OM-3CAとdapagliflozin併用により、MRIで測定した肝脂肪量がベースラインに比べ減少した。dapagliflozin 単独では、ALT、AST、γGTP、などhepatocyte injury biomarker とFGF21が低下した。メタアナリシスでOM-3CAは体重減少がなくともNAFLDの肝臓の脂肪量を減少させると報告されている。FGF21高値は、NASHやミトコンドリア機能不全と関連する。2)

1 Sattar N et al. Empagliflozin is associated with improvements in liver enzymes potentially consistent with reductions in liver fat: results from randomised trials including the EMPA-REG OUTCOME® trial. Diabetologia. 2018 Jul 31. doi: 10.1007/s00125-018-4702-3. [Epub ahead of print]

2 Eriksson JW et al. Effects of dapagliflozin and n-3 carboxylic acids on non-alcoholic fatty liver disease in people with type 2 diabetes: a double-blind randomised placebo-controlled study. Diabetologia. 2018 Sep;61(9):1923-1934. doi: 10.1007/s00125-018-4675-2. Epub 2018 Jul 3.

血漿量減少が、EMPA-REG OUTCOME試験の心血管死亡リスク減少に強く関与する。

EMPA-REG OUTCOME試験の心血管死亡のハザード比に関して、Cox 回帰モデルの解析ではヘマトクリットとヘモグロビンの寄与が大きい。尿酸値、空腹時血糖値、A1C は Smaller mediation effects で寄与する。

多変量回帰分析 (multivariable models) では、ヘマトクリット、空腹時血糖値、尿アルブミン・クレアチニン比が心血管死亡減少に関連している。

血漿量(plasma volume) 変化のマーカーが、EMPA-REG OUTCOME試験の心血管死亡リスク減少に関与している。

Inzucchi SE et al. How Does Empagliflozin Reduce Cardiovascular Mortality? Insights From a Mediation Analysis of the EMPA-REG OUTCOME Trial. Diabetes Care. 2017 Dec 4. pii: dc171096. doi: 10.2337/dc17-1096. [Epub ahead of print]

エンパグリフロジンの腎保護作用

心血管イベントハイリスクの2型糖尿病患者で、エンパグリフロジンは、プラセボに比べ腎症の進行を遅らせる。

EMPA-REGは、心血管イベントハイリスクの2型糖尿病患者対象としたエンパグリフロジンとプラセボの比較、フォローアップ3.1年。エンパグリフロジン群で、心血管死、心不全による入院、全死亡が有意に少ない。さらに低血糖の頻度が少なく、体重、血圧は低下する。
secondary outcome で、糖尿病性腎症の悪化のハザード比は 0.61、血中クレアチニン値の2倍上昇、Renal replacement therapy のリスク低下は、それぞれ44%、55% であった。

エンパグリフロジンの腎保護作用では、腎血管への直接作用が重要な役割を果たしていると考えられている。
エンパグリフロジンは、遠位尿細管でナトリウムの再吸収を抑制する。その結果、近位の macula densaでナトリウム供給が増え、輸入細動脈の血流が変化し (afferent modulation)、 hyperfiltration が低下する。
Renin-Angiotensin-aldosterone system (RAAS) 阻害薬は、輸出細動脈を拡張し、糸球体内圧を低下させ、腎保護作用を示す。EMPA-REGでは、RASS阻害薬と併用でもエンパグリフロジンが腎保護作用を示した。

一方、糸球体内圧を低下させるにもかかわらずアルブミン尿の頻度を抑制することはできなかった。 (マクロアルブミン尿への進行は抑制)

Empagliflozin and Progression of Kidney Disease in Type 2 Diabetes

エンパグリフロジンと心血管死の減少 EMPA-REG OUTCOME

エンパグリフロジン10mg、25mg、プラセボの比較 1:1:1で割り付け
7020人 3.1年の観察期間、治療期間は2.6年、最初の12週はバックグラウンドの治療を変えない

プラセボに比べ、エンパグリフロジンでは、心筋梗塞、脳卒中の発症率は変わらない。
心血管死、心不全による入院、全死亡が有意に少ない。
心血管死38%、心不全による入院35%、全死亡32%のリスク減少を示した。
狭心症による入院は差がない

心血管病の既往があり、脂質、高血圧治療を受けている患者で、38%も心血管死亡リスクか低下した理由は 多面的で (multidimensional)、
・arterial stiffness、心機能、交感神経非活性時における心酸素必要量の変化

・Cardiorenal effects (尿アルブミン減少、尿酸値減少)

・Established effects (高血糖、体重、内臓脂肪、血圧の改善)
が推測される。

Zinman B et al. Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes.
N Engl J Med. 2015 Sep 17. [Epub ahead of print]


プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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