1型糖尿病で、異なるopen reading frame で読み込まれたインスリン遺伝子由来のペプチドが抗原性をしめす。

 インスリン遺伝子がリボゾームで異なるopen reading frameで読み込まれ生じたタンパク(defective ribosomal products, DRiP) は、プロテアソームで分解されペプチドとなりendoplasmic reticulum に移動する。このペプチドはMHC class I のligandとなり、CD8+ T cell に認識される。

Kracht MJ et al. Autoimmunity against a defective ribosomal insulin gene product in type 1 diabetes. Nat Med. 2017 Apr;23(4):501-507. 

Wei J, Yewdell JW. Autoimmune T cell recognition of alternative-reading-frame-encoded peptides Nat Med. 2017 Apr 7;23(4):409-410. 

β細胞は特有の分子の遺伝子発現を低下させ免疫的攻撃から逃れている

β細胞は、β細胞特有の遺伝子発現を低下させ、免疫的攻撃から逃れている。
NODマウスのβ細胞を経時的にFACSで解析しB6マウスと比較した。

Rui J et al. β Cells that Resist Immunological Attack Develop during Progression of Autoimmune Diabetes in NOD Mice. Cell Metab. 2017 Mar 7;25(3):727-738. 

MiniMed640GはSAPに比べ低血糖を減少させる。

予測低血糖マネージメント predictive low-glucose management (PLGM) 機能を搭載したMiniMed640Gは、sensor-augmented insulin pump (SAP)に比べ、夜間及び日中の低血糖イベントを減少させる。小児で、14日間のスタディ。

Tadej Battelino et al. Prevention of Hypoglycemia With Predictive Low Glucose Insulin Suspension in Children With Type 1 Diabetes: A Randomized Controlled Trial Diabetes Care 2017 Mar; dc162584. 

リブレ Libre は、血糖値70mg/dlの時間を減少させる。

リブレ(Libre) は、皮膚に挿入したセンサーにかざすだけで血糖値をモニターできる。(flash sensor-based monitoring)
1型糖尿病、
A1C 7.5% 未満、リブレ 120人、SMBG 121人、6ヶ月の使用の比較、プライマリーアウトカムは血糖値70mg/dl 未満の時間とした。全例がリブレをマスクモードで14日間使用しベースラインデータとする。

ランダマイズ後、リブレ群は血糖値データーを見ることができる。希望があればデバイスソフトウエアを使って自宅で血糖値レビューを行う。コントロール群はマスクモードのままSMBGを行う。

血糖値 70mg/dl 未満の時間
Libre 3.38 h/day → 2.03 h/ day (38% 減少)
SMBG 3.44 h/day → 3.27 h/day

リブレ群では1日あたり、血糖値を15.1回見ており、SMBG群では5.6回測定している。
終了時のインスリン使用量、basal/bolus insulin ratio、HbA1Cは両群で差はない。
血糖コントロールの良い1型糖尿病でリブレは血糖値70mg/dlの時間を減少させた。

Bolinder J et al. Novel glucose-sensing technology and hypoglycaemia in type 1 diabetes: a multicentre, non-masked, randomised controlled trial. Lancet. 2016 Nov 5;388(10057):2254-2263. 

血糖コントロールの良い1型糖尿病でも、Closed-loop system は血糖値がターゲットレンジに入る時間を長くする。

 ケンブリッジ大のグループ、コントロールの良い1型糖尿病患でも、Closed-loop system は従来型のポンプに比べ、血糖値がターゲットレンジに入る時間が長くなる。

まとめ
1型糖尿病29人、A1C 7.5%未満、Closed-loop system と従来型のポンプの4週間のクロスオーバースタディ、腎症、神経障害、増殖性網膜症、総インスリン量が2U/kgを超える人は除外する。

Closed-loopでは、従来型ポンプに比べ、target range に入る時間が10.5% 長くなり、低血糖の時間が少ない。
特に夜間で血糖値63 mg/dl (3.5 mmol/l) 未満となる血糖面積を89%減少させた。

Day-and-night glycaemic control with closed-loop insulin delivery versus conventional insulin pump therapy in free-living adults with well controlled type 1 diabetes: an open-label, randomised, crossover study

インスリンとグルカゴンの bihormonal pump、大人の使用経験

 18歳以上の1型糖尿病43人、クロスオーバースタディ、施設から車で30分以内に居住している人を対象とし、FDAの要請によりリモートモニタリングをおこなった。

家庭での使用で従来型ポンプ、sensor-augmented pump (SAP) に比べ、bihormonal pumpでは、より良い血糖コントロールが得られた。体重の情報のみでカーボカウンティングを必要としない。
nausea が若干増え、インスリン量は増加した。
グルカゴンは毎日作製する。

El-Khatib FH et al. Home use of a bihormonal bionic pancreas versus insulin pump therapy in adults with type 1 diabetes: a multicentre randomised crossover trial. Lancet. 2016 Dec 20. pii: S0140-6736(16)32567-3.

CGMとSMBGの比較 (IN CONTROL)

 1型糖尿病52人、CGMとSMBGを16週間使用の比較。CGM使用期間で、正常血糖値に入る時間が長く低血糖の時間が少なく、重症低血糖の頻度は少なかった。

まとめ
1型糖尿病52人、CGMとSMBGの比較、CGM-SMBGあるいはSMBG-CGMの順で、12週間ウォッシュアウトを挟んで16週間介入する。
CGM期間はParadigm Veo system、MiniLink transmitter、Enlite glucose sensor を使用する。SMBG期間はリアルタイムで血糖値を表示しないiPro2を装着する

CGM期間で、正常血糖値に入る時間が長く、180 mg/dl をこえる時間、70mg/dl以下となる時間が短い
重症低血糖はCGMで少ない。(14 events vs. 34 events, p=0·033)
CGMとSMBGで、self-reported hypoglycaemia awareness scoresは変わらなかった。
正常血糖値に入る時間は、CGMとインスリン頻回注射、カーボカウンティングの有無には関係しなかった。

重症低血糖、無自覚低血糖を減らす方法として、患者教育 (DAFNE、BGAT)、インスリン頻回注射からCSIIへの切り替えでエビエンスが示されており、CGMよりコストがかからない。

van Beers CA et al. Continuous glucose monitoring for patients with type 1 diabetes and impaired awareness of hypoglycaemia (IN CONTROL): a randomised, open-label, crossover trial Lancet Diabetes Endocrinol. 2016 Nov;4(11):893-902

パルミトイル化GADとは

GADはパルミトイル化 (palmitoylation) と脱パルミトイル化を繰り返す。
ER ストレスにより、抗原性の強いパルミトイル化GADがゴルジ小体内に蓄積することが自己免疫反応の引き金となるかもしれない

γ-aminobutylyric acid (GABA)を合成するGlutamic Acid Decarboxylase (GAD)には、GAD65とGAD67があり、それぞれ別の遺伝子にコードされる。 GAD65抗体は、1型糖尿病の70-80%に認められる。

GADは、疎水性分子として細胞質で合成され、まずN末端がパルミトイルされる。
GADのパルミトイル化は、endoplasmic reticulum (ER)、ゴルジ小体への anchoring に必要である。
GADは、ゴルジ小体の acyltransferase によりcysteine 30と45にdouble palmitoylation を受けた後、ゴルジ小体膜にとりこまれる。さらにTrans-Golgi network (TGN) へソーティングされ、peripheral vesiclesへ移動する。
脱パルミトイル化を受けたGADは、ゴルジ小体へ逆行性に移動する。

ERストレス下で、ゴルジ小体内のパルミトイル化 GADが増加する。
パルミトイル化GADは、抗原提示細胞に取り込まれやすい。
GAD抗体陽性者と1型糖尿病患者では、正常コントロールに比べ、ゴルジ小体にパルミトイル化GADの集積が認められる。

Phelps EA et al. Aberrant Accumulation of the Diabetes Autoantigen GAD65 in Golgi Membranes in Conditions of ER Stress and Autoimmunity.Diabetes. 2016 Sep;65(9):2686-99.


FDAは世界初、ハイブリッドの人工膵臓、MiniMed 670Gを認可した。

 MiniMed 670Gは、持続血糖モニターのデータを受け、5分ごとにインスリンの投与と減量を繰り返す。
ユーザーによるカーボカウンティングに対して、必要インスリンを計算できる。完全なクローズドループ ではなく hybrid である。
夜間はほぼ正常な血糖値となる。

14歳以上の患者で認可されたが、Medtronic 社は、適応拡大に向けて、7-13歳の患者のスタディも開始している。
人工膵臓は少なくとも他に5社が開発中となっている。

JAMA に掲載された MiniMed670G のスタディ結果
124人 、平均年齢37.4歳、 12389 patient daysの使用で、このシステムに関連した重症低血糖やケトアシドーシスは認められなかった。
ベースラインとスタディ終了時のデータ
A1C 7.4% (SD, 0.9) → 6.9% (SD, 0.6)
1日の平均インスリン投与量 47.5 U/day → 50.9 U/day
血糖値がtarget rangeに入る時間 66.7% → 72.2%

FDA Approves The First Automated Insulin System For Type 1 Diabetes (NPR)

FDA approves first automated insulin delivery device for type 1 diabetes (FDA)
'It works by measuring glucose levels every five minutes and automatically administering or withholding insulin.'

Safety of a Hybrid Closed-Loop Insulin Delivery System in Patients With Type 1 Diabetes (JDRF)

Safety of a Hybrid Closed-Loop Insulin Delivery System in Patients With Type 1 Diabetes (JAMA)


妊婦に対する人工膵臓の使用

人工膵臓は妊娠中に使用した場合でも、厳格な血糖コントロールが可能で、低血糖も少ない。周産期も同じプログラムで対応できる。

まとめ
1型糖尿病の妊婦16人、人工膵臓 (closed-loop system) とsensor augmented pump を夜間のみ使用の後、終日 4週間使用するクロスオーバースタディ、設定された血糖値に入る時間、平均血糖値、低血糖頻度で、人工膵臓の方が良い結果を示した。
人工膵臓、sensor augmented pump ともに、第三者の助けを必要とするような重症低血糖はない。

スタディ終了後、14人が出産まで終日 の 人工膵臓を使った。(14.6 additional weeks)
出産後のインスリン必要量の低下、胎児の肺の成熟のため母体へのステロイド投与に対しても、プログラムの変更や重症低血糖なく対応できている。良好な血糖コントロールであったが、新生児体重が 90th percentileを超える頻度、新生児低血糖の頻度は高かった。

Stewart ZA et al. Closed-Loop Insulin Delivery during Pregnancy in Women with Type 1 Diabetes N Engl J Med. 2016 Aug 18;375(7):644-54.
プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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