HbA1Cの国際標準化―特定健診はJDS値のみを用いる

4月1日から、内科診療では、HbA1C(NGSP)を、特定検診、保険指導では、HbA1CJDS)を使うことになりました。

糖尿病学会ホームページより
特定健診・保健指導
「平成24 年4 月1 日~平成25 年3 月31 日の期間は,受診者への結果通知及び保険者への結果報告のいずれも従来通りJDS 値のみを用いる.平成25 年4 月1 日以降の取り扱いについては,関係者間で協議し検討する。」

特定検診を、市などから委託されている医療機関では、診療はNGSP値、特定健診の結果はJDS値で記載し説明していくことになります。結局、両者を併記した、わかりやすい検査結果表が必要です。
特定健診の来年度分が始まるのは6月以降かと思われるので、それまでにスタッフの間に周知してかないといけないです。

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糖尿病診断基準の改定 (2)― HbA1c は空腹時血糖値、糖尿病後2時間血糖値と相関する。

527日午前の診断基準改定の発表の際にひかれていたのは、2000年の伊藤千賀子先生の論文。本文にはアクセスできないので、アブストラクトからまとめました。

Correlation among fasting plasma glucose, two-hour plasma glucose levels in OGTT and HbA1c. Ito C, Maeda R, Ishida S, Sasaki H, Harada H. Diabetes Res Clin Pract. 2000 Dec;50(3):225-30.


1980年から1998年の間に施行された、13174人の糖負荷試験(OGTT)の結果から、回帰方程式(regression equation) を作成。

 

2時間血糖値 200 mg/dl の場合、空腹時血糖は、

60歳未満 124.3 mg/dl

60歳以上 118.7 mg/dl

 

空腹時血糖値 126 mg/dl の場合、2時間血糖値は

60歳未満で199.5 mg/dl

60歳以上で210.7 mg/dl

 

60歳未満で、

HbA1c 6.0% は、空腹時血糖値 121.7 mg/dl2時間血糖値 193.2 mg/dl

HbA1c 6.1% は、空腹時血糖値 124.4mg/dl2時間血糖値 199.3 mg/dl

 

HbA1c は空腹時血糖、2時間血糖値と非常によく相関するので、HbA1c 6.1%以上は、糖尿病の可能性が高い。

“As for association between HbA1c and FPG or 2h-PG being high correlation, it is possible to estimate a prevalence of DM in a group using HbA1c 6.1%.”


医師ブログ20100528糖尿病診断基準20100527_4

5月27日午前の総会後、新しい糖尿病診断基準の発表がありました。

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糖尿病診断基準の改定は7月1日から

糖尿病学会年次学術総会(岡山)に行ってきました。糖尿病診断基準改定の発表がありました。

 

HbA1c 6.1% を診断基準に盛り込むが、当面、臨床のHbA1cは、現在のJDS値を使う。JDSNGSP値の併記は行わない。ある時期が来たら(各学会の合意が得られたら)、一斉にNGSP値へ移行する。講演では、時期の目安は明言されず。

・平成2271日より診断基準の改訂

・英文学術誌への投稿、国際学会の発表は、H227月よりNGSP値へ移行する。

 

感想。

71日、1ヶ月後から診断基準変更と予想外に早かった。

 

現行のJDS値が使われ、HbA1c 6.1%単独では糖尿病の診断とならないので、あまり混乱はないと思う。HbA1c 6.1%の人にOGTTを勧めやすくなっている。ファジーなまま進むより、早く診断をつけてライフスタイル介入始める方がいいと思う。NGSP値への切り替えの時には、糖尿病患者さんへの説明が必要なので、今から徐々に準備しないといけない。

 

ADAの診断基準では、A1c ( NGSP) 6.5% 単独で糖尿病の診断となる。日本の診断基準は、HbA1c値はADAと揃えるが(A1c (NGSP) 6.5%HbA1cJDS6.1%)、血糖の値が従来の基準を満たさないと糖尿病としない点で、ADAの診断基準と一線を画した。(このことは清野裕先生の講演でも強調されていた。)

 

各学会の合意が得られたら、臨床でもNGSP値へ以降するが、国際的な発表はNGSP値への切り替えを71日より始めるので、糖尿病学会は先がけて国際化に進んで行くというメッセージを感じた。

 

この学会で診断基準の発表があるのはわかっていたがどの講演なのかアナウンスされていなかった。朝10時の総会直後、「ここでプログラムにはありませんが、」と、診断基準の発表が始まった。改定日や、NGSP値を当面は使わないことなどはじめて聞くことが多かった。直接聞くことができ、早く行った甲斐があった。

 

聞きたいことも聞けたし、2時間の昼休みがあり、後楽園へ。広々とした名園でした。

日本の糖尿病診断基準の変更案について

医師ブログ20100527

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日本の糖尿病診断基準の変更案について

糖尿病診断基準の学会理事会合意案は3月の「第44回糖尿病学の進歩」で公表されている。

①空腹時血糖値 ≥ 126 mg/dl

糖負荷試験2時間値 ≥ 200 mg/dl

③随時血糖値 ≥ 200 mg/dl

および

HbA1CNGSP≥ 6.5%  (HbA1CJDS≥ 6.1%)

 

のいずれかとで糖尿病の診断。

同日に血糖値基準のいずれかとHbA1Cの基準満たした場合糖尿病の診断となる。HbA1C の反復検査では糖尿病の診断とならない。

 

感想

HbA1CJDS≥ 6.1% であっても、血糖値が基準を満たしていない場合は、糖尿病診断としていない。HbA1CJDS6.1%程度の場合、空腹時、随時血糖値で診断基準の満たさないことも多く、OGTTが必要となってくる。こういう診断手順は、現状に近く受け入れやすいと思います。

 

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HbA1C国際標準化

東京歯科大学 市川総合病院 内科教授、武井 泉先生の御講演を聞いてきました。HbA1C測定法から、JDSNGSPの関係、今後の糖尿病診断基準の改定の見込みなど、非常に勉強になりました。文献などを検索して、HbA1Cの国際標準化についてまとめてみました。

 

1993DCCT で合併症予防のため血糖コントロールの重要性が示された。HbA1C測定の標準化も始まった。それまではHbA1C の統一された定義も決まっていなかった。

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非糖尿病者のA1Cと死亡率―A1C6.0%以上で死亡率が増加

NEJM34日号に非糖尿病者11092人のA1C (NGSP)と心血管イベントリスクや死亡率の解析結果が示されました1)

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HbA1Cと死亡率の関係―U字カーブを描く。

1)Survival as a function of HbA1c in people with type 2 diabetes: a retrospective cohort study. Published Online January 27, 2010 DOI:10.1016/S0140-6736(09)61969-3

2)Survival in people with type 2 diabetes as a function of HbA1c. Published Online January 27, 2010 DOI:10.1016/S0140-6736(09)62192-9

イギリスで、約48000人のデーターベース解析、経口剤単独27965人、インスリン治療20005人。全死亡率のhazard ratio (HR) は、経口剤単独、インスリン治療とも、HbA1C7.5%を底とするU字カーブを描く。


両群を合わせた解析で、HbA1C6.4%群はHbA1C7.5%に比べHR1.52。


それぞれの群のHbA1C7.5%比べ、HbA1C6.7%未満群のHRはインスリン治療1.79、経口剤単独1.3であり、インスリン治療において、HbA1C低値群でのHRが高い。


ACCORD study などですでに示されていた結果であるけれど、インスリン治療でHbA1Cが低いとHRが高く、U字カーブが著明なグラフを見たときは驚きました。死亡率がHbA1C 7.5%で一番低いということも、一般的な血糖コントロール目標が6.5-7%であるので意外と高い印象。

 

エディトリアルを読むと少し冷静になれます。

1) ADVANCE、VADT では、強化療法群で死亡率が低いということはない。

2) UKPDSでは、全死亡率と心筋梗塞の発症率が、10年後のフォローアップで強化療法群で良好な結果が示されている。

3) 死亡原因、経口薬やインスリンの種類と量が不明。ランダマイズトライアルと異なり、データーベース観察では、詳しい解析に限界がある。

4) インスリン治療の方が血糖を起こしやすい。これまでの報告では、低血糖のオッズ比は、インスリン治療3.44、SU剤1.54 (Arch Intern Med (2001年))。低血糖が死亡率上昇の原因かどうかを明らかにするためには、すべての低血糖を知るため持続血糖モニターを行うようなランダマイズドトライアルが必要。

5) 低血糖なしに目標HbA1Cに到達するため、insulin sensitizer の投与が必要。

6) 罹病歴が短く、微小血管障害、大血管障害のない60歳未満の糖尿病患者では、強力な血糖コントロールの利益が多い (more beneficial)(Diabetologia 2009年)

と述べられています。

 

またこの論文では、1986年―2008年のデーターベース解析としているのに、平均フォローアップ期間が4.5年となっています。データーベース解析というのは専門家でないと、解析のイメージが湧きにくいと感じました。

医師ブログ010130 ヒューマペン ラグジュラ 2005年度 グッドデザイン賞 受賞

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ADAの糖尿病診断基準

Standards of Medical Care in Diabetes—2010. Diabetes Care January 2010 33:S11-S61;
Diabetes Care 1月号に、新しい糖尿病診断基準が示された。

1. A1C > 6.5% (NSGP)

2.FPG > 126 mg/dl (7.0 mmol/l). (少なくも8時間の絶食後)

3. 75gOGTT 2時間値 >  200mg/dl (11.1 mmol/l)

4. 高血糖の古典的症状があり、随時血糖 (random plasma glucose) が、 > 200mg/dl (11.1 mmol/l)

 
1から4は or でつながれているので、どれか一つで診断確定となる。
2009
年版に比べ、A1C > 6.5% (NSGP) が新規に導入された。
 
日本のHbA1CJDS値を使っており、
A1C (NGSP 値(%))= 1.019 × HbA1c (JDS値(%))0.3
換算するとA1C 6.5HbA1c 6.08 となる。
 
日本でもHbA1c 6.1 が診断基準として、示される見込み。雑誌「糖尿病」に掲載されるのではないかと思います。
医師ブログ010127Diabetes Care_2

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糖尿病の診断基準-A1CとHbA1Cとの違い

11月1日、「糖尿病の診断基準とHbA1cの国際標準化に関するシンポジウム」で、糖尿病診断基準の改定案が示された。(日経メディカルオンラインより)

糖尿病診断基準に「A1C≧6.5%、HbA1c≧6.1%」を追加することが検討されている。

A1C (NGSP 値(%))= 1.019 × HbA1c (JDS値(%))+0.3
換算するとA1C 6.5=HbA1c 6.08 となる。


グリコヘモグロビンの値は、アメリカ、北欧以外のヨーロッパでは、NGSP (National glycohemoglobin standardization program) 値を採用、日本ではJDS (Japan diabetes society)値を採用している。
NGSPではA1C、JDSではHbA1cと表記。

日本の糖尿病診療では、HbA1c≧6.5%が糖尿病の疑いが強いとしていたが、HbA1c≧6.1%とするという改定でもある。

Diabetes Care 2007; 30: 2399-2400
日本内科学会雑誌 第98巻 第4号 p725
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t065/200911/512982_2.html

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プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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