MiniMed640GはSAPに比べ低血糖を減少させる。

予測低血糖マネージメント predictive low-glucose management (PLGM) 機能を搭載したMiniMed640Gは、sensor-augmented insulin pump (SAP)に比べ、夜間及び日中の低血糖イベントを減少させる。小児で、14日間のスタディ。

Tadej Battelino et al. Prevention of Hypoglycemia With Predictive Low Glucose Insulin Suspension in Children With Type 1 Diabetes: A Randomized Controlled Trial Diabetes Care 2017 Mar; dc162584. 

血糖コントロールの良い1型糖尿病でも、Closed-loop system は血糖値がターゲットレンジに入る時間を長くする。

 ケンブリッジ大のグループ、コントロールの良い1型糖尿病患でも、Closed-loop system は従来型のポンプに比べ、血糖値がターゲットレンジに入る時間が長くなる。

まとめ
1型糖尿病29人、A1C 7.5%未満、Closed-loop system と従来型のポンプの4週間のクロスオーバースタディ、腎症、神経障害、増殖性網膜症、総インスリン量が2U/kgを超える人は除外する。

Closed-loopでは、従来型ポンプに比べ、target range に入る時間が10.5% 長くなり、低血糖の時間が少ない。
特に夜間で血糖値63 mg/dl (3.5 mmol/l) 未満となる血糖面積を89%減少させた。

Day-and-night glycaemic control with closed-loop insulin delivery versus conventional insulin pump therapy in free-living adults with well controlled type 1 diabetes: an open-label, randomised, crossover study

インスリンとグルカゴンの bihormonal pump、大人の使用経験

 18歳以上の1型糖尿病43人、クロスオーバースタディ、施設から車で30分以内に居住している人を対象とし、FDAの要請によりリモートモニタリングをおこなった。

家庭での使用で従来型ポンプ、sensor-augmented pump (SAP) に比べ、bihormonal pumpでは、より良い血糖コントロールが得られた。体重の情報のみでカーボカウンティングを必要としない。
nausea が若干増え、インスリン量は増加した。
グルカゴンは毎日作製する。

El-Khatib FH et al. Home use of a bihormonal bionic pancreas versus insulin pump therapy in adults with type 1 diabetes: a multicentre randomised crossover trial. Lancet. 2016 Dec 20. pii: S0140-6736(16)32567-3.

FDAは世界初、ハイブリッドの人工膵臓、MiniMed 670Gを認可した。

 MiniMed 670Gは、持続血糖モニターのデータを受け、5分ごとにインスリンの投与と減量を繰り返す。
ユーザーによるカーボカウンティングに対して、必要インスリンを計算できる。完全なクローズドループ ではなく hybrid である。
夜間はほぼ正常な血糖値となる。

14歳以上の患者で認可されたが、Medtronic 社は、適応拡大に向けて、7-13歳の患者のスタディも開始している。
人工膵臓は少なくとも他に5社が開発中となっている。

JAMA に掲載された MiniMed670G のスタディ結果
124人 、平均年齢37.4歳、 12389 patient daysの使用で、このシステムに関連した重症低血糖やケトアシドーシスは認められなかった。
ベースラインとスタディ終了時のデータ
A1C 7.4% (SD, 0.9) → 6.9% (SD, 0.6)
1日の平均インスリン投与量 47.5 U/day → 50.9 U/day
血糖値がtarget rangeに入る時間 66.7% → 72.2%

FDA Approves The First Automated Insulin System For Type 1 Diabetes (NPR)

FDA approves first automated insulin delivery device for type 1 diabetes (FDA)
'It works by measuring glucose levels every five minutes and automatically administering or withholding insulin.'

Safety of a Hybrid Closed-Loop Insulin Delivery System in Patients With Type 1 Diabetes (JDRF)

Safety of a Hybrid Closed-Loop Insulin Delivery System in Patients With Type 1 Diabetes (JAMA)


妊婦に対する人工膵臓の使用

人工膵臓は妊娠中に使用した場合でも、厳格な血糖コントロールが可能で、低血糖も少ない。周産期も同じプログラムで対応できる。

まとめ
1型糖尿病の妊婦16人、人工膵臓 (closed-loop system) とsensor augmented pump を夜間のみ使用の後、終日 4週間使用するクロスオーバースタディ、設定された血糖値に入る時間、平均血糖値、低血糖頻度で、人工膵臓の方が良い結果を示した。
人工膵臓、sensor augmented pump ともに、第三者の助けを必要とするような重症低血糖はない。

スタディ終了後、14人が出産まで終日 の 人工膵臓を使った。(14.6 additional weeks)
出産後のインスリン必要量の低下、胎児の肺の成熟のため母体へのステロイド投与に対しても、プログラムの変更や重症低血糖なく対応できている。良好な血糖コントロールであったが、新生児体重が 90th percentileを超える頻度、新生児低血糖の頻度は高かった。

Stewart ZA et al. Closed-Loop Insulin Delivery during Pregnancy in Women with Type 1 Diabetes N Engl J Med. 2016 Aug 18;375(7):644-54.

インスリンとグルカゴンの Bihormonal pump、6-11歳の使用結果

 1型糖尿病、インスリンとグルカゴンを使ったポンプ5日間、6-11歳の使用成績、12歳以上と大人での使用成績はすでに公開されている。1)
グルカゴンも使うBihormonal pumpは、インスリン単独ポンプと比べ、5日間の使用では平均血糖値(mean sensor-measured glucose) が低く、A1C はより低くなるはずというコメントでした。2)
まず、メトドロニクス社のhybrid insulin-only system が、アメリカで2017年4月までには発売となる見込みです。2)

まとめ
ボストンのグループ 、19人、6-11歳の子供、平均年齢 9.8歳、
糖尿病キャンプで、5日間、インスリンとグルカゴンを使用した Bionic pancreas とConventional insulin pump therapy (control)の比較、Open-label crossover study

Bionic pancreas で平均血糖値が低い (137 mg/dl vs. 167.4 mg/dl)
血糖値 59 mg/dl以下の時間が短い。
Bionic pancreasは、夜間により効果を発揮し、コントロールに比べ、高血糖、低血糖となる時間が少なく、平均血糖値の差が開く。

Bionic pancreas の使い方
必要なのは身長、体重のみ(body massを計算)
食事のタイプ(朝食、昼食、夕食)、食事のサイズ (通常量 typicalか、多め more than usual、少なめ less than usual、ひとくち small bite) を入力するだけでよく、カーボカウントは必要としない。

1日2回(朝食前、夕食前)にCGMシステムのcalibration を行う
グルカゴンリザーバーは毎日交換する必要がある

insulin-only closed loop systemを5日間使用した4つの試験の設定血糖値 (mean sensor-measured glucose) は154 mg/dlで、estimated A1Cは7.0%、3ヶ月間使用した試験結果では、A1C 7.3% であった。3)

インスリンとグルカゴンの closed-loop system では、大人で平均血糖値133 mg/dl、estimated A1C 6.3%、12歳以上の青少年で平均血糖値142 mg/dl、estimated A1C 6.6%、今回の6-11歳で、平均血糖値137 mg/dl、estimated A1C 6.4%となる。1, 3, 4)

1  Russell SJ et al. Day and night glycaemic control with a bionic pancreas versus conventional insulin pump therapy in preadolescent children with type 1 diabetes: a randomised crossover trial Lancet Diabetes Endocrinol. 2016 Feb 2. pii: S2213-8587(15)00489-1. 

2 Buckingham B, Ly T. Closed-loop control in type 1 diabetes. Lancet Diabetes Endocrinol. 2016 Mar;4(3):191-3. doi: 10.1016/S2213-8587(16)00015-2. Epub 2016 Feb 3.

3 Thabit H et al. Home Use of an Artificial Beta Cell in Type 1 Diabetes. N Engl J Med. 2015 Nov 26;373(22):2129-40. doi: 10.1056/NEJMoa1509351. Epub 2015 Sep 17.
インスリン単独の人工膵臓 (closed-loop)と sensor-augmented pump therapyの比較
大人33人、 日中と夜間 (day and night)、青少年25人、夜間のみ (overnight)
合計58人、12週間のクロスオーバーステディ

4 Russell SJ, El-Khatib FH, Sinha M, Magyar KL, McKeon K, Goergen LG, Balliro C, Hillard MA, Nathan DM, Damiano ER. Outpatient glycemic control with a bionic pancreas in type 1 diabetes. N Engl J Med. 2014 Jul 24;371(4):313-25. doi: 10.1056/NEJMoa1314474. Epub 2014 Jun 15.
院外で5日間のインスリンとグルカゴンのポンプと自分の(従来の)インスリンポンプの比較試験
大人(21歳以上)20人、青少年(12歳~21歳)32人
2日目から5日目までのデータで、平均血糖133±13 vs. 159±30 mg
血糖値70 mg/dl 未満の期間 4.1% vs.7.3% であり、人工膵臓で良好な結果であった。

開発中の人工膵臓 (artificial pancreas) の情報です。

 開発中の人工膵臓 (artificial pancreas) の情報です。 Healthline の記事を読むと、2020年頃までには、インスリンポンプの進化型として人工膵臓がアメリカで発売されるのではないかと思われます。

TypeZero
バージニア大学のシステムで、フランス、イタリア、オランダのグループと共に、240人、自宅で6ヶ月間使用するスタディ(international closed loop trial (IDCL)) をおこなっている。 結果は2017年に投稿される。このトライアルは2.5年続き、当初6ヶ月に集められたデータは、FADへの申請に用いられる。

Bigfoot Brain
Bigfoot社は、糖尿病の子供をもつ父親4人が創設した。現在35人が雇用されている。
Bigfoot Brainはインスリンカートリッジと注入ラインを内包し、ボタン、スクリーンはない。全てスマートフォンのアプリで操作する。
2016年4-6月期にユーザーリサーチを開始、2017年、FDAへ認可申請、2018年の発売を目指している。

iLet
Dr Edward Damiano とボストン大学のグループが開発、インスリンとグルカゴンのdual chamber を持ち1つの針から注入する。 より小型のデバイスを使って8時間のスタディを開始する予定。
FDAはまずインスリン単独のスタディ結果を求めている。2017年に重要なスタディが組まれている。
まず、インスリン単独のiLet の発売を目指している。
Dr Edward Damianoも糖尿病の子供をもつ父親である。

Healthline の記事

Closed-Loop Diabetes Tech Update: iLET, Bigfoot, TypeZero & More!

iLet

iLet はインスリンとグルカゴンのdual-chamber

Virginia 大学の人工膵臓、2ヶ月間、日常生活で使用、target range に入る時間が長い

オランダ、フランス、イタリアのグループから、人工膵臓 (AP) あるいはSensor augmented pump (SAP) を夜8時から朝8時にかけて2ヶ月間装着したクロスオーバーランダマイズドトライアルの報告

人工膵臓はVirginia 大学が開発した the Diabetes Assistant (DiAs) を使用し、血糖値119 mg/dlとなるように設定している。
APでは、血糖値70-180 mg/dl に入った時間が長く(66.7% vs. 58.1%)、高血糖(>180mg/dl)、低血糖 (<70 mg/dl) の時間が短い。
平均A1cはAP期で0.3% 減少 コントロール期 0.2% 減少 p=0.047

32人中 23人がより長期のAP使用を望んだ。
23 (74%) of 31 patients who responded fully agreed with the statement "I would want to use the AP for a prolonged period of time".

デバイス間のワイアレス接続不良で、AP期間のうち2.6%でAPが機能していなかった。

Kropff J et al. 2 month evening and night closed-loop glucose control in patients with type 1 diabetes under free-living conditions: a randomised crossover trial Lancet Diabetes Endocrinol. 2015 Dec;3(12):939-947. doi: 10.1016/S2213-8587(15)00335-6. Epub 2015 Sep 30.

 

インスリン単独の人工膵臓、12週間のクロスオーバーステディ (ボストン大学のグループ)

インスリン単独の人工膵臓 (closed-loop) と sensor-augmented pump therapyの比較

大人33人、 日中と夜間 (day and night)
青少年25人、夜間のみ (overnight)
合計58人、12週間のクロスオーバーステディ

closed-loop では、大人、青少年ともに、血糖値のtarget range にはいる時間が長い
大人で、平均血糖値が11mg/dl 、A1Cが0.3%低い。
青少年で夜間血糖値が63mg/dl 低い。

重症低血糖エピソード3回が、closed-loop 期間でclosed-loopの 非使用時に起こっている。

感想
Artificial Pancreas でなくArtificial Beta Cell と呼ぶことにしたようです。 (論文タイトル)
Remote monitoring やclose supervision を行っていない。
大人では、運動、旅行、車の運転も許可されていた。
家庭での使用、大人では日中の使用も実現に近づいている。

Thabit H et al. Home Use of an Artificial Beta Cell in Type 1 Diabetes. N Engl J Med. 2015 Sep 17. [Epub ahead of print]

インスリンとグルカゴンを使った Dual-hormone artificial pancreas (AP) とインスリンのSingle-hormone AP の比較

インスリンとグルカゴンを使った Dual-hormone artificial pancreas (AP) 、インスリン単独のSingle-hormone APおよび従来型インスリンポンプ (conventional insulin pump) の比較1)

カナダのサマーキャンプで、1型糖尿病、平均年齢13.3歳、33人参加、今回のスタディでは10分ごとにスタッフがマニュアルでタブレットコンピューターに入力している。

プライマリーアウトカムは血糖値 72 mg/dl未満となる期間
Dual-hormone AP  0%
Single-hormone AP 3.1%
Conventional insulin pump 3.4%

93 nights で夜間低血糖(56mg/dl 未満が20分以上続く)の回数は
Dual-hormone AP  0
Single-hormone AP 4
Conventional insulin pump 15

Dual-hormone APは夜間低血糖予防に優れる。一方、コスト、システムの複雑さなどがある。
現状では2台のポンプが必要、グルカゴンは毎晩溶解液を作成している。
Stable なグルカゴンを作ること、インスリンとグルカゴンを1台のポンプに搭載し一カ所の穿刺部位から両者を注入するdual-chamber systemの開発が必要である。2)

Single-hormone AP が現状では次善の策 (Suboptimal) となる。2)

1. Haidar A et al. Outpatient overnight glucose control with dual-hormone artificial pancreas, single-hormone artificial pancreas, or conventional insulin pump therapy in children and adolescents with type 1 diabetes: an open-label, randomised controlled trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2015 Aug;3(8):595-604.

2. Castle JR Is glucagon needed in type 1 diabetes? Lancet Diabetes Endocrinol. 2015 Aug;3(8):578-9.



プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

最新記事
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
110位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
自然科学
14位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム