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β-cell/islet mass は個人差が大きい

β-cell/islet mass と膵島の数は、年齢、BMI、膵重量に関連せず個人差が大きい。100μm未満の小型膵島では内分泌細胞の〜60%をβ細胞が占める。100μmを超える大型の膵島では、α細胞とβ細胞の比が逆転する。δ細胞の比率は全ての人でほぼ一定のようであった。1)

ヒト膵島でMantle-Core Arrangement は認められない。2)

1. Olehnik SK, Fowler JL, Avramovich G, Hara M. Quantitative analysis of intra- and inter-individual variability of human beta-cell mass. Sci Rep. 2017 Nov 27;7(1):16398

2. Dybala MP, Hara M. Heterogeneity of the Human Pancreatic Islet. Diabetes. 2019 Jun;68(6):1230-1239

β-cell massには大きな幅がある。

25万から100万(1 million) の膵島、あるいは2億5000万個(2500 million)から10億個(1 billion) のβ-cellがあるとされている。
糖尿病がない大人52人のスタディでβ-cell mass は 0.25-1.5 gとされ大きな幅がある。
2型糖尿病患者が2型糖尿病のない人と同じ量のβ-cell massを持つことはありうる。インスリン抵抗性が存在するときに、β-cell massが不十分な量であれば2型糖尿病の発症の原因となる。1)

一般の人々でインスリン感受性とインスリン分泌は大きなバリエーションが認められる。空腹時インスリン値は20 pMから200 pMと大きな幅があるが、空腹時血糖値は79-90 mg/dl のレンジに入っている。これはβ細胞のインスリン分泌のセットポイントにより制御されている。1)

分泌能を評価するアルギニン負荷試験で、β細胞はインスリン分泌能の50%を分泌に、残り50% はリザーブしている。インスリン感受性がよりリザーブの比率が高くなり、インスリン抵抗性が強くなると現状のβ-cell mass でアクテイブでない細胞からのインスリン分泌の促進あるいはすでにアクティブである細胞から分泌増量によりインスリン分泌を増加させる。1, 2)

ヒヒ baboon で、ストレプトゾトシンを投与後、β-cell mass とインスリン分泌を評価した。血糖値198mg/dl (11 mM) が持続、尿ケトン陽性などではインスリンを投与した。β-cell mass が40から50%まで減少した動物ではインスリン投与が必要となる。(Insulin requiring diabetes) 3)

1. Weir GC, Gaglia J, Bonner-Weir S. Inadequate β-cell mass is essential for the pathogenesis of type 2 diabetes. Lancet Diabetes Endocrinol. 2020 Jan 29. pii: S2213-8587(20)30022-X.

2. Robertson RP et al. Arginine is preferred to glucagon for stimulation testing of β-cell function. Am J Physiol Endocrinol Metab. 2014 Oct 15;307(8):E720-7. 

3. McCulloch DK, Koerker DJ, Kahn SE, Bonner-Weir S, Palmer JP. Correlations of in vivo beta-cell function tests with beta-cell mass and pancreatic insulin content in streptozocin-administered baboons. Diabetes. 1991 Jun;40(6):673-9.

β-cell identity の喪失が2型糖尿病で機能するβ細胞量を減弱させている。

2型糖尿病の膵島ドナーでは
・β cell area が少なくα/β cell ratio が高い。
・インスリンとグルカゴンが共染する細胞がコントロールに比べ8倍多い
・5%程度の細胞がNKx6.1+glucagon+Insulin- で、これはコントロールに比べ5倍となっている。

NKx6.1+glucagon+Insulin-細胞は、糖尿病のサル(macaque) でも認められる。
NKx6.1+glucagon+Insulin-細胞数は、膵島のアミロイド沈着に比例している。

β-cell identity の喪失が、2型糖尿病で機能するβ細胞量 (functional β cell mass) を減弱させている。

Spijker HS et al. Loss of β-Cell Identity Occurs in Type 2 Diabetes and Is Associated With Islet Amyloid Deposits. Diabetes. 2015 Aug;64(8):2928-38. doi: 10.2337/db14-1752. Epub 2015 Apr 27.


β細胞の量の低下か機能異常か

Doulas Melton のレビュー1)で引かれていた、2型糖尿病の総説 (Ashcroft FM, Rorsman P , 2012) 2)はここ10年のトピックスが分かりやすく解説されていた。糖尿病の発症原因としてβ細胞量が注目されているが、Cross sectional なデータであって、longitudinalなデータがない。膵島の機能異常が主原因という考え方もある。
 
また、β細胞量は個人差が大きいが、一般にヒトのβ細胞の増殖能は5歳でピークとなり年齢とともに減少する。数式モデルでは、20歳までにβ細胞数は決まり、マウスに比べ遥かに寿命が長いことが報告されている。

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β細胞量が50%減少で、耐糖能異常となる。

糖尿病学会のシンポジウムでは、Peter Butler先生が、β 細胞量 (β cell volume)について講演されていました。
剖検の結果から、β 細胞が、~50%減少で耐糖能異常(IGT)、~65%まで減少(35%残存)で Type2 DM 発症としていました。

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プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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