血中TMAOレベルが血栓症と関連する。

腸内細菌により産生された trimethylamine (TMA) が、肝臓でTMA-N-oxide (TMAO)に代謝される。 TMAOは、心血管病や血栓症と関連している。

まとめ
フォスファチジルコリン、コリン、カルニチンは、腸内細菌により trimethylamine (TMA) に代謝される。
TMA は腸管から吸収され、肝臓で、Hepatic flavin-containing monooxygenases (FMO) により代謝され、TMA-N-oxide (TMAO) となる。TMAO はマクロファージのコレステロール蓄積とfoam cell 形成を促進する。

TMAOの血中濃度は、冠動脈疾患のある患者で心血管病リスク、血栓リスクと相関している。

Zhouらは、4000人を超えるデーターで、血中TMAO レベルが血栓症(心臓発作、脳卒中)の独立した予測因子となることを示した。

TAMOは、細胞内に蓄積されたカルシウムの遊離を介して、生理的濃度でストレス下の血小板凝集を促進する。

3, 3-dimethyl-1-butanol が腸内細菌によるTMA形成を抑制し、血中TMAOレベルを低下させる。

肝臓でTMAOを合成するFMO3は、インスリン抵抗性のある肥満者で増加している。
マウスで、FMO3のノックダウンは、高血糖、高脂血症、動脈硬化を予防する。

Till H. A Gut Feeling about Thrombosis. N Engl J Med. 2016 Jun 23;374(25):2494-6.

Zhou W et al. Gut Microbial Metabolite TMAO Enhances Platelet Hyperactivity and Thrombosis Risk. Cell. 2016 Mar 24;165(1):111-24.

Martínez-Del Campo A et al. The Plot Thickens: Diet Microbe Interactions May Modulate Thrombosis Risk. Cell Metab. 2016 Apr 12;23(4):573-5.

腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸は腸管の糖新生を生じ肝糖産生を低下させる。

 腸内細菌が食物線維を発酵して生じる短鎖脂肪酸は、腸管で糖新生遺伝子を誘導し、糖新生を増加させる。その結果、肝臓での糖新生が減少し、脂肪蓄積が減り体重も増えにくい

まとめ1, 2)
galacto-oligosaccalide、fructo-oligosaccalide などの可溶性食物線維は、腸内細菌で発酵され、
短鎖脂肪酸 (酢酸 acetic acid C2H4O2、プロピオン酸 propionic acid C3H6O2、酪酸 butyric acid C4H8O2)が生じる。

酪酸は、直接的にcAMP依存性に、プロピオン酸は、門脈求心線維-中枢経由で糖新生関連遺伝子の発現を活性化し腸管で糖新生を増加させる。 GPR41/FFAR3、GPR43/FFAR2は短鎖脂肪酸の cosensor であり、末梢神経系、門脈の神経系にGPR41/FFAR3が発現している。

プロピオン酸は肝臓で糖新生の基質となることが知られていたが、腸管でも
糖新生の基質となる。肝臓外での糖新生は、adiposityや体重を減らし、肝臓での糖新生を減少させる。

食物線維 fructo-oligosaccalide の摂取は、Bacteroidetes を増加させ、Firmicutes を減少させる。
Bacteroidetesの増加は、血中のプロピオン酸の増加と強く相関する。

酢酸は、Blood Brain Barrier を透過し、視床下部に直接的作用し食欲を抑制する。2)

De Vadder F et al. Microbiota-generated metabolites promote metabolic benefits via gut-brain neural circuits. Cell. 2014 Jan 16;156(1-2):84-96. doi: 10.1016/j.cell.2013.12.016. Epub 2014 Jan 9.


Frost G et al. The short-chain fatty acid acetate reduces appetite via a central homeostatic mechanism Nat Commun. 2014 Apr 29;5:3611. doi: 10.1038/ncomms4611.


食物線維と腸内細菌 腸内細菌プレボテラ属 (Prevotella) は、食物繊維摂取後の血糖値改善に関与する

 腸内細菌プレボテラ属 (Prevotella) は、食物繊維摂取後の血糖値改善に関与する

空腹時血糖110mg/dl 未満の39人(男性6人女性33人)
食物繊維が豊富なパン (barely kernel-based bread, BKB) を3日間摂取した後、朝食後の血糖値が改善した群 (Responder) では、腸内のプレボテラ属(Prevotella) /バクテロイデス属比が上昇している。
プレボテラ属とバクテロイデス属は同じNiche に存在すると想定される。

Diet fiber がプレボテラ属のcolonize に重要

Responder の便を移植した無菌マウスでは耐糖能が改善、プレボテラ属が増加、肝臓でグリコーゲン含有量が増加した。

Kovatcheva-Datchary P et al. Dietary Fiber-Induced Improvement in Glucose Metabolism Is Associated with Increased Abundance of Prevotella Cell Metab. 2015 Nov 6. pii: S1550-4131(15)00517-3. doi: 10.1016/j.cmet.2015.10.001. [Epub ahead of print]

腸内細菌の代謝産物 TAMO が、心血管イベントリスクを増加させる。

食物中のコリンや、L-カルニチンは、腸内細菌により、trimethylamine (TMA)に代謝される。TMAは、血中に入り肝臓で、trimethylamine-N-oxide (TMAO)となる。
TAMOの血中濃度が高値の群は心血管イベントリスクが高いことが報告されています。

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糖尿病学会熊本での講演と腸内細菌叢

糖尿病学会熊本の招待講演でIRS-1をはじめて報告したKahn先生 の講演を聴きました。
「マウスC57BL/6J (B6)は、129S6/Sv (129)に比べ高脂肪食負荷で体重が増えやすい。マウスの遺伝子を比較した結果、染色体14番、PKCδ 遺伝子部位に相違を認めた。PKCδは、IRS-1を介してインスリンシグナリングをnegativeに制御する。肝臓のPKCδの発現が、B6では129に比べ2倍になっているため、インスリン抵抗性の原因となっている。」という非常に面白い内容でした。1)

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プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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