PCSK9モノクローナル抗体は、スタチンに上乗せで心血管病リスクを低下させる。

スタチンに PCSK9 のモノクローナル抗体を上乗せ
2.2年のフォローアップで、プライマリーエンドポイントのハザード比 0.85
81%に心筋梗塞の既往がある。LDLコレステロール値は、92 mg/dlから30  mg/dl へ低下する。

Sabatine MS et al. Evolocumab and Clinical Outcomes in Patients with Cardiovascular Disease. N Engl J Med. 2017 Mar 17. doi: 10.1056/NEJMoa1615664. [Epub ahead of print]

心血管病の中等度リスク患者でロスバスタチンはプライマリーアウトカムを低下させる (HOPE-3)

心血管病の中等度リスク患者でロスバスタチン10mg とプラセボの比較、フォローアップ5.6年
ロスバスタチンはプラセボに比べ、26.5% LDLコレステロールを低下させ、 first coprimary outcome のハザード比は0.76となった。

Yusuf S et al. Cholesterol Lowering in Intermediate-Risk Persons without Cardiovascular Disease. N Engl J Med. 2016 May 26;374(21):2021-31.

Cushman WC, Goff DC Jr. More HOPE for Prevention with Statins. N Engl J Med. 2016 May 26;374(21):2085-7.

スタチンにエゼチミブを上乗せ7年後の心血管イベントはプラセボに比べ2%低下した。(IMPROVE-IT)

スタチンには、以下のような脂質低下作用を超えた pleiotropic effect がある
・スタチンがnitric oxide を増やし (increase bioavailability)、抗酸化作用を増強し、血管内皮を保護する。
・抗炎症作用
 
スタチンにエゼチミブを追加した場合、イベント抑制効果はこれまで示されてない。スタチンのみが心血管イベント抑制に有効であるとういう”statin hypothesis” が存在していた。
 
IMPROVE-IT試験では、スタチンと併用したエゼチミブは、プラセボに比べLDLコレステロールを低下させ、フォローアップ7年後のイベント抑制を示した。
 
またLDLコレステロール70mg/dlより低下させるベネフィットは、これまで十分に示されていなかった。
MPROVE-IT試験のLDLコレステロール値は、エゼチミブ 53.7mg/dl、プラセボ 69.5mg/dl で、LDLコレスレロールを70 mg/dlより下げるベネフィットを示した。
イベント低下効果率は、スタチンを使用してLDLを70mg/dlより下げた場合と同等。
 
IMPROVE-IT
急性冠症候群で入院10日以内の人を振り分け、シンバスタチン 40mg あるいは 80mg に、エゼチミブ 10mg か、プラセボを上乗せ、7年フォローアップで、LDLコレステロールは、エゼチミブ 53.7mg/dl、プラセボ 69.5mg/dl となった。
エゼチミブは、ブライマリーエンドボイントをプラセボに比べ、2%低下させた。
心血管死亡、全死亡はかわらず、心筋梗塞と脳梗塞が減少した。この結果は、スタチンでコレステロールを低下させたスタディと同様の結果である。
ベースラインLDLコレステロール (93.8 mg/dl) がさらに高い場合は、エゼチミブ服用のベネフィットが大きくなる可能性はあるかもしれない。

1. Cannon CP et al.; IMPROVE-IT Investigators. Ezetimibe Added to Statin Therapy after Acute Coronary Syndromes. N Engl J Med. 2015 Jun 18;372(25):2387-97.


2. Jarcho JA, Keaney JF Jr. Proof That Lower Is Better--LDL Cholesterol and IMPROVE-IT. N Engl J Med. 2015 Jun 18;372(25):2448-50.


PCSK9モノクローナル抗体 とスタチンの併用療法

低用量、高容量スタチン併用で、PCSK9モノクローナル抗体 (Evolocumab) は、LDLコレステロール低下作用を示す。1)
 
スタチンはPCSK9、LDL受容体をアップレギュレートするが、スタチンとEvolocumab の併用効果は認められている。2)
 
Evolocumab は、apolipoprotein B、non-HDLコレステロール、lipoprotein(a)、中性脂肪も有意に低下させた。
 
1. Blom DJ et al. N Engl J Med. 2014 May 8;370(19):1809-19. A 52-week placebo-controlled trial of evolocumab in hyperlipidemia.

2. Blom DJ, Wasserman SM, Stein EA. N Engl J Med. 2014 Aug 28;371(9):877-8. Evolocumab in hyperlipidemia.


コレステロール引き抜き能と心血管イベントは逆相関する。

コレステロール引き抜き能が高い層 (quartile) は、心血管イベントリスクが低下している。
 
心血管病のない2924人、9.4年のフォローアップ
心血管イベントリスクとベースラインのHDL値は関連しないが、コレステロール引き抜き能は関連する。
引き抜き能が最も高い層 のイベントリスクは、低い層に比べ、67%減少 (ハザード比0.33) となる。
 
Rohatgi A.et al. N Engl J Med. 2014 Dec 18;371(25):2383-93. HDL cholesterol efflux capacity and incident cardiovascular events.


糖尿病発症前のスタチン服用は糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害のリスクを低下させる

デンマークの診療記録ベースの観察研究、40歳以上、スタチン服用の15679人
糖尿病発症前にスタチンを服用した症例では、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害のリスクが低下していた。
 
フォローアップ期間2.7年 HRは網膜症 0.6、神経障害 0.66、糖尿病性腎症のリクスは同等。
 
以下の病名で合併症を判断した。
網膜症  増殖性網膜症、黄斑浮腫
神経障害  初期の知覚消失 (early loss of sensory abilities)、erectile dysfunction、下肢壊疽
腎症    尿アルブミン上昇
 
スタチンが微小血管障害増加とは関連してないし、実際に微小血管障害に対して保護的作用を示すかどうかは、ランダマイズドコントロールスタディが必要。
 
フェノフィブラートは網膜症と尿アルブミン抑制作用が示されている。この効果は脂質低下作用でなく抗炎症作用によると考えられている。スタチンも抗炎症作用があるので、今回の結果となったという考察です。
 
1. Nielsen SF, Nordestgaard BG. Lancet Diabetes Endocrinol. 2014 Nov;2(11):894-900. Statin use before diabetes diagnosis and risk of microvascular disease: a nationwide nested matched study.

2. Preiss D. Lancet Diabetes Endocrinol. 2014 Nov;2(11):858-9. Do statins reduce microvascular complications in diabetes? 

 
 
 

スタチンは、テロメラーゼ 活性を上げ、加齢に伴うテロメア短縮化を抑制する。

スタチン服用者とコントロールで、末梢血単核球のテロメラーゼ活性、テロメア径(leukocyte teromer length, LTL)、加齢に伴うテロメア短縮率を測定した。(230人、年齢30歳から86歳)

スタチン継続服用者では、テロメラーゼ活性が高く、加齢に伴うテロメア短縮化 が抑制されていた。



 

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スタチン服用と運動耐容量 exercise capacity は、独立して死亡率を低下させる。

スタチン服用と、トレッドミルで測定した運動耐容量 exercise capacity はそれぞれ独立して死亡率を低下させる。運動耐容量が多いほど死亡率の低下が大きい。(Lancet online first)
 
運動の習慣のフォローアップのデータはないですが、運動の習慣があれば耐容量は維持され、増えることもあるはずなので、運動療法の根拠となると思います。

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HDLはNitric oxide を産生させ抗動脈硬化作用を示す。(Cardiovascular academia 1)

糖尿病と循環器合同の講演会があり、循環器科の講演は普段聞く機会が少なく非常に勉強になりました。
High-density lipoprotein (HDL) が、末梢コレステロール輸送だけでなく、NOを産生に働くなど、多彩な抗動脈硬化作用を示すことが提示され、非常に面白い内容でした。
 
まとめ
HDLは、ナノサイズで、リポプロテインの中で一番小さい。粒子の中にエストロゲン、S1Pなどの生理活性物質を含む。
 
<HDL の役割>
抗酸化作用
生理活性物質の運搬(Estrogen、S1P)S1Pは eNOSの活性化する
抗凝固作用
炎症の抑制
 
CETP阻害薬は、HDL内のコレステロールを増やすはずだが、粒子の数を増加させるかは不明。
CETP阻害薬でHDLコレステロールが上昇しても心血管イベント抑制に繋がらないのではないかという懸念もある。
 
冠動脈疾患のある患者では、HDLによるNO産生機能が低下している報告もある 2)。
 
1. High-density lipoprotein binding to scavenger receptor-BI activates endothelial nitric oxide synthase.Nat Med. 2001 Jul;7(7):853-7.
HDLが、eNOSを活性化することをはじめて示した。

1を引いていた最近の総説。HDLのNO産生作用、抗凝固作用、抗炎症作用について書かれている。


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がん診断前にスタチンを服用していると死亡率が低い

デンマークでの研究、がん診断前にスタチンを服用しているとがん死亡率が低いという結果です。スタチンはがん細胞の増殖、転移を抑制する可能性はありますが、スタチン服用者がもともと健康に注意しているなどのバイアスも指摘されています。

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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