心臓のGLP-1受容体の発現

RT-PCRで、GLP-1受容体(GLP-1R) mRNAが、心房と心室に発現している。in situ hybridization で、GLP-1Rは心房の sinoatrial nodeに発現しているが、心室に発現は確認できない。

まとめ
GLP-1RmRNAのopen reading frame 全長の転写transcript は、全ての心房、心室に膵臓と同等の検知レベルで認められた。心筋線維芽細胞、冠動脈血管内皮細胞、冠動脈血管平滑筋に、GLP-1RmRNA は認められなかった。

グルカゴンとGLP-2は、同じpreproglucagon 遺伝子から転写される。心房および心室で、GLP-2受容体mRNA発現はかなり低く、グルカゴン受容体mRNAは左室には認められなかった。

In situation hybridization で、十二指腸Brunner’s gland、膵島、心房組織のsinoatrial node にGLP-1Rの発現が確認できるが、心室組織では確認できない。
信頼できる抗体によるウエスタンブロッティングでは、感度が不十分で心室だけでなく膵島のGLP-1Rの発現が検出できない。

Baggio LL et al. GLP-1 Receptor Expression Within the Human Heart. Endocrinology. 2018 Apr 1;159(4):1570-1584.

GLP-1 受容体の発現部位

GLP-1作動薬は肝臓で中性脂肪蓄積を抑制するが、肝臓にGLP-1受容体を介した直接作用ではない。

まとめ
GLP-1受容体作動薬は、肝臓で中性脂肪の蓄積を減少させる。
肝細胞、マクロファージには、GLP-1受容体のcoding mRNA全長が発現していない。
 
市販されているGLP-1受容体抗体は、感度、特異度において信頼性に欠ける
Glp1r+/+ and Glp1r−/− マウスの肺抽出をもちいたウエスタンブロットで、GLP−1受容体抗体 sc-66911 (Santa Cruz Biotechnology)、 LS-A1205 (LifeSpan Biosciences)、 ab39072 (Abcam)ともにGlp1r−/−マウスのサンプルでも受容体陽性の結果となる。
 
Novo Nordiskが作成したモノクローナル抗体による検討で、GLP-1受容体は
ヒトの膵管上皮、甲状腺、肝臓には発現していない。
Acinar での発現はweakである。
心房に発現するが、心筋細胞には発現しない。心房ではsinoatrial node の心筋細胞に発現している。2)
 
1. Panjwani N, Mulvihill EE, Longuet C, Yusta B, Campbell JE, Brown TJ, Streutker C, Holland D, Cao X, Baggio LL, Drucker DJ. Endocrinology. 2013 Jan;154(1):127-39. GLP-1 receptor activation indirectly reduces hepatic lipid accumulation but does not attenuate development of atherosclerosis in diabetic male ApoE(-/-) mice. 

2. Pyke C, Heller RS, Kirk RK, Ørskov C, Reedtz-Runge S, Kaastrup P, Hvelplund A, Bardram L, Calatayud D, Knudsen LB. Endocrinology. 2014 Apr;155(4):1280-90. GLP-1 receptor localization in monkey and human tissue: novel distribution revealed with extensively validated monoclonal antibody. 
Novo 社の抗体を使っている。





プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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