耐糖能異常でアカルボースは心血管イベントを抑制しない。

耐糖能異常と心血管イベントリスクのある患者にアカルボースを投与、5年のフォローアップの結果

・STOP-NIDDMで認められた2型糖尿病発症抑制は確認された。(4.4年で18%抑制)
・cardiovascular event の抑制効果は認められなかった。

ライフスタイル介入、メトフォルミン、チアゾリジンで、2型糖尿病の発症抑制が報告されている。

Nauck MA, Meier JJ. Break point instead of ACE: acarbose, post-load glycaemic excursions, and cardiovascularevents. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 Sep 12. pii: S2213-8587(17)30318-2. 

Holman RR et al. Effects of acarbose on cardiovascular and diabetes outcomes in patients with coronary heart disease and impaired glucose tolerance (ACE): a randomised, double-blind, placebo-controlledtrial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 Sep 12. pii: S2213-8587(17)30309-1.

ピオグリタゾンは、糖尿病がなくインスリン抵抗性のある患者で脳卒中、心筋梗塞の発症を抑制する

糖尿病がなく、HOMA-IR 3 以上、脳卒中、TIAを発症した後にピオグリタゾンを投与
プライマリーアウトカムは致死性、非致死性の脳卒中、心筋梗塞

4.8年後、致死性、非致死性の脳卒中、心筋梗塞のリスクはピオグリタゾンで低下  (HR 0.76)

体重はプラセボに比べ 4.5 kg 増加、浮腫、骨折による外科手術や入院は増加する。

糖尿病発症    リスク低下 HR 0.48
全死亡率     有意差なし
心不全による入院 有意差なし、(心不全のリスクのある患者はリクルート時に除外している)

ピオグリタゾンは、PPAR-γを活性化し、PPAR-αをpartial activationする。

Pioglitazone after Ischemic Stroke or Transient Ischemic Attack

 

ピオグリタゾンは認知症リスクを低下させるかもしれない

2004年から2010年、60歳以上、14万人の観察研究
ピオグリタゾンを2年未満服用した場合、認知症リスクは非糖尿病者と変わらないが (RR 1.16、p=0.317)、
服用しない場合は23%増加する (RR 1.23、p<0.001)

Heneka MT, Fink A, Doblhammer G. Effect of pioglitazone medication on the incidence of dementia.
Ann Neurol. 2015 May 14. doi: 10.1002/ana.24439. [Epub ahead of print]

ACT NOW、チアゾリジン誘導体 (TZD) の体重増加は中枢性の作用。腎臓では遺伝子レベルでなく、直接ナトリウムトランスポーターに作用してナトリウムを吸収する。

ACT NOW Study は、pioglitazone を使ったIGTから糖尿病への進展予防のスタディ。NEJM 3月24日号に掲載された。Pioglitazone には糖尿病進展予防効果があるが、体重増加と浮腫も伴う。
この連休中に、日経新聞の記事やADAのメルマガで、TZDによる体重増加と浮腫に関して、論文がでていることに気がつき、まとめてみました。

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NAVIGATOR―バルサルタンは糖尿病発症を抑制

ACE阻害薬、ARBではすでに糖尿病は抑制が示されていたが、セカンドアウトカムであり、ライフスタイル介入も行われていなかった。Ramipril、Trandolapril、バルサルタン、カンデ サルタンで糖尿病発症抑制が示されmeta-analysis の論文もあり。

NAVIGATORでは、バルサルタンの糖尿病進展抑制、心血管イベント、心血管死をプライマリーアウトカムとして検討。 ライフスタイル介入も行われた。

IGTがあり、心血管病がある(55歳 以上)か、1つ以上の心血管イベントリスクがある(55歳以上)9306人、ナテグリニドとバルサ ルタンの2-by-2 factorial design5年 のフォローアップ。

糖 尿病発症率: バルサ ルタン33.1%、プラセボ36.8%、 ハ ザード比0.86

FBS
0.59 mg/dlOGTT 2時間値で3.15 mg/dl バルサル タンが低い。

心血管イベント、心血管 死では有意差なし。


今回の糖尿病発症でのrisk reduction 14%。 これまでのACE阻 害薬、ARBでのrisk reduction 25-30%だが、 今回の対象がIGT であるため。


プ ラセボでopen-label ACE阻 害薬、ARBの使用があり、バルサルタン群で、study treatment 中止が多かったため、心血管死、心血管イベントで有意差がつかず。


この論文中ではARBの 糖尿病抑制の機序は不明としていたが、カンデ サルタンの論文では、ARBpreadipocyte からadipocyte へ の分化を抑制したり、adiponectineを増加させたり、インスリン受容体、IRS-1PI3Kのセリンリン酸化を増加させること でインスリン感受性を改善するとしている。


NAVIGATOR
editorial では、「糖尿病発症予防にはARBでなくメトフォルミンです。」と書いてあり同感。

ナテグリニドの結果はこちら

1. Effect of Valsartan on the Incidence of Diabetes and Cardiovascular Events The NAVIGATOR Study Group Published at www.nejm.org March 14, 2010 (10.1056/NEJMoa1001121)

2. Effects of Candesartan on the Development of a New Diagnosis of Diabetes Mellitus in Patients With Heart Failure Circulation. 2005;112:48-53

3. Incident diabetes in clinical trials of antihypertensive drugs: a network meta-analysis Lancet 2007; 369: 201 - 207

 

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NAVIGATOR-グリニドは糖尿病発症予防および心血管イベント抑制を示せず。

α―GIとグリニドはほぼ同等の血糖降下作用があるという印象があります。ボグリボース、アカルボースともに糖尿病発症抑制があり、アカルボースは心血管イベント抑制効果も報告されていたので、グリニドにも期待されていました。

 

NAVIGATORの結果がNEJMonline に発表され、「ナテグリニドは、糖尿病発症予防および心血管イベント抑制を示せず」という結果でした。

 

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プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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