ピオグリタゾンは、糖尿病がなくインスリン抵抗性のある患者で脳卒中、心筋梗塞の発症を抑制する

糖尿病がなく、HOMA-IR 3 以上、脳卒中、TIAを発症した後にピオグリタゾンを投与
プライマリーアウトカムは致死性、非致死性の脳卒中、心筋梗塞

4.8年後、致死性、非致死性の脳卒中、心筋梗塞のリスクはピオグリタゾンで低下  (HR 0.76)

体重はプラセボに比べ 4.5 kg 増加、浮腫、骨折による外科手術や入院は増加する。

糖尿病発症    リスク低下 HR 0.48
全死亡率     有意差なし
心不全による入院 有意差なし、(心不全のリスクのある患者はリクルート時に除外している)

ピオグリタゾンは、PPAR-γを活性化し、PPAR-αをpartial activationする。

Pioglitazone after Ischemic Stroke or Transient Ischemic Attack

 

ピオグリタゾンは認知症リスクを低下させるかもしれない

2004年から2010年、60歳以上、14万人の観察研究
ピオグリタゾンを2年未満服用した場合、認知症リスクは非糖尿病者と変わらないが (RR 1.16、p=0.317)、
服用しない場合は23%増加する (RR 1.23、p<0.001)

Heneka MT, Fink A, Doblhammer G. Effect of pioglitazone medication on the incidence of dementia.
Ann Neurol. 2015 May 14. doi: 10.1002/ana.24439. [Epub ahead of print]

ピオグリタゾンと膀胱がん(8) 100万人規模、4~7.4年のフォローアップでは ピオグリタゾンと膀胱がんの関連なし。

ヨーロッパで101万人のスタディ、4.0~7.4年のフォローアップ
膀胱がんの診断は3248例、117例にピオグリタゾンの服用歴がある。
 
ピオグリタゾン2~3年服用で膀胱がん診断22例(全膀胱がん 22,505 patient-years)
3年より長期服用10例(全膀胱がん 26,004 patient-years)
 
ピオグリタゾン100日服用の膀胱がん発症リスク比は男性1.01 、女性1.04で、ピオグリタゾンと膀胱がんの関連は認められなかった。

スタディのlimitation としては、フォローアップ期間が4~7.4年と短いこと。


PPARγは正常の尿路上皮に発現し、膀胱がんでは発現が増加する。
 
Levin D et al. Pioglitazone and bladder cancer risk: a multipopulation pooled, cumulative exposure analysis. Diabetologia. 2014 Dec 7. [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25481707
 

ピオグリタゾンと膀胱がん(7) カナダの報告

カナダの報告、ピオグリタゾンによる膀胱がんリスク増加は20%、HealthDayの記事では、”リスク増加は少ない”と、ピオグリタゾンに好意的に書いてあります。

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ピオグリタゾンと膀胱がん イギリスでの報告

ピオグリタゾンと膀胱がんの論文が、BMJに掲載され、ADAのメルマガできました。これまでの報告より、リスクが少し高く出ているようです。ベネフィットとリスクを秤にかけて、ベネフィットが多い人には処方するというスタンスにはかわりはないと思われます。

論文より
イギリスprimary care databaseでの調査、Mean age 64歳、4.6年のフォローアップ
115727 例の新規糖尿病薬処方例で、470 例が膀胱がんの診断をうけた。(89.4/10万人)
フォローアップ1年後以降の発症が、376症例で、6699例のコントロールと比較した。(nested-cohort study)

ピオグリタゾン服用で、膀胱がんのリスク1.83倍、服用期間に伴い増加する。
24ヶ月以上服用で1.99倍、蓄積容量28000 mg で2.54倍
ロシグリタゾンでは、膀胱がんのリスク増加はなく、容量、服用期間による影響も認められない。
イギリスの65歳以上で、膀胱がんの発症率は、73人/10万人、2型糖尿病で膀胱がんの発症率が高いため、この集団の膀胱がんの発症率 (89.4/10万人)は高い。
今回のスタディの結果、ピオグリタゾンを高容量、長期間服用すると膀胱がんの発症が88例/10万人から137例/10万人に増加する。

まとめ
nested-cohort study は発症頻度が少ないケースで使われるようです。
男女差について、触れていない。
膀胱がんのリスク増加は、同じクラスの薬、ロシグリタゾンにはない、ビオグリタゾン特有の現象というのはこの論文で初めて読みました。
日本で、40歳以上男性の膀胱がん罹患率を調べてみたら、男性40/10万人、女性 10/10万人位でした。
 
1. The use of pioglitazone and the risk of bladder cancer in people with type 2 diabetes: nested case-control study BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e3645 (Published 31 May 2012)

2. 日本で、40歳以上男性の膀胱がん罹患率(国立がん研究センターがん情報サービス)
グラフから読み取ると
男性40/10万人、女性 10/10万人程度
ほぼ同時期にでた、イギリスでピオグリタゾンと膀胱がんは関連なしという論文

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Dapagliflozinと発がんリスク

SGLT-2 阻害薬、Dapagliflozinは、膀胱がんと乳がんのリスクを高めることが報告され、FDA advisory committeeは、7月19日、発がんリスクのため、 dapagliflozinの認可推薦を否決した。

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ACT NOW、チアゾリジン誘導体 (TZD) の体重増加は中枢性の作用。腎臓では遺伝子レベルでなく、直接ナトリウムトランスポーターに作用してナトリウムを吸収する。

ACT NOW Study は、pioglitazone を使ったIGTから糖尿病への進展予防のスタディ。NEJM 3月24日号に掲載された。Pioglitazone には糖尿病進展予防効果があるが、体重増加と浮腫も伴う。
この連休中に、日経新聞の記事やADAのメルマガで、TZDによる体重増加と浮腫に関して、論文がでていることに気がつき、まとめてみました。

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チアゾリジン誘導体とCDK5

チアゾリジン誘導体は、PPARγのligandであり、PPARγの転写活性を上げ、小型の脂肪細胞を増やしインスリン感受性を上げることで血糖値を下げると考えられてきたと思います。
Nature2010年7月22日号では、ロシグリタゾンが、cyclin-dependent kinase 5 (CDK5) によるPPARγのリン酸化を阻害し、その結果インスリン感受性をあげているという論文を掲載、NEJM12月30日号でレビューされています。

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ロシグリタゾンの今後

FDAはロシグリタゾンに対する決定を近々下す見込みのようです。
アドバイザリーコミティの審議の結果がNEJM誌に載っており、Arch Intern Med 誌にもreviewが掲載されています。

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NAVIGATOR―バルサルタンは糖尿病発症を抑制

ACE阻害薬、ARBではすでに糖尿病は抑制が示されていたが、セカンドアウトカムであり、ライフスタイル介入も行われていなかった。Ramipril、Trandolapril、バルサルタン、カンデ サルタンで糖尿病発症抑制が示されmeta-analysis の論文もあり。

NAVIGATORでは、バルサルタンの糖尿病進展抑制、心血管イベント、心血管死をプライマリーアウトカムとして検討。 ライフスタイル介入も行われた。

IGTがあり、心血管病がある(55歳 以上)か、1つ以上の心血管イベントリスクがある(55歳以上)9306人、ナテグリニドとバルサ ルタンの2-by-2 factorial design5年 のフォローアップ。

糖 尿病発症率: バルサ ルタン33.1%、プラセボ36.8%、 ハ ザード比0.86

FBS
0.59 mg/dlOGTT 2時間値で3.15 mg/dl バルサル タンが低い。

心血管イベント、心血管 死では有意差なし。


今回の糖尿病発症でのrisk reduction 14%。 これまでのACE阻 害薬、ARBでのrisk reduction 25-30%だが、 今回の対象がIGT であるため。


プ ラセボでopen-label ACE阻 害薬、ARBの使用があり、バルサルタン群で、study treatment 中止が多かったため、心血管死、心血管イベントで有意差がつかず。


この論文中ではARBの 糖尿病抑制の機序は不明としていたが、カンデ サルタンの論文では、ARBpreadipocyte からadipocyte へ の分化を抑制したり、adiponectineを増加させたり、インスリン受容体、IRS-1PI3Kのセリンリン酸化を増加させること でインスリン感受性を改善するとしている。


NAVIGATOR
editorial では、「糖尿病発症予防にはARBでなくメトフォルミンです。」と書いてあり同感。

ナテグリニドの結果はこちら

1. Effect of Valsartan on the Incidence of Diabetes and Cardiovascular Events The NAVIGATOR Study Group Published at www.nejm.org March 14, 2010 (10.1056/NEJMoa1001121)

2. Effects of Candesartan on the Development of a New Diagnosis of Diabetes Mellitus in Patients With Heart Failure Circulation. 2005;112:48-53

3. Incident diabetes in clinical trials of antihypertensive drugs: a network meta-analysis Lancet 2007; 369: 201 - 207

 

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プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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