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経口GLP-1受容体作動薬セマグルチドはシタグリプチンに比べA1Cを低下させる。

経口セマグルチド  (oral semaglutide) とシタグリプチン (sitagliptin) 100mgとの比較試験(PIONEER 3)、メトフォルミン服用 (with or without sulfonylurea) に上のせで、経口セマグルチド7 mg/day、14 mg/day はシタグリプチン100mg/dayに比べ52週後のA1Cを低下させる。経口セマグルチド3 mg/day はシタグリプチンに比べベネフィットはなかった。

52週間後、シタグリプチンに比較したA1C 変化率 7mg/day -0.3%、14 mg/day -0.5%
体重変化 7 mg/day -1.6 kg、14 mg/day -2.5 kg
中止率 経口セマグルチド 3 mg/day 16.7%、7 mg/day 15%、14 mg/day 19.1%、シタグリプチン 13.1%


Effect of Add-on Oral Semaglutide vs Sitagliptin on HbA1c in Type 2 Diabetes Uncontrolled With Metformin. JAMA. Published online March 23, 2019

The Future of the GLP-1 Receptor Agonists

GLP-1作動薬 albiglutideが心血管アウトカムを改善する。(Harmony Outcomes)

週1回注射のGLP-1受容体作動薬Albiglutideで、1.6年のフォローアップ、プライマリーアウトカム (心血管関連死亡、心筋梗塞の発症、脳卒中発症) の有意な低下を認めた(ハザード比0.78)。

心血管関連死亡単独では有意差を認めなかった。心血管関連死が有意な低下を認めたLEADER試験ではフォローアップは3.8年であり、このスタディのフォローアップ期間が短いため心血管関連死亡単独では有意差がつかなかったと考えられる。

GLP-1受容体作動薬の心血管保護作用のメカニズムは不明な点が多い。
2017年、Albiglutideは商業的理由から発売されないことが決定されている。

Hernandez AF et al. Albiglutide and cardiovascular outcomes in patients with type 2 diabetes and cardiovascular disease (Harmony Outcomes): a double-blind, randomised placebo-controlled trial. Lancet. 2018 Oct 1. pii: S0140-6736(18)32261-X. doi: 10.1016/S0140-6736(18)32261-X. [Epub ahead of print]

GLP-1作動薬の腎保護作用 AWARD7

糖尿病腎症ステージ3から4の患者で、デュラグルチドDulaglutide (1.5 mg/week、0.75 mg /week) とインスリングラルギン52週の比較試験の結果、デュラグルチド群では、インスリングラルギンに比べeGFRの低下が抑制される。

デュラグルチドは、顕性アルブミン尿(尿アルブミンクレアチニン比 >300 mg/g )の患者でインスリングラルギンに比べ、eGFRの低下を抑制する。
顕性アルブミン尿がない患者では、eGFRの低下は少なく、デュラグルチドとインスリングラルギンで eGFRは有意差なし。

デュラグルチドは 顕性アルブミン尿を改善し、その効果はデュラグルチド0.75mg に比べデュラグルチド1.5 mgでさらに強い。

SGLT2阻害薬の腎保護作用は糸球体過剰濾過の減少と尿細管糸球体フィードバックの回復による。
GLP-1受容体作動薬による腎保護のメカニズムは明らかでない点が多い。
糸球体、尿細管、腎血管内皮細胞にGLP-1受容体が発現している
抗炎症作用、酸化ストレスの改善、血管内皮保護によりGLP-1受容体作動薬による腎保護を示すと考えられている。

SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬は共に近位尿細管のNa+/H+ exchanger isoform 3の活性化を低下させ、NaHCO3の輸送を抑制する。

Dulaglutide versus insulin glargine in patients with type 2 diabetes and moderate-to-severe chronic kidney disease (AWARD-7): a multicentre, open-label, randomised trial

Farah LX, Valentini V, Pessoa TD, Malnic G, McDonough AA, Girardi ACC. The physiological role of glucagon-like peptide-1 in the regulation of renal function. Am J Physiol Renal Physiol 2016; 310: F123–27.
近位尿細管のNa+/H+ exchanger isotope 3 (NHE3)はNaHCO3の輸送を担う。PKAは、NHE3 serine 552をリン酸化し、NaHCO3の輸送を抑制する。ラットでGLP-1受容体拮抗薬 exendin-9 の投与は、尿中cAMPの減少、腎皮質のPKA活性が低下し、糸球体濾過率やナトリウム排泄が減少する
GLP-1は、PKAを介してNHE3を抑制しナトリウム利尿を促進する。

Pessoa TD, Campos LC, Carraro-Lacroix L, Girardi AC, Malnic G. Functional role of glucose metabolism, osmotic stress, and sodium- glucose cotransporter isoform-mediated transport on Na+/H+ exchanger isoform 3 activity in the renal proximal tubule. Am Soc Nephrol. 2014 Sep;25(9):2028-39.

semaglutideとdulaglutide の比較試験 SUSTAIN 7

semaglutide 0.5mg 1.0mg、dulaglutide 0.75mg 1.5 mg 投与40週後、

低用量および高容量の比較で、semaglutideの方が、A1C、体重の減少量が大きい。

Dulaglutide は分子量が大きいため Blood-brain barrier を透過するとは考えられていない。一方、semaglutide による脳内GLP-1受容体の活性化がマウスで報告されている。
胃腸症状による Adverse event は2剤で同等。

心拍数の増加は、high-dose semaglutide で、high-dose dulaglutide に比べて認められる。sinoatrial node に発現するGLP-1受容体に作用するため、GLP-1作動薬で心拍数の増加が認められる。

SUSTAIN 7 trial: semaglutide versus dulaglutide once weekly in patients with type 2 diabetes

Semaglutide 1.0mgとExenatide extended release 2mg の比較試験 SUSTAIN 3

Semaglutide 1.0mgとExenatide extended release 2mg 56週の比較、Semaglutide の方がA1cを低下(1.5% vs0.9%)、体重も低下させる。(5.6 kg vs 1.9 kg)

Efficacy and Safety of Once-Weekly Semaglutide Versus Exenatide ER in Subjects With Type 2 Diabetes (SUSTAIN 3): A 56-Week, Open-Label, Randomized Clinical Trial

Semaglutide 週1回注射 はグラルギンに比べ、A1Cと体重が低下する。(SUSTAIN4)

Semaglutide 0.5 mg、1 mg 週1回注射、グラルギン1日1回注射、30週での比較
グラルギンは空腹時血糖値72-99 mg/dl となるように調整する。

ベースライン HbA1c 8.17% からの30週での変化
Semaglutide 0.5 mg  -1.21%、Semaglutide 1 mg  -1.64%、グラルギン  -0.84%

Semaglutideでは体重が減少し、グラルギンでは増加する。
胃腸症状のため、Semaglutideで中止率が高い。
自己血統測定による30週での空腹時血糖値はグラルギン群128mg/dl  (インスリン量29.2 IU /day) で、titration target に達していない。

Efficacy and safety of once-weekly semaglutide versus once-daily insulin glargine as add-on to metformin (with or without sulfonylureas) in insulin-naive patients with type 2 diabetes (SUSTAIN 4): a randomised, open-label, parallel-group, multicentre, multinational, phase 3a trial

Semaglutide は心血管アウトカムを改善させる SUSTAIN-6

 GLP-1作動薬(週1回注射)Semaglutide とプラセボの比較、104週のフォローアップの結果、Semaglutide群で、ブライマリーアウトカム(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)が 26%減少した。
Semaglutide治療群で、非致死性脳卒中が有意に減少(36%)、有意差はつかないが非致死性心筋梗塞が26%減少した。心血管死は同程度であった。

マクロアルブミン尿の出現率の結果から、Semaglutide は腎症の新規発症と悪化を抑制する。
網膜症のイベントが少ないが、Semaglutideで、網膜症合併症(硝子体出血、失明、硝子体注射あるいは光凝固術)が予想外に増加した。1型糖尿病で、急速な血糖値改善と網膜症悪化の報告がある。Semaglutide の網膜への直接作用は除外できていない。

2年にわたり、Semaglutide では、プラセボに比べ、A1C低下、体重減少、収縮期血圧減少が認められ、これらは心血管リスク低下に寄与していると考えられる。

ベースラインのA1C8.7%、104週で、Semaglutide 0.5mg 7.6%、Semaglutide 1mg 7.3%、プラセボは、ベースラインから0.4%低下 、プラセボとのA1Cの差は、Semaglutide 0.5 mgで-1.1%、Semaglutide 1mg で-1.4%

急性膵炎 Semaglutide 9 プラセボ 12
リパーゼ、アミラーゼはSemaglutideで高い。

Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes — NEJM

リラグルチドがプラセボに比べ心血管死亡を抑制 LEADER試験

リラグルチドとプラセボの比較、対象は心血管病高リスクのある9340人、3.8年のフォローアップ、リラグルチドで心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中が少ない。プライマリーアウトカムのハザード比 0.87  
リラグルチドで、A1C が0.4%低い。

リラグルチドで、macroalbumiuria の発症が少ない。 
網膜症のイベントは有意差がつかないがリラグルチドで多い。

対象者の心血管病の罹患率は72.4%で、EXAMIN、SAVOR-TIMI 53、TECOSに比べ低い。

Mario SP et al. Liraglutide and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2016 Jul 28;375(4):311-22.

Ingelfinger JR, Rosen CJ. Cardiac and Renovascular Complications in Type 2 Diabetes — Is There Hope?
N Engl J Med. 2016 Jul 28;375(4):380-2. 


1型糖尿病とGLP-1受容体作動薬

肥満があり、コントロール不良な1型糖尿病患者にリラグルチドを投与した。 (開始時A1C 8.7% BMI 30)
24週間後、プラセボに比べ、A1C変化は同等
低血糖は少なく、bolus insulinは少なく済み (-5.8単位)、体重は減少 (-6.8kg)する。
心拍数は増加、グルカゴン、GLP-1値は変わらず。

Dejgaard TF et al. Efficacy and safety of liraglutide for overweight adult patients with type 1 diabetes and insufficient glycaemic control (Lira-1): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial Lancet Diabetes Endocrinol. 2016 Mar;4(3):221-32.

GLP-1受容体作動薬は、交感神経刺激の他に洞房結節に直接作用し心拍数を増加させる。

リラグルチドあるいはリキセナチドの注射前後で、60人の2型糖尿病患者にホルター心電図を施行した。
心拍数増加はリラグルチド注射後、終日続き、リキセナチドで5時間のみ認められる。

交換神経活性化時は、LF/HF ratioが上昇する。
リラグルチドでは24ポイント中16ポイントでLF/HF ratioの変化が認められたが、リキセナチドではどのポイントでも変化が認められなかった。

GLP−1受容体作動薬による心拍数増加は、交感神経刺激だけでなく、洞房結節に対する直接刺激により生じる。

Nakatani Yet al. Effects of GLP-1 Receptor Agonists on Heart Rate and the Autonomic Nervous System Using Holter Electrocardiography and Power Spectrum Analysis of Heart Rate Variability Diabetes Care. 2015 Dec 17. pii: dc151437. [Epub ahead of print]

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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