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dulaglutide と認知機能

RIWIND はプラセボとdulaglutide の比較試験、ベースラインの認知機能試験に比べ 1·5 SD 以上の低下を ‘exploratory primary cognitive outcome’とした。

フォローアップ5.4年、dulaglutide では、HR 0.86 で認知機能低下 cognitive impairment が抑制された。

Cukierman-Yaffe T et al. Effect of dulaglutide on cognitive impairment in type 2 diabetes: an exploratory analysis of the REWIND trial. Lancet Neurol. 2020 Jul;19(7):582-590.

リキセナチドは膵切除後の糖尿病患者の食後血糖を抑制する。

リキセナチドは膵切除後の二次性糖尿病患者の食後血糖値を抑制する。胃排出の減速と食後のgut-derived glucagon の減少が関与している。

膵全摘後患者12人、コントロール12人、クロスオーバースタディ、膵全摘患者では、前日まで通常通りインスリンをうち、当日はインスリンを打たない。30分前リキセナチド20μg あるいはプラセボの1回注射の後、200 mlの液状の食事を摂取する。

リキセナチド投与後、膵全摘後患者では、プラセボに比べ、ピークの血糖値が低く、Gastric emptying 、グルカゴン反応が減少している。Cペプチドはほぼ測定感度以下、2例で低い反応を認めた。

腸管のL細胞では、prohormone convertase (PC) 1/3によりプログルカゴン からGLP-1が生成される。膵島のα細胞ではPC2によりプログルカゴンからグルカゴンが産生される。PC2の発現はα細胞に限定的とされてきた。

膵全摘後の糖尿病患者から分泌されるグルカゴンは腸管のL細胞由来であると考えられる。L細胞にもPC2が発現するか、PC1/3がプログルカゴンを特有の部位と異なる部位で分割し (unspecific procession) グルカゴンを産生しているという二つの可能性があり、後者の方がより説明しやすいかもしれない。膵蔵を摘出するWhipple’s procedure では、胃と空腸が吻合されている。小腸のL細胞では食後に強力な刺激を受け、PC1/3によりグルカゴンが産生されると考えられる。

膵全摘患者で、リキセナチドによる膵外のグルカゴン分泌に対する直接作用は除外されていない。

Juel CTB et al. The GLP-1 receptor agonist lixisenatide reduces postprandial glucose in patients with diabetes secondary to total pancreatectomy: a randomised, placebo-controlled, double-blinded crossover trialDiabetologia. 2020 May 11. doi: 10.1007/s00125-020-05158-9. Online ahead of print.

Jorsal T et al. Enteroendocrine K and L Cells in Healthy and Type 2 Diabetic Individuals. Diabetologia. 2018 Feb;61(2):284-294.
PC2をコードするPCSK2 mRNAとPC2陽性細胞の発現が腸管全体に認められる。

経口セマグルチドとリラグルチド、dulaglutide の比較試験 PIONEER9、PIONEER 10

経口GLP-1作動薬セマグルチドは、タンパク質分解や酸性の環境でも生物学的利用能 bioavailability が充分得られるようabsorption enhancer をタブレット内に配合している。
経口セマグルチド14mgでは、リラグルチド0.9mg/day、dulaglutide 0.7mg/week に比べ26週後A1Cが、0.3%低く、体重は低下する。

PIONEER9
食事運動療法か経口薬単独療法の2型糖尿病でプラセボ、リラグルチド0.9mg /day、経口セマグルチド1日1回服用の比較試験
26週後、経口セマグルチドでは容量依存性にA1C低下を認める。
26週間後、プラセボとのA1Cの差
リラグルチド0.9mg     -1.4%
経口セマグルチド
3mg    -1.1%
7mg      -1.5%
14mg    -1.7%
経口セマグルチド14mg vs.リラグルチド0.9mg /day -0.3% p=0.0272
52週後、セマグルチド14mg とリラグルチドのA1Cは有意差なし。
体重はセマグルチドの方がリラグルチド0.9mgより低下させる。
(26週後、セマグルチド7mg、14mg、52週後、セマグルチド14mg でリラグルチドとの有意差あり。)

PIONEER 10
経口薬単独療法の2型糖尿病で、dulaglutide 0.75 mg/week、経口セマグルチド1日1回服用、52週間の比較試験
ベースラインと比較したA1Cの変化
dulaglutide 0.75 mg  -1.4%
経口セマグルチド
3mg   -0.9%
7mg   -1.4%
14mg   -1.7%
経口セマグルチド14 mg vs. dulaglutide 0.75 mg -0.3% p=0.0170

ベースラインと比較した体重の変化
dulaglutide 0.75 mg +1kg
経口セマグルチド
3mg   0.0kg
7mg     -0.9kg
14mg   -1.6kg
経口セマグルチド14 mg vs. dulaglutide の体重変化の差は-2.6kg p<0.0001

1. Dose-response, efficacy, and safety of oral semaglutide monotherapy in Japanese patients with type 2 diabetes (PIONEER 9): a 52-week, phase 2/3a, randomised, controlled trial

2. Safety and efficacy of oral semaglutide versus dulaglutide in Japanese patients with type 2 diabetes (PIONEER 10): an open-label, randomised, active-controlled, phase 3a trial

Dulaglutide は脳梗塞発症を抑制するかもしれない。(REWIND)

Dulaglutide1.5 mg/week とプラセボの比較、フォローアップ5.4年
脳梗塞 ischemic stroke のハザード比HR 0.75 p=0.014
障害の程度 degree of disabilityには有意差なし。脳出血には効果は認められなかった。

媒介分析 Mediation analysis では、脳梗塞抑制への寄与はA1Cの低下が約半分、収縮期血圧の低下が14%で、この二つ以外の要因以外が多くを占める。

GLP-1受容体作動薬では以下のような小血管、大血管への直接作用が報告されている。
・微小血管循環の増加 "increase microvascular recruitment and blood flow”
・血管平滑筋増殖の抑制
・酸化ストレス減少
・一酸化窒素 Nitric oxide 増加
・頸動脈内膜中膜肥厚抑制

The effect of dulaglutide on stroke: an exploratory analysis of the REWIND trial

経口セマグルチドとSGLT2阻害薬あるいはリラグルチドとの比較試験 (PIONEER 2, PIONEER 4)

PIONEER 2 経口セマグルチドとエンパグリフロジンの比較試験 
A1Cはセマグルチドでより低下する。体重は26週後で有意差なし、52週後セマグルチドでより低下する。

PIONEER 4 経口セマグルチド(〜14mg/day)と注射薬リラグルチド(〜1.8mg/day)の比較 
26週後、経口セマグルチドはリラグルチドに比べA1C低下で非劣性(-1.2% vs. -1.1%)、ベースラインからのA1C低下、体重はより低下する(-4.4 kg vs. -3.1kg)
得られたデーターから、経口セマグルチドと注射薬リラグルチドの治療効果はほぼ同等で、患者と医者に選択権がある

経口セマグルチドは吸収のため空腹時の服用が必要であり、朝食前にコップ半分の水で服用し、30分経過後、食事を取るように指示されている。
注射薬GLP-1受容体作動薬は週1回注射が可能なものがあり、注射薬セマグルチド週1回注射はリラグルチドよりA1Cと体重を低下させる。

Rodbard HW et al. Oral Semaglutide Versus Empagliflozin in Patients With Type 2 Diabetes Uncontrolled on Metformin: The PIONEER 2 Trial. Diabetes Care. 2019 Sep 17. pii: dc190883. doi: 10.2337/dc19-0883. [Epub ahead of print]

Pratley R et al. Oral semaglutide versus subcutaneous liraglutide and placebo in type 2 diabetes (PIONEER 4): a randomised, double-blind, phase 3a trial.Pratley R, et al. Lancet. 2019.

Holst JJ. Which to choose, an oral or an injectable glucagon-like peptide-1 receptor agonist? Lancet. 2019 Jul 6;394(10192):4-6.

SGLT2阻害薬とsemaglutide 週1皮下注射 (SUSTAIN 8、SUSTAIN 9)

SUSTAIN 8 SGLT2阻害薬canagliflozinとsemaglutide 週1皮下注射の比較
メトフォルミンにcanagliflozinあるいはsemaglutide 週1皮下注射を上乗せ、
膵炎、ケトアシドーシス、心筋梗塞、脳卒中、狭心症による入院の既往がある患者などは除外して登録
52週後、semaglutide 群で、A1cと体重の減少が大きい。
A1C はsemaglutide -1.5% canagliflozin -1% 群間差 -0.49%
体重は semaglutide -5.3 kg cangliflozin -4.2kg  群間差-1.06 kg

両群とも血圧が低下するが、canagliflozin で血圧がより低下する。
semaglutideは canagliflozin に比べ総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセライドが減少する。
canagliflozinは semaglutideに比べHDLコレステロールが上昇した。

SUSTAIN 9 SGLT2阻害薬にsemaglutide 上乗せ
少なくとも90日以上SGLT2阻害薬を服用している2型糖尿病患者に semaglutide 皮下注射週1回あるいはプラセボを上乗せ、30週間後、プラセボに比べ、A1Cは1.42%減少、体重は3.81kg 減少しsemaglutide の付加的効果が認められた。

semaglutideで、LDLコレステロール、収縮期血圧が減少した。
LDLコレステロール、収縮期血圧の低下は体重減少が関連しているかもしれないが、一方でGLP-1受容体作動薬がコレステロールおよびトリグリセライド 代謝を制御していること、血管系、心筋、腎臓、中枢神経を介して血圧を低下させる可能性が示されている。

GLP-1受容体作動薬は中枢性に、SGLT2阻害薬は腎臓でのグルコース排出によって体重が減少する。

Lingvay I et al. Efficacy and safety of once-weekly semaglutide versus daily canagliflozin as add-on to metformin in patients with type 2 diabetes (SUSTAIN 8): a double-blind, phase 3b, randomised controlled trial. Lingvay I et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2019 Sep 17.

Zinman B et al. Semaglutide once weekly as add-on to SGLT-2 inhibitor therapy in type 2 diabetes (SUSTAIN 9): a randomised, placebo-controlled trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2019 May;7(5):356-367.

Ludvik B et al. Dulaglutide as add-ontherapy to SGLT2 inhibitors in patients with inadequately controlled type 2 diabetes (AWARD-10): a 24-week, randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet Diabetes Endocrinol 2018; 6: 370–81.

経口セマグルチド週1回と心血管イベントリスク PIONEER 6

PIONEER 6試験は経口セマグルチド週1回服用とプラセボの比較試験、経口セマグルチド週1回がプラセボに比べ心血管リスクを増加させることがないかを検証するためにデザインされた。

2型糖尿病、50歳以上で心血管疾患あるいは慢性腎臓病患者、60歳以上で心血管疾患のリスクファクターのみを持つ3183人、プライマリーアウトカムは主要心血管イベント(心血管死、非致死性心血管梗塞、非致死性脳卒中)、期間の中央値15.9ヶ月

HR
主要心血管イベント 0.79
心血管死 0.49
非致死性心筋梗塞. 1.19
非致死性脳卒中 0.74

全死亡 0.51

ベースラインからの変化
プラセボvs. 経口セマグルチド
A1C -1.0 vs. -3.0 %
体重. -0.8 vs. -4.2 kg

プラセボに比べ経口セマグルチドでは消化器症状による薬の中止が多かった。
消化器症状による中止
経口セマグルチド 6.8%
プラセボ 1.6%

Husain M et al.Oral Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2019 Jun 11. doi: 10.1056/NEJMoa1901118. [Epub ahead of print]

dulaglutideは尿アルブミンを低下させる REWIND

REWIND は、dulaglutide (1·5 mg) とプラセボの比較、フォローアップ5.4年、主要心血管アウトカムはdulaglutide HR 0.88 p=0.026 有意に低下した。セカンダリーアウトカムは微小血管症で、そのうち腎症の複合アウトカムは、マクロアルブミン尿の出現(UACR >300 mg/gCre)、ベースラインからeGFR 30% 以上低下、腎代替療法とされた。dulaglutide は、腎複合アウトカムを有意に低下させた。HR 0·85, p=0·0004

マクロアルブミン尿の出現 HR 0.77 p<0.0001
ベースラインからeGFR 30%以上低下 HR 0.89 p=0.67
腎代替療法 chronic renal replacement therapy 0.75 p=0.39

dulaglutideは、eGFR 30%以上低下の有意な抑制を示せなかった。eGFR 40%以上低下 HR 0.70 p=0.0004、eGFR 50%以上低下 HR 0.56 p=0.0002という結果があり、dulaglutide が腎機能の維持に働いている可能性はある。

腎保護作用は血糖値改善、血圧低下だけではなく、炎症の改善、酸化ストレスの軽減、血管内皮機能の維持による。アルブミン尿の減少は、腎臓の血管内皮細胞への直接作用を反映しているかもしれない。

Gerstein HC et al. Dulaglutide and renal outcomes in type 2 diabetes: an exploratory analysis of the REWIND randomised, placebo-controlled trial. Lancet. 2019 Jun 7.

Verma S, Mazer CD, Perkovic V. Is it time to REWIND the cardiorenal clock in diabetes? Lancet. 2019 Jun 7.


dulaglutide と心血管アウトカム REWIND

dulaglutide (1·5 mg) とプラセボの比較、フォローアップ5.4年、主要心血管アウトカムはdulaglutide HR 0.88 p=0.026 有意に低下、全死亡 は、HR 0.9 有意差なし。

ベースラインのA1C7.2%、罹病歴9.5年、
期間中のA1C、体重、収縮期血圧、心拍数の差 (overall least-square means difference)
A1C -0.61%
体重 -1.46kg
収縮期血圧 -1.70 mmHg
心拍数  +1.87

他のトライアルに比べ心血管疾患の既往のある参加者は31%で少なく、プラセボの心血管事象も2.7/100 person-years と低い。(他のトライアルでプラセボの同様のアウトカムは3.9%かそれ以上)

心血管事象 (100 person-years)
                                          dulagltide       プラセボ     HR
心血管疾患既往あり             3.7                  4.2                  0.87
心血管疾患既往なし         1.7                  2.0                0.87

心血管疾患の既往がない場合でも、dulaglutide はアウトカムに対して有効性を示している。
”The study enrolled the largest primary prevention cohort as far as we are aware thus far, and showed no heterogeneity in efficacy relative to those with established atherosclerotic vascular disease.”2)

REWINDでは、他のトライアルに比べフォローアップ期間が5.4年と長く、女性の比率が46%と高くベースラインのmedian A1Cが7.2%と低い。

GLP-1受容体作動薬では、血管内皮機能や虚血時の血管内皮反応の改善、動脈硬化の進展抑制、血管の炎症や血管収縮の改善が示されている。1)

1 Gerstein HC et al. Dulaglutide and cardiovascular outcomes in type 2 diabetes (REWIND): a double-blind, randomised placebo-controlled trial Lancet. 2019 Jun 7.

2 Verma S, Mazer CD, Perkovic V. Is it time to REWIND the cardiorenal clock in diabetes? Lancet. 2019 Jun 7.

経口GLP-1受容体作動薬セマグルチドはシタグリプチンに比べA1Cを低下させる。PIONEER 3

経口セマグルチド  (oral semaglutide) とシタグリプチン (sitagliptin) 100mgとの比較試験(PIONEER 3)、メトフォルミン服用 (with or without sulfonylurea) に上のせで、経口セマグルチド7 mg/day、14 mg/day はシタグリプチン100mg/dayに比べ52週後のA1Cを低下させる。経口セマグルチド3 mg/day はシタグリプチンに比べベネフィットはなかった。

52週間後、シタグリプチンに比較したA1C 変化率 7mg/day -0.3%、14 mg/day -0.5%
体重変化 7 mg/day -1.6 kg、14 mg/day -2.5 kg
中止率 経口セマグルチド 3 mg/day 16.7%、7 mg/day 15%、14 mg/day 19.1%、シタグリプチン 13.1%


Effect of Add-on Oral Semaglutide vs Sitagliptin on HbA1c in Type 2 Diabetes Uncontrolled With Metformin. JAMA. Published online March 23, 2019

The Future of the GLP-1 Receptor Agonists
プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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