Semaglutide 週1回注射 はグラルギンに比べ、A1Cと体重が低下する。(SUSTAIN4)

Semaglutide 0.5 mg、1 mg 週1回注射、グラルギン1日1回注射、30週での比較
グラルギンは空腹時血糖値72-99 mg/dl となるように調整する。

ベースライン HbA1c 8.17% からの30週での変化
Semaglutide 0.5 mg  -1.21%、Semaglutide 1 mg  -1.64%、グラルギン  -0.84%

Semaglutideでは体重が減少し、グラルギンでは増加する。
胃腸症状のため、Semaglutideで中止率が高い。
自己血統測定による30週での空腹時血糖値はグラルギン群128mg/dl  (インスリン量29.2 IU /day) で、titration target に達していない。

Efficacy and safety of once-weekly semaglutide versus once-daily insulin glargine as add-on to metformin (with or without sulfonylureas) in insulin-naive patients with type 2 diabetes (SUSTAIN 4): a randomised, open-label, parallel-group, multicentre, multinational, phase 3a trial

Semaglutide は心血管アウトカムを改善させる SUSTAIN-6

 GLP-1作動薬(週1回注射)Semaglutide とプラセボの比較、104週のフォローアップの結果、Semaglutide群で、ブライマリーアウトカム(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)が 26%減少した。
Semaglutide治療群で、非致死性脳卒中が有意に減少(36%)、有意差はつかないが非致死性心筋梗塞が26%減少した。心血管死は同程度であった。

マクロアルブミン尿の出現率の結果から、Semaglutide は腎症の新規発症と悪化を抑制する。
網膜症のイベントが少ないが、Semaglutideで、網膜症合併症(硝子体出血、失明、硝子体注射あるいは光凝固術)が予想外に増加した。1型糖尿病で、急速な血糖値改善と網膜症悪化の報告がある。Semaglutide の網膜への直接作用は除外できていない。

2年にわたり、Semaglutide では、プラセボに比べ、A1C低下、体重減少、収縮期血圧減少が認められ、これらは心血管リスク低下に寄与していると考えられる。

ベースラインのA1C8.7%、104週で、Semaglutide 0.5mg 7.6%、Semaglutide 1mg 7.3%、プラセボは、ベースラインから0.4%低下 、プラセボとのA1Cの差は、Semaglutide 0.5 mgで-1.1%、Semaglutide 1mg で-1.4%

急性膵炎 Semaglutide 9 プラセボ 12
リパーゼ、アミラーゼはSemaglutideで高い。

Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes — NEJM

リラグルチドがプラセボに比べ心血管死亡を抑制 LEADER試験

リラグルチドとプラセボの比較、対象は心血管病高リスクのある9340人、3.8年のフォローアップ、リラグルチドで心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中が少ない。プライマリーアウトカムのハザード比 0.87  
リラグルチドで、A1C が0.4%低い。

リラグルチドで、macroalbumiuria の発症が少ない。 
網膜症のイベントは有意差がつかないがリラグルチドで多い。

対象者の心血管病の罹患率は72.4%で、EXAMIN、SAVOR-TIMI 53、TECOSに比べ低い。

Mario SP et al. Liraglutide and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2016 Jul 28;375(4):311-22.

Ingelfinger JR, Rosen CJ. Cardiac and Renovascular Complications in Type 2 Diabetes — Is There Hope?
N Engl J Med. 2016 Jul 28;375(4):380-2. 

1型糖尿病とGLP-1受容体作動薬

肥満があり、コントロール不良な1型糖尿病患者にリラグルチドを投与した。 (開始時A1C 8.7% BMI 30)
24週間後、プラセボに比べ、A1C変化は同等
低血糖は少なく、bolus insulinは少なく済み (-5.8単位)、体重は減少 (-6.8kg)する。
心拍数は増加、グルカゴン、GLP-1値は変わらず。

Dejgaard TF et al. Efficacy and safety of liraglutide for overweight adult patients with type 1 diabetes and insufficient glycaemic control (Lira-1): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial Lancet Diabetes Endocrinol. 2016 Mar;4(3):221-32.

GLP-1受容体作動薬は、交感神経刺激の他に洞房結節に直接作用し心拍数を増加させる。

リラグルチドあるいはリキセナチドの注射前後で、60人の2型糖尿病患者にホルター心電図を施行した。
心拍数増加はリラグルチド注射後、終日続き、リキセナチドで5時間のみ認められる。

交換神経活性化時は、LF/HF ratioが上昇する。
リラグルチドでは24ポイント中16ポイントでLF/HF ratioの変化が認められたが、リキセナチドではどのポイントでも変化が認められなかった。

GLP−1受容体作動薬による心拍数増加は、交感神経刺激だけでなく、洞房結節に対する直接刺激により生じる。

Nakatani Yet al. Effects of GLP-1 Receptor Agonists on Heart Rate and the Autonomic Nervous System Using Holter Electrocardiography and Power Spectrum Analysis of Heart Rate Variability Diabetes Care. 2015 Dec 17. pii: dc151437. [Epub ahead of print]

リラグルチドの長期投与では、糖負荷試験のグルカゴン値が増加する。

リラグルチドかプラセボの投与後、48週間のフォローアップ、糖負荷試験後のグルカゴン値はリラグルチド群でプラセボより高値となる。

・空腹時のグルカゴン値はブラセボと同等か低値
・糖負荷後のグルカゴン値はプラセボより増強される。
・グルカゴンのピークはプラセボより遅れる

ヒトのグルカゴン受容体不活化変異は、α細胞のhyperplasia と高グルカゴン血症をもたらす。
リラグルチドによる長期のグルカゴン低下効果が、α細胞のcompensation と糖負荷試験のグルカゴン過剰反応を起こしているかもしれない。

空腹時のグルカゴン抑制は維持されるが、糖負荷後のグルカゴン抑制はリラグルチド投与12週より失われている。
空腹時と糖負荷後のグルカゴン分泌の決定要素は異なるようだ。食事負荷 (mixed meal) での評価か必要。
長期のGLP-1受容体作動薬に対するα細胞と膵島の反応をさらに明らかにする必要がある。

“Chronic liraglutide therapy is associated with a paradoxical enhancement of post challenge hyperglucagonemia.”1)

1. Kramer CK et al. The Impact of Chronic Liraglutide Therapy on Glucagon Secretion in Type 2 Diabetes: Insight from the LIBRA Trial J Clin Endocrinol Metab. 2015 Jul 31:jc20152725. [Epub ahead of print]



Dulaglutide は、週1回注射のGLP−1受容体作動薬

Dulaglutide は、週1回注射のGLP−1受容体作動薬、GLP-1(7-27) にヒト IgG4 Fc fragment をリンクさせている。t1/2 は90時間。
 
超速攻型インスリンリスプロと組み合わせた26週、52週の治療で、Duraglutide1.5mg および0.75mg 週1回注射は寝前グラルギン注射よりもA1Cを低下させた。 症例の罹病期間は12年以上となっている
 
グラルギン群では、空腹時血糖が有意に低下するが、夜間低血糖がDulaglutideより多い。
リスプロを含めた総インスリン量は132単位/日を超えている。
 
Dulaglutide群では、食後2時間値がグラルギンより低下するが、リスプロの使用量(90単位/日)はグラルギンよりも30%多い。

1. Blonde L et al. Once-weekly dulaglutide versus bedtime insulin glargine, both in combination with prandial insulin lispro, in patients with type 2 diabetes (AWARD-4): a randomised, open-label, phase 3, non-inferiority study. Lancet. 2015 May 23;385(9982):2057-66.

2. Østoft SH Christensen M. An alternative combination therapy for type 2 diabetes? Lancet. 2015 May 23;385(9982):2020-2. doi: 10.1016/S0140-6736(15)60615-8.

3. Jimenez-Solem E, Rasmussen MH, Christensen M, Knop FK. Dulaglutide, a long-acting GLP-1 analog fused with an Fc antibody fragment for the potential treatment of type 2 diabetes. Curr Opin Mol Ther. 2010 Dec;12(6):790-7.

 

長時間作用型GLP-1受容体作動薬は中枢性の食欲抑制作用により体重を減少させる。

長時間作用型GLP-1受容体作動薬は中枢性の食欲抑制により、短時間作用型は胃排出能抑制により体重を減少させる。

ラットで、蛍光ラベルしたリラグルチドを末梢投与した。
リラグルチドは、視床下部弓状核 (Arcuate nucleus) のPOMCニューロンに取り込まれる。

長時間作用型のGLP-1受容体作動薬はgastric emptying に影響しないが、中枢に直接作用し食欲を抑制することにより体重を減少させる。

一方、短時間作用型のGLP-1受容体作動薬はgastric emptying を減少させ、食事摂取量を減らすことにより体重を減少させる。

1. Secher A, Jelsing J, Baquero AF, Hecksher-Sørensen J, Cowley MA, Dalbøge LS, Hansen G, Grove KL, Pyke C, Raun K, Schäffer L, Tang-Christensen M, Verma S, Witgen BM, Vrang N, Bjerre Knudsen L. The arcuate nucleus mediates GLP-1 receptor agonist liraglutide-dependent weight loss. J Clin Invest. 2014 Oct;124(10):4473-88.

リラグルチドによるβ細胞機能の改善は中止後2週間で消失

2型糖尿病 51人、インスリン強化療法を4週間行ったのち、リラグルチドかブラセボで48週間治療する。12週間ごとに糖負荷試験を行い、β細胞機能の指標であるInsulin Secretion-Sensitivity Index (ISSI) -2を評価した。
 
罹病期間 2.6 ± 1.9 years、リラグルチド治療開始前のA1Cは6.8 ± 0.8%
 
ISSI-2は、48週までリラグルチド群がプラセボ群より良好な結果で、リラグルチド治療中止2週間後には両群の差は消失した。
 
リラグルチド治療中はβ細胞機能が改善しているが、この治療がβ細胞の機能低下 (β cell deterioration ) を引き起こす根本的な病因を改善するわけではない。
"Thus, despite the improvement of β-cell function while on liraglutide, the underlying pathology driving β-cell deterioration was not reversed by this therapy."
 
発症早期のインスリン強化療法β細胞機能を回復させる(reverse) 。
リラグルチド治療のISSI-2値がかなり高いので、リラグルチド治療がインスリン強化療法の効果を維持したというよりは、さらに多くのβ細胞機能を回復させる可能性がある。
リラグルチド治療群では、50%以上の参加者がA1C 6%未満を達成している。リラグルチド治療が、β細胞の衰退 decline という2型糖尿病のnatural history や、高血糖、合併症リスクを変えることができるのかは今後さらなる検討が必要。
 
1. Retnakaran R. et al. Diabetes Care. 2014 Dec;37(12):3270-8. doi: 10.2337/dc14-0893. Epub 2014 Sep 23. Liraglutide and the Preservation of Pancreatic β-Cell Function in Early Type 2 Diabetes: The LIBRA Trial.

 

週1回製剤 Albiglutide とリラグルチド1日1回注射の比較試験 (HARMONY 7)

Albiglutide 週1回と リラグルチド 1日1回の比較、32週間では、A1C低下 -0.78% vs. -0.99% で、リラグルチドで血糖値がより改善する。Albiglutideは局所反応が多いが、消化器症状が少ない。
 
Albiglutide は、8番目のアラニンをグリシンに置換し、DPP4に耐性とした GLP-1 dimmer  に、ヒトアルブミンをフュージョンさせた製剤、半減期は ~5日となり、週1回注射を可能とした。
 
週1回製剤が、GLP-1受容体を飽和させるにもかかわらずA1C低下率が低いのは、反直感的 (counterintuitive)であるが、治験で行った投与量調整におけるsystematic error のためかもしれない。2)
 
Albiglutide で、消化器症状が少ない理由
血中濃度の山と谷(peak and valleys) がないため1, 2)
Albiglutide はlarge protein で、blood-brain barrier を通過しないため。1)
 
Duration 6でも、エクゼナチド週1回製剤は、リラグルチド1日1回に比較し、非劣勢は示せなかったが、消化器症状は少ない。
 
1. Once-weekly albiglutide versus once-daily liraglutide in patients with type 2 diabetes inadequately controlled on oral drugs (HARMONY 7): a randomised, open-label, multicentre, non-inferiority phase 3 study. Lancet Diabetes Endocrinol. 2014 Apr;2(4):289-97.

2. GLP-1 receptor agonists: why is once weekly inferior to once daily? Alan J Garber 

3. Potential of albiglutide, a long-acting GLP-1 receptor agonist, in type 2 diabetes: a randomized controlled trial exploring weekly, biweekly, and monthly dosing. Rosenstock J1, Reusch J, Bush M, Yang F, Stewart M; Albiglutide Study Group.Diabetes Care. 2009 Oct;32(10):1880-6.

4. Exenatide once weekly versus liraglutide once daily in patients with type 2 diabetes (DURATION-6): a randomised, open-label study Lancet. 2013 Jan 12;381(9861):117-24



テーマ : 勉強日記
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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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