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経口セマグルチド週1回と心血管イベントリスク PIONEER 6

PIONEER 6試験は経口セマグルチド週1回服用とプラセボの比較試験、経口セマグルチド週1回がプラセボに比べ心血管リスクを増加させることがないかを検証するためにデザインされた。

2型糖尿病、50歳以上で心血管疾患あるいは慢性腎臓病患者、60歳以上で心血管疾患のリスクファクターのみを持つ3183人、プライマリーアウトカムは主要心血管イベント(心血管死、非致死性心血管梗塞、非致死性脳卒中)、期間の中央値15.9ヶ月

HR
主要心血管イベント 0.79
心血管死 0.49
非致死性心筋梗塞. 1.19
非致死性脳卒中 0.74

全死亡 0.51

ベースラインからの変化
プラセボvs. 経口セマグルチド
A1C -1.0 vs. -3.0 %
体重. -0.8 vs. -4.2 kg

プラセボに比べ経口セマグルチドでは消化器症状による薬の中止が多かった。
消化器症状による中止
経口セマグルチド 6.8%
プラセボ 1.6%

Husain M et al.Oral Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2019 Jun 11. doi: 10.1056/NEJMoa1901118. [Epub ahead of print]

dulaglutideは尿アルブミンを低下させる REWIND

REWIND は、dulaglutide (1·5 mg) とプラセボの比較、フォローアップ5.4年、主要心血管アウトカムはdulaglutide HR 0.88 p=0.026 有意に低下した。セカンダリーアウトカムは微小血管症で、そのうち腎症の複合アウトカムは、マクロアルブミン尿の出現(UACR >300 mg/gCre)、ベースラインからeGFR 30% 以上低下、腎代替療法とされた。dulaglutide は、腎複合アウトカムを有意に低下させた。HR 0·85, p=0·0004

マクロアルブミン尿の出現 HR 0.77 p<0.0001
ベースラインからeGFR 30%以上低下 HR 0.89 p=0.67
腎代替療法 chronic renal replacement therapy 0.75 p=0.39

dulaglutideは、eGFR 30%以上低下の有意な抑制を示せなかった。eGFR 40%以上低下 HR 0.70 p=0.0004、eGFR 50%以上低下 HR 0.56 p=0.0002という結果があり、dulaglutide が腎機能の維持に働いている可能性はある。

腎保護作用は血糖値改善、血圧低下だけではなく、炎症の改善、酸化ストレスの軽減、血管内皮機能の維持による。アルブミン尿の減少は、腎臓の血管内皮細胞への直接作用を反映しているかもしれない。

Gerstein HC et al. Dulaglutide and renal outcomes in type 2 diabetes: an exploratory analysis of the REWIND randomised, placebo-controlled trial. Lancet. 2019 Jun 7.

Verma S, Mazer CD, Perkovic V. Is it time to REWIND the cardiorenal clock in diabetes? Lancet. 2019 Jun 7.


dulaglutide と心血管アウトカム REWIND

dulaglutide (1·5 mg) とプラセボの比較、フォローアップ5.4年、主要心血管アウトカムはdulaglutide HR 0.88 p=0.026 有意に低下、全死亡 は、HR 0.9 有意差なし。

ベースラインのA1C7.2%、罹病歴9.5年、
期間中のA1C、体重、収縮期血圧、心拍数の差 (overall least-square means difference)
A1C -0.61%
体重 -1.46kg
収縮期血圧 -1.70 mmHg
心拍数  +1.87

他のトライアルに比べ心血管疾患の既往のある参加者は31%で少なく、プラセボの心血管事象も2.7/100 person-years と低い。(他のトライアルでプラセボの同様のアウトカムは3.9%かそれ以上)

心血管事象 (100 person-years)
                                          dulagltide       プラセボ     HR
心血管疾患既往あり             3.7                  4.2                  0.87
心血管疾患既往なし         1.7                  2.0                0.87

心血管疾患の既往がない場合でも、dulaglutide はアウトカムに対して有効性を示している。
”The study enrolled the largest primary prevention cohort as far as we are aware thus far, and showed no heterogeneity in efficacy relative to those with established atherosclerotic vascular disease.”2)

REWINDでは、他のトライアルに比べフォローアップ期間が5.4年と長く、女性の比率が46%と高くベースラインのmedian A1Cが7.2%と低い。

GLP-1受容体作動薬では、血管内皮機能や虚血時の血管内皮反応の改善、動脈硬化の進展抑制、血管の炎症や血管収縮の改善が示されている。1)

1 Gerstein HC et al. Dulaglutide and cardiovascular outcomes in type 2 diabetes (REWIND): a double-blind, randomised placebo-controlled trial Lancet. 2019 Jun 7.

2 Verma S, Mazer CD, Perkovic V. Is it time to REWIND the cardiorenal clock in diabetes? Lancet. 2019 Jun 7.

経口GLP-1受容体作動薬セマグルチドはシタグリプチンに比べA1Cを低下させる。PIONEER 3

経口セマグルチド  (oral semaglutide) とシタグリプチン (sitagliptin) 100mgとの比較試験(PIONEER 3)、メトフォルミン服用 (with or without sulfonylurea) に上のせで、経口セマグルチド7 mg/day、14 mg/day はシタグリプチン100mg/dayに比べ52週後のA1Cを低下させる。経口セマグルチド3 mg/day はシタグリプチンに比べベネフィットはなかった。

52週間後、シタグリプチンに比較したA1C 変化率 7mg/day -0.3%、14 mg/day -0.5%
体重変化 7 mg/day -1.6 kg、14 mg/day -2.5 kg
中止率 経口セマグルチド 3 mg/day 16.7%、7 mg/day 15%、14 mg/day 19.1%、シタグリプチン 13.1%


Effect of Add-on Oral Semaglutide vs Sitagliptin on HbA1c in Type 2 Diabetes Uncontrolled With Metformin. JAMA. Published online March 23, 2019

The Future of the GLP-1 Receptor Agonists

GLP-1作動薬 albiglutideが心血管アウトカムを改善する。(Harmony Outcomes)

週1回注射のGLP-1受容体作動薬Albiglutideで、1.6年のフォローアップ、プライマリーアウトカム (心血管関連死亡、心筋梗塞の発症、脳卒中発症) の有意な低下を認めた(ハザード比0.78)。

心血管関連死亡単独では有意差を認めなかった。心血管関連死が有意な低下を認めたLEADER試験ではフォローアップは3.8年であり、このスタディのフォローアップ期間が短いため心血管関連死亡単独では有意差がつかなかったと考えられる。

GLP-1受容体作動薬の心血管保護作用のメカニズムは不明な点が多い。
2017年、Albiglutideは商業的理由から発売されないことが決定されている。

Hernandez AF et al. Albiglutide and cardiovascular outcomes in patients with type 2 diabetes and cardiovascular disease (Harmony Outcomes): a double-blind, randomised placebo-controlled trial. Lancet. 2018 Oct 1. pii: S0140-6736(18)32261-X. doi: 10.1016/S0140-6736(18)32261-X. [Epub ahead of print]

GLP-1作動薬の腎保護作用 AWARD7

糖尿病腎症ステージ3から4の患者で、デュラグルチドDulaglutide (1.5 mg/week、0.75 mg /week) とインスリングラルギン52週の比較試験の結果、デュラグルチド群では、インスリングラルギンに比べeGFRの低下が抑制される。

デュラグルチドは、顕性アルブミン尿(尿アルブミンクレアチニン比 >300 mg/g )の患者でインスリングラルギンに比べ、eGFRの低下を抑制する。
顕性アルブミン尿がない患者では、eGFRの低下は少なく、デュラグルチドとインスリングラルギンで eGFRは有意差なし。

デュラグルチドは 顕性アルブミン尿を改善し、その効果はデュラグルチド0.75mg に比べデュラグルチド1.5 mgでさらに強い。

SGLT2阻害薬の腎保護作用は糸球体過剰濾過の減少と尿細管糸球体フィードバックの回復による。
GLP-1受容体作動薬による腎保護のメカニズムは明らかでない点が多い。
糸球体、尿細管、腎血管内皮細胞にGLP-1受容体が発現している
抗炎症作用、酸化ストレスの改善、血管内皮保護によりGLP-1受容体作動薬による腎保護を示すと考えられている。

SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬は共に近位尿細管のNa+/H+ exchanger isoform 3の活性化を低下させ、NaHCO3の輸送を抑制する。

Dulaglutide versus insulin glargine in patients with type 2 diabetes and moderate-to-severe chronic kidney disease (AWARD-7): a multicentre, open-label, randomised trial

Farah LX, Valentini V, Pessoa TD, Malnic G, McDonough AA, Girardi ACC. The physiological role of glucagon-like peptide-1 in the regulation of renal function. Am J Physiol Renal Physiol 2016; 310: F123–27.
近位尿細管のNa+/H+ exchanger isotope 3 (NHE3)はNaHCO3の輸送を担う。PKAは、NHE3 serine 552をリン酸化し、NaHCO3の輸送を抑制する。ラットでGLP-1受容体拮抗薬 exendin-9 の投与は、尿中cAMPの減少、腎皮質のPKA活性が低下し、糸球体濾過率やナトリウム排泄が減少する
GLP-1は、PKAを介してNHE3を抑制しナトリウム利尿を促進する。

Pessoa TD, Campos LC, Carraro-Lacroix L, Girardi AC, Malnic G. Functional role of glucose metabolism, osmotic stress, and sodium- glucose cotransporter isoform-mediated transport on Na+/H+ exchanger isoform 3 activity in the renal proximal tubule. Am Soc Nephrol. 2014 Sep;25(9):2028-39.

semaglutideとdulaglutide の比較試験 SUSTAIN 7

semaglutide 0.5mg 1.0mg、dulaglutide 0.75mg 1.5 mg 投与40週後、

低用量および高容量の比較で、semaglutideの方が、A1C、体重の減少量が大きい。

Dulaglutide は分子量が大きいため Blood-brain barrier を透過するとは考えられていない。一方、semaglutide による脳内GLP-1受容体の活性化がマウスで報告されている。
胃腸症状による Adverse event は2剤で同等。

心拍数の増加は、high-dose semaglutide で、high-dose dulaglutide に比べて認められる。sinoatrial node に発現するGLP-1受容体に作用するため、GLP-1作動薬で心拍数の増加が認められる。

SUSTAIN 7 trial: semaglutide versus dulaglutide once weekly in patients with type 2 diabetes

Semaglutide 1.0mgとExenatide extended release 2mg の比較試験 SUSTAIN 3

Semaglutide 1.0mgとExenatide extended release 2mg 56週の比較、Semaglutide の方がA1cを低下(1.5% vs0.9%)、体重も低下させる。(5.6 kg vs 1.9 kg)

Efficacy and Safety of Once-Weekly Semaglutide Versus Exenatide ER in Subjects With Type 2 Diabetes (SUSTAIN 3): A 56-Week, Open-Label, Randomized Clinical Trial

Semaglutide 週1回注射 はグラルギンに比べ、A1Cと体重が低下する。(SUSTAIN4)

Semaglutide 0.5 mg、1 mg 週1回注射、グラルギン1日1回注射、30週での比較
グラルギンは空腹時血糖値72-99 mg/dl となるように調整する。

ベースライン HbA1c 8.17% からの30週での変化
Semaglutide 0.5 mg  -1.21%、Semaglutide 1 mg  -1.64%、グラルギン  -0.84%

Semaglutideでは体重が減少し、グラルギンでは増加する。
胃腸症状のため、Semaglutideで中止率が高い。
自己血統測定による30週での空腹時血糖値はグラルギン群128mg/dl  (インスリン量29.2 IU /day) で、titration target に達していない。

Efficacy and safety of once-weekly semaglutide versus once-daily insulin glargine as add-on to metformin (with or without sulfonylureas) in insulin-naive patients with type 2 diabetes (SUSTAIN 4): a randomised, open-label, parallel-group, multicentre, multinational, phase 3a trial

Semaglutide は心血管アウトカムを改善させる SUSTAIN-6

 GLP-1作動薬(週1回注射)Semaglutide とプラセボの比較、104週のフォローアップの結果、Semaglutide群で、ブライマリーアウトカム(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)が 26%減少した。
Semaglutide治療群で、非致死性脳卒中が有意に減少(36%)、有意差はつかないが非致死性心筋梗塞が26%減少した。心血管死は同程度であった。

マクロアルブミン尿の出現率の結果から、Semaglutide は腎症の新規発症と悪化を抑制する。
網膜症のイベントが少ないが、Semaglutideで、網膜症合併症(硝子体出血、失明、硝子体注射あるいは光凝固術)が予想外に増加した。1型糖尿病で、急速な血糖値改善と網膜症悪化の報告がある。Semaglutide の網膜への直接作用は除外できていない。

2年にわたり、Semaglutide では、プラセボに比べ、A1C低下、体重減少、収縮期血圧減少が認められ、これらは心血管リスク低下に寄与していると考えられる。

ベースラインのA1C8.7%、104週で、Semaglutide 0.5mg 7.6%、Semaglutide 1mg 7.3%、プラセボは、ベースラインから0.4%低下 、プラセボとのA1Cの差は、Semaglutide 0.5 mgで-1.1%、Semaglutide 1mg で-1.4%

急性膵炎 Semaglutide 9 プラセボ 12
リパーゼ、アミラーゼはSemaglutideで高い。

Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes — NEJM
プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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