糖尿病治療の200年(Dr. Polanski のレビュー)

NEJM 誌の「糖尿病治療の200年」というレビューです。
臨床概念 (Clinical entity)として"Diabetes" が用いられたのが、1812年のNew England Journal of Medicineで、それから今年は200年目となります。
まとめ
19世紀中頃、Claude Bernard は、血糖が、食事の炭水化物だけでなく肝臓にも制御され、肝臓は、non glucose precursor から、グルコースを作り出すことを示した。
 
1921年、Frederick Banting とCharles Best は、犬の膵臓の抽出物で糖尿病を誘導した犬の治療に成功 
 
James Collip と、John Macleod は、牛の膵臓からインスリンを純化して、糖尿病患者の治療に成功した。
 
1922年 インスリンが、1型糖尿病の少女に投与された。
 
1923年 Frederick Banting、 John Macleodは、ノーベル賞を受賞
 
1958年、Frederick Sangerは、インスリンのアミノ酸配列を決定した。
 
ビタミンB12の構造解析でノーベル化学賞を受賞していたDorothy Hodgkinは、インスリンの三次元結晶構造を決定した。インスリンは、3次元結晶構造が決定された最初のホルモンである。
 
1959年、Rosalyn Yalow 、 Solomon Bersonにより、インスリンの radioimmunoassay の開発が行われ、膵β細胞機能の定量評価が可能となった。
 
1967年、Donald Steiner は、single-chain のproinsulin が切断されて、二つのpolypeptide からなるインスリンが生成されることを見出した。
 
治療につかわれるインスリンは、ホルモンの中ではじめて、recombinant DNA technology により合成された。
そのほか、DCCT、UKPDS、Steno-2、ACCORDなど臨床研究の成果、治療のあゆみについて書かれています。
 
1. The Past 200 Years in Diabetes Kenneth S. Polonsky, M.D. N Engl J Med 2012; 367:1332-1340

2. Claude Bernard Pioneer of Regulatory Biology Eugene D. Robin, MD JAMA. 1979;242(12):1283-1284. doi:10.1001/jama.1979.03300120037021. 

11月は、World diabetes month 、11月14日は、インスリンを発見したDr. Banting の誕生日で、世界糖尿病デーとなっています。今年やインスリンがヒトに投与されて90年目です。
 
医師ブログ20100203

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NEJMの2型糖尿病、血糖管理のレビュー

4月号の2型糖尿病、血糖管理のレビューです。日本で使われていない、アミリンなどについて述べられています。

まとめ
日本で使われていない糖尿病薬の作用機序
・胆汁酸吸着剤は、Hepatic glucose productionを減らし、インクレチンレベルをあげるが機序は不明。
・ドーパミン作動薬、ブロモクリプチンは、D2 ドーパミン受容体を活性化し、unknown mechanismで、インスリン感受性をあげる。ブロモクリプチン のRapid-release form もFDAにより認可された。 
・Amylin mimetic(pramlinide)は、グルカゴン分泌を減らし、gastric emptyingを遅らせ、食欲低下させる。
 
薬剤選択のstrategy
メトフォルミンが好まれ、cost-effectiveness を示す。
Second line agent 選択に関して、evidence は、少ない。 
Well-validated は、Sulfonylurea, basal insulin.
Less-well-validated は、Pioglitazone, GLP-1 agonist. 
 
海外でもインスリン導入は遅れがち。
寝る前、long acting insulin を10単位程度から開始し、 コントロール不良の場合、big meal の食前に超速効型インスリンを追加する。混合製剤、basal-bolus therapyも検討する。
 
一般的な2型糖尿病に対するRecommendation
安全に血糖値を下げられるなら、A1C 6.0-6.5% 。
週150分の運動 
脂肪、炭水化物、塩分が少なく食物線維の多い食事 (grains and fiber) 
メトフオルミン2000mgまで使用する。(食事と運動ができていたとしても) 
 
感想
インスリン導入で、basal insulin で導入し、超速攻型を足していくやり方を説明していた。4月に公表されたADA、EASDのガイドラインも同様のアルゴリズムをくんでいます。2)
食前に超速攻型インスリンで開始して、時効型インスリンを追加するほうが自分としては、やり易い方法なので、basal insulin 1回うちが先というのは、少し違和感があります。
 
1. Glycemic Management of Type 2 Diabetes Mellitus Faramarz Ismail-Beigi, M.D., Ph.D. N Engl J Med 2012; 366:1319-1327April 5, 2012
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcp1013127
 
2. Management of hyperglycaemia in type 2 diabetes:a patient-centered approach. 
Position statement of the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD) Received: 24 February 2012 / Accepted: 24 February 2012


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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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