Ejection fraction (EF) が保たれた心不全

EFが保たれた心不全のアウトカムを改善する薬剤は示されていない。

まとめ
EFが保たれた心不全では、高血圧治療歴が多い。
高血圧により、左室肥大、Fibroblastic remodeling、拡張期機能不全 となる。
肺静脈圧上昇、右室、右房のリモデリングと機能不全がおこる。
左房の高血圧と構造的、電気的リモデリングにより心房細動が起こりやすい。

高血圧、糖尿病、肥満、喫煙 鉄欠乏性貧血は、血管内皮の炎症、心筋骨格筋の炎症と線維化の原因となる。

肥満 運動時の症状のみの場合は、Natriuretic peptide は正常かもしれない。
volumes overload があれば利尿剤を使用する。
EFが保たれた心不全のアウトカムを改善する治療薬は示されていない。
エビデンスは限定されているが、volume overload があれば、ナトリウム2グラム (塩分5.1g) 未満の食事をとる。

Margaret M. Redfield, M.D., Heart Failure with Preserved Ejection Fraction N Engl J Med 2016; 375:1868-1877November 10, 2016DOI: 10.1056/NEJMcp1511175

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SPRINT試験、血圧120mmHg 未満の管理は140 mmHg 未満に比べ致死的、非致死的心血管イベント、全死亡が少ない

心血管イベントリスクが高く糖尿病がない場合、血圧120mmHg 未満の管理は140 mmHg 未満に比べ致死的、非致死的心血管イベント、全死亡が少ない。

SPRINT試験の概要
年齢50歳以上、血圧130mmHg 以上、以下の心血管イベントリスクを一つ以上持ち糖尿病、脳卒中既往のない9361人
・CKD (eGFR 20-60 ml/min/173m2)
・フラミンガムリスクスコアで10年間の心血管病リスク15%以上
・75歳以上

収縮期血圧120 mmHg未満あるいは140 mmHg未満の管理に振り分け。プライマリーアウトカムは心筋梗塞、他の急性冠症候群、脳卒中、心不全、心血管死とした。
1年目の血圧121.4 mmHg vs. 136.2 mmHg 、120 mmHg未満管理群でハザード比0.75となり3.26年で中止となった。120 mg未満管理群でacute kidney injury、acute kidney failure が多い。
糖尿病が除外されたため、スタディ全体で、致死性、非致死性心血管イベント率は低い。

ACCORDとSPRINTの比較
・ACCORDは糖尿病患者のみ、SPRINTは糖尿病を除外
・SPRINTは規模が大きく高齢者が多い。 参加者4733 人vs. 9361人、年齢 62 vs. 68 SPRINTでは参加者の28%が75歳以上
・ACCORD試験では、血圧120と140mmHg未満を比較、有意差はつかないが複合心血管アウトカムの12%のリスク低下が示され、95%信頼区間では27%リスク低下の可能性が示されている。この結果はSPRINTと一致する。
・ACCORD試験の二次解析で、血糖値標準療法の血圧140mmHg 未満群に比べ、血圧120 mmHg 未満群は、26%の複合心血管アウトカムの減少を示し、この結果は血糖値、脂質管理とは独立していた。

The ACCORD trial showed a (nonsignificant) 12% lower risk of its primary composite cardiovascular outcome, with a 95% confidence interval that included the possibility of a 27% lower risk, which is consistent with the cardiovascular benefit observed in SPRINT.

・収縮期血圧の低下が心血管に与えるベネフィットが、糖尿病の有無で変わらないと思われるが、その点はまだ明らかにできていない。

SPRINT Research Group A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control. N Engl J Med. 2015 Nov 26;373(22):2103-16. doi: 10.1056/NEJMoa1511939. Epub 2015 Nov 9.


 

糖尿病患者では、ACE阻害薬の方がARBよりベネフィットがあるという論文 (JAMA)

糖尿病患者では、ACE阻害薬の方がARBよりベネフィットがあり、ACEIをファーストラインとして使うべきという論文 (JAMA)です。

ACEIとプラセボかactive drug を比較した23のトライアル 32827人、ARBとno therapy を比較した13の
トライアル 23867人のメタ解析結果。

糖尿病患者で、ACEIは全死亡率、心血管死亡率を現象させるが、ARBは減少させない。

ARBは心不全を減少させた。
糖尿病患者では、ACEI、ARBともに脳卒中のリスクを減少させなかった。

ACEIによる全死亡、心血管の減少は、スタート時のベースライン血圧、蛋白尿、ACEIのタイプ、糖尿病のタイプには関係しない。
 
感想
ARBのほうが咳の副作用が少ないので使われがち。
同じような報告がつづけばガイドラインも変わるかもしれません。
 
1. Effect of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors and Angiotensin II Receptor Blockers on All-Cause Mortality, Cardiovascular Deaths, and Cardiovascular Events in Patients With Diabetes Mellitus:  A Meta-analysis
https://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1847572
 
2. ACEIs, Not ARBs, Reduce Cardiac Mortality in Diabetes
No reduction in all-cause, cardiovascular mortality with angiotensin II receptor blockers
http://www.physiciansbriefing.com/Article.asp?AID=686427

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塩分摂取と高血圧

NEJM3月号の塩分制限に関するレビューです。2011年、Cochrane analysis で、塩分制限は、cardiovascular disease は減少させないと記載されましたが、NEJM誌のレビューでは、多くのスタディで、塩分制限が、cardiovascular disease とall-cause mortality を減少させると述べています。

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ACCOMPLISH BMI別解析結果、利尿剤はBMI 正常でアムロジピンに比べ効果が少ない。

ACCOMPLISH 試験で、BMI別の解析結果です。ベナゼプリルにアムロジピン上乗せでは体重別のイベントは変わらない。サイアザイドは正常体重でのイベントが多くなっている。イギリスのガイドラインでは利尿剤がすでにthird line に下がっており、editorial では肥満者もアムロジピン主体の治療をすべきとしています。

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インスリン抵抗性と心房細動は関連しない。

糖尿病、肥満は心房細動のリスクを高めることはすでに知られている。
インスリン抵抗性と、糖尿病、肥満は関係しているが、インスリン抵抗性が心房細動発症のステップとなるのかは明らかでなかった。
3023人、55%女性、平均年齢55歳、10年以内に 279人、9.3%が心房細動を発症した。
インスリン抵抗性と心房細動発症に有意な関連はなかった。
 
感想
インスリン抵抗性と心房細動が関連するという予測に反した結果でした。discussion にはアクセスできず。
 
Insulin Resistance and Atrial Fibrillation (from the Framingham Heart Study)
American Journal of Cardiology Received 21 April 2011; accepted 8 August 2011. published online 14 October 2011.
http://www.ajconline.org/article/S0002-9149%2811%2902552-5/abstract

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妊娠時の高血圧

高血圧で妊娠希望の患者さんが来られたので、妊娠中の高血圧の管理についてレビューを読んでまとめました。血圧管理の幅は、130/80-150/100で許容していてPreeclampsia は予防しつつ過度の高圧も避けるべきということです。Methyldopa、labetalol (Trandate) をfirst line therapyとして、nifedipine (long acting) 、利尿剤が使用可能です。

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アルドステロン拮抗薬 エプレレノンは、Class II 心不全患者で、心血管死と心不全による入院を減少させる。

NEJM 1月6日号には、アルドステロン拮抗薬 である Eplerenone が心不全患者(NYHS class II )で、心血管死、心不全による入院を減少させたという結果を掲載。 アルドステロン拮抗薬に関する3つ目の論文となる。

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カンデサルタン vs. ロサルタン カンデサルタンは高容量の結果

HF registry (the Swedish Heart Failure Registry)は、カンデサルタンとロサルタンの比較試験です。JAMAに掲載。
ARBのクラス内での違いというのはあまりはっきりしていないと思っていたが、この論文だと心不全症例では、カンデサルタンの生存率がロサルタンより良い結果です。しかしカンデサルタンはかなりの高容量を使っている。

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Beyond blood pressure カルシウム拮抗薬と脳卒中、ACE阻害薬と冠動脈疾患

6/20は、内科学会Bセッション行ってきました。
ACE阻害薬(ACEI)、ARB のpleiotropic effects は既に知られているところですが、2005年のHypertension 誌で、Beyond blood pressure という概念が提唱されていることを知りました。
論文中で血圧が同程度に降下した場合、冠動脈疾患の予防については、ACE阻害薬は、カルシウム拮抗薬(CCB)よりも優れており、一方脳卒中の予防については、カルシウム拮抗薬が、ACE阻害薬より優れているという結論です。

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プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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