1型糖尿病とエンテロウイルス

ヒトのβ細胞は、enterovirus の受容体 enterovirus entry receptorsを持ち持続感染が起こりうる。
β細胞の antiviral response が自己免疫性と1型糖尿病発症を決めている。
 
消化管に感染するエンテロウイルスは膵島感染のソースとなる。(blood-borne infection) 
急性心筋炎で亡くなった小児の膵島にenteroviral antigen が認められている。
 
RNA5’端の欠失したエンテロウイルスは増殖能をもたず、心筋細胞で非定型的( noncanonical )にホスト細胞に持続感染をおこすことが示されている。
RNA ヘリケースは、α細胞に豊富に発現するが、β細胞では乏しい。そのためβ細胞でエンテロウイルスの持続感染が起こる。
 
抗原提示に働くMHC class I の発現は、1型糖尿病患者のβ細胞で、コントロールに比べ増加している。
 
1. Enteroviruses as causative agents in type 1 diabetes: loose ends or lost cause?
http://www.cell.com/trends/endocrinology-metabolism/abstract/S1043-2760%2814%2900152-0
 
2. Krogvold L . et al. Detection of a low-grade enteroviral infection in the islets of Langerhans of living patients newly diagnosed with type 1 diabetes. Diabetes. 2014 Nov 24.

発症3~9週の1型糖尿病、6例 (24-35歳)で、膵尾部を最小 (3cm) で生検の後、膵島を単離、Enteroviral capsid protein 1 (VP1) 、 class I HLA の発現を検討した。
1型糖尿病患者で、VP1は6/6 の発現、コントロール(非糖尿病臓器提供者)は2/9に発現。
class I HLA6/6に発現、コントロールは1/9
Enterovirus specific RNA sequences は4/6の発現、コントロールは0/6
膵島の1.7% のみがVP-1陽性細胞を含み、エンテロウイルスのRNA量も低い。
膵島で、Low grade のエンテロウイルス感染がヒト1型糖尿病の進行に関与していることを示している。
 
 

エンテロウイルスはβ細胞特異的に持続感染するがβ cell destruction は起こさない。

地方会の単位更新指定講演で、1型糖尿病の成因と治療の講演を聞いてきました。
コクサクキB4エンテロウイルスはβ細胞特異的に感染、ウイルス粒子が認められた膵島でinsulitis は認める。しかし膵島内にみとめられるNK細胞はautoimmunity がなく膵島を破壊しない(insulin content、膵島内のβ細胞数は保たれる)。各刺激で、β細胞のインスリン分泌は低下している。
エンテロウイルスは持続感染し、ウイルス感染によりapoptosis が起こるのでなく、β細胞の機能障害が主体となっている。
講演では、エンテロウイルスの持続感染後に、自己抗体の上昇(最初はインスリン抗体(IAA) )がおこるという説明でした。

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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