GLP-1とリンパ球、腸管上皮生育

GLP-1とサイトカイン
IL-6、グラム陰性菌の細胞壁であるLipopolysaccharide によりGLP-分泌が促進される。1, 2, 3)

エクゼナチドの脳内への注入は、視床下部のIL-6、IL-1β、後脳 (hindbrain) のIL-6を増加させる。
IL-6、IL-1β受容体発現のないマウスでは、エクゼナチドによる食欲抑制が認められない。 GLP-1による中枢性食欲抑制の一部は、IL-6 、IL-1βを介している。4)

GLP-1は腸管リンパ球を制御している。
GLP-1受容体は腸管上皮リンパ球に発現している。
エクゼナチドは、腸管上皮リンパ球の cAMP濃度を容量依存性に増加させ、炎症性サイトカイン (IL-2、IL-17a、 interferon γ、tumor necrosis factor-α) の発現を抑制する。脾臓では炎症性サイトカインを抑制しない。forskolin はGLP-1受容体のないマウスでも炎症性サイトカインを抑制する。
GLP-1受容体欠損マウスで薬剤誘発腸炎による腸管粘膜修復が低下する。
GLP-1受容体欠損マウスで、腸管上皮修復に関わる遺伝子発現が低下している。

GLP-1受容体の活性化はFGF7依存性に腸管生育に作用する。
GLP-1、GLP-2は、絨毛の長さを伸ばすのではなく、crypt number を増加させ、腸管生育を促進する。
FgF7-/-マウスではエクゼナチドによる腸管生育が見られないが、GLP-2、EGFによる腸管生育は認められる。
ApcMin/+ マウスで、exendin-4 は、ポリープの数と大きさを増加させる。GLP-1受容体シグナルのない ApcMin/+ マウスでは、ポリープ数が減少する。
GLP-1受容体作動薬は、crypt の細胞増殖を促進するのではなく、crypt fission を増加させ、腸管上皮を増量する。
肥満手術 (bariatric surgery)ではGLP−1分泌が増加する。肥満手術 を受けた患者で大腸がん発症が増加するかフォローしていく必要がある。7)

1. Nguyen AT, Mandard S, Dray C, et al. Lipopolysaccharides-mediated increase in glucose-stimulated insulin secretion: involvement of the GLP-1 pathway. Diabetes 2014;63:471–482

2. Kahles F, Meyer C, Möllmann J, et al. GLP-1 secretion is increased by inflammatory stimuli in an IL-6-dependent manner, leading to hyperinsulinemia and blood glucose lowering. Diabetes 2014;63:3221–3229

3. Ellingsgaard H, Hauselmann I, Schuler B, et al. Interleukin-6 enhances insulin secretion by increasing glucagon-like peptide-1 secretion from L cells and alpha cells. Nat Med 2011;17:1481–1489

4. Shirazi R, Palsdottir V, Collander J, et al Glucagon-like peptide 1 receptor induced suppression of food intake, and body weight is mediated by central IL-1 and IL-6. Proc Natl Acad Sci U S A 2013;110:16199–16204pmid:24048027

5. Yunta B et al. GLP-1R Agonists Modulate Enteric Immune Responses Through the Intestinal Intraepithelial Lymphocyte GLP-1R. Diabetes. 2015 Jul;64(7):2537-49.

6. Rosario W, D'Alessio D. An Innate Disposition for a Healthier Gut: GLP-1R Signaling in Intestinal Epithelial Lymphocytes. Diabetes. 2015 Jul;64(7):2329-31.

7. Koehler JA, et al. GLP-1R agonists promote normal and neoplastic intestinal growth through mechanisms requiring Fgf7. Cell Metab. 2015 Mar 3;21(3):379-91.

運動はIL-6上昇を介してGLP-1分泌を促進して血糖値を改善させる。(α細胞でもGLP-1分泌を促進する。)

運動、肥満、2型糖尿病は血中IL-6の上昇が認められる。
運動により上昇したIL-6は、腸管L細胞、膵α細胞でGLP-1分泌を促進しインスリン分泌と血糖値を改善させる。
IL6は、α細胞でプログルカゴンとPC1/3 発現を増加させ、GLP-1分泌を促進する。
 
Ellingsgaard H et al. Interleukin-6 enhances insulin secretion by increasing glucagon-like peptide-1 secretion from L cells and alpha cells. Nat Med. 2011 Oct 30;17(11):1481-9. doi: 10.1038/nm.2513.

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ジャンル : 学問・文化・芸術

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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