LEAD-3 GLP-1アナログとSU剤単独療法の比較

LEAD3 試験のまとめです。
内因性GLP-1はDPP IVで分解されるので半減期 (half life) 1.5分、リラグルチドはヒトGLP-1アナログで半減期 13時間であり、1日1回注射が可能となった。

糖尿病発症5年程度の745名を、グリメピリド8mg1日1回服用(248名)、リラグルチド1.2mg 1日1回注射(251名)、リラグルチド1.8mg 1日1注射(247名)に振り分け、52週間経過監査観察。

BackgroundA1C 8.3-8.4%, BMI33, BW92-93kg

結果
A1Cはグリメピリド8mgで0.51% (SD1.20%)、リラグルチド1.2mgで0.84% (SD1.23%)、リラグルチド1.8mgで1.14% (SD1.24%),低下した。
リラグルチドはグリメピリドに比べ、A1C、体重、FBS、収縮期血圧が低下し、低血糖が少なく、安全で有効な治療である。
Discussion から得た情報
Sitagliptin では体重が減らない。
Exenatideは半減期2.4時間で、1日2回食前注射が必要。
Sitaglitpinを 経口薬を使っていない人に投与 (naïve to oral anti-diabetic drugs)
100 mg1日1回でA1Cが、0.79%。FBS 18mg/dl 低下
200 mg1日1回でA1Cが、0.94%。FBS 21.6mg/dl 低下

メトフォルミンは5%がpoorly tolerated であり、腎機能の考慮が必要。
Exenatide, Sitagliptin も腎機能によりdose 調節が必要。Sitagliptinは重篤な腎不全に禁忌。一方、リラグルチドは、重篤な腎不全でも容量調節が必要ない。
2型糖尿病ではbeta-cell failure があり、進行した2型糖尿病でもGLP-1アナログの効果が認められるかは明らかでない。
リラグルチドに対する抗体の報告はごく少ない。

感想
BMI33位だとグリメピリド8mgでもA1Cは0.5%しか減らない。メトフォルミンなどインスリン抵抗性改善薬、αーGI の必要性を感じた。

リラグルチド1.2mgでも、グリメピリド8mgより下がるので、BMIの少ない日本人では容量調節が必要。

非常に良い薬という印象だが、心配なのは吐き気でリラグルチドでは30%近くに認める。膵炎もリラグリチドで2例あり。

1.Liraglutide versus glimepiride monotherapy for type 2 diabetes (LEAD-3 Mono): a randomised, 52-week, phase III, double-blind, parallel-treatment trial Lancet 2009; 373: 473–481

2. Eff ect of the dipeptidyl peptidase-4 inhibitor sitagliptin as monotherapy on glycemic control in patients with type 2 diabetes. Diabetes Care 2006;29: 2632–37.



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糖尿病の血糖コントロールとアルコール

アルコール摂取について、11月22日の黒田先生の講演でも触れられていて、一度まとめてみることにしました。

 

1.1型糖尿病では、普通の食事と一緒にとること。アルコールの代謝には、インスリンは必要としない。

2.アルコール1gあたり7kcalとされているが、利用されるのは5kcal前後。

3.アルコールはグリコーゲンの蓄積を枯渇させるので、グルカゴンはアルコール誘発性の低血糖には効果がない。

4.アルコールは血糖コントロールが良好な時のみ、適当な量で(moderate)取るべき。ビールなら336g、ワイン140g程度が一般的な量である。男性ならアルコール飲料2杯以内、女性は1杯以内

5.アルコールは、肝臓の糖新生を抑制するため、肝臓のグリコーゲンが枯渇した空腹時に低血糖を起こすことがある。

参考 

Joslin’s Diabetes Mellitus 14th, Lippincott Williams & Wilkins

糖尿病コンプリートガイド2000年版(アメリカ糖尿病協会)

Clinical Practice Recommendations Diabetes Care 32: supplement 1, 2009

 

糖質の少ないアルコール飲料が発売されています。

アルコール飲料の摂取と血糖コントロールを議論するには、アルコール自体と、飲料に含まれる糖質自体を考慮しないといけない時代かもしれません。

 

黒田先生の講演では、「ビールは糖質を含んでおり血糖が上昇しやすい、ワインは糖質が少ないので血糖が上がりにくい」という論文のデーターを出しておられて、自己血糖測定の結果を踏まえた御自身の経験からもそういう傾向ということでした。糖質ゼロのビールでは、血糖値が上がりにくいとのこと。

 

糖質が少ないビールであっても、アルコールでエネルギーがでるので、やはり適量(缶ビール350ml)程度の抑えるべきと考えます。

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1型糖尿病とカーボカウンティング

11月22日、日本IDDMネットワーク主催、「1型糖尿病研究会」に行ってきました。
大阪大学の黒田暁生先生が、「1型糖尿病の血糖コントロールの極意」というタイトルで講演されました。カーボカウンティングや、アルコールを飲む場合、高カロリーの食事(ラーメン、焼き肉)を取る場合のインスリンの調節について話されました。

カーボカウンティングは、糖尿病専門医の中でも、まだ詳細な知識を持って、診療に取り入れている医師は少ないように思われます。
今回の講演では、炭水化物、たんぱく質、脂肪では、食後の血糖値のピークの高さ、ピークの持続時間が異なるというデーターを出されていました。
炭水化物は血糖値の上りが早く持続時間が短いが、脂肪は血糖値上昇が緩やかで持続時間が長い、たんぱく質はその中間というグラフでした。
1型糖尿病でカーボカウンティングを用いたインスリン調節の必要性が非常によくわかりました。

ラーメンなど脂肪分の高い食事の場合、1型糖尿病では、脂肪による血糖上昇が糖質ほど早くなく、ゆっくり効いていてくる。(夜食べたら、朝までくらいの間隔か。) 中間型インスリンで対応するか、インスリンポンプの設定でボーラスを入れて、一次的に基礎インスリン量を上げるスクエアーボラスを行うか(8時間後まで設定可能)、それより長くなる場合は、基礎インスリン注入量を何割か上げておくということです。

1型糖尿病の場合、無自覚低血糖を避けるため、血糖値79mg/dl未満から捕食などの対応をするべきと。(血糖値70mg以下で低血糖症状が出やすく、自己測定器の誤差も考慮が必要)

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ARBITRER 6-HALTS trialに対するエディトリアル

エゼチミブのパラドキシカル効果について

1.小規模スタディである。(参加者208名)

2.統計解析が、single-variable correlation coefficients を使っているが、この方法は厳格なものではない。

3.SANDS (Stop Atherosclerosis in Native Diabetes Study)では、スタチン+エゼチミブで頸動脈肥厚の進展予防が認められた。(小規模スタディ)

 

Statin Therapy with Ezetimibe or Niacin in High-Risk Patients

John J.P. Kastelein, M.D., Ph.D., and Michiel L. Bots, M.D., Ph.D.

Published at www.nejm.org November 15, 2009 (10.1056/NEJMe0908841)

http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMe0908841?resourcetype=HWCIT

 

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エゼチミブの paradoxical effect (ARBITRER 6-HALTS trial)


Extended-Release Niacin or Ezetimibe and Carotid Intima–Media Thickness
N Engl J Med 2009; 361.
http://content.nejm.org/cgi/conten/full/NEJMoa0907569?resourcetype=HWCIT


スタチンに、niacinかエゼチミブを加え、頸動脈肥厚を検討した。Niacin はスタチンと併用では、頸動脈肥厚を改善する。
エゼチミブは、LDLを低下させるが、LDLが下がれば下がるほど、頸動脈肥厚が認められた。

エゼチミブはスカベンジャーレセプターB1を阻害する。スカベンジャーレセプターB1はHDLレセプターに親和性があり、HDL結合  の50%に関与している。

エゼチミブが、スカベンジャーレセプターB1や他の重要なコレステロールトランスポートたんぱくを阻害するため、HDLが関係するコレステロールの逆転送を阻害するのかもしれない。

ナイアシンは、Apo AIを上げることでHDLを増加させる。

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プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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