GLP-1は心房利尿ペプチドの分泌を促進する。

GLP-1作動薬が心臓で、atrial natriuretic peptide (ANP) 分泌を刺激するという報告です。(Nature medicine 5月号)GLP-1がナトリウム利尿を促進することは分かっていたが、ANPとの関連を明らかにしています。

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糖尿病学会熊本での講演と腸内細菌叢

糖尿病学会熊本の招待講演でIRS-1をはじめて報告したKahn先生 の講演を聴きました。
「マウスC57BL/6J (B6)は、129S6/Sv (129)に比べ高脂肪食負荷で体重が増えやすい。マウスの遺伝子を比較した結果、染色体14番、PKCδ 遺伝子部位に相違を認めた。PKCδは、IRS-1を介してインスリンシグナリングをnegativeに制御する。肝臓のPKCδの発現が、B6では129に比べ2倍になっているため、インスリン抵抗性の原因となっている。」という非常に面白い内容でした。1)

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低血糖と糖尿病(ADA workshop のレポート)

低 血糖についてADA workshop のリポートです。低血糖の認知機能低下について良く書いてありました。DCCTの登録者のように合併症のない1型糖尿病で、重症低血糖が18年後の認知機 能低下と関連していない。ACCORD-MIND でも低血糖の頻度が3倍高い強化療法群は従来療法群に比べ認知機能に差がなかった。可逆性の重症低血糖が、将来の認知機能に結びつくという evidence はないようです。


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インクレチン関連薬のbenefit は、potential risk を遥かに上回る。

インクレチン関連薬による膵炎、膵がん発症リスクについて Diabetes Care では、膵炎の症例は診断基準を満たさないものも含んでいること、数年のインクレチン治療が膵がんをinitiate するものではなく、インクレチン関連薬全般に心血管保護作用が示されていることを考慮するべきという論文を掲載しています。1)2)

まとめ
膵炎
膵炎の診断は、1. 腹痛、2. アミラーゼ、リパーゼなど膵酵素の上昇、3. 画像診断の2つ以上を満たすことである。膵炎発症の報告では、診断基準を満たさないものも含まれている。
2型糖尿病では、腹痛がなく血中アミラーゼ、リパーゼの上昇がしばしばおこる。リラグルチド治療でも膵炎の症状がなく、リパーゼが上昇することが報告されている。1)
 
膵がん
膵管にGLP−1受容体が存在する。外分泌腺 (Acinar)と膵管細胞はGLP-1治療に反応し増殖する。
PanIN は、前癌病変であるが高齢者の50%以上に認める。
"Pancreatic intraepithelial (PanIN) lesions precede and predict the onset of pancreatic cancer. "2)
PanINsが膵がんにかわるにはさらにsomatic mutation の蓄積が必要である。2)5)
 
エストロゲンが乳がんを発症 (initiate)させるのではなく、pre-malignant dysplastic ductal changes にエストロゲン受容体が発現するため、乳がんの発育を加速させる。
同じような事例として、高濃度の吸入インスリンが、気管支でがんのリスクをあげるといわれている。エストロゲン、インスリン、GLP-1が発がん性であるといえるだろうか?
猿10匹へのリラグルチド87週投与では、膵外分泌腺に異常を認めていない。2)
 
膵がんは進行が遅い。数年のインクレチン治療が膵臓がんを発生させる可能性は低い。
"Since pancreatic carcinomas develop slowly, one would probably not expect to see such a case after at most a few years of treatment, considering the recent introduction of the incretin-based medications, even if there were such a long-term risk."1)
 
膵がんの発症リスクが上がるという疫学データはない。長期使用のリスクは検討して行く必要がある。1)
 
心血管保護作用
DPP-4阻害薬、GLP-1作動薬ともに、Clinical trial で心血管保護作用を示している。2015年に大規模スタディの結果が明らかになる。Clinical pilot study で、GLP-1作動薬は急性冠症候群、慢性心不全にも有効であった。
血管内皮保護作用、血管拡張、ナトリウム利尿の増強(enhanced natriuresis) 、fluid excretion により、収縮期血圧が、2〜5mmHg 低下する。
食後のtriglyceride-rich lipoprotein が減少する。1)
 
インクレチン治療のbenefit は示されているが、potential risk はまれでありcontroversial である。インクレチン治療が有害であるとは示されていない。 
"Thus, while the benefits—expected or proven—from using incretin-based medications seem to be substantial and address risks central to patients with type 2 diabetes, the potential harms and risks typically refer to rare events and are discussed in a controversial manner, e.g., without certainty regarding a potential role of incretin-based medications to cause substantial harm."1)
 
感想
エストロゲンと乳がんをあげて、GLP-1と膵がんの関係を示していること、膵がんの進行は遅く、somatic mutation の蓄積を伴い2) 5)、GLP-1が膵がんをinitiate する訳でないという解説が非常にわかりやすかった。
 
1. A Critical Analysis of the Clinical Use of Incretin-Based Therapies: Are the GLP-1 Therapies Safe?


3. Marked Expansion of Exocrine and Endocrine Pancreas with Incretin Therapy in Humans with increased Exocrine Pancreas Dysplasia and the potential for Glucagon-producing Neuroendocrine Tumors
Alexandra E Butler, Martha Campbell-Thompson, Tatyana Gurlo, David W Dawson, Mark Atkinson, Peter C Butler Published online before print March 22, 2013, doi: 10.2337/db12-1686 Diabetes March 22, 2013

インクレチン関連薬治療歴のある脳死ドナーで、膵管上皮のdysplasia (pancreatic intraepithelial lesion (PanIN)、α細胞の過形成、neuroendocrine tumor (8例中1例)が認められた。
 
4. GLP-1–Based Therapies and the Exocrine Pancreas: More Light, or Just More Heat? Edwin A.M. Gale Diabetes 2012;61:986–988

5. Distant metastasis occurs late during the genetic evolution of pancreatic cancer.Nature. 2010 Oct 28;467(7319):1114-7. doi: 10.1038/nature09515.



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SIRT1遺伝子変異は1型糖尿病を発症させる。

単一遺伝子が、自己免疫性1型糖尿病を発症させることを示した初めての報告、これまで単一遺伝子変異がインスリン治療を必要とする糖尿病を発症する報告はあるが (Wolfram syndromeなど)、自己免疫との関連で1型糖尿病を起こすものは報告されていなかった。

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プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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