週1回製剤 Albiglutide とリラグルチド1日1回注射の比較試験 (HARMONY 7)

Albiglutide 週1回と リラグルチド 1日1回の比較、32週間では、A1C低下 -0.78% vs. -0.99% で、リラグルチドで血糖値がより改善する。Albiglutideは局所反応が多いが、消化器症状が少ない。
 
Albiglutide は、8番目のアラニンをグリシンに置換し、DPP4に耐性とした GLP-1 dimmer  に、ヒトアルブミンをフュージョンさせた製剤、半減期は ~5日となり、週1回注射を可能とした。
 
週1回製剤が、GLP-1受容体を飽和させるにもかかわらずA1C低下率が低いのは、反直感的 (counterintuitive)であるが、治験で行った投与量調整におけるsystematic error のためかもしれない。2)
 
Albiglutide で、消化器症状が少ない理由
血中濃度の山と谷(peak and valleys) がないため1, 2)
Albiglutide はlarge protein で、blood-brain barrier を通過しないため。1)
 
Duration 6でも、エクゼナチド週1回製剤は、リラグルチド1日1回に比較し、非劣勢は示せなかったが、消化器症状は少ない。
 
1. Once-weekly albiglutide versus once-daily liraglutide in patients with type 2 diabetes inadequately controlled on oral drugs (HARMONY 7): a randomised, open-label, multicentre, non-inferiority phase 3 study. Lancet Diabetes Endocrinol. 2014 Apr;2(4):289-97.

2. GLP-1 receptor agonists: why is once weekly inferior to once daily? Alan J Garber 

3. Potential of albiglutide, a long-acting GLP-1 receptor agonist, in type 2 diabetes: a randomized controlled trial exploring weekly, biweekly, and monthly dosing. Rosenstock J1, Reusch J, Bush M, Yang F, Stewart M; Albiglutide Study Group.Diabetes Care. 2009 Oct;32(10):1880-6.

4. Exenatide once weekly versus liraglutide once daily in patients with type 2 diabetes (DURATION-6): a randomised, open-label study Lancet. 2013 Jan 12;381(9861):117-24



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SGLT2阻害薬の講演会(2)

先週は、ルセオグリフロジン講演会でした。SGLT2阻害薬がグルカゴンを上昇させるという報告は、Dr. DeFronzo らの論文と同時にもう1報、JCIに掲載されていました。
SGLT2阻害薬の服用により、尿糖が増加しグルコースを喪失するために、代償的に末梢でグルコース利用が低下、グルカゴンが増加し肝臓では糖産生が増加する。エネルギーとして利用する基質が、グルコースから脂肪へ変わる。
 
まとめ
2型糖尿病66人、empagliflozin 1回服用あるいは、4週間服用での結果
4週間服用で、絶食3時間後の肝糖産生は25%増加しているが、血糖値は低下する。
食事後、血糖値、インスリンのAUCは低下する。グルカゴンは増加。
 
組織での糖利用 (tissue glucose disposal) が低下する。
(oxidative glucose disposal、non oxidative glucose disposal が低下し脂肪酸化が増加している)
内因性糖産生 (endogenous glucose production) が増加する。
正常値の範囲内で、GLP-1は増加している。
 
SGLT2阻害薬は、グルコースと競合することによりSGLT2を阻害する。
"Competitive binding of empaglifrozin to tubular SGLT2"
 
SGLT2阻害薬の長期服用は、エネルギーの基質をグルコースから脂肪へと変化させる
”Chronic dosing shifted substrate utilization from carbohydrate to lipid.”
 
1. Metabolic response to sodium-glucose cotransporter 2 inhibition in type 2 diabetic patients Ele Ferrannini, Elza Muscelli, Silvia Frascerra, Simona Baldi, Andrea Mari, Tim Heise, Uli C. Broedl, Hans-Juergen Woerle  J Clin Invest. 2014; 124(2):499–508 doi:10.1172/JCI72227

 


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糖尿病患者では、ACE阻害薬の方がARBよりベネフィットがあるという論文 (JAMA)

糖尿病患者では、ACE阻害薬の方がARBよりベネフィットがあり、ACEIをファーストラインとして使うべきという論文 (JAMA)です。

ACEIとプラセボかactive drug を比較した23のトライアル 32827人、ARBとno therapy を比較した13の
トライアル 23867人のメタ解析結果。

糖尿病患者で、ACEIは全死亡率、心血管死亡率を現象させるが、ARBは減少させない。

ARBは心不全を減少させた。
糖尿病患者では、ACEI、ARBともに脳卒中のリスクを減少させなかった。

ACEIによる全死亡、心血管の減少は、スタート時のベースライン血圧、蛋白尿、ACEIのタイプ、糖尿病のタイプには関係しない。
 
感想
ARBのほうが咳の副作用が少ないので使われがち。
同じような報告がつづけばガイドラインも変わるかもしれません。
 
1. Effect of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors and Angiotensin II Receptor Blockers on All-Cause Mortality, Cardiovascular Deaths, and Cardiovascular Events in Patients With Diabetes Mellitus:  A Meta-analysis
https://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1847572
 
2. ACEIs, Not ARBs, Reduce Cardiac Mortality in Diabetes
No reduction in all-cause, cardiovascular mortality with angiotensin II receptor blockers
http://www.physiciansbriefing.com/Article.asp?AID=686427

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50歳から65歳までの高タンパク食は寿命が短い。65歳以上は高タンパク食がよい。

高タンパク質食が寿命を短くするという2報、高タンパク質食が
高タンパク食は寿命を短くするという2報、高タンパク食が、
① GHを介してIGF−1シグナルを活性化すること、
② 肝臓でのmTORを活性化するために寿命が短くなる。
 
食事と寿命
ヒトの食事解析1)
50歳以上のアメリカ人6381人、1日の食事を記録し、その後の寿命をみたもの。
平均的には、1823kcal、炭水化物51%、脂肪31%、タンパク質16%(アミノ酸11%)
 
高タンパク食 20%~、中等度タンパク食 10~19%、低タンパク食 10%未満で比較
50歳から65歳の高タンパク摂取では、死亡率が75%増加する。以後の18年でがんの死亡率が4倍高い。
50-65歳で、血中IGF-1値は、タンパク質摂取量と相関した。
IGF-1は、タンパク質摂取と寿命との関係にmodulatorとしてはたらいている。
 
動物性タンパク質摂取が、タンパク質摂取と全死亡率、がん死亡率と関連している。最近、赤身の肉の消費量と全死亡率、ガン関連死亡率との関連が報告されており、その結果を支持するものである。
 
65歳を超えると、逆に高タンパク食は、全死亡率、がん死亡率を減少させる。
IGF-1は高齢者にとっては重要なもの。
糖尿病では全年齢を通じて死亡率が5倍高い。
 
マウスの結果2)
マウス858匹で摂餌の組成、エネルギー量と寿命の関係を解析した。
タンパク質と炭水化物が低下すると、代償的に食事摂取が増える。
脂肪摂取が減少した際には代償的な食事増加の傾向は少ない。
タンパク質を炭水化物に置き換えて、代償的な食事摂取を制限したときに、寿命は適正化される。
 
分枝鎖アミノ酸 (BCCA) とインスリンは、mTOR活性化する。
血中BCCA/ 血糖値 比が低いとmTOR活性が低く、血中BCCA/血糖値 比が高いとmTOR活性が高い
 
寿命を延ばすのはカロリー制限でなはなく、タンパク摂取制限によるの
高タンパク食で、カロリー制限することは寿命には全く効果がない。
 
感想
サイエンス誌の解説では、「すべてのヒトに低タンパク食を推奨しているわけでない、例えば低糖質、高タンパク食で、代謝の指標が改善した報告もある」としている。3)
エネルギーの20%を超える極端な高タンパク食を長期に続けるのはよくないというデビデンスで
 
1. Low Protein Intake Is Associated with a Major Reduction in IGF-1, Cancer, and Overall Mortality in the 65 and Younger but Not Older Population

2. The Ratio of Macronutrients, Not Caloric Intake, Dictates Cardiometabolic Health, Aging, and Longevity in Ad Libitum-Fed Mice
http://www.cell.com/cell-metabolism/abstract/S1550-4131%2814%2900065-5
 
3. Diet Studies Challenge Thinking on Proteins Versus Carbs ScienceNow

 


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プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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