吸入インスリンAfrezzaの承認

アメリカで、吸入インスリンAfrezza がFDAにより承認されました。
超速攻型インスリンの皮下注射よりもA1C低下効果は低いが、吸入という簡便な投与経路が再び可能となったことは進歩であると思います。気管支ぜんそく、閉塞性肺疾患などがある場合は禁忌となっている。
 
FDAのホームページより
Afrezzaは、食事のはじめか、食事開始20分以内に吸入、
喫煙者には使用しない。
 
1型糖尿病1026人、食前はアスパルトあるいはAfrezzaを使い、持効型インスリンを併用、
24週後、Afrezza はアスパルトに比べ、A1Cの低下率は少ないが、事前に設定した非劣性のポイントは満たした。
2型糖尿病 1191人、経口糖尿病薬服用で、Afrezzaかプラゼボの服用で比較、24週、プラセボに比べ大きくA1Cを低下させた。
 
警告(Boxed-Warning) として
気管支ぜんそく、COPD患者では、気管支のスパズムが認められた。
気管支ぜんそく、COPDなど、慢性肺疾患のある場合は使用するべきでない。
 
治験での副作用は、低血糖、咳、喉の痛み、違和感
 
FDAは以下の市販後調査を要求している。
小児での、薬物動態、安全性、効果の検証
肺がん発症リスク、心血管イベントリスク、長期使用における肺機能への影響の検証
 
FDA approves Afrezza to treat diabetes
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm403122.htm
 


SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation

日本糖尿病学会「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」から、「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」がでています。
 
www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_7265636F6D6D656E646174696F6E5F53474C54322E706466
 
引用
”1例のケトアシドースが報告された。 本例では極端な糖質制限がおこなわれていた。”
 
”全身性皮疹が7例報告されうち6例は重篤であり、また全身紅斑あるいは紅斑性皮疹が4例報告されうち3例が重篤であった。SGLT2阻害薬投与後1日目から12日目の間に発症している。これらの重篤な皮膚障害は、治験時に殆ど認められていなかったものであるが、SGLT2阻害薬投与との因果関係が疑われ、今後SGLT2阻害薬投与に際しては十分な注意が必要である。”
 
 
皮疹は重症度が高く注意が必要、ケトアシドーシスの症例については、併用薬、検査データの公表が待たれます。

重症低血糖、脳梗塞についての注意喚起も記載されています。

院外での人工膵臓 (Bionic Pancreas)の治験結果、平均血糖値が低下し低血糖が減少する。

ボストンのグループが、院外で人工膵臓を使用した52例の結果をNEJM誌に報告しています。
2日目から5日目のデータで、人工膵臓とインスリンポンプの比較では平均血糖値が低下し低血糖が減少するという良い結果です。
 
まとめ
院外で5日間の人工膵臓(bionic pancreas) と自分の(従来の)インスリンポンプの比較試験
大人(21歳以上)20人、青少年(12歳~21歳)32人
2日目から5日目までのデータで、平均血糖133±13 vs. 159±30 mg
血糖値70mg/dl未満の期間 4.1% vs.7.3% であり、人工膵臓で良好な結果であった。
 
この人工膵臓はインスリンとグルカゴンを注入する。
食事に対するボーラスインスリンを決める際に、
食事量 ”通常通り”、”多め”、”少なめ”、”ごく少量” および”朝食”、”昼食”、”夕食”の入力ができる。
ボーラスインスリンの初期設定は、0.05単位/kg となっている。
 
期間中、大人は病院のそばのホテルにスタッフとともに滞在、いつでもレストランに行くことができる。
飲酒は男性3杯、女性2杯に制限、
静脈血血糖を30分に1回、血糖値70mg/dl未満では15分に1回測定する。
指先の血糖は2時間ごと、食事の前、運動中30分ごと、低血糖症状があったときに測定
青少年は糖尿病キャンプでおこなった。
 
スタディの問題点 (limitation)
) は
アセトアミノフェンを服用していると血糖を高めに評価してしまうので低血糖のリスクが増える。
少量のグルカゴンの末梢持続投与には安全性が確立されていない。
グルカゴン溶液は、安定性の問題から、毎日溶解して作り入れ替える必要がある。
インスリンとグルカゴンの別々のポンプが必要であり、ワイアレス接続の信頼性をあげる必要がある。
 
Outpatient Glycemic Control with a Bionic Pancreas in Type 1 Diabetes
Steven J. Russell, M.D., Ph.D., Firas H. El-Khatib, Ph.D., Manasi Sinha, M.D., M.P.H., Kendra L. Magyar, M.S.N., N.P., Katherine McKeon, M.Eng., Laura G. Goergen, B.S.N., R.N., Courtney Balliro, B.S.N, R.N., Mallory A. Hillard, B.S., David M. Nathan, M.D., and Edward R. Damiano, Ph.D. June 15, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1314474
'Bionic Pancreas' Astonishes Diabetes Researchers (NBCの記事、英文)

Bionic pancreas frees people from shackles of diabetes (Newscientist、英文)
人工膵臓は糖尿病の足かせから解放してくれるのではという英文の記事です。開発者は自分の子供が2000年に生後11ヶ月で1型糖尿病と診断され、人工膵臓をつくることを決意した。子供が大学に入学する2017年秋までに人工膵臓の認可を得たいと考えている。

Bionic pancreas helps control diabetes, study says (USA Today)
2016年に大規模なスタディが計画されている。それまでにインスリンとグルカゴンを1つのポンプに搭載できるように開発をすすめている。




食品交換表に基づく栄養指導とカーボカウンティングレベル1−2はオーバラップしている。

カーボカウンティング導入にはレベル1から3がある
レベル1(basic) カーボカウンティングの概念の理解、
レベル2(intermediate)  食事、治療薬、身体活動量と血糖値の関係を理解する。
レベル3 (advanced) 、食前の超速攻型インリン量を炭水化物量に合わせる 1型糖尿病のためにデザインされた方法 1)
 
日本でカーボカウンティングというと3のadvanced level、1型糖尿病で食事の炭水化物量と食前のインスリン値をあわせるための方法と認識されているが、レベル1、レベル2もカーボカウンティングである。
 
アメリカ糖尿病学会の Nutrition therapy recommendation で、カーボカウンティングは、meal planning の方法の一つとして記載されている。
 
炭水化物量を、カーボカウンティングあるいは経験的な概算でモニターしていくことが、血糖コントロールに重要である。レベルB。"
Monitoring carbohydrate intake, whether by carbohydrate counting or experience-based estimation, remains a key strategy in achieving glycemic control. B . 2)
 
食品交換表を用いた食事指導では、1食の炭水化物の目安、たとえばごはん100g、150gなどを示し、バランスのとれた食事、運動療法の指導も含んでいるので、カーボカウンティングのレベル1から2に相当している。
 
レベル3のadvanced carbohydrate counting では、カーボインスリン比(インスリンカーボ比)、インスリン効果値の設定が必要となる。それぞれを計算するため、500ルール、1700ルールなどがあるが、簡便に、
炭水化物10gに対して超速攻型インスリン1単位、
補正インスリン量を決める際には、インスリン1単位で血糖値が50下がるとしてスタートする。
 
1. Gillespie SJ, Kulkarni KD, Daly AE.J Am Diet Assoc. 1998 Aug;98(8):897-905. Using carbohydrate counting in diabetes clinical practice.

2. Evert AB1, Boucher JL, Cypress M, Dunbar SA, Franz MJ, Mayer-Davis EJ, Neumiller JJ, Nwankwo R, Verdi CL, Urbanski P, Yancy WS Jr. Diabetes Care. 2014 Jan;37 Suppl 1:S120-43. Nutrition therapy recommendations for the management of adults with diabetes.
 


GLP-1の血糖降下作用では、神経に発現するGLP-1受容体の役割が大きい。

膵β細胞特異的にGLP−1を欠損させたマウスでは、耐糖能は正常。腸管、門脈の神経に発現するGLP-1受容体を介する作用が重要となっている。
 
まとめ
β細胞特異的にGLP-1受容体を欠損させたマウスで、経口糖負荷試験での耐糖能は正常
GLP-1の静注、腹腔内注入によりインスリン分泌は促進されない。
DPP4阻害薬の血糖降下作用はコントロールと変わらず。
 
門脈の神経、内臓神経 (splanchnic bed) のGLP-1受容体を介した血糖効果作用の重要性を示している。1)
 
門脈にGLP-1受容体拮抗薬を投与後、経口糖負荷試験(intragastric glucose road) をおこなうと耐糖能が低下する。2)
低容量のシタグリプチンが、迷走神経を活性化し耐糖能を改善する。3)
 
1. Smith EP, An Z, Wagner C, Lewis AG, Cohen EB, Li B, Mahbod P, Sandoval D, Perez-Tilve D, Tamarina N, Philipson LH, Stoffers DA, Seeley RJ, D'Alessio DA. Cell Metab. 2014 Jun 3;19(6):1050-7. The Role of β Cell Glucagon-like Peptide-1 Signaling in Glucose Regulation and Response to Diabetes Drugs.

 2. Vahl TP, Tauchi M, Durler TS, Elfers EE, Fernandes TM, Bitner RD, Ellis KS, Woods SC, Seeley RJ, Herman JP, D'Alessio DA. Endocrinology. 2007 Oct;148(10):4965-73. Glucagon-like peptide-1 (GLP-1) receptors expressed on nerve terminals in the portal vein mediate the effects of endogenous GLP-1 on glucose tolerance in rats.

3. Waget A, Cabou C, Masseboeuf M, Cattan P, Armanet M, Karaca M, Castel J, Garret C, Payros G, Maida A, Sulpice T, Holst JJ, Drucker DJ, Magnan C, Burcelin R. Endocrinology. 2011 Aug;152(8):3018-29. Physiological and pharmacological mechanisms through which the DPP-4 inhibitor sitagliptin regulates glycemia in mice.

 

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

最新記事
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
57位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
自然科学
10位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム