Fbw7の不活化はNgn3をstabilizeし、膵管上皮細胞をα、δ、β細胞に分化させる。

Fbw7が、ubiquitinate にbindし、neurogenin3 (Ngn3)
 の proteosomal degradation に関与している。
Fbw7の不活化はNgn3をstabilizeし、膵管上皮細胞をα、δ、β細胞に分化させる。
 
Sancho R, Gruber R, Gu G, Behrens A. Cell Stem Cell. 2014 Aug 7;15(2):139-53. Loss of Fbw7 Reprograms Adult Pancreatic Ductal Cells into α, δ, and β Cells.


DPP-4阻害薬の多面的血糖降下作用

DPP-4阻害薬には、GLP-1の増加によるインスリン分泌刺激以外に、多面的な血糖効果作用がある
 
・腸管局所で、DPP4活性の抑制が、intact GLP-1を増やし、自律神経を活性化する。1)
 
・膵島にDPP-4が発現し、DPP-4阻害薬が、膵島α細胞から分泌されるGLP-1の分泌を増強している。1, 2)
 
・DPP-4阻害薬は、血糖コントロールに影響する、GIP、SDF-1、PACP の不活化も抑制している。1)
 
GIP
低血糖誘発実験で、GIPを注入していると、グルカゴンが増加し、グルコース注入量が減る。
DPP-4阻害薬はGIPを増加させるので、低血糖時を予防する作用があるかもしれない。3)
 
SDF-1
膵島に発現し、cellular injury で発現が増加する。
SDF-1は、α細胞で、PC1/3の発現を増加させる。
酸化ストレス、glucolipotoxicity の存在下で、SDF-1が、α細胞のGLP-1産生を増加させる可能性がある。
 
PACAP 
intraislet nerve で分泌され、insulinotropic effect がある。
 
1. Omar B, Ahrén B.Diabetes. 2014 Jul;63(7):2196-202. Pleiotropic mechanisms for the glucose-lowering action of DPP-4 inhibitors.

2. Omar BA, Liehua L, Yamada Y, Seino Y, Marchetti P, Ahrén B. Diabetologia. 2014 Sep;57(9):1876-83. 
Dipeptidyl peptidase 4 (DPP-4) is expressed in mouse and human islets and its activity is decreased in human islets from individuals with type 2 diabetes.

ヒトの膵島では、α細胞にDPP4が発現し、β細胞にはほとんど発現しない。
ビルダグリプチンは、ヒトの膵島で、intact GLP-1分泌を増加させる。グルコース濃度2.8mMと16.7mM でGLP-1の分泌量はほぼ同じ。
ヒトではインスリンとDPP4活性は正の相関、ヒトの2型糖尿病では膵島のDPP4活性が低下している。インスリンがDPP4活性を制御している可能性もある。
 
マウスの膵島(C57BL6) ではβ細胞にDPP4が発現し、α細胞での発現は弱く、somatostatin とは共染しない。マウスでは、高脂肪食負荷でDPP4活性は増加する。
 
3. Christensen M, Calanna S, Sparre-Ulrich AH, Kristensen PL, Rosenkilde MM, Faber J, Purrello F, van Hall G, Holst JJ, Vilsbøll T, Knop FK. Diabetes. 2014 Jul 22. Glucose-Dependent Insulinotropic Polypeptide Augments Glucagon Responses to Hypoglycemia in Type 1 Diabetes.

 

メトフォルミンが、mGPDを抑制し、糖新生低下させる。

メトフォルミンは、レドックスシャトルの酵素、mitochondrial glycerol-3-phosphate dehydrogenase (mGPD) を抑制、糖新生を低下させ血糖値を改善させると報告された。1)
 
Cell Metabolism では解説を掲載
① グリセロール3リン酸→DHAP→gluconeogenesis
② シャトルは、NADH→NADという反応を伴っており、mGPD 抑制により、NADHが蓄積、lactate dehydrogenase 上昇、ピルビン酸低下、乳酸上昇となり、ピルビン酸からの糖新生が抑制される。
 
この二つの経路で、メトフォルミンが糖新生抑制を介し、血糖値を下げるという考察でした。2) 
 
1. Madiraju AK et al. Nature. 2014 Jun 26;510(7506):542-6. Metformin suppresses gluconeogenesis by inhibiting mitochondrial glycerophosphate dehydrogenase.

2. Baur JA, Birnbaum MJ. Cell Metab. 2014 Aug 5;20(2):197-9. Control of gluconeogenesis by metformin: does redox trump energy charge?



アメリカFDAは、ヒトES細胞由来膵前駆細胞による治験を許可した。

アメリカF DAは、ヒトES細胞由来膵前駆細胞による治験を許可した。

以下は1) の訳です。
ViaCyte 社のVC-01 は
①ヒトES細胞由来の、膵前駆細胞 pancrreatic progenitor cells” であるPEC-01と
②細胞を入れるカプセル Encaptra device 
からなる。
PEC-01 は成熟化し、インスリンを産生するβ細胞や、他の内分泌細胞へ分化し、endcrine pancreas を構成する膵島と同様に血糖値を制御する。
 
第1/2相試験は、安全性と認容性(tolerance) の評価をおこなう。
オープンラベル方式、 dose-escalating format でおこなわれ、多施設、約40人の1型糖尿病患者の登録を期待している。インスリンの産生は、血中Cペプチドの測定により評価される。
セカンドエンドポイントはインスリン投与量、低血糖頻度となっている。1)
 
感想
記事を読んで、ES細胞からβ細胞だけでなく、膵島を分化させることにより、治療を試みることがわかりました。治験は世界発のES細胞由来膵島による1型糖尿病治療です。
 
1. Market Watch の記事
ViaCyte, Inc. Announces FDA Acceptance of IND to Commence Clinical Trial of VC-01™ Candidate Cell Replacement Therapy for Type 1 Diabetes

2. JDRFの記事
JDRF Partner ViaCyte to Immediately Initiate Type 1 Diabetes Clinical Trial


1型糖尿病モデルマウスで、レプチン投与がケトアシドーシスを改善させ、血糖値を正常化した。

1型糖尿病モデルマウスで、レプチン投与がケトアシドーシスを改善させ、血糖値を正常化した。血中インスリン値は変化しない。
レプチン投与24時間後、血糖値正常化の18時間後にグルカゴン値が正常化するため、グルカゴン低下を介する作用ではない。
 
1型糖尿病でおこるケトアシドーシスでは、インスリン欠乏とともにレプチンも低下している。低レプチン血症では、視床下部下垂体、副腎軸が活性し、脂肪組織の融解が亢進している。
脂肪融解により、グリセロールと遊離脂肪酸が産生され、それぞれ肝臓における糖新生の基質となる。
 
レプチンの補充により、脂肪融解が抑制され、肝臓へのグリセロール、脂肪酸の供給が低下し、糖新生が抑制され、血糖値が正常化する。脂肪酸の低下によりケトアシドーシスが改善する。
 
インスリンはレプチン分泌を促進するため、インスリン治療により血糖コントロールが良好な1型糖尿ではレプチンは低下していない。レプチンの1型糖尿病治療における有用性については、まだ明らかでない。
糖尿病性ケトアシドーシスにおける、レプチンの役割の解明に役立つ報告です。
 
<グリセロール、遊離脂肪酸が関係する糖新生の経路>
グリセロールは、グリセロール3リン酸、ジヒドロキシアセトンリン酸 (Dihydroxyacetone phosphate, DHAP) へ変換され、糖新生の経路に入る。
 
Glycerol Kinase
Glycerol → Glycerol-3-phpspate →DHAP → Fructose 1,6-bisphosphate → Gluconeogenesis
 
遊離脂肪酸から生じるAcetyl CoAは、ピルビン酸カルボキシラーゼ活性を亢進させ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ (PDH) 活性を抑制する。
ピルビン酸カルボキシラーゼは非可逆的にピルビン酸からoxaloacetate を産生する。フォスフォエノールピルビン酸カルボキシラーゼ (PEPCK) により、Oxaloacetate からフォスフォエノールピルビン酸が生じ。糖新生の経路に入る。
Acetyl CoA
   +↓
Pyruvate → Oxaloacetate→Phosphoenolpyruvate →Gluconeogenesis
 
1. Perry RJ, Zhang XM, Zhang D, Kumashiro N, Camporez JP, Cline GW, Rothman DL, Shulman GI. Nat Med. 2014 Jul;20(7):759-63. Leptin reverses diabetes by suppression of the hypothalamic-pituitary-adrenal axis.
ストレプトゾトシンで1型糖尿病を誘発、レプチン投与により血糖値が240mg/dlに低下する。
plasma insulin、glucagon、adiponectin、fibroblast growth factor 21 (FGF-21)の血中濃度を変えない 
 
2. Mittendorfer B, Klein S. Nat Med. 2014 Jul 7;20(7):705-6. Absence of leptin triggers type 1 diabetes.

3. Fujikawa T, Chuang JC, Sakata I, Ramadori G, Coppari R. Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 Oct 5;107(40):17391-6. Leptin therapy improves insulin-deficient type 1 diabetes by CNS-dependent mechanisms in mice.

4. 糖新生Wikipedia

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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