ACCORD試験では強化療法群で心筋梗塞の発症リスクが低下している。

ACCORD 試験で、期間中(3.7年)および全期間(フォローアップ期間1.2年を含む)ともに、心筋梗塞は、血糖強化療法群に少ない。 (ハザード比 試験期間中0.8、全期間 0.84)
 
強化療法群における5年間の発症率の低下
虚血性心疾患 13%
心筋梗塞   16% 
非致死性心筋梗塞 19%
厳格な血糖コントロールが心筋梗塞を減らしている可能性もある。 
 
コメントの記事より
ACCORD 試験で、心血管死、全死亡の増加は、A1C 7%未満を達成できなかった参加者に多く認められる。
強化療法群、従来療法群で、自律神経障害の罹病率は同じ。
強化療法群の死亡で、9.5%から10.5%が低血糖によるものであり、重症低血糖は強化療法群の死亡率上昇を説明し得ない。
ACCORD 試験の強化療法群で認められた死亡率の上昇が、偶然 “chance” であるという意見もある。3) 4)
 
血糖値が悪い症例にインスリン注射量が増えた場合、高インスリン血症と高血糖が同時におこり、その結果、異所性心外膜脂肪蓄積が増え、心筋症や冠動脈疾患の原因となる。5)
 
1. Gerstein HC, Miller ME, Ismail-Beigi F, Largay J, McDonald C, Lochnan HA, Booth GL; for the ACCORD Study Group. Effects of intensive glycaemic control on ischaemic heart disease: analysis of data from the randomised, controlled ACCORD trial. Lancet. 2014 Jul 31. pii: S0140-6736(14)60611-5.  

2.Chiasson JL, Lorier JL. Glycaemic control, cardiovascular disease, and mortality in type 2 diabetes. Lancet. 2014 Jul 31. pii: S0140-6736(14)60884-9. doi: 10.1016/S0140-6736(14)60884-9. [Epub ahead of print] 

3. Lachin JM Point: Intensive glycemic control and mortality in ACCORD—a chance finding? Diabetes Care 2010; 33: 2719–21.

4. Riddle MC Diabetes Care. 2010 Dec;33(12):2722-4. Counterpoint: Intensive glucose control and mortality in ACCORD--still looking for clues.

5. Winhofer Y, Krssak M, Jankovic D, et al. Short-term hyperinsulinemia and hyperglycemia increase myocardial lipid content in normal subjects. Diabetes 2012; 61: 1210–16.

 

膵島と同等のインスリン分泌をしめすヒト幹細胞由来β細胞

これまでの幹細胞由来β細胞は、インスリン分泌が少なく、血糖値に応じたインスリン分泌が不完全であった。
Melton らは、この二つの問題点をみごとに克服し、血糖値に応じてヒトの膵島と同等にインスリンを分泌する幹細胞由来β細胞(SC-β細胞)の作成に成功した。
 
分化の最終段階で、いくつかの物質(compound) とその組み合わせを試みている。

分化誘導期間は合計35日。
 
低濃度と高濃度グルコース刺激下の細胞内カルシウム動態もヒト膵島と同様。
 
SC-β細胞は、成熟β細胞のマーカーであるNKx6.1 とC peptide をもつ細胞が主体、C-peptide+グルカゴン、C−ペプチド+ソマトスタチン、PDX-1+ pancreatic progenitor cellもわずかに含まれる。
Oct4 + cell は含まれない。
FACS 解析で、NKx6.1 +C peptide 陽性細胞の比率は、ヒト膵島22%、SC-β細胞38%
 
電子顕微鏡で SC-β細胞では、未成熟なインスリン顆粒と結晶化したインスリン顆粒がみとめられる。
 
immunogold stain で、従来法でつくられた細胞はグルカゴン顆粒も混在しているが、SC-β細胞ではインスリン顆粒のみ。
 
immunocompromised mice に移植後、2週間でヒト膵島と同等なグルコース応答性インスリン分泌を示す。  
糖尿病モデルマウスに移植後、18日後から空腹時血糖改善し126日もグルコース応答性が認められている。
 
1. Felicia W. Pagliuca FW et al. Cell 159, Issue 2, 9 October 2014, Pages 428–439 Generation of Functional Human Pancreatic β Cells In Vitro
http://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674%2814%2901228-8
 
2. For diabetes, stem cell recipe offers new hope
http://news.sciencemag.org/biology/2014/10/diabetes-stem-cell-recipe-offers-new-hope
 
3. Type 1 diabetes cure getting closer
http://diabetes247.org/2014/10/10/type-1-diabetes-cure-close/
 
4. Harvard Breakthrough Grows Insulin-Control Cells in Bulk
http://www.bloomberg.com/news/2014-10-09/harvard-breakthrough-grows-insulin-control-cells-in-bulk.html
 
5. Interview with Harvard Professor Doug Melton
http://diabetes247.org/2014/10/15/interview-professor-doug-melton/
 
Melton教授のインタビュー "The road to the cure is hard. "とも言われています。
 





Dawn and Dusk Phenomenon とは

ドイツ、オーストリアで、 20歳未満のインスリンポンプ使用者、
基礎インスリンの注入パターンは4つのクラスターであることが二つのコホートで確かめられた。
 
6063人の子供のうち、5093人が4種類の日内基礎インスリン注入パターンに分類できた。
 
2490人(42.2%)で、注入基礎インスリンのピークが、午前5-6時と午後5-6時であり、いわゆる Dawn and dusk phenomenon が認められた。
 
853人(14.45%) は午後9-10時に単一の広いピークをもつパターンであった。(平均年齢6.3歳)
 
1. Holterhus PM, Bokelmann J, Riepe F, Heidtmann B, Wagner V, Rami-Merhar B, Kapellen T, Raile K, Quester W, Holl RW; German/Austrian DPV-Initiative and the German Pediatric CSII Working Group. Diabetes Care. 2013 Jun;36(6):1507-11. Predicting the optimal basal insulin infusion pattern in children and adolescents on insulin pumps. 

2. Scheiner G, Boyer BA. Characteristics of basal insulin requirements by age and gender in Type-1 diabetes patients using insulin pump therapy. Diabetes Res Clin Pract. 2005 Jul;69(1):14-21. 

322人、インスリンボンプのデータ解析、基礎インスリン注入量は、20歳未満と20歳以上で大きく異なる。
年齢が低いと、夜間に持続的なピークがあり、年齢が高くなると短い早朝のピーク (early-morning peak )となる。 
 


ナトリウム、カリウム排泄量と高血圧、死亡率、心血管イベント

ナトリウム、カリウム排泄量と高血圧 1)

18カ国、102216人の解析 (PURE study)
ナトリウム排泄量と血圧は相関し、ナトリウム排泄量が1g 増えるごとに収縮期血圧 2.11 mmHg、拡張期血圧0.78 mmHg 増加する。

ナトリウム排泄量と年齢が高くなると、ナトリウム排泄量あたりの血圧上昇が大きくなる。
ナトリウム排泄量 5 g<、3-5 g、<3 gで、それぞれ収縮期血圧 2.58 mmHg/g、1.74 mmHg/g、
0.74 mmHg/g 増加する。

年齢 >55 歳、45-55歳、45歳>でそれぞれ収縮期血圧2.97 mmHg/g、2.43 mmHg/g、1.96 mmHg/g 増加する。
高血圧がある場合は2.49 mmHg/g、ない場合は1.30 mmHg/g

カリウム排泄量は、血圧と逆相関する。
高ナトリウム排泄量と低カリウム排泄量を伴っている場合は、それぞれ単独よりも血圧が高い

ナトリウム排泄量と死亡率、心血管イベント 2)
この試験で、3.7年の間に、3317人(3.3%) にcardiovascular-disease outcome  が発生。
ナトリウム排泄量が、7 g 以上および3g 未満で、4-5.99 gに比べ、cardiovascular-disease outcome  が上昇する。
カリウム排泄量が1.5 g 未満に比べ、カリウム排泄量が多ければ cardiovascular-disease outcome  のリスクが低下する。

ナトリウム排泄量3g未満でリスク上昇を示した点についての考察

この試験の大部分の参加者は心血管疾患の病歴がない。
低ナトリウム排泄量群に、糖尿病や心血管疾患の病歴のある参加者が多いが(more common)、INTERHEART Modifiable Risk Score はそろえてある。
心血管疾患の既往、がん、糖尿病、current smoking、最初2年のイベントを起こした参加者をのぞいても、解析結果に影響を与えていない。
しかし、逆の因果関係も完全に否定できず、低ナトリウム排泄量群に、糖尿病、心疾患の病歴のある参加者が多いことが、リスク上昇を説明しうるかもしれない。

コメントでは、カリウム排泄量が低いほど、ナトリウム排泄量あたりの血圧上昇がおおきくなるので、健康的な食事として、ナトリウム制限だけでなくカリウム摂取をすすめていた。4)

1. Mente A et al. N Engl J Med. 2014 Aug 14;371(7):601-11. Association of urinary sodium and potassium excretion with blood pressure.

2. O'Donnell M et al. N Engl J Med. 2014 Aug 14;371(7):612-23. Urinary sodium and potassium excretion, mortality, and cardiovascular events.

3. Mozaffarian D et al. N Engl J Med. 2014 Aug 14;371(7):624-34. Global sodium consumption and death from cardiovascular causes.


 



プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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