動脈硬化モデルマクスで、低炭水化物高脂肪食は、動脈硬化を進行させる。

極端な低炭水化物食が推奨されない根拠となる動物実験のデータです。
 
動脈硬化モデル、アポE欠損マウスで、6週間の低炭水化物高脂肪食 (LCHF) は、通常食に比べ、動脈硬化を進行させる。
 
LCHF では、循環血液中の 血管内皮前駆細胞 (Sca1+ Flk1+) の数が減少している。
LCHF は、血管内皮前駆細胞 で、Aktのリン酸化を抑制する。
 
Akt リン酸化は血管内皮前駆細胞の mobilization、 proliferation、survival に重要であることが知られている。
 
Foo SY et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Sep8;106(36):15418-23. Vascular effects of a low-carbohydrate high-protein diet.


SGLT2阻害薬による骨代謝異常

SGLT2阻害薬は、ナトリウム吸収を阻害するため、Na-P cotransporter が活性化、リンの再吸収が亢進する。血中リンの上昇は、PTH上昇、FGF23上昇となり、リンの排泄が促進される。そのため血中リン濃度上昇は軽微となる。
 
FDAによるとDapagliflogin 10mg のデータで、8例の骨折があり、足の骨折1例、膝蓋骨骨折1例を除いても、全症例の7%に骨折を認めた。比較グループでは骨折を認めなかった。
 
骨折の増加は “chance phenomenon” であるという議論もある。
Dapagliflogin 10mgは、骨塩、骨代謝のバイオマーカに影響しないことが報告されている。
 
チアゾリジン誘導体による骨折の増加は4年のフォローアップ後に明らかになっており、SGLT2阻害薬のフォローアップ期間はまだ短い。(canagliflogin は68週のフォローアップのデータ)
 
今後のリサーチにより、SGLT2阻害薬により骨折を起こしやすい患者を明らかにすることが必要であり、それにより骨折リスクを減らすことができるかもしれない。
 
Possible adverse effects of SGLT2 inhibitors on bone
http://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587%2814%2970227-X/abstract
 

PCSK9モノクローナル抗体 とスタチンの併用療法

低用量、高容量スタチン併用で、PCSK9モノクローナル抗体 (Evolocumab) は、LDLコレステロール低下作用を示す。1)
 
スタチンはPCSK9、LDL受容体をアップレギュレートするが、スタチンとEvolocumab の併用効果は認められている。2)
 
Evolocumab は、apolipoprotein B、non-HDLコレステロール、lipoprotein(a)、中性脂肪も有意に低下させた。
 
1. Blom DJ et al. N Engl J Med. 2014 May 8;370(19):1809-19. A 52-week placebo-controlled trial of evolocumab in hyperlipidemia.

2. Blom DJ, Wasserman SM, Stein EA. N Engl J Med. 2014 Aug 28;371(9):877-8. Evolocumab in hyperlipidemia.


コレステロール引き抜き能と心血管イベントは逆相関する。

コレステロール引き抜き能が高い層 (quartile) は、心血管イベントリスクが低下している。
 
心血管病のない2924人、9.4年のフォローアップ
心血管イベントリスクとベースラインのHDL値は関連しないが、コレステロール引き抜き能は関連する。
引き抜き能が最も高い層 のイベントリスクは、低い層に比べ、67%減少 (ハザード比0.33) となる。
 
Rohatgi A.et al. N Engl J Med. 2014 Dec 18;371(25):2383-93. HDL cholesterol efflux capacity and incident cardiovascular events.


糖尿病発症前のスタチン服用は糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害のリスクを低下させる

デンマークの診療記録ベースの観察研究、40歳以上、スタチン服用の15679人
糖尿病発症前にスタチンを服用した症例では、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害のリスクが低下していた。
 
フォローアップ期間2.7年 HRは網膜症 0.6、神経障害 0.66、糖尿病性腎症のリクスは同等。
 
以下の病名で合併症を判断した。
網膜症  増殖性網膜症、黄斑浮腫
神経障害  初期の知覚消失 (early loss of sensory abilities)、erectile dysfunction、下肢壊疽
腎症    尿アルブミン上昇
 
スタチンが微小血管障害増加とは関連してないし、実際に微小血管障害に対して保護的作用を示すかどうかは、ランダマイズドコントロールスタディが必要。
 
フェノフィブラートは網膜症と尿アルブミン抑制作用が示されている。この効果は脂質低下作用でなく抗炎症作用によると考えられている。スタチンも抗炎症作用があるので、今回の結果となったという考察です。
 
1. Nielsen SF, Nordestgaard BG. Lancet Diabetes Endocrinol. 2014 Nov;2(11):894-900. Statin use before diabetes diagnosis and risk of microvascular disease: a nationwide nested matched study.

2. Preiss D. Lancet Diabetes Endocrinol. 2014 Nov;2(11):858-9. Do statins reduce microvascular complications in diabetes? 

 
 
 

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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