ピオグリタゾンは認知症リスクを低下させるかもしれない

2004年から2010年、60歳以上、14万人の観察研究
ピオグリタゾンを2年未満服用した場合、認知症リスクは非糖尿病者と変わらないが (RR 1.16、p=0.317)、
服用しない場合は23%増加する (RR 1.23、p<0.001)

Heneka MT, Fink A, Doblhammer G. Effect of pioglitazone medication on the incidence of dementia.
Ann Neurol. 2015 May 14. doi: 10.1002/ana.24439. [Epub ahead of print]

乳酸菌の摂取はGLP-1分泌を増加させる

耐糖能正常者21人、乳酸菌 (Lactobacillus reuteri) 1010個を1日2回、4週間摂取後の糖負荷試験では、
GLP-1、GLP-2、インスリン、Cペプチド分泌が増加する。
腸内細菌を豊富にすることで、インクレチン分泌の増加を介して、インスリン分泌が増加した。

マウスでは乳酸菌摂取がインスリン抵抗性を改善させたが、今回の結果では、インスリン感受性は変わっていない。

Simon MC et al. Intake of Lactobacillus reuteri Improves Incretin and Insulin Secretion in Glucose Tolerant Humans: A Proof of Concept. Diabetes Care. 2015 Jun 17. pii: dc142690. [Epub ahead of print]

SGLT2阻害薬はα細胞でグルカゴン分泌を促進する。

sodium glucose transporter (SGLT) 2の発現制御
SGLT2は、膵α細胞に発現している。
SGLT2をコードするSLC5A2 の発現は、Hepatocyte nuclear factor 4-α (HNF4A) により制御されている。

HNF4A、SLC5Aの発現は、肥満、耐糖能異常の膵島で増加するが、2型糖尿病や高血糖下の膵島では、低下 (downregulate)している。
2型糖尿病や高血糖下の膵島ではグルカゴン遺伝子の発現が上昇している。

α細胞のグルカゴン分泌
6mMグルコースは、1mMグルコースに比べグルカゴン分泌が抑制される。15mMグルコースではさらにグルカゴン分泌が抑制される。
1mMグルコースに代謝されない3-O-methyl-D-glucose 5mMを加えてもグルカゴン分泌は抑制されない。

α細胞は、細胞内のグルコース濃度低下を検知し、KATP チャネル活性化、膜脱分極 (membrane depolarization) を介してグルカゴンを分泌させる。1, 2)

ダパグリフロジンによるグルカゴン分泌促進
ダパグリフロジンは、1mM及び6mMグルコースで、グルカゴン分泌を促進するが、15mMグルコースでは、グルカゴン分泌を促進しない。
KATP チャネル活性を抑制するトルブタミドは、ダパグリフロジンによるグルカゴン分泌を抑制する。
ダパグリフロジンは
KATP チャネル活性化を介してグルカゴン分泌を促進すると想定されている。

追記(2015/11/12)
KATP channel からみたインスリンおよびグルカゴン分泌
ATP/ADP比上昇により、KATP channel が抑制され閉じる。
 ↓             

α細胞                                     β細胞
グルカゴン分泌抑制                インスリン分泌惹起

KATP channel を閉じるトルブタミドはSGLT2阻害薬によるグルカゴン分泌を抑制する。

1. Bonner C et al. Inhibition of the glucose transporter SGLT2 with dapagliflozin in pancreatic alpha cells triggers glucagon secretion.Nat Med. 2015 May;21(5):512-7.

2. Zhang Q, Ramracheya R, Lahmann C, Tarasov A, Bengtsson M, Braha O, Braun M, Brereton M, Collins S, Galvanovskis J, Gonzalez A, Groschner LN, Rorsman NJ, Salehi A, Travers ME, Walker JN, Gloyn AL, Gribble F, Johnson PR, Reimann F, Ashcroft FM, Rorsman P. Role of KATP channels in glucose-regulated glucagon secretion and impaired counterregulation in type 2 diabetes. Cell Metab. 2013 Dec 3;18(6):871-82.

3. α細胞では、KATP channel の閉鎖がグルコースによるグルカゴン抑制に重要
http://diabetologistnote.blog119.fc2.com/blog-entry-527.html

4. ATP 感受性K+(KATP)チャネル制御の 機能構造的理解 薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)126,311~316(2005)

メトフォルミンが、十二指腸のAMPKを抑制し肝糖産生を抑制する。

マウスの十二指腸へ注入されたメトフォルミンは、十二指腸のAMP-activated protein kinase (AMPK) を活性化し、肝糖放出を抑制する。

GLP-1受容体拮抗薬 Exemdin-9 、Protein kinase A (PKA) のchemical inhibitor Rp-cAMPsが、メトフォルミンの作用を打ち消すことから、AMPK、GLP-1受容体、PKAを介するシグナリング経路である。

延髄弧朿核および迷走神経抑制、肝臓の迷走神経切除でも、メトフォルミンの効果は認められなくなる。メトフォルミンの十二指腸投与により、腸管迷走神経求心路、延髄、迷走神経遠心路を介して、腸管、脳、肝臓のクロストークが起こっている。

Duca FA et al. Metformin activates a duodenal Ampk-dependent pathway to lower hepatic glucose production in rats. Nat Med. 2015 May;21(5):506-11. doi: 10.1038/nm.3787.




Dulaglutide は、週1回注射のGLP−1受容体作動薬

Dulaglutide は、週1回注射のGLP−1受容体作動薬、GLP-1(7-27) にヒト IgG4 Fc fragment をリンクさせている。t1/2 は90時間。
 
超速攻型インスリンリスプロと組み合わせた26週、52週の治療で、Duraglutide1.5mg および0.75mg 週1回注射は寝前グラルギン注射よりもA1Cを低下させた。 症例の罹病期間は12年以上となっている
 
グラルギン群では、空腹時血糖が有意に低下するが、夜間低血糖がDulaglutideより多い。
リスプロを含めた総インスリン量は132単位/日を超えている。
 
Dulaglutide群では、食後2時間値がグラルギンより低下するが、リスプロの使用量(90単位/日)はグラルギンよりも30%多い。

1. Blonde L et al. Once-weekly dulaglutide versus bedtime insulin glargine, both in combination with prandial insulin lispro, in patients with type 2 diabetes (AWARD-4): a randomised, open-label, phase 3, non-inferiority study. Lancet. 2015 May 23;385(9982):2057-66.

2. Østoft SH Christensen M. An alternative combination therapy for type 2 diabetes? Lancet. 2015 May 23;385(9982):2020-2. doi: 10.1016/S0140-6736(15)60615-8.

3. Jimenez-Solem E, Rasmussen MH, Christensen M, Knop FK. Dulaglutide, a long-acting GLP-1 analog fused with an Fc antibody fragment for the potential treatment of type 2 diabetes. Curr Opin Mol Ther. 2010 Dec;12(6):790-7.

 

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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