グルカゴン作用の抑制は、血中アミノ酸増加を介してα細胞を増加させる。

グルカゴン作用の抑制は、血中アミノ酸増加を介してα細胞を増加させる。

グルカゴン作用を抑制したマウスでは、α細胞が増加する。このメカニズムを明らかにした論文です。

・グルカゴン拮抗抗体を投与した糖尿病モデルマウスで、血糖値が改善し、α細胞面積は増加する。

・グルカゴン受容体欠損マウスとグルカゴン拮抗抗体を投与したdo/db マウスでは、マイクロアレイ解析で、アミノ酸異化に関与する遺伝子発現が低下していた。

・グルカゴンはミトコンドリアの尿素サイクルのオルニチントランスポーター slc25A15をはじめとするアミノ酸異化に関わる遺伝子を活性化している。

・グルカゴン受容体欠損マウスでは血中アミノ酸値が上昇し、生後、血中アミノ酸の上昇とともにα細胞の増加が認められる。

・α-cell lineage をマーキングしたマウスで、グルカゴン拮抗抗体を静脈及び腹腔内に投与後、血液中のアミノ酸が増加し、膵島のα細胞増殖 (replication) が認められる。

・mTOR 阻害薬 Rapamycin は、グルカゴン受容体欠損マウスのα細胞増殖を抑制する。

まとめ
グルカゴン作用抑制した糖尿病モデルマウスで、血糖値が改善し、α細胞が増加する。
グルカゴン抑制により、アミノ酸異化が低下、血中アミノ酸が増加し、mTOR activity依存性に、α細胞の増殖 (replication)が生じる。

Solloway MJ et al. Glucagon Couples Hepatic Amino Acid Catabolism to mTOR-Dependent Regulation of α-Cell Mass. Cell Rep. 2015 Jul 21;12(3):495-510.


グルカゴンを発現するα細胞では、insulin mRNA の発現が認められる。

グルカゴンを発現するα細胞では、高い濃度のインスリン mRNA の発現が認められる。インスリン蛋白は発現していない。

膵島ドナーから提供されたヒト成人膵島を単一細胞に分離後、FACSでsortingした。ドナーには糖尿病を認めない。

β/α細胞比は年齢、性別に関係しない
BMIが高いほどβ/α細胞比は低下する傾向がある。

α細胞で、インスリンmRNAは62番目に多く発現している。インスリンタンパクは認められない。
β細胞で、グルカゴンmRNAは、177番目に多く発現している。

α細胞をリプログラムしインスリンを産生させることができれば糖尿病治療につながる。

"Last, our study of very pure cell subsets has uncovered surprisingly high insulin mRNA expression without insulin protein in glucagon-expressing α cells, which raises the interesting possibility that under certain conditions, α cells may be reprogrammed to secrete insulin with clear therapeutic consequences."

Blodgett DM et al. Novel Observations From Next-Generation RNA Sequencing of Highly Purified Human Adult and Fetal Islet Cell Subsets. Diabetes. 2015 Sep;64(9):3172-81. doi: 10.2337/db15-0039. Epub 2015 Apr 30.

Exenatide は、血管内皮機能を改善させる

① 2型糖尿病36人で、Exenatide 皮下注射11日間をプラセボと比較、
② 耐糖能異常あるいは食事療法でコントロール良好な2型糖尿病32人で、Exenatide静注前後で比較した結果、Exenatide は、血管内皮機能を改善させる

ヒト脂肪細胞細動脈 arteriole では、Exenatide がAMPK活性化を介して、eNOS活性化する。
その結果、NOが産生され血管弛緩を生じると考えられる。この作用は、血糖値、中性脂肪値とは独立している。

AMPKαをノックダウンしたHuman umbilical vein endothelial cell (HUVEC) では、Exenatide によるNO産生は減弱する。

Pyke らは、GLP-1受容体が血管内皮細胞には存在せず、smooth muscle には存在することを報告している。2)
したがって、Exenatide による血管内皮機能改善のメカニズムはさらに解明が必要である。

1. Koska J et al. Exenatide Protects Against Glucose- and Lipid-Induced Endothelial Dysfunction: Evidence for Direct Vasodilation Effect of GLP-1 Receptor Agonists in Humans. Diabetes. 2015 Jul;64(7):2624-35. doi: 10.2337/db14-0976. Epub 2015 Feb 26.

2. Lovshin J, Cherney D. GLP-1R Agonists and Endothelial Dysfunction: More Than Just Glucose Lowering? Diabetes. 2015 Jul;64(7):2319-21. doi: 10.2337/db15-0366.



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β-cell identity の喪失が2型糖尿病で機能するβ細胞量を減弱させている。

2型糖尿病の膵島ドナーでは
・β cell area が少なくα/β cell ratio が高い。
・インスリンとグルカゴンが共染する細胞がコントロールに比べ8倍多い
・5%程度の細胞がNKx6.1+glucagon+Insulin- で、これはコントロールに比べ5倍となっている。

NKx6.1+glucagon+Insulin-細胞は、糖尿病のサル(macaque) でも認められる。
NKx6.1+glucagon+Insulin-細胞数は、膵島のアミロイド沈着に比例している。

β-cell identity の喪失が、2型糖尿病で機能するβ細胞量 (functional β cell mass) を減弱させている。

Spijker HS et al. Loss of β-Cell Identity Occurs in Type 2 Diabetes and Is Associated With Islet Amyloid Deposits. Diabetes. 2015 Aug;64(8):2928-38. doi: 10.2337/db14-1752. Epub 2015 Apr 27.


プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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