エンパグリフロジンは心不全の既往にかかわらず心不全による入院、心血管死を抑制する。

EMPA-REG OUTCOME trialで、エンパグリフロジン empagliflozin は、心不全の既往にかかわらず、心不全による入院、心血管死を抑制している。

エンパグリフロジンの以下の作用が、上記の結果の Potential contributor としてあげられている。
・浸透圧利尿が、循環血漿量とナトリウム保持に影響し、心腎連関軸(cardio-renal axis) を変化させる。
・動脈のstiffness、心拍数 x 血圧 (the rate pressure product) の低下は、左室の後負荷を減少させる。
・交感神経活性上昇なしに、体重、血圧を減少させる。
・インスリン値の減少を伴って高血糖とインスリン抵抗性を改善させる。
・尿酸値を低下させる。

心不全による入院、心血管死の減少は投与初期から認められ、動脈硬化の改善によるものではないと推測される。

Heart failure outcomes with empagliflozin in patients with type 2 diabetes at high cardiovascular risk: results of the EMPA-REG OUTCOME® trial
http://m.eurheartj.oxfordjournals.org/content/early/2016/01/26/eurheartj.ehv728

糖尿病性ケトアシドーシスのレビュー2

アシドーシスに対する重炭酸bicarbonate の補充
Plasma pH 6.9 以下でなければ、sodium bicarbonate を投与すべきでないというコンセンサスがあるが、これは individualized されるべき。

ketoacids は主に脳と腎臓で消費される。
脳は、ketoacidsを800 mmol/日で消費、
腎臓は、250 mmol/日消費、 200 mmol/日排泄する。

eGFR 30 ml/min 未満では Sodium bicarbonate を 60 mmol per hour で投与を考慮する。
Clinical trial で、benefit は示されていない。

小児科の患者の他施設、ケースコントロール、レトロスペクティブスタディで、来院時PCO2が低く、BUNが高い場合、sodium bicarbonate の治療を受けとき、脳浮腫の発症リスクが有意に上昇した。sodium bicarbonate 投与が脳浮腫の原因なのか交絡因子であるかの解析はされていない

Kamel KS, Halperin ML. Acid-base problems in diabetic ketoacidosis. N Engl J Med. 2015 Feb 5;372(6):546-54. doi: 10.1056/NEJMra1207788.

糖尿病性ケトアシドーシスのレビュー1

コントロールされていない糖尿病では、sodium ketoacid saltsが上昇し、アルドステロンの作用によりカリウム排泄は増加、全身のカリウム量は低下している。

ナトリウム、カリウム
コントロールされていない糖尿病では、尿細管での高浸透圧によりナトリウムと水の再吸収が減少し、尿量が増加する。(浸透圧利尿)

浸透圧利尿により循環血液量が減少、レニン活性上昇とアルドステロン増加している。
アルドステロンは尿細管細胞膜で Na+-K+ exchanger の活性をあげる。4)
遠位尿細管では、sodium ketoacid salts (β-hydroxybutylate- とNa+) のためナトリウムの供給が増え、アルドステロンの作用によりカリウム排泄が上昇している。

糖尿病性ケトアシドーシスでは高カリウム血症が認められることがあるが、カリウム排泄は増加し、全身のカリウム量は減少している。

重炭酸 Bicarbonate
Extracellular fluid bicarbonate concentration [HCO3−] = extracellular fluid HCO3− content ÷ extracellular fluid volume.
脱水により[HCO3−] は見かけ上高値を示す。

肝臓でβ-hydroxybutyric acid が産生される。重炭酸(HCO3−) はβ-hydroxybutyric acidより生じる水素イオン (hydrogen ion) により消費される。
β-hydroxybutyric acid →β-hydroxybutylate anion ( β-HB-) + H+
NaHCO3 → Na+ + HCO3-
H+ + HCO3 → H2O +CO2  肺から放出
β-hydroxybutylate- とNa+ は尿から排泄される。

1 Palmer BF, Clegg DJ. Disorders of Fluids and Electrolytes: Electrolyte and Acid–Base Disturbances in Patients with Diabetes Mellitus N Engl J Med. 2015 Aug 6;373(6):548-59. doi: 10.1056/NEJMra1503102.

2 Kamel KS, Halperin ML. Acid-base problems in diabetic ketoacidosis. N Engl J Med. 2015 Feb 5;372(6):546-54. doi: 10.1056/NEJMra1207788.

3 浸透圧利尿 日本救急医学会のHPより

4 Ganong’s Review of Medical Physiology 24th Edition, LANGE Basic Science
 

GLP-1受容体作動薬は、交感神経刺激の他に洞房結節に直接作用し心拍数を増加させる。

リラグルチドあるいはリキセナチドの注射前後で、60人の2型糖尿病患者にホルター心電図を施行した。
心拍数増加はリラグルチド注射後、終日続き、リキセナチドで5時間のみ認められる。

交換神経活性化時は、LF/HF ratioが上昇する。
リラグルチドでは24ポイント中16ポイントでLF/HF ratioの変化が認められたが、リキセナチドではどのポイントでも変化が認められなかった。

GLP−1受容体作動薬による心拍数増加は、交感神経刺激だけでなく、洞房結節に対する直接刺激により生じる。

Nakatani Yet al. Effects of GLP-1 Receptor Agonists on Heart Rate and the Autonomic Nervous System Using Holter Electrocardiography and Power Spectrum Analysis of Heart Rate Variability Diabetes Care. 2015 Dec 17. pii: dc151437. [Epub ahead of print]

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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