膵島の first responders とlow responders

 グルコース刺激に対して膵島が均一にインスリンを分泌するわけではない
一部の膵島が、貯蔵されているインスリンの大部分を放出する (first responders)。これまで in vitroでは観察されていなかった現象。他の膵島が全くインスリンを分泌していない noponders か、ごく少量のインスリンを分泌している low responders であるのかは確定していない。

まとめ
ヒトプロインスリン遺伝子発現を蛍光化したマウスで、膵臓の表面から、Photometrics Coolsnap EZ digital camera (Roper) を用いて、膵島のインスリン分泌を観察した。胃にグルコースを注入し血糖値>280 mg/dl となった時、20%未満の細胞で、50%を超えて蛍光強度が低下する。蛍光強度が1%より少ない変化は検知できない。蛍光強度を検知できない膵島が少量のインスリンを分泌している可能性は否定できていない。
少量のインスリンを分泌する膵島 low responders が多数あれば、first responders よりも血中のインスリン値上昇に貢献している可能性がある。
麻酔下で観察は、血圧や膵島に対する中枢性神経制御に影響している可能性もある。

Zhu S et al. Monitoring C-Peptide Storage and Secretion in Islet β-Cells In Vitro and In Vivo Diabetes. 2016 Mar;65(3):699-709. doi: 10.2337/db15-1264. Epub 2015 Dec 8.

Rizzo MA, Emptying the Pool: Modular Insulin Secretion From the Pancreas Diabetes. 2016 Mar;65(3):542-4. doi: 10.2337/dbi15-0041.


SGLT2阻害薬の降圧作用

Dapagliflozin は、12週間前の服用で、プラセボに比べ、座位収縮期血圧を4.8 mmHg 低下させた。
サイアザイドとの併用より、βブロッカー、カルシウム拮抗薬との併用の方が、座位収縮期血圧降圧作用が強い。
24時間収縮期血圧の平均値をプラセボに比べ 4.45 mmHg 低下させるが、併用薬剤間での差はみられない。拡張期血圧は変化しない

SGLT2阻害薬の血圧低下要因
• Osmotic diuresis
• Mild natriuresis
• Decreased body weight
• Effect on vascular stiffness
• Reduction of serum uric acid

尿量増加 (200-600ml) が、最も降圧作用を説明しやすい。ヘマトクリット値2.2%上昇、レニンアンギオテンシン系は活性化される。初期のナトリウム喪失は代償される。
腎機能が低下しても、SGLT2阻害薬の血圧効果を作用は低下しない。Osmotic diuresis、natriuresis のみでは血圧低下を説明できない。
高尿酸治療のトライアルで、血圧低下が報告されている。
体重減少、高血糖による酸化ストレス改善、血管内皮に対するナトリウム負荷の軽減により、Vascular stiffness は低下する。

Antihypertensive effects of SGLT2 inhibitors in type 2 diabetes Lancet Diabetes Endocrinol. 2016 Mar;4(3):188-9.

Weber MA et al. Blood pressure and glycaemic effects of dapagliflozin versus placebo in patients with type 2 diabetes on combination antihypertensive therapy: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 study Lancet Diabetes Endocrinol. 2016 Mar;4(3):211-20
Dapagliflozin 10 mg 、12週間投与でプラセボに比べ座位収縮期血圧が4.84mmHg 低下した。プラセボとのA1C の差は、0.61%

Oberleithner H et al. Salt overload damages the glycocalyx sodium barrier of vascular endothelium. Pflugers Arch. 2011 Oct;462(4):519-28.
糖化タンパクglycocalyx は、バイオポリマーとして、血管内皮細胞を保護している。
ナトリウム負荷で血管内皮の糖化タンパクは、ナトリウム放出からナトリウム吸収へ変化し、vascular stiffness が上昇する。


プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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