GLP-1は腺房細胞を増殖させる

GLP-1受容体は腺房細胞 (Acinar cell )に発現している。
GLP-1の4-7日間処置で、腺房細胞が増殖し、アミラーゼ、リパーゼの分泌量が増加する。‪1時‬間程度の暴露では影響しない。 ‬
GLP-1はc-Src を介してEFGRを活性化し腺房細胞を増殖させる。
GLP-1作動薬で報告されているアミラーゼ、リパーゼの上昇は膵炎 (subclinical pancreatitis) ではなく、腺房細胞の増殖の結果と考えられる。

1. Wewer Albrechtsen NJ et al. Glucagon-like Peptide 1 Receptor Signaling in Acinar Cells Causes Growth-Dependent Release of Pancreatic Enzymes Cell Rep. 2016 Dec 13;17(11):2845-2856
GLP-1、c-Src、EGFRのわかりやすい図があります。

2. Buteau J, Foisy S, Joly E, Prentki M. Glucagon-like peptide 1 induces pancreatic beta-cell proliferation via transactivation of the epidermal growth factor receptor. Diabetes. 2003 Jan;52(1):124-32.
GLP-1はc-Src /EFGRを介してβ細胞を増殖させる。

メトフォルミンと腸内細菌

メトフォルミン服用で、ムチンを分解する Akkermansia muciniphila、短鎖脂肪酸 (short-chain fatty acid, SCFA) を産生するButyrivibrio, Bifidobacterium bifidum, Megasphaera が増加している。1)

A. muciniphila は、腸管バリア機能を改善する。
A. muciniphila の外膜から分離された Amun_1100 は、高脂肪食で上昇した門脈の lipopolysaccharide 濃度を通常食レベルに低下させる。
Amun_1100、パスツール化されたA. mucinphila は、高脂肪食でインスリン抵抗性を改善する。2)

短鎖脂肪酸は、腸管の糖新生を生じ、肝糖産生を低下させる。
酢酸は、Blood Brain Barrier を透過し、視床下部に直接的作用し食欲を抑制する。

1. Metformin Is Associated With Higher Relative Abundance of Mucin-Degrading Akkermansia muciniphila and Several Short-Chain Fatty Acid–Producing Microbiota in the Gut. Diabetes Care 2016

2. A purified membrane protein from Akkermansia muciniphila or the pasteurized bacterium improves metabolism in obese and diabetic mice. Nature Medicine (2016)

3. Everard A, et al. Cross-talk between Akkermansia muciniphila and intestinal epithelium controls diet-induced obesity. Proc Natl Acad Sci U S A. 2013.

4. Shin NR, Lee JC, Lee HY et al. An increase in the Akkermansia spp. population induced by metformin treatment improves glucose homeostasis in diet-induced obese mice. Gut 2014 63: 727–735

5. De Vadder F et al. Microbiota-generated metabolites promote metabolic benefits via gut-brain neural circuits. Cell. 2014 Jan 16;156(1-2):84-96. doi: 10.1016/j.cell.2013.12.016. Epub 2014 ‪Jan 9.‬ ‬

6. Frost G et al. The short-chain fatty acid acetate reduces appetite via a central homeostatic mechanism Nat Commun. 2014 Apr 29;5:3611.


7. 腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸は腸管の糖新生を生じ、肝糖産生を低下させる。

SGLT2阻害薬は血中マグネシウム値を増加させる。

SGLT2阻害薬はクラスエフェクトとして血中マグネシウム値を増加させる。

まとめ
RCT のメタアナリシスで、SGLT2阻害薬はプラセボに比べ血中マグネシウム値が増加する。
dapagliflozinで、血中リン値が増加する。
血中ナトリウム値は薬剤により異なる。canagliflozin 300mg では低く、empagliflozin 25mgでプラセボに比べ血中ナトリウム値が高い

Tang H et al. Elevated serum magnesium associated with SGLT2 inhibitor use in type 2 diabetes patients: a meta-analysis of randomised controlled trials. Diabetologia. 2016 Dec;59(12):2546-2551

血中TMAOレベルが血栓症と関連する。

腸内細菌により産生された trimethylamine (TMA) が、肝臓でTMA-N-oxide (TMAO)に代謝される。 TMAOは、心血管病や血栓症と関連している。

まとめ
フォスファチジルコリン、コリン、カルニチンは、腸内細菌により trimethylamine (TMA) に代謝される。
TMA は腸管から吸収され、肝臓で、Hepatic flavin-containing monooxygenases (FMO) により代謝され、TMA-N-oxide (TMAO) となる。TMAO はマクロファージのコレステロール蓄積とfoam cell 形成を促進する。

TMAOの血中濃度は、冠動脈疾患のある患者で心血管病リスク、血栓リスクと相関している。

Zhouらは、4000人を超えるデーターで、血中TMAO レベルが血栓症(心臓発作、脳卒中)の独立した予測因子となることを示した。

TAMOは、細胞内に蓄積されたカルシウムの遊離を介して、生理的濃度でストレス下の血小板凝集を促進する。

3, 3-dimethyl-1-butanol が腸内細菌によるTMA形成を抑制し、血中TMAOレベルを低下させる。

肝臓でTMAOを合成するFMO3は、インスリン抵抗性のある肥満者で増加している。
マウスで、FMO3のノックダウンは、高血糖、高脂血症、動脈硬化を予防する。

Till H. A Gut Feeling about Thrombosis. N Engl J Med. 2016 Jun 23;374(25):2494-6.

Zhou W et al. Gut Microbial Metabolite TMAO Enhances Platelet Hyperactivity and Thrombosis Risk. Cell. 2016 Mar 24;165(1):111-24.

Martínez-Del Campo A et al. The Plot Thickens: Diet Microbe Interactions May Modulate Thrombosis Risk. Cell Metab. 2016 Apr 12;23(4):573-5.

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SGLT2阻害薬は、尿細管糸球体フィードバックを正常化する。

SGLT2阻害薬は、macula densa のナトリウム濃度を上昇させ、尿細管糸球体フィードバックを正常化する。

まとめ
SGLT2は、近位尿細管でグルコースとナトリウムを1:1 で再吸収する。

高血糖状態では、macula densa でナトリウム濃度が低下するため尿細管糸球体フィードバックが抑制される。その結果、輸入細動脈が弛緩し糸球体過剰濾過となる。

SGLT2阻害薬により、macula densaのナトリウム濃度が上昇し、尿細管糸球体フィードバックが正常化する。 輸入細動細動脈弛緩は元に戻る。レニン放出は抑制される。

RAS阻害薬は、輸出細動脈を輸入細動脈に比べ弛緩させるので、糸球体後負荷、濾過圧を低下させる。
RAS阻害薬とSGLT2阻害薬は、糸球体濾過圧を低下させ、長期的な腎保護作用をもたらす。

Nephron Protection in Diabetic Kidney Disease N Engl J Med 2016; 375:2096-2098

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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