グルカゴンとアミノ酸代謝

グルカゴン過剰分泌ではアミノ酸が低下する
グルカゴノーマではアミノ酸の代謝および尿素合成が亢進している。
血中アミノ酸低下が皮膚所見の原因となる。アミノ酸投与により皮膚所見が改善する。

グルカゴンシグナリング異常では血中アミノ酸が上昇する
グルカゴン受容体の不活化では血中アミノ酸が上昇し、その結果としてα細胞過形成とグルカゴンの過分泌が認められる。

長時間の飢餓では、血中グルカゴンが上昇、筋肉からアラニン alanine が放出される。
アラニンは、肝臓でalanine transferase によりピルビン酸に変換されグルコースとなる。(glucose-alanine cycle)
グルカゴンは alanine transferase を制御している。

Holst JJ et al. Glucagon and Amino Acids Are Linked in a Mutual Feedback Cycle: The Liver-α-Cell Axis. Diabetes. 2017 Feb;66(2):235-240. doi: 10.2337/db16-0994.

1型糖尿病モデルマウスのDKAとnon-DKAで、レプチン leptinの作用機序は異なる。

1型糖尿病モデルマウスの糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)とnon-DKAで、レプチンの作用機序は異なっている。
DKAでのレプチン注入は、脂肪融解、肝糖産生亢進、肝臓でのケトン体合成を抑制しDKAを改善する。
これらの作用はコルチコステロン注入により阻害される。
レプチンは、コルチゾール抑制を介してDKAを改善する。

Non-DKAでは、摂餌量の低下、グルカゴン、コルチゾールの血中濃度抑制、筋肉と肝臓の脂肪含量減少により、血糖値を改善させる。

1型糖尿病患者にMetreleptinを投与したパイロットスタディでは、体重が減少しインスリン使用量が低下するがA1Cは変わらない。

Perry RJ, Peng L, Abulizi A, Kennedy L, Cline GW, Shulman GI. Mechanism for leptin's acute insulin-independent effect to reverse diabeticketoacidosis. J Clin Invest. 2017 Jan 23. pii: 88477. doi: 10.1172/JCI88477. [Epub ahead of print]

Vasandani C et al. Efficacy and Safety of Metreleptin Therapy in Patients With Type 1 Diabetes: A Pilot Study Diabetes Care. 2017 Feb 21. pii: dc161553. doi: 10.2337/dc16-1553. [Epub ahead of print]

肝臓のグリコーゲンの蓄積は、低血糖に対するエピネフェリン、グルカゴンの反応を増強する。

犬での実験、門脈にフルクトースとインスリン、ブドウ糖を持続注入し肝臓のグリコーゲン含量を増加させた後、低血糖を誘導する。
肝臓のグリコーゲンが増加する処置の後で、低血糖誘発時のエピネフェリン、グルカゴン反応が増強され肝糖放出は増加する。
肝臓の神経切除後では、低血糖時のエピネフェリン、グルカゴンの反応増加は認められない。

肝細胞のグリコーゲン蓄積は、Liver-brain counterregulatory axis を制御しているが、そのメカニズムは明らかになっていない。
視床下部のAMP-activated protein kinase (AMPK) 活性化が、急性低血糖時のエピネフェリン、グルカゴンの反応を増強する。
肝グリコーゲン蓄積がAMPK The172 のリン酸化を活性化することが報告されている。肝AMPKが低血糖時のグルカゴン、エピネフリン分泌に関与しているかもしれない。

Winnick JJ et al. Hepatic glycogen can regulate hypoglycemic counterregulation via a liver-brain axis J Clin Invest. 2016 ‪Jun 1‬; 126(6): ‪2236–2248‬.‬

McCrimmon RJ et al. Key role for AMP-activated protein kinase in the ventromedial hypothalamus in regulating counterregulatory hormone responses to acute hypoglycemia Diabetes. 2008 Feb;57(2):444-50. Epub 2007 ‪Oct 31.‬ ‬
視床下部のAMP-activated protein kinase (AMPK) 活性化が、急性低血糖時のエピネフェリン、グルカゴンの反応を増強する。視床下部のAMPK 活性化はコルチゾール corticosterone の反応に影響しない。


 

エンバグリフロジンは高血糖下の心筋細胞内ナトリウム濃度を低下させる。

心筋にSGLT2 は発現しないが、SGLT1が発現している。
高血糖や心不全で心筋細胞質ナトリウム濃度 [Na+]c、カルシウム濃度[Ca2+]cが上昇し、ミトコンドリアカルシウム濃度[Ca2+]mが低下する。
[Na+]cの上昇は、Na+/Ca2+ exchanger (NCX)を介して[Ca2+]cを上昇させ、[Ca2+]mを低下させる。

エンバグリフロジンは、心筋培養細胞で、高血糖下の [Na+]c、[Ca2+]c を低下させ、[Ca2+]mを上昇させる。
心筋にSGLT2が発現しないこと、Na+/H+ exchanger (NHC) 阻害薬 cariporide をエンパグリフロジンの前後で添加した場合、[Na+]c 低下作用がほとんど認められないことから、エンパグリフロジンがNHCに作用していると考えられる。

ミトコンドリアのカルシウム上昇はATP合成を促進する。
エンパグリフロジンは、ミトコンドリア生合成増加により心筋のATP産生を増加させ、心保護作用を示す可能性がある。

Vettor R et al. The cardiovascular benefits of empagliflozin: SGLT2-dependent and -independent effects. Diabetologia. 2017 Jan 11. doi: 10.1007/s00125-016-4194-y. [Epub ahead of print]

Baartscheer A et al. Empagliflozin decreases myocardial cytoplasmic Na+ through inhibition of the cardiac Na+/H+ exchanger in rats and rabbits Diabetologia. 2016 Oct 17. [Epub ahead of print]

リブレ Libre は、血糖値70mg/dlの時間を減少させる。

リブレ(Libre) は、皮膚に挿入したセンサーにかざすだけで血糖値をモニターできる。(flash sensor-based monitoring)
1型糖尿病、
A1C 7.5% 未満、リブレ 120人、SMBG 121人、6ヶ月の使用の比較、プライマリーアウトカムは血糖値70mg/dl 未満の時間とした。全例がリブレをマスクモードで14日間使用しベースラインデータとする。

ランダマイズ後、リブレ群は血糖値データーを見ることができる。希望があればデバイスソフトウエアを使って自宅で血糖値レビューを行う。コントロール群はマスクモードのままSMBGを行う。

血糖値 70mg/dl 未満の時間
Libre 3.38 h/day → 2.03 h/ day (38% 減少)
SMBG 3.44 h/day → 3.27 h/day

リブレ群では1日あたり、血糖値を15.1回見ており、SMBG群では5.6回測定している。
終了時のインスリン使用量、basal/bolus insulin ratio、HbA1Cは両群で差はない。
血糖コントロールの良い1型糖尿病でリブレは血糖値70mg/dlの時間を減少させた。

Bolinder J et al. Novel glucose-sensing technology and hypoglycaemia in type 1 diabetes: a multicentre, non-masked, randomised controlled trial. Lancet. 2016 Nov 5;388(10057):2254-2263. 

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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