パラクラインで作用するGLP-1の重要性

全身にプレプログルカゴンが発現しないマウスを作成し、腸管あるいは膵島でプレプログルカゴンの発現を回復させ、GLP-1受容体拮抗薬 exendin-[9-39](Ex9)の作用を検討した。

膵島にプレプログルカゴンの発現を回復したマウスで、Ex9の静注、腹腔内投与が糖負荷試験の血糖を悪化させる。
腸管にプレプログルカゴンの発現を回復したマウスでは、Ex9はは血糖値に影響しない。

膵島で プレプログルカゴン遺伝子から生じるGLP-1が、パラクラインによりβ細胞に作用し血糖値制御に重要な役割をはたしている。

Chambers AP et al. The Role of Pancreatic Preproglucagon in Glucose Homeostasis in Mice. Cell Metab. 2017 Apr 4;25(4):927-934.

視床下部のGLP-1受容体をノックダウンしたマウスでもGLP-1受容体作動薬は食欲を抑制し体重を減少させる。

視床下部のGLP-1受容体をノックダウンしたマウスで、コントロールと同様に、Exendin-4、リラグルチドの末梢投与による食欲抑制効果およびリラグルチド14日投与による体重減少作用を認めた。

高脂肪食では、リラグルチドによる体重減少効果は抑制される。
今回のCreシステムで検証したニューロンとは別の視床下部ニューロンを介して、GLP-1授与作動薬が食欲を抑制している可能性もある。

Burmeister MA et al. The Hypothalamic Glucagon-Like Peptide-1 (GLP-1) Receptor (GLP-1R) is Sufficient but Not Necessary for the Regulation of Energy Balance and Glucose Homeostasis in Mice. Diabetes. 2017 Feb;66(2):372-384

膵島を腸間膜へ移植する

1型糖尿病患者の膵島移植では、門脈から膵島を注入し肝臓に生着させる手技が一般的であった。今回の報告では、25年の罹病歴がある43歳の1型糖尿病患者に腹腔鏡で腸間膜に膵島を移植した。
移植した膵島の上にトロンビンと血漿で、degradable biologic scaffoldを形成させた。
免疫抑制剤を使用し、移植12カ月後でも血糖値が正常化が続きインスリン治療を必要としていない。

腸管は血流が豊富で、腸間膜で分泌されたインスリンは直接門脈に流入する。移植細胞を取り除く場合も容易であるという利点がある。
Bioengineering of an Intraabdominal Endocrine Pancreas. N Engl J Med 2017 May 11;376(19):1887-1889

1型糖尿病で、異なるopen reading frame で読み込まれたインスリン遺伝子由来のペプチドが抗原性をしめす。

 インスリン遺伝子がリボゾームで異なるopen reading frameで読み込まれ生じたタンパク(defective ribosomal products, DRiP) は、プロテアソームで分解されペプチドとなりendoplasmic reticulum に移動する。このペプチドはMHC class I のligandとなり、CD8+ T cell に認識される。

Kracht MJ et al. Autoimmunity against a defective ribosomal insulin gene product in type 1 diabetes. Nat Med. 2017 Apr;23(4):501-507. 

Wei J, Yewdell JW. Autoimmune T cell recognition of alternative-reading-frame-encoded peptides Nat Med. 2017 Apr 7;23(4):409-410. 

β細胞は特有の分子の遺伝子発現を低下させ免疫的攻撃から逃れている

β細胞は、β細胞特有の遺伝子発現を低下させ、免疫的攻撃から逃れている。
NODマウスのβ細胞を経時的にFACSで解析しB6マウスと比較した。

Rui J et al. β Cells that Resist Immunological Attack Develop during Progression of Autoimmune Diabetes in NOD Mice. Cell Metab. 2017 Mar 7;25(3):727-738. 

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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