尿酸と心血管リスク

尿酸値が心血管イベントの独立した危険因子であるかは議論のあるところで、NEJMreview を興味深く読みました。

 

「心血管リスクを減らすために、症状のない高尿酸血症に対しアロプリノールで治療することをサポートするものではない」と最初と最後で協調しつつ、尿酸が高血圧を起こすメカニズムなどを詳しく説明してありました。

以下は簡約で

尿酸は、腎の血管内皮細胞を障害しレニン活性を上げ、腎間質の炎症を誘導する。またVascular smooth muscle cell に直接作用し nitric oxide を低下させROSを増やし、さらにVascular smooth muscle cell増殖を促す。その結果、高血圧を起こす。

 

正常BMIで尿酸が6.0 mg/dl を越える人は5.9%であるのに対し、正常BMIで尿酸が10 mg/dl を越える人は59%metabolic syndrome を呈する。Metabolic syndrome の発症に尿酸が関与することを示唆。尿酸が血管の NO synthesisを阻害し、脂肪細胞にinflammatory change, oxidative changeを起こすことが原因として考えられている。

高尿酸血症は微量アルブミンン尿の独立したpredictor である。すでに発症したCKDの進行をpredict しない。

尿酸は生物学的にはantioxidant としての作用もある。

アロプリノールは、hypersensitivity syndrome に関与しこの疾患は致命的でもある。そのためアロプリノールはbenign drug ではない。

 

感想

高血圧、高脂血症、糖尿病などが危険因子として強調されているが、尿酸が腎の内皮障害や間質障害を介して高血圧を起こすことを考えるとリスクファクターとしていいと感じた。痛風発作があればアロプリノールでの介入となり、無症候の場合は、metabolic syndrome の予防も兼ねて、食事療法を含む生活習慣の介入が必要。

1. Uric Acid and Cardiovascular Risk N Engl J Med 2008;359:1811-21.

2. Prevalence of the Metabolic Syndrome in Individuals with Hyperuricemia Am J Med 2007; 120:  442-447

医師ブログ20100325  PhotoXpress

 

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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