糖尿病性網膜症に血糖の閾値はない。

眼底カメラの発達で、網膜症の診断技術が上がり、糖尿病診断手前の人にも網膜所見があることが明らかになっているようです。2008年Lancetの論文では、「大血管症は血糖の閾値がないとされており、網膜症についても同様である。」と指摘されていました。

まとめ
オーストラリアの3つのスタディの解析、糖尿病を指摘されている人の割合は8%、33.6%、12.8%。
空腹時血糖値126 mg/dl 未満でも7.4-13.4% の網膜症が認められ、大血管症と同様に糖尿病性網膜症も血糖の閾値がない。

1994―1997年の報告では101 mg/dl 未満で2-4%、multiple field をとる網膜カメラの導入によりこれまでの報告は、網膜症が過小評価されていた可能性がある。

網膜の初期の病変は血糖値よりも血圧などほかのvascular processの結果であり、血管新生を伴う進行した網膜症は高血糖と関連している。


感想

論文ではETDRS分類を使っていて、毛細血管瘤のみでレベル20で網膜症ありの判定。日本で最近推奨される糖尿病網膜症国際重症度国際分類でも
軽症非増殖網膜症 (mild NPDR); 毛細血管瘤のみとなっています。

糖尿病性網膜症があると高血糖時期が数年というように推測していたが、微小血管瘤(Microaneurysms)のような軽い病変だと、高血糖があったとは限らないのかもしれません。

網膜症の管理のためには、血糖値のみでなく動脈硬化のリスクファクターを管理していくことの重要性を示唆していると感じま した。

1.Relation between fasting glucose and retinopathy for diagnosis of diabetes: three population-based cross-sectional studies Lancet 2008; 371: 736 - 743

2. 糖尿病専門医研修ガイドブック第4版 日本糖尿病学会編 診断と治療社

医師ブログ20100327
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糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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