ONTARGET ― テルミサルタンとRamiprilはハイリスク患者において同等の心血管死、イベント抑制

2008 年の論文ですが、テルミサルタン(ARB)とRamiprilACE阻害薬)との併用はbenefit がなく副作用を増やすと書いてあり、強く印象に残っています。

テルミサルタン、Ramipril、両者併用 に8500人ずつ割り当てられていて、規模が大きい点でも良いトライアルだと思う。

ARBACE阻害薬に対する相対評価も良く書かれています。


概要

25620人をテルミサルタン8642人、Ramipril 8576人、両者併用8502人にランダマイズドに振り分け

85%cardiovascular disease38%に糖尿病があるハイリスクな集団)

Primary composite outcome は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院。

中央値56カ月のフォローアップで、Primary composite outcome はテルミサルタンとRamiprilで有意差なし。テルミサルタンの方が咳やangioedema が少なく、低血圧症状が多かった。両者併用群では、Ramiprilと有意差なく、低血圧、失神、腎機能異常が多い。

 

両者併用群ではRamipril単独に比べ、収縮期血圧が、2から3 mmHg 低いがベネフィットなしの結果であり、「ハイリスクな人では、ARBACE阻害薬によるdual blockade additional benefitをもたらさない。」としています。

ACE阻害薬にARBを追加して心不全による入院や死亡を抑制したスタディがあるが、ONTARGETとの違いは、ACE阻害薬の量や種類がさまざまであったということです。

 

感想

ベースラインの血圧が141.8/82.1 mmHg で、併用では9.8/6.3 mmHg下げている。血圧の低下がベネフィットをもたらさなかったという結果は、後から出たACCORD BP trial の結果とも一致する。

ACE阻害薬の中での差別化は進んでいて、Ramiprilは心血管イベント抑制のエビデンスが揃っており、テルミサルタンがRamiprilに対して非劣性を示せたことでは、薬剤の評価が上がると思う。

糖尿病腎症に対してARBACE阻害薬併用による腎保護増強作用というのは期待できないとこの論文を読み感じた。


Telmisartan, Ramipril, or Both in Patients at High Risk for Vascular Events. N Engl J Med 2008;358:1547-59.


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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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