全ゲノム解析はより身近に

NEJM 4月1日号で、Charcot–Marie–Tooth病の全ゲノム解析の論文を読み、遺伝子解析技術の進歩を知りました。

全ゲノム解析を身近に引き寄せたのは、アプライドバイオ社のSOLiD(TM) Systemで、このシステムでは、一回に億単位のシークエンスが可能となっていて、2008年の
Life Science Innovation of the Year を受賞していました。

ヒトゲノムプロジェクトにより、ヒトゲノムは28.5億塩基対(2.85 billion nucleotides)、20000から25000タンパクをコードすることが明らかになっています。

5年ほど前、大学の研究室で遺伝子解析の実験をしていたときは、比較的新しい、96サンプルが解析できるシークエンサーを使っていました。それでもPCR増幅などサンプルの調整は人の手が必要で、1サンプルで500 bp 読めたとしても。1日に解析できるのはせいぜい50000-100000 bp。105オーダーです。遺伝子解析にかかる費用も高く、1人のヒトゲノム解析は、とてつもなく大変そうで身近に感じることはできず。


NEJMの論文に使われた、SOLiD™  Systemでは、PCR増幅反応をシークエンサーが行っていて、解析速度を格段には向上させていました。最新のSOLiD™ 4 Systemでは、一回に14億塩基(1.4 billion bp)を読むことが可能です。109オーダーとなりました。


Editorials によるとヒト遺伝子のエクソンだけ読むなら、4000ドルでできるようになっていて、さらに1/10以下の金額になることが期待されているということ。最近の進歩を考えると十分に可能でしょう。


SOLiD(TM) Systemの開発は、同時に解決すべき問題も身近にしてきました。自分のゲノムを見る権利はあると思うが、得られた結果を生かすことができるのかは未知数。


遺伝情報と疾患に関するデーターベースを蓄積し、ゲノム情報を人に利益のある方法で使えることが揺るがないようになれば倫理的な問題も解決できると思います。


1. Whole-Genome Sequencing in a Patient with Charcot–Marie–Tooth Neuropathy N Engl J Med 2010;362:1181-91


2. Individual Genomes on the Horizon N Engl J Med 2010;362:1235-36
3.

3. Finishing the euchromatic sequence of the human genome Nature 431, 931-945 (21 October 2004)


4. The Sequence of the Human Genome  Science 16 February 2001:Vol. 291. no. 5507, pp. 1304 - 1351


5. SOLiD™ 4 System Specifications

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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