染色体9p21と動脈硬化

染色体9p21のSNPsと冠動脈疾患の関連は2007年、Science誌にでていた。

homozygoteは白人の20-25%に存在、homozygote では、30-40%の冠動脈疾患リスクを示した。2009年には脳卒中とも関連することが示された。

高血圧、脂質異常症、糖尿病などこれまで知られているリスクファクターとは相関しない。

 

このallele は、CDKN2A CDKN2Bの近傍、Protein coding regionでない部位に存在。

CDKN2A CDKN2Bは、Cyclin dependent kinase inhibitorsであり、Tumor supressor gene P53をstabilizeし、tumor-supressor gene として知られている。

 

2010年3月18日号Nature 誌の論文では、このallele相当部位70kbを欠失させたマウスを作製。このマウスでは、Cdkn2a cdkn2b 発現が著明に低下していた。その結果、ノックアウトマウスでの大動脈平滑筋細胞の増殖能は Wild type に比べ2倍となっていた。

 

ヒトとノックアウトマウスのfenotypeが異なる点もある。通常食ではノックアウトマウスはワイルドタイプより体重が増加しやすい。

高脂肪食負荷では、ノックアウトマウスはWild type と比べて、原因不明の死亡率は高いものの動脈硬化病変は変わらなかった。

ノックアウトマウス作成時に欠失させた70kbpの遺伝子配列は、マウスの染色体4番に存在、マウスと人でhomologyが50%しかない

 

感想

マウスの解析では9p21と動脈硬化との関連を完全に明らかにできなかったが、cell cycle regulation の異常が動脈硬化を進展させるというストーリーは納得できた。

リスクファクターと相関しないので、臨床検査では判断できない。遺伝子解析をおこなって、テイラーメイド医療の対象になるアリールとなるかもしれない。

 

1. Chromosome 9p21 and Coronary Artery Disease N Engl J Med 2010; 362:1736-1737


2. A common allele on chromosome 9 associated with coronary heart disease. Science. 2007 Jun 8;316(5830):1488-91. Epub 2007 May 3.


 

3. The myocardial infarction associated CDKN2A/CDKN2B locus on chromosome 9p21 is associated with stroke independently of coronary events in patients with hypertension. J Hypertens. 2009 Apr;27(4):769-73.

 

4. Targeted deletion of the 9p21 non-coding coronary artery disease risk interval in mice.  Nature.  2010 Mar 18;464(7287):409-12.


 

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Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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