高血圧の食事療法

NEJM63日号では、高血圧の食事療法の論文がでています。Largh の仮説でナトリウム制限の重要性を再確認し、食事療法もこれからますます重要になってくると思われます。

 

まとめ

・ナトリウム摂取量が多いと、循環血液量、心拍出量、末梢血管抵抗、血圧が増加する。血圧の増加は、Pressure natriureticsをもたらす。(腎臓のperfusion pressure をあげて、水分と、ナトリウムを排泄すること。)本態性高血圧では、にナトリウム処理(sodium handling)関する遺伝子異常が想定されている。

 

・全身的なレニンアンギオテンシンアクシスは、血圧上昇下ではしばしば抑制されているが、腎、血管内皮細胞、副腎などの局所ではアンジオテンシンII活性が増加している。

 

・交感神経優位(increased activity of sympathetic nerve)であることも高血圧の要因。

 

・血圧低下のためには、体重を減らすこと、ナトリウム制限。AHAのガイドラインに従って、BMI25以下、塩分3.8 g(ナトリウム1.5 g)を推奨。

・食事を抜かさない。全体の1/3量を朝食でとること。レストランでの食事は週1回以下にする。外食が多いと、塩分制限が達成できない。

・カロリー摂取を200300kcal/日で減らしていく。

 

アルコールの許容量: 男性グラス2杯、女性1
1杯 (one drink) とはエチルエタ ノール 14 g 相当
ビール   336 g (12 oz)
ワ イン   140 g (5 oz)
40% リカー  28 g  (1.5 oz of 80-proof liquor) 

AHArecommendation Hypertebnsion誌)ではアルコールと血圧の関する詳しい記載あり。グラス2杯を越えると血圧上昇。グラス2杯未満では冠動脈疾患のリスクを減らす可能性があるとされるが、この量でも血圧をあげるという報告もある。アルコール摂取を減らすと血圧が2-3.3 mmHg 低下。高血圧、非高血圧にかかわらず同様の結果。


分子量 ナトリウム23、クロール 35.5、食塩 58.5、1 オンス=28g, US. proof= 2 x alcohol percentage


感想

JNC7
では、塩分6gとしていたが、この論文では、塩分3.8 g と なっていた。調べてみると、AHAscientific statement (2006) では、塩分3.8 g(ナトリウム1.5 g) を推奨するが、現状では達成が難しいので、塩分 6 g (ナトリウム2.3 g=塩分 5.85 g) でもよいという形の 記載だった。
Institute of medicine (IOM) での2004年 のコンセンサスリポートで塩分3.8 g を推奨。
塩分3.8 gを達成するには、外食や料理本の塩分量を変えていかないといけないので、社会的なキャンペーンが必 要だと思う。

食文化の違いがあり日本ではDASH(Dietary approaches to stop hypertension)食はあまり使われていない。DASH食では、果物の量を制限しないということだが、この論文中の推奨は、果物、週20品目で極端に多いわけでなく、日本の交換表での指導とほぼ同じかやや多い程度だった。

1. Dietary Therapy in Hypertension N. Engl. J. Med., June 3, 2010; 362(22): 2102 - 2112

2. Diet and Lifestyle Recommendations Revision 2006. Circulation. 2006;114:82-96.

3. Dietary approaches to prevent and treat hypertension: a scientific statement from the American Heart Association. Hypertension 2006;47:296-308. 

4. JNC7 日本語訳
5. Dietary Reference Intakes: Water, Potassium, Sodium, Chloride, and Sulfate Released:February 11, 2004Type:Consensus Report


 


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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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