ロシグリタゾンの今後

FDAはロシグリタゾンに対する決定を近々下す見込みのようです。
アドバイザリーコミティの審議の結果がNEJM誌に載っており、Arch Intern Med 誌にもreviewが掲載されています。

GSK社がスポンサーとなり行われたRECORD studyでは、ロシグリタゾンは、心血管死亡率をあげないとした。しかし、RECORD では、イベント発症率が低く、ドロップアウトが多いことが指摘されており、アドバイザリーコミティは、その結果を疑問視していた。
RECORD study を含めたメタ解析の結果、コントロールに比べた心筋梗塞のオッズ比1.28、心血管死は有意差なし。RECORD studyを除外すると心筋梗塞 オッズ比1.39、心血管死1.46で、ロシグリタゾンは、心筋梗塞リスクを上昇させる。

これまでの糖尿病薬は血糖降下作用があり大きな副作用がなければ認可されたが、ロシグリタゾンで心血管イベントの増加が報告されて以後、FDAは新薬が心血管イベントを増加させないことを認可前に証明するよう求めている。

ロシグリタゾンとピオグリタゾンの違いは、
・ロシグリタゾンがLDLコレステロールを増加させ、中性脂肪をあげるが、ピオグリタゾンは中性脂肪を下げる。
・ピオグリタゾンは、HDLコレステロールを上げる。
これらが心血管イベントの差となると想定されるが、更に詳細なメカニズムはブラックボックスとなっている。

NEJM誌によれば、ロシグリタゾンの処方は2007年以後も漸増している。
FDAの最終決定の如何にかかわらず、NEJM、Arc Intern Med両誌はロシグリタゾンの継続使用に警鐘を鳴らしている。 
“Because no unique benefits of rosiglitazone use have been identified, administration of this agent solely to lower blood glucose levels is difficult to justify.”
(ロシグリタゾンにはユニークなベネフィットはないので、単に血糖を下げる目的でロシグリタゾンを投与することは正当化されない。Arch Intern Med誌)
 
“Thus, in my view, the FDA must consider only two choice: either stronger warnings plus the use of informed consent and a registry for compassionate use of rosiglitazone or removal of the drug from the market.”
(FDAの選択肢は二つ。より強い警告とインフォームドコンセント、ロシグリタゾン使用時の登録、あるいは市場から排除すること。NEJM誌)

 


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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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