JUPITER 試験への批判

JUPITER 試験は、糖尿病や心血管病がなく、高感度CRP2 mg/dl 以上の人にロスバスタチン20 mgを投与し、心血管イベント抑制を示した試験。
Arch Intern Med 6月28日号では、JUPITER 試験が、非常にバイアスのかかった試験であるという批判が掲載されています。

まとめ
メタ解析の結果、冠動脈疾患の既往の有無にかかわらず、JUPITER試験以外は死亡率を改善していない。
 
JUPITERは早期中止(early termination) となり、2.9年の経過観察で発表された。240イベントの発症で中止、all-cause mortality は継続していれば、有意差は消失したかもしれない。
 
非致死的心筋梗塞、脳卒中を減らすという結果であるが、心筋梗塞、脳卒中の死亡数は、プラセボと同じ。(致死的心筋梗塞ロスバスタチン9人、プラセボ6人、致死的脳卒中ロスバスタチン3、プラセボ6で、致死的心筋梗塞、脳卒中の合計は、ロスバスタチン、プラセボとも12人で同数。)

突然死(Sudden cardiac death)が、JUPITERでは報告なし。通常、心突然死が心血管死の65-70%を占めるので、心突然死が報告されるかどうかは、研究のクオリティを決める目安 (indicator) となる。
 
心血管死の総死亡率に対する割合が5-18%と低い。疫学上のデータと一致せず、JUPITER 試験が早期中止となったのは一貫性を欠く。

14人のAuthor の内9人が、ロスバスタチンの販売メーカー (AstraZeneca) の援助を受けており(financial tie) 、Principal investigator は、高感度CRPテストのパテントをもっている。
データの収集はスポンサーが行っている。このことはバイアスが入る機会(chance)を増加させることになる。
“In conclusion, the results of the JUPITER trial are clinically inconsistent and therefore should not change medical practice or clinical guidelines.”
JUPITERの結果でガイドラインを変更したりすべきでない
 
感想
私自身はJUPITER 試験とロスバスタチンを評価していたので、この批判は驚いた。
Arch Intern Med誌には、ロシグリタゾンへの批判も掲載されていたが、こちらの方が痛烈。
AuthorのConflict of interest については、研究の信頼性を問われることになるので、今後も配慮が必要と思う。1次予防目的のスタチン投与については、エビデンスは不十分という状況です。

 


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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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