ピロリ菌感染症

四月から忙しくなり、ゆっくり時間が取れなかったので、夏休みの旅行中に気になっていた論文を読んでおこうと思っていました。
429日号のNEJM誌のClinical practice ヘリコバクターピロリ感染のまとめです。

まとめ
ヘリコバクターピロリ菌の感染は
胃がん 0.1~3%
胃十二指腸潰瘍1~10%
MALTリンパ腫<0.1%
に認め、感染者の大部分は、臨床的な合併症がない。
 
潰瘍はピロリ菌による粘膜のダメージのためと考えられている。ヘリコバクターピロリ感染があると発がんリスクが高い。除菌で萎縮性胃炎が減るが、発がんリスクが減るかは明らかではない。
 
GERD、食道がんではピロリ菌感染は少ない。ピロリ菌感染は萎縮性胃炎と関係する。萎縮性胃炎では胃酸分泌が低下するので、GERDからの保護に役立っているのかもしれない。最近のメタアナリシスの結果、ピロリ菌の除菌はGERDのリスクを増加させない。
 
ピロリ菌は、胃酸が分泌されない前庭部 (antrum) に感染、ガストリン分泌を促進、より近位部で胃酸分泌するfornixでの胃酸分泌を促進する。十二指腸の酸負荷はgastric metaplasia を起こし、ピロリ菌のコロニー形成を起こす。
 
除菌はNSAIDsと関連しない十二指腸潰瘍の長期的は完治 (cure) につながる。
NSAIDs
はピロリ菌感染のない潰瘍の主な原因となっている。
 
感想
日本の統計ではないが、胃がんでのピロリ菌感染の割合は思ったより低かった。内科専門医試験に出そうな、基本をまとめたいいレビューです。


  
 










夏休みは初めてオルセー美術館に行きました。外観も美しいし、改修中とは思えない絵画の充実ぶりでした。
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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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