GLP-1の総説(1)

GLP-1の総説を読んでみました。2007年のHolstの論文が臨床に近く、インクレチン治療をしていく上で、非常に役立つと思います。

まとめ (1の論文)
GLP-130アミノ酸よりなる。L細胞で分泌され、DPP-4で分解されるので、25%が肝臓に、1015%が体循環へ(systemic circulation)

空腹時の血中濃度は非常に低く、食事後でも、total GLP-1測定 (intact + metabolite)  で、GLP-150 pMを超える事はまれ。
GIPはより上部の消化管から分泌され、濃度はGLP-110倍以上 (several hundreds picomolar)
GIPは、軽い食事でも上がる。構成成分や量が多い食事は、消化が必要であり、distal incretin であるGLP-1分泌を促進する。
acarbose は上部消化管での消化や炭水化物の吸収を遅らせ、nutrients をより下部(distal) へ移動させる。その結果、acarbose GIP分泌を減らすが、GLP-1分泌を増強する(augment) 

・GLP-1は細胞内のcAMPを上げ、Protein kinase A (PKA) ,EPAC2 (cAMP-GEFFII) を介して、あるいはcAMPの上昇がexocytosis に直接作用することによりインスリン分泌を促進。
ecocytosis への直接作用が、cAMP によるインスリン分泌増強プロセスの70%を占める。
"cAMP generated by the activation of GLP-1 receptor may also influence of the exocytosis process directly and this process has been estimated to account for up to 70% of the entire secretory process."


・グルカゴン分泌抑制のメカカニズムはよくわかっていない。インスリン分泌を介してグルカゴンは抑制されるが、1型糖尿病 (CPR0) でも、グルカゴン抑制により空腹時血糖値が低下してくる。
GLP-1がソマトスタチン分泌を刺激するので、paracrine interaction によりグルカゴン抑制をするかもしれない。低血糖レベルの血糖値では、GLP-1はグルカゴン分泌を抑制しないので低血糖のリスクを上げない。
次回へ続く。

感想
αGIが、GLP-1分泌を促進するということはMRさんからたびたび説明されたが、ちゃんとこの総説にしっかりかいてありました。その理由も良く分かりました。
低血糖レベルの血糖においては、GLP-1はグルカゴン分泌を抑制しないと書いてあり、その点でも、GLP-1作動薬治療は単独では低血糖を起こしにくいことになる。

1. The Physiology of Glucagon-like Peptide 1 Jens Juul Holst Physiol. Rev. 87: 1409-1439, 2007

2. PKA-Dependent and PKA-Independent Pathways for cAMP-Regulated Exocytosis Susumu Seino and Tadao Shibasaki Physiol. Rev. 85: 1303-1342, 2005

3 Epac: A New cAMP-Binding Protein in Support of Glucagon-Like Peptide-1 Receptor-Mediated Signal Transduction in the Pancreatic β-Cell George G. Holz Diabetes 53:5–13, 2004


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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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