GLP-1の総説(3) 肥満、反応性低血糖との関係

GLP-1の総説の続きです。肥満、反応性低血糖と、GLP-1の関係について、よく知らなかったけれど、考えるきっかけになりました。
肥満
・高度肥満 morbidly obese では、食後のGLP-1増加が認められない。
バイパスによる肥満手術 bariatric surgery のあと、未消化の栄養素がdistal gut に流れ込むので、L細胞の分泌が増加する。
 肥満者では、痩せた人に比べ食後のGLP-1分泌が減弱しているが、体重を減らすとGLP-1の分泌が改善する事が報告されている。
 肥満者で、GLP-1分泌が低下するメカニズムは不明だがインスリン抵抗性が関係しているのかもしれない。BMIは、食後のGLP-1分泌のnegative factorである。
 
・肥満により二次的にGLP-1分泌が低下していることを示唆しているが、GLP-1は、食欲と食事摂取のregulator であるので、GLP-1反応低下により、食後満腹感が得られず、肥満につながる可能性もある。
 
・肥満手術直後、体重減少の前に耐糖能が改善するのは、インスリン、グルカゴンを介するGLP-1の作用である。
 
反応性低血糖
・GLP-1の過分泌は、胃切除後などに見られる、食後の反応性低血原因となりうる。
 
・肥満手術(gastric-bypass surgery) 後の低血糖症例で、選択的カルシウム注入法の陽性例に膵部分切除を行ったところ、膵島の肥大や、nesidioblastosis (duct cell にインスリン陽性細胞)が報告された。手術後に分泌が増加するGLP-1が、げっ歯類下β細胞増殖作用が示されていて、GLP-1が、nesidioblastosis の原因という報告が2005年NEJM誌に掲載された。2)
しかし、現在は、体重減少によりインスリン抵抗性が改善したのにもかかわらず、beta-cell mass のdownregulaton が起こらないことが原因と考えられている。3)

感想
肥満者で食後のGLP-1分泌が低下していること知りました。GLP-1が低いことが原因で肥満になるかは分かっていないが、肥満治療にGLP-1作動薬を用いるのはreasonable な事なのだと感じました。
反応性低血糖は、インスリンの分泌遅延と理解していたがGLP -1 の関与を指摘されるとなるほどと思ってしまいます。
 

 



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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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